Trial
Title | Duration | Price | |
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そよ風 mp3: 16bit/44.1kHz | 05:40 | |
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私の恋人は赤い自転車 mp3: 16bit/44.1kHz | 05:26 |
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Total: 11:06
Note
――結局、わたしは、羽根を手に入れることはできなかった。
それどころか、何も手に入らなかったし、何も手放さなかった。今でも同じ荷物を背負い続けている。何も変わっていない。
でも最近、それは幸せな事なのかも、と思える。君がいなくても、確かに私は笑っているし、確実に、世界は回っている。 静かな幸福。そよ風の中に見つけた、しあわせの形。
確かにあの時、君と出会った事が、世界を変えた。 狭かった空が、少しだけ広く見えた。あれが幻想だっ たとしても、私には確かにそう見えていた。 寂しさを紛らわしたくなって、自転車を恋人の代 わりにしてみた。ペダルを漕いで、空を飛べたらいいと思っていた。 夏の入道雲が、ビルとビルの間から、私を導いているような気がしたから。自転車は何も言わなかった。
やがて、心が疲れたら、すべてを投げ出したくなった。でも、すべてを投げ出すことはできなくて、前を向かなきゃいけなくて。 誰もが背中にそれぞれの荷物を背負って生きてるのに、自分のものだけ特別重たく見えた。 何度もそれを、手放してみた。でも、まるで風が纏わりついてくるみたいに離れなくて、邪魔だった。
羽根が欲しくなった。こんな時は、鳥みたいに真っ直ぐに、風を切り抜けられたらいいのに。
だから私は、感情を描いた。ありのままに描いた。それ以外の方法を見つけられなかったから。 daisyのうたは、真っ直ぐだ、と思う。嘘をつけない私たちの、ありのままを描いたうた。
そよ風の中に、見つけたもの。