2024/01/19 18:00

OTOTOY各スタッフがそれぞれ選んだ2023年の10作品

今年もやってきましたOTOTOYスタッフによる個人チャート。絶妙にどんな人が本サイトを運営しているのか? そんな自己紹介もちょっとかねております。2023年は、それぞれなにを聴いてOTOTOYを作っていたのか? 今年もスタッフに加えて、ニュース・ライターや連載などを手がけていてるライターさんにも答えていただきました。

■OTOTOYスタッフ■

梶野有希

編集部

(順不同)

■️チャートに関するコメント■
2023年の大きな変化といえば、音楽を聴く上で歌詞を最重要視しなくなったこと。洋楽を少しずつ知ったり、聴くジャンルの幅を広げたからでしょうか。メロディーやコード、リズムなど歌詞以外の要素に惹かれたあとに言葉の良さにも気づく、という聴き方が昨年よりも多かったように思います。odol、Maneskin、コレサワ、YAJICO GIRL、GLIM SPANKYはライヴの感動も含めてチャートに入れました。

■ベストライヴ(配信含む)■
RADWIMPS〈BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 2023〉7月11日 @Zepp Fukuoka
昨年はいいライヴをたくさん観せてもらいました。でもやっぱりベストは絶対にこの公演。「いちばん好きなバンドをライヴハウスで観る」という夢が叶った大切な日です。普段はやらない昔の曲ばかりで構成された、びっくり箱みたいなセットリストにずっと胸が高鳴っていました。Zeppのステージにロック・バンドとして立っていたRADWIMPSのあの眩しい姿が忘れられないです。わたしにとって奇跡みたいなライヴでした。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
映画『怪物』
空気がぬるい6月にはじめて観て、肌寒くなった11月にもう一度観ました。いつ観ても、綺麗で残酷なお話しだと思いました。季節や時間帯、自分がおかれている環境に感想がちっとも左右されない映画には、なかなか出会えません。世の中の不条理や常識から濾過された美しさがただ心に残り、観賞後はしばらく苦しくかったです。ただその苦しみは解放感や多幸感に近いもので、優しさに包まれたような感覚にもなる。素晴らしい作品です。

■ベスト・プレイス
等々力渓谷
海に入ったり、山を登ったり、自然のなかで人と過ごすことが前よりもずっと楽しく感じるようになりました。等々力渓谷は背の高い木がズラーっと生えていて、そこから差し込む木漏れ日がとても心地よかったです。穏やかに流れる川の横を歩いたり、橋を渡ったりして最後に辿り着く場所は等々力不動尊。お参りをしたあとは、いちばん好きなご飯屋さんで緑を観ながらゆったりするという、最高の1日を過ごせる場所でした。

■2024年の抱負など■
「移動中や待ち時間に本を読む」「作れるときは料理をする」「ひとり時間にゴロゴロしない」など、2023年はちょっとした時間の使い方を見直すことが増え、日々の充実度がグンと上がった気がします。漫画や小説をたくさん読んだり、映画やライヴもいっぱい観たことで、自分に合うものとそうではないものの違いもだんだん分かるようになってきました。2024年は「文字や写真で記録すること」「変わっていくこと」に積極的な人でありたいです。

西田健

編集部 / 九州男児

  1. スイちゃん『こんやはダンスパーティー (9じまで)』
  2. スピッツ『ひみつスタジオ』
  3. ジョン・バティステ『World Music Radio』
  4. MyGO!!!!!『迷跡波』
  5. kiki vivi lily『Blossom』
  6. 礼賛『WHOOPEE』
  7. ExWHYZ『xANADU』
  8. 理芽『NEW ROMANCER2』
  9. 戦慄かなの『solitary』
  10. 超ときめき♡宣伝部『かわいいメモリアル』


■️チャートに関するコメント■
2023年から、Eテレおよびテレ東の幼児向け番組を我が子と一緒に見るようになった。「おかあさんといっしょ」、「いないいないばあっ!」、「シナぷしゅ」がお気に入りなのだけど、どれも楽曲がキャッチーで耳に残る。なかでも「みいつけた!」でスイちゃんが歌う『こんやはダンスパーティー (9じまで)』が本当に良い曲で、何回もリピートしてしまった。

■ベストライヴ(配信含む)■
The Grateful a MogAAAz「Our Generation Special〜旅立ちの唄〜」2023年10月17日@池袋 Studio Mixa
今年は100本以上のライヴに行った。BUMP OF CHICKEN、水樹奈々さんといった大物アーティストのライヴにも行った。FRUITS ZIPPER、新しい学校のリーダーズのアリーナ公演は、本当に勢いを感じる素晴らしいステージだった。でも僕にとってのベストライヴは、The Grateful a MogAAAzの4周年ライヴだった。とにかく熱量を感じたし、最後の挨拶も素敵だった。彼女たちには、いつまでも「君とオートバイ」を歌い継いでいってほしい。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
呉 勝浩 著「爆弾」
呉 勝浩氏の書いた小説「爆弾」は、爆弾魔の取り調べをしいてくなかで、事件の真相を探っていく小説なのだけど、このオーディブル版が本当にすごかった。というか、ナレーターの星 祐樹氏が本当にすごかった。何人もの人物の声を、ひとりで演じ分けていく演技は、まさに職人技。これを体感するためだけに、オーディブルに入る価値はあると思う。

■ベスト・プレイス■
保育園
うちの我が子を大事に大事に預かってくれて、その上たくさんのお友達と遊ばせてくれて、ご飯も食べさせてくれる保育園に、2023年は本当にお世話になった1年だった。いまだに運動会のかけっこの動画を何回も見てしまう。先生たちには、感謝してもしきれないし、今の時点で、4月の進級が嬉しくも少し寂しい。

■2024年の抱負など■
毎年言っていますが、健康に生きていきたいっすね。

草鹿立

編集部アルバイト

  1. Summer Eye『大吉』
  2. Surgeon『Crash Recoil』
  3. JUMADIBA『nobori - 上り』
  4. OGRE YOU ASSHOLE『家の外』
  5. James Blake『Playing Robots Into Heaven』
  6. Panda Bear & Sonic Boom, Adrian Sherwood 『Reset in Dub』
  7. Natural Wonder Beauty Concept『NATURAL WONDER BEAUTY CONCEPT』
  8. ALCI『縁』
  9. Yokai Jaki『#1 My Songs』
  10. Elle Teresa『Pink Crocodile』


■️チャートに関するコメント■
ダンス・ミュージックのディグが加速してしまったため、普段聴きの音楽があまりなく……。この事態はあまり好ましくないなと思いつつ、Spotifyのまとめなどを参照しながら作成しました。振り返ると、特にJUMADIBAは繰り返し聴いていたなあと。リストに挙げたアルバムはもちろんのこと、そのアルバムにも収録されている“Asian”のリミックスは、今年のハイライトにもなる1曲だと思います。やっぱりJJJは抜群にかっこいい。 あとは、Natural Wonder Beauty Conceptは精神の安寧を求めるときに度々お世話になりました。NWBCの1人、DJ Pythonを6月にWWWでDJを観る機会があり、フロアを掌握していたのも印象的でしたね。Yokai Jakiの怪作、Elle Teresaの最新アルバムもしっかり語られるべき作品です。

■ベストライヴ(配信含む)■
「ishinoko」9月30日@石川県、滝ヶ原町、滝ヶ原ファーム
石川県の小松市の山奥で行われるDIY型フェス〈ishinoko〉。音楽はもちろんのこと出店も充実しており、地域の特産品を料理に盛り込んださまざまなフードはどれもクオリティが高く、食欲に任せて財布の紐が異常に緩んでしまいました……。2日目に行ったのですが、夕方からポツポツと降り始め、気づいたらテントが雨水の重さで耐えられないほどの激しさに。予想外のアクシデントの中、食品まつりa.k.a foodmanが音を鳴らし始めると、皆大雨を掻き分けて次第に彼の周りを取り囲んでいきました。外は記録級の大雨、ただ1つ屋根の下でマシンを響かせ続ける彼のライヴパフォーマンスと、それに身体を預ける強者ども。ステージも壊れないか不安でしたが(実際スタッフの方が定期的にステージ屋根に溜まった雨を棒で突いて掻き出していた)、それも含めてヒリヒリしたナイスな体験でした。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
三宅唱「ケイコ 目を澄ませて」」
2022年は心にゆとりを保てなかったのか、映画を観る気になかなかなれませんでした。裏を返せば、昨年鑑賞した数少ない映画たちはその度に感情を揺さぶってくるわけで、特に「ケイコ 目を澄ませて」は格別。これぞ音を楽しむ映画で、生活の機微を改めて見つめ直すいい機会を与えてくれたように思います。岸井ゆきの演じる主人公の葛藤やもどかしさが、間接的に、ですがガツンと伝わってくるような展開で、個人的には飽きることなく観ることができました。境遇や立場などは違えど私たちは彼女らの世界のどこかで生きている気がして、そういう意味でも放っておけないというか、考える部分はあったなと。

■ベスト・プレイス■
サリサリカリー
いつかの「先週のオトトイ」でも書きましたが、東急東横線白楽駅にある、「サリサリカリー」というカレー屋は割と衝撃的な体験でした。というのも今まで食べたカレーの中でぶっちぎりに美味しいし、しかもカレーらしからぬ出立ちで、もはやカレーかどうかも曖昧になってくるという摩訶不思議な料理。味付けは塩と食材の味だけらしく、口に入れるとぐつぐつ煮たであろう肉が瞬時に溶ける感覚はクセになります。「一部の人に理解される」と強気なキャッチコピーを掲げていますが、料理自体は割と食べやすく、どの人でもその美味しさにビビッとくるはず。メニューは1種類、席に座れば自ずとカレーはあなたの前に。

■2024年の抱負など■
ここで書くのはどうかと思いますが、DJについて。クラビングの手数も増えて、たくさんのパーティーにふらっと遊びにいけた2023年。毎パーティーに食らってしまって、直近の自分の出番でどことなくそれをなぞってしまう果たして良いのかどうか……。2024年はインプットしたものをしっかり自分のフィルターを通過させて出力したいなと思っております。現場にこだわるわけではないですが、現場でこそミラクルは起こるので遊びにいくことは変わらず、けど自分の身体もちゃんと労わりたいですね。そして将来のことを見据えつつ、ただ地道に毎日生き抜いていこうと思います。

石川幸穂

編集部アルバイト

  1. Alice Phoebe Lou『Shelter』
  2. Joanna Sternberg『I’ve Got Me』
  3. Kara Jackson『Why Does The Earth Give Us People To Love?』
  4. Liv.e『Girl In The Half Pearl』
  5. Ana Frango Elétrico『Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua』
  6. Ricardo Dias Gomes『Muito Sol』
  7. James Ellis Ford『The Hum』
  8. エマーソン北村『COVERS 2003』
  9. 見汐麻衣「無意味な電話」
  10. スピッツ『ひみつスタジオ』



■️チャートに関するコメント■
2023年は新譜を追えたおかげで、「いま同じときを生きている人のそれぞれのモード」を音楽を通じてキャッチすることができました。そしてこうして並べた自分の年間ベストを見ると、2023年の自分の偏ったモードもしっかり反映されていて、他人事のように感じられておもしろかったです。1〜3は軟膏をぬりこむように聴き、日々助けられました。Ricardo Dias Gomesの『Muito Sol』からはブラジル音楽の新しい響きを発見し、興味深かったです。

■ベストライヴ(配信含む)■
ヨ・ラ・テンゴ〈quiet and loud〉11月6日@The Garden Hall
ライヴを観るのは2018年の来日ツアーぶりのヨ・ラ・テンゴ。2023年リリースの最新作『This Stupid World』の収録曲を中心に組まれた前編と、『Painful』や『I Can Hear the Heart Beating as One』などの過去作から名曲の数々をかいつまんで披露された後編の2部構成でした。「Sugarcube」のギター・リフが鳴り響いた瞬間の高揚はきっと忘れません。自分がヨ・ラ・テンゴを好きな理由すべて、本当にすべてを目の前で観せてくれたステージでした。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
映画『アフターサン』
11歳の娘と31歳の父親のひと夏の思い出を、20年後の娘の視点で綴る物語。友達のように仲の良いふたりですが、苦悩や葛藤を抱える父親とまだそういったものを知り得ない娘との間には、なくすことのできない壁があるのもたしかです。家族を描いた作品は個人的にとても興味があり、同じく父親と娘の物語であるヴィクトル・エリセ監督の『エル・スール』という映画は心につかえるものがあって、何度も観返しています。『アフターサン』も、同じように心の奥底の一部が強く反応した映画でした。

■ベスト・プレイス■
〈市原ぞうの国〉/〈サユリワールド〉
千葉県市原市にあるふたつの動物園は姉妹園で、歩いて行ける距離にあります。〈市原ぞうの国〉は、ぞうの鼻にぶらさがったり背中に乗せてもらうアトラクションがあるユニークな動物園。間近で見たぞうのつぶらな瞳は大海原のようにおだやかで、神聖な生き物に感じました。〈サユリワールド〉は、中央広場にカピバラ、カンガルー、ウサギなど数種類の動物たちが垣根なく放たれていて、動物園の「観る / 観られらる」の構図が崩壊していて刺激的でした。道中で乗った小湊鐵道のトロッコ列車もとても良かったです。

■2024年の抱負など■
無計画でスタートした2023年でしたが、思いがけずOTOTOYでアルバイトさせてもらうことになり、ありがたい気持ちでいっぱいです。音楽まわりに携わったおかげで、より能動的に音楽に出会いにいくスタンスをとれた1年でした。まだまだ知らない音楽がたくさんあるぞとワクワクの連続だったなと。自分のことで手一杯になってしまった反省点もあるので、2024年は美しく燃えるものに火をくべたり、自ら火を起こす役割もしていきたいなと思ってます。

高木理太

配信部 / 編集部

(順不同)

■️チャートに関するコメント■
ここ数年の個人的なムードである現行のソウルを追う動きは変わらず2023年も継続。〈BIGCROWN〉や〈DAPTONE〉周りのリリースは2024年も楽しみ。なかでもJalen NgondaとLes Imprimésのアルバムは特筆して素晴らしかったです。新人系だとビースティー・ファンは必聴な、Joey Valence & BraeやLAのチカーノ系のメンバーからなるガレージ・バンド、The McCharmlysのデビュー作はもっとな注目してもらいたい1枚。国内はジアクトやgoatの久しぶりの作品にワクワクしたり、OMSBのミニ・アルバムに勇気づけられたりしました。

■ベストライヴ(配信含む)■
Brainstory来日ツアー 10月23日@晴れたら空に豆まいて
アルバム『Buck』はここ数年の愛聴盤だったので、来日すると決まったときからあすこぶる楽しみだったLAのサイケ、ソウルなスリーピース・バンド“Brainstory”の初来日。本国ではすでに大きくなりつつあるバンドなので、晴れ豆規模の箱で至近距離で楽しめたのも最高でした。演奏はもちろんなんですが、メンバーの演奏中の“顔”がとにかく良くてそこにグッときたり。今年2ndアルバムがリリースされるようなので、ぜひリリース後に2度目の来日待ってます!

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
映画『Dance Craze』
1981年、イギリスのスカ・リヴァイヴァル~2トーン・ムーヴメントを捉えたドキュメンタリー映画『Dance Craze』4Kリマスター版。ドキュメンタリーといっても、ライヴ映像をひたすら曲ごとにスイッチしながら繋いでいく作品なんですが、バンドやシーンから漂う熱気がこれでもかと納められていて、それだけでも歴史的映像として価値あり。有名どころはもちろんなんですが、個人的にはThe BodysnachersとThe Beatが最高にカッコ良かった…。

■ベスト・プレイス■
北千住、上野浅草、錦糸町を3点で結んだ内側
墨田区に居を移して3年。レンタルサイクルを利用することで、この3点を結んだ内側の移動が簡単に出来るって本当に最高だよねという気持ちがどんどん強まっている。そして最近はその内側が拡大して駒込日暮里とか西新井、小岩、清澄白河とかあの辺まで全部活動圏内になってきた。中央線ユーザーだったので、線路一本で全部が完結する感じももちろん悪くないけれど、いろいろな街の感じが見れる、楽しめる東側はいいぞ~という宣伝。今年はもっと色々深掘りしたいです。

■2024年の抱負など■
2023年はついに30代に突入が大きなターニング・ポイント。体調をほとんど崩すことなく1年を過ごせたのは良かった(最後の最後で胃腸炎でぶっ倒れましたが)。健康診断の結果からこれはマズいぞと思い出してジムに行き始めてみたり、コロナが落ち着くまでに終えておきたかった自分に課した宿題をクリアしたり、祖母が亡くなったり。振り返るとあっという間だったけれど、結構変化はあった1年だったような。世の中的にはあまり良いムードではないですが、個人的にはもっと欲を出していろいろトライしてみる1年にしたい所存。あとはもっと上手に時間を使えるようになりたいんですが、これがなかなか難しいんだよなぁ~、頑張ってみます。

藤田琴音

配信部

(順不同)

■️チャートに関するコメント■
昨年に引き続き、hyperpop〜hyperflip辺りのシーンを追いかけつつ、その元ネタへの理解をより深める意味も込めて音声合成ソフト(ボーカロイドなど)周りや声優ソングにも手を出してみた2023年。特にボカロ関連の楽曲は、毎月ビビッときた新譜を記録するプレイリストの作成を1年間続けるほどのめり込みました。また、group_inouやセツナブルースターの復活も音楽生活をさらに彩ってくれました。

■ベストライヴ(配信含む)■
〈もっと!バビフェス〉5月2日@渋谷WWW / WWWβ
lilbesh ramko主催のこちらのイベントをチョイス。全てのステージがパワフルでポップでキャッチーで………とても愛おしくキラキラした1日でした。ぜひ今後も続いていって欲しいイベントです。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
ゲーム『恐怖の世界』
ポーランドのインディーゲームデベロッパーであるpanstaszによるコズミック・ホラー調のローグライトRPG。ドットで描かれたおどろおどろしいクリーチャーの数々やチップチューンのなんとも言えない不気味でキャッチーなBGM、各所に散りばめられたホラー好きにはたまらない小ネタの数々・・・全てがツボにハマった最高の一作です。

■ベスト・プレイス■
銭湯
2023年はたくさん銭湯に行った1年でした。元々お風呂好きではあったのですが、2022年にサウナの良さを知ってからより一層足を運ぶように。歴史を感じる昔ながらの場所から今時っぽいオシャレな場所までいろいろ行ってみましたが、私的トップ銭湯は練馬区〈クアパレス藤〉。今年は都内を飛び出して、地方の銭湯も開拓していきたいと思います。

■2024年の抱負など■
とにかく身体を壊しまくっていた2023年……年々体力の低下を感じています。2024年は今以上に“健康”を意識して、元気に働きたい & たくさん遊びたい。好きなジャンル的にオールナイト(かつ爆音)のイベントが多いので、そういった場所にもっと足を運ぶためにも今年は体力づくりをしっかり行ないたいと思います(“健全なる魂は健全なる肉体に宿る”とも言いますので)。

河村祐介

OTOTOY編集部 / 編集長

  1. KODAMA AND THE DUB STATION BAND『COVER曲集 ♪ともしび♪』
  2. V.A『Down In The Dub Vaults』
  3. 坂本龍一『12』
  4. Loraine James『Gentle Confrontation』
  5. Foodman『Uchigawa Tankentai EP』
  6. V.A.『Cries From The Youth』
  7. Cybotron「Maintain The Golden Ratio」
  8. Leftfield『This Is What We Do. Version Excursion』
  9. V.A.『Redman International: We Run Things』
  10. Masatomo Yoshizawa XTAL『Tangle』


■️チャートに関するコメント■
今年もOTOTOY配信作品でよく聴いた作品を選びました(こだま和文&ザ・ダブ・ステーション・バンドは先行シングルのみ配信)。〈VP〉や〈Greensleeves〉といった老舗レゲエ・ディストリビューターによるリイシュー・コンピがとてもよく、例えば2位のコンピはのUKサウンドシステム・シーンにおけるど定番とも言うべき曲がオリジナルとダブが収録されていたり、6位と9位はデジタル移行した直後の80年代後半のダンスホールのまさにおいしいところがパックされていて新たな発見もあったりということで。

■ベストライヴ(配信含む)■
KODAMA AND THE DUB STATION BAND『リリース記念 ♪ともしび♪ LIVE』10月25日@WWW 鋭利ながら優しい、孤独とともにあるダブ・サウンド。日々のヴァージョンを彩る、差し色のようなライヴでした。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
ラシード・ハーリディー『パレスチナ戦争: 入植者植民地主義と抵抗の百年史』
内容が内容なので「ベスト」と言っていいのかわからないけど、年末読み始めてその内容に打ちのめされたというか。内容はサブタイトルそのままというか、現在ガザ地域で起こっている惨劇へと続く、歴史の積み重なりをパレスチナ側から描いた通史。より深く、かの問題を理解したい人にはぜひ読んで欲しい1冊。本当に1日も早い即時停戦と解放を!

■ベスト・プレイス■
OMIYAGEと代田橋
ラッパーのロボ宙さんのお店ではあるんですが、なんというか自分にとってはコミニティのミーティング・スポットというか。よくよく考えたら2023年は結構あのお店前ですごすことが多かったような。お隣のバックパックブックスや近くのスタンド喫茶 ジュークボックスふくめて、再開発の巨大ビル群には存在しない、カルチャーの温存地というか。

■2024年の抱負など■
後厄も抜けたので、今年はいろいろ仕掛けていこうと思っていますが、どこまでいけますでしょうか。あと去年はだいぶ少なかったので今年はもっと腰を落ち受けて本を読みたいぞという。

高田敏弘

取締役

  1. SAGOSAID『Tough Love Therapy』
  2. Slow Pulp『Yard』
  3. boygenius『the record』
  4. ひとひら『つくる』
  5. daisansei『彼は紫陽花の行方』
  6. 君島大空『映帶する煙』
  7. 笹川真生『サニーサイドへようこそ』
  8. 100 gecs『10,000 gecs』
  9. colormal『diode』
  10. 家主『石のような自由』


■チャートに関するコメント■
今年もアルバム縛りで選びました。この数年の、ベッドルーム、バンド、フォーク、クラブ、…… といったいろいろな波長が合わさり心地よいうねりが生じた年だったと思います。2024年はもっと大きなうねりがくるでしょう。うねりに振り回されたい、それを楽しみたいです。候補外のEPで印象に残る作品は、HOME『HOME EP』、NaNoMoRaL『KonoYono』つきみ『♡きえたくなる度君、刻む♡』など。シングルで1枚挙げるならば、downt「III」でしょうか。

■ベストライヴ(配信含む)■
リーガルリリー「YAON 2023」7月2日@日比谷野外大音楽堂
みんな知ってるリーガルリリー。観たことあるよというひとも、“リッケンバッカー” 知ってるよというひとも、たくさんいるでしょう。でも、今こそ観てほしいです。圧倒的に強くて新しい、真正面のロックに最新のテクスチャー。12月のZepp Shinjukuのライヴはさらに進化していたのですが、ベストは、やはり野音のほうで。心地よい風、変わりゆく空の色、最上の音楽。野音の魔法は変わらずでした。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
björk「cornucopia」3月28日@東京ガーデンシアター
ちょっと反則だけど、björkの「cornucopia」をここに。建付け上はコンサートですが、実態は音楽・映像・照明・衣装・舞台美術・メッセージ・エンタテインメント等々すべてが詰め込まれた舞台芸術/総合芸術であり、体験でした。発せられる音と光景の隅から隅までが心を叩く、逸脱を恐れず、観るものに訴えかける「なにか」を構築するビジョンと凄腕。恐るべし。
 ちなみに私のこの欄、2020年「Zoom」2021年「mRNAワクチン」ときて、2022年を「Generative AI」としたのですが、一年早まったかなと思うような「生成AI」一色の2023年でしたね。音楽もメディアも、そしておそらく2024年はライヴを含めた体験・エンタテインメントも、他人事ではなくなるでしょう。

■ベスト・プレイス■
一蘭 渋谷スペイン坂店
入ったことないですが、店の前を通り過ぎるたびに、1時間以上待ちとかの看板を見ては「すげえな」と思っています (下北沢店はよく行きます!)。去年は「訪問先としての日本」に興味津々な年でした。いわゆるインバウンド。オフィスがある渋谷はもうわけがわからんし、春先にちょこっと遊びに行った箱根は、観光地 (大涌谷とか) にせよ泊まった宿にせよ、驚くようなインバウンド率でした。下北沢あたりのライヴハウスも「来てみた」ひとが日に日に増えています。「テクノロジーが旅をなめらかにする」とは、あるひとの文章にあった言葉ですが、ひとつの興味は、日本はどれくらいなめらかなんだろうか? (世界と比して) ということ。これは主に制度とテクノロジーの話です。そしてもうひとつの興味は、日本に暮らす日本人の幸せについて。これは硬直性と周縁性の話なのでしょう (たぶん)。

■2024年の抱負など■
去年の5月8日を境にした暮らしの変化が、個人的には印象的です。人間もウイルスもその日をもって変わるわけでもないのに。結局は「決めごと」なんだな、と、しみじみ思いました。すべからく「結局は決めごと」である以上、それを尊重し大切にすること、と同時に、そこから外れることを怖れずそして許すこと。そういったことを心に留めながら2024年は暮らしていこうと思います。またなにが起こるか分からないからね! というのは新年早々に思い知らされました。
 OTOTOYについては、昨年のOTOTOYは、ちょっといい感じになりつつある年でした。皆さまのおかげです。ありがとうございます。そして今年のOTOTOYは、尖った姿を見せたいと思っています。尖頭とは、孤立や少数派ではなく、ずっしりとした質量の裾野を持つ峰々だと思います。そうなるためには、ますます多くの皆さまのお力添えが必要になります。よろしくお願いいたします。

ナガタミキ

OTOTOYのデザインなどを担当 (関連会社digitiminimi所属)

  1. 坂本龍一『12』
  2. cero『e o』
  3. Cornelius『夢中夢』
  4. TESTSET『1STST』
  5. James Blake『Playing Robots Into Heaven』
  6. ケミカル・ブラザーズ『For That Beautiful Feeling』
  7. 蓮沼執太『unpeople』
  8. Barry Can't Swim『When Will We Land?』
  9. Actress『LXXXVIII』
  10. Mohini Dey『MOHINI DEY』


■️チャートに関するコメント■
敬愛するミュージシャンの訃報が続いた年だったので過去作を繰り返し聴いて感傷的になってしまうことも多かったのですが、新作を聴いて前向きになりました。 CorneliusやTESTSETにレジリエンスを学び、James Blakeや蓮沼執太の原点回帰的なエレクトロニック・ミュージック、Mohini DeyやBarry Can't Swimのフレッシュな才能には、純粋に音の気持ちよさを感じました。

■ベストライヴ(配信含む)■
決めきれないのでなしで…

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
アーティゾン美術館「ダムタイプ|2022: remap」(2023年2月25日〜5月14日)
2022年開催の第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示に選出されたダムタイプの帰国展。ヴェネチアで発表された新作インスタレーションを再構成した展示をメインに、坂本龍一をメンバーに加え世界各地でフィールド・レコーディングした音を使った作品など、五感を研ぎ澄ませて体験する没入感のある世界に何時間でも浸っていたかったです。

■ベスト・プレイス■
草津温泉(群馬)
人生で初めて行った草津温泉。標高が高く花粉の飛散量が少ないといわれ、花粉症なので行ってみようと。たしかに滞在中は症状緩和しているように感じました(個人の感想です)。もちろん500年の歴史があるという名湯パワーも享受。舞茸天に地酒と飲食も堪能。1泊2日でゆったり過ごしましたが、頑張れば都内から日帰りできるようなので、興味ある方オススメです。

■2024年の抱負など■
2023年は4年ぶりの◯◯があちこちで開催された1年でした。制限からの反動で開放感が凄かったですね。 去年書いていた抱負は「機会を逃さないようアンテナを張り巡らせて、音楽やイベントを楽しむ」だったんですが、50%くらいしか達成できなかったので、2024年も継続でせめて75%くらいにしたい。 引き続きデザイン面で盛り上げて行くので、本年もOTOTOYともども宜しくお願いいたします。

■OTOTOYニュース・ライター / コントリビューター■

岡本貴之

OTOTOYニュース・チーム現場監督 / ライター

  1. ザ・ローリング・ストーンズ『Hackney Diamonds』
  2. 小瀬村晶『SEASONS』
  3. BLOODEST SAXOPHONE feat. CRYSTAL THOMAS『GOOD MORNING』
  4. CHUCK TAYLORS『BRAND NEW DAYS』
  5. DURAN『Electric Man』
  6. 粗品「宙ぶらりん」
  7. GLIM SPANKY『The Goldmine』
  8. illiomote「I.W.S.P」
  9. Anly『26ml』
  10. 安田レイ『Circle』


■️チャートに関するコメント■
ザ・ローリング・ストーンズの18年振りのオリジナルアルバム『Hackney Diamonds』は間違いなく90年代以降のストーンズ最高傑作。時代の空気感をぶち破った本気のストーンズが見せた理屈抜きのカッコよさでした。音もバカでかい。そんなストーンズがデビュー時に所属していたデッカ・レコードからリリースしたピアニスト・小瀬村晶のアルバム『SEASONS』は2023年で一番聴いていました。言葉のない世界の心地良さ、聴いていたのかどうかも意識していないぐらいの日常的な音が空気に馴染んでいました。一方で励まされたメッセージソングもたくさん。女性ボーカル曲が多くて、特にAnlyさんのアルバム『26ml』収録のシングル曲 “好きにしなよ”は繰り返し聴きました。ケルト音楽と力強い言葉の融合が素晴らしかった。年末に初めて聴いた宇都宮のバンドCHUCK TAYLORSはこれぞ日本語ロックバンドの系譜っていう感じで2024年一番注目しています。その他、ボカロPながらロックな楽器プレイヤーでもある煮ル果実『FRUITÁGE』も音楽好きが伝わってきて好きでした。

■ベストライヴ(配信含む)■
GLIM SPANKY〈The Goldmine Tour 2024〉2023年11月30日恵比寿リキッドルーム
サザンオールスターズの10年振り茅ヶ崎ライヴ、エリック・クラプトンの100回記念武道館、ボブ・ディラン、コールドプレイ、チャーリー・プース、マネスキン、オールウェイズ、ブラック・ピンク、ストレイ・キッズの東京ドーム等々、大きなステージのメモリアルライヴをたくさん見た1年。記憶に残るライヴばかりでしたが、ベストライヴはGLIM SPANKYのアルバム『The Goldmine』レコ発パーティーでツアーキックオフとなったリキッドルーム。ド迫力の演奏から飛び出す松尾レミさんの明瞭に言葉が伝わるヴォーカル、自分たちが信じる音楽を表現する姿は震えるほどカッコ良かったです。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
佐伯泰英「柳橋の桜」シリーズ
近所の本屋さんで何気なく手にとってパラパラめくって買った時代小説のシリーズ。江戸時代、神田川にかかる柳橋を舞台に女船頭となった主人公・桜子の活躍を描いた物語ですが、テンポよく読み進められる文体と、ハラハラさせるエピソードの連続で飽きさせないエンタメ小説です。桜子は長身ということで、実写ドラマ化する際の主演には乃木坂46のキャプテン梅澤美波、もしくは櫻坂46を卒業した土生瑞穂でお願いします。あと松本大洋『東京ヒゴロ』3巻で完結。絵だけで語るクライマックスの描写に引き込まれました。

■ベスト・プレイス■
西新宿ドトールコーヒーの2階の電源がある席の窓際右端

■2024年の抱負など■
今年もメジャーからインディーズまで、思ってもみなかった人々の取材をしたい。OTOTOYのニュースを文字通り面白くしたい。健康第一で好きなことだけをやれたらいいなと思います。8トラックのMTRだけで録音した音楽を作る。ギターを弾く。さらにまったく興味のなかったことを趣味にして、思ってもみなかった自分になれたらいいなとすごく思っています。

田尻菜穂子

OTOTOYニュース・チーム / エディター・ライター

(リリース順)

■️チャートに関するコメント■
ここ数年聴き込んでいるK-MUSICからセレクト。サバイバル番組の競演曲、アイドルグループの新ユニットからシンガー・ソングライターまで、ジャンルレスに聴いた一年を象徴するような作品が並びました。いちばん聴いていたジャンルはK-POPで、ランク外ではボイプラの競演曲やcignature、BTOB、ONFのミニ・アルバムなど爽やかな楽曲が耳に残りました。

■ベストライヴ(配信含む)■
Crush「CRUSH HOUR IN JAPAN」7月24日(月)@豊洲PIT
ずっと生で見たかったCrush。初来日公演の初日という特別感もあり、パフォーマンスもバックバンドの演奏も素晴らしくお祭りみたいで楽しかったです。興奮した帰り道、カーナビの案内を聞き逃して首都高を遠回りし、お台場のギラギラした夜景と無事に帰れるのかというスリル感までセットされていい思い出になりました。ライヴレポも書かせていただきました。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
ノンフィクション『基本は、真っ直ぐ―― 石川雅規42歳の肖像』長谷川晶一(著)
NPB現役最年長投手でもある、東京ヤクルトスワローズの「小さな大投手」こと石川雅規投手の2年間に密着したドキュメント本。石川投手の野球に対する向き合い方や人柄が丁寧に書かれており、長年第一線で活躍している秘訣や人気の理由がわかる一冊です。熟練の投球術で目指せ200勝、そしてV奪回。

■ベスト・プレイス■
中野サンプラザ
キャパ、アクセス、音響、景観、座席まですべてが抜群で素晴らしかった中野サンプラザ。アイドルからバンドまで沢山のライヴを観に行った思い出の地がついに閉館してしまいました。偶然にも営業最終年に足を運ぶことができたので、時計台前の外観やホール内部まで思い出に浸りまくりました。

■2024年の抱負など■
音楽も野球も画面越しで見ることが多かったので、今年は積極的に現場参戦・応援していきたい。そのためには体力が必要なので筋トレを頑張りながら、音楽界では韓国以外のアジア音楽の知見を深めること、野球界では静岡と新潟の2球団が新加入したプロ野球ファームの動向を注目していきたいと思います。

田代芽生

OTOTOYニュース・チーム

  1. Mega Shinnosuke『ロックはか゛わ゛い゛い゛ 』
  2. Cornelius『夢中夢』
  3. 揺らぎ『Here I Stand』
  4. 紫 今『Gallery』
  5. 佐藤千亜妃『BUTTERFLY EFFECT』
  6. The Novembers『The Novembers』
  7. 玉井詩織『宝石』
  8. GLIM SPANKY『愛の元へ』
  9. ビレッジマンズストア『みちづれ』
  10. a子『私の全部を愛せない』


■️チャートに関するコメント■
2023年は好きなジャンル以外の音楽にもたくさん触れることができた一年でした。普段はサブスクアプリのニューリリースをチェックしているのですが、それに加えてSNSの広告から新たな音楽を発見することも多かったのが印象的です。セレクトした10作品は踊れるPOPなサウンドから、哀愁に浸れるシューゲイザーまでバラエティに富んだものとなったと感じます。Mega Shinnosukeの新作アルバムはどの曲もキャッチーで気分を上げてくれる名作です。

■ベストライヴ(配信含む)■
カネコアヤノ「Hall Tour 2023 “タオルケットは穏やかな”」6月21日 NHKホール
上京したてで疲れが心に来ているときに、ふっと思いついてチケットを取った公演。昔からアルバムツアーにはよく行っていて、いつも弾き語りを聴いていたのでこの日のバンドセットによる壮大で力強い演奏には圧倒されました。新作アルバムの曲だけではなく昔の曲も織り交ぜながら展開されてゆく目の前のライヴに癒されながらも元気をもらうことができた1日でした。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
綿谷りさ『嫌いなら呼ぶなよ』
「勝手にふるえてろ」など映画化された人気作も多い綿谷理沙先生の新作短編集。斜に構えたようなタイトル通り、皮肉を織り交ぜながらも自分らしく生きるOLや、パーティー会場で自分の浮気を問いただされて袋叩きにされながらも自分の行動を正当化しようとする夫など、正しいとは言えない行動だけれど少し応援したくなるような愛らしさを感じさせる主人公たちが魅力的です。私も少しは意地を張って生きてもいいのかもしれない、と思わされる名作です。

■ベスト・プレイス■
京セラドーム大阪
2023年11月4日、SMBC日本シリーズ第6戦。根っからのオリックスファンである私は”もしも今日負けたら阪神が日本一”という心配を胸に京セラドーム大阪のホーム側応援団席にて観戦していました。この日の先発はメジャー挑戦が注目されていた山本由伸投手の国内最終登板。さすがの好投でイニングを繋ぎ、味方の援護を得て完投勝利。第7戦では阪神に敗れ、日本一を逃してしまったけれど、あの日の試合以上の熱狂は今までありません。一生の思い出の地です。

■2024年の抱負など■
2023年の大半は体調を崩してしまい、好きなアーティストの新作をチェックしたり、ライヴへ行ったりすることが出来なくなってしまったことが悔やまれる一年でした。なので今年は心と体のケアを怠らずに健康的な生活を続けながら、たくさんの音楽と共に過ごせるよう充実した一年にしたいと思います。あとは、趣味の一つであるダム巡りを再開させ、噂の”ダムカード”を集めて回りたいなと思っています。

宮谷行美

OTOTOYニュース・チーム / ライター

  1. 坂本龍一『12』
  2. Model/Actriz『Dogsbody』
  3. Gorillaz『Cracker Island (Deluxe)』
  4. ボーイジーニアス『the record』
  5. BEACH FOSSILS『Bunny』
  6. The Novembers『The Novembers』
  7. King Gnu「SPECIALZ」
  8. 鋭児「Dancer in the Dark」
  9. ART-SCHOOL『luminous』
  10. Lillies and Remains『SUPERIOR』


■️チャートに関するコメント■
OTOTOYにあるもの、かつハイレゾ配信で楽しめる作品で集めてみました。昨年3月に死去した坂本龍一の生前最後のリリースとなった『12』は、最も仕事や作品という枠組みに囚われないもので、体という器が果てるまでに彼が送った“生活”そのものが音として集まったアート作品のようでした。そしてModel/Actrizのトリッキーさが際立つアルバムは大手メディアチャートでも大きく評価されていたのが印象的で、“右に倣え”ではない何か大きな変化を世界が求めているのか…と勝手に思ってワクワクしてます。

■ベストライヴ(配信含む)■
オーイシマサヨシ「オーイシマサヨシ ワンマンライブ 2023」2023年3月18日(土) 兵庫・神戸文化ホール 大ホール
音楽もトークも演出も濃厚すぎる、笑いあり感動ありのエンタメショー。初めてワンマンで観ることができたのですが、会場奥まで生声が届くかのような声量とパワーをノンストップで出し続けるポテンシャルの高さに驚きつつ、ウルトラマンショーから実母のステージ登場まで盛り上がりの欠けない演出が続いて、観客みんなが終始楽しんでいる光景にもグッと来ました。配信という選択が一般化した今、それぞれがお金と時間をかけてまでライヴをする・ライヴを見る、その意義やその価値とは何かを教えてもらった気がします。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』
デビッド・ボウイ財団初の公式認定映画で、30年分のアーカイヴから厳選された未公開映像と全編にわたりボウイのナレーションが使用されるという魅力もさることながら、人生の断片を切り貼りした極彩色でセンセーショナルな映像とライヴ音源のコラージュが暴力的に押し寄せてくるのがたまらなく最高でした。ジェット音や爆発音がミックスされた”Hello Spaceboy”には、ただただ圧倒されるばかり。IMAXで観て本当に良かった。

■ベスト・プレイス■
京都新聞ビル(中京区)地下1階印刷工場跡
2023年度「Ambient Kyoto」の一環として展示された坂本龍一+高谷史郎によるインスタレーション《async – immersion 2023》を観に初めて訪れたのですが、インダストリアルな景観、高い天井と細く長い奥行き、大きな凹凸のある地面、音の返り、そのどれもが心を擽るものばかり。『async』の楽曲とともに何時間でも滞在したくなる場所でした。足音、雨音などフィールドレコーディングした音やドローンがきれいに響き渡っていて、とても心地良かったです。

■2024年の抱負など■
今年に入ってすでに2度も占ってもらったのですが、どちらの結果も「変革の年」とのこと。先人たちにリスペクトを持ちつつ、今の世代、今の私にできることに全力で挑戦してみたいなと強く思っていて、そのコミュニティーを広げられるような活動も今年はしていきたいです。あと大好きなMitskiがそろそろアジア圏に来る気がしていて、もし来日したらインタビューしたい!そして最後に、悲しいことですが、昨年に続き一刻も早く争いが収束することを心から願うばかりです。

塚田智

ライター / バンド「Glimpse Group」ベーシスト

(順不同)

■️チャートに関するコメント■
身近な出会いも含めごちゃまぜ、ですが、一昨年くらいに聴き始めたPenguin Café Orchestraをきっかけに、アンビエントに目覚めつつあります。以来、とりあえず必聴であろうイーノ御大やThe Orbなんかを聴きつつ現行アンビもディグしていくと、これはとハマったのはGreen-House。リフレインと主旋律(らしきもの)が訪れる頻度というか割合が絶妙で、とっても気持ちいい。まだまだビギナーなので、この良さをうまく言葉にできないけれど……とにかくよく聴きました。

■ベストライヴ(配信含む)■
音楽イベント<SMALL TOWN SUPER SOUND ちいさなまちの音楽会>2022年9月30日@東京都千石の各地
東京都文京区千石の、どこにでもあるような住宅街のなかで行なわれた音楽フェス。運営に携わっていた友人(Muddy Daysのベース、モリサキ君)に誘われ行ってきました。教会で観たぎがもえかさんはなんだか神々しく、コインランドリーで観た東郷清丸さんも、「不意に聴こえてきたグッドミュージック」感が素晴らしかったです。ある意味もっとも没入できる音楽体験って、ああいう場で起こるのかも、と思いました。

■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
『ひどい民話を語る会』(京極夏彦、多田克己、村上健司、黒史郎 共著/角川書店)
久々に声出して笑った本でした。「桃太郎」には桃から生まれないパターンがあった、とか。いわゆる「口承文芸」と呼ばれる類の話のなかには「伝説」とか「神話」といった、事実に立脚した(というテイの)話だけではなく、家のなかでおじいちゃんおばあちゃんが子どもを喜ばせるために物語を誇張するケースが多々あったそう。パネラーとして登場する方々の「無理やり教訓話にしようとしている」感じも面白かったです。

■ベスト・プレイス■
渓流のフライフィッシングが好きで、シーズン中は各地の山に入ってイワナやヤマメたちと遊んでいるのですが、9月に行った岐阜の郡上は素晴らしかったです。郡上を流れる長良川は僕にとって特別な川で、いつかそこで釣りがしたいと思っていたのが、昨年実現できました。2泊3日で、空き家になっている母方の実家に泊まらせてもらったのですが、家に入った瞬間、懐かしい匂いが一気に押し寄せてきて、なんだかこみ上げるものがありました。

■2024年の抱負など■
上述のように釣りが好きで、もともとはバスフィッシング専門の月刊誌である『Basser』という雑誌で編集をやっていました。同誌には今もフリーのライターとして携わっているのですが、もっと地の利を活かした仕事もしたいなと、音楽メディアでも書かせてもらうようになりました。まだまだ実績は少ないですが、自分の好きなことをテーマに、いつも楽しく原稿を書いています。今年は、自らもプレイヤーであることを活かした企画をやりたいです。

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