2013/05/08 00:00

いまや、シーンのトップ・アーティストと言っても過言でない、Vampire Weekendが、約3年ぶりとなる3rdアルバムをリリース。初の外部プロデューサー、アリエル・レヒトシェイド(アッシャー、グラッサー他)のプロデュースにより、ヴィンテージ・ギアで埋め尽くされたLAのスタジオで制作されたという本作。ピアノやアコースティック・ギター、オルガンを用い、オーガニックなサウンドを追求した、時代に流されない芯が通った名盤!!


Vampire Weekend / Modern Vampires Of The City
【価格】
mp3、wavともに 単曲 200円 / まとめ購入 1,500円

【Track List】
1. Obvious Bicycle / 2. Unbelievers / 3. Step / 4. Diane Young / 5. Don't Lie / 6. Hanna Hunt / 7. Everlasting Arms / 8. Finger Back / 9. Worship You / 10. Ya Hey / 11. Hudson / 12. Young Lion / 13. Ya Hey (Paranoid Styles Mix) 14. Unbelievers (Seeburg Drum Machine Mix)

ヴィンテージ・ミュージックから辿り着いた景色

2010年に前作『Contra』をリリースして以来、約3年ぶりに届けられた、彼らにとって3枚目のアルバムとなる新作は、ロスタム・バトマングリだけでなく、外部から初のプロデューサーとしてアッシャーやメジャー・レーザー等の作品を手掛けてきたアリエル・レヒトシェイドを迎え入れ、これまでとは風合いの異なる意欲作に仕上がっている。

前作までのイメージでいくと、ノリ一発のニューウェイヴ・サウンドから、テクノやエキゾチックなものまで、あらゆる文脈を混ぜ合わせたつくりが、彼らの特徴であり、おもしろさでもあったと思うが、今作でのメロウなコーラスワークに触れた際、音楽家としての熟練された技術が新たに加わっている印象を強く受けた。そもそも音楽的な引出しの多さは、前2作だけでも十分に想像できたが、それはサウンドを構築する際のユーモアやマニアックなリズムに終始していただけのようにも思えた。そうしたなかで今作が、歌やピアノをフィーチャーした曲を中心としていたのには、やはり驚いてしまった。3曲目の「Step」にみられる品行方正な佇まいなんかは、彼らにとっては斬新かつ挑戦的なアプローチであったはずだろう。

前作までの余韻を残しつつ、ルーツ音楽への目配せも怠らない。そして全編落ち着いているわけでもなく、4曲目「Diane Young」のような底抜けに明るい曲が、なぜか紛れている。意味があるようで、じつはただ自由奔放に作っただけなのかもしれないが、アルバムとしての醍醐味を感じる。過剰な意匠は見当たらないが、隅から隅まで聴けば、まだいろいろとなにかを発見できるかもしれないと思わせてくれるなんとも不思議な作品だ。

今作からは、温故知新ずばりそのものであるような、ヴィンテージ・ミュージックから辿り着いた景色をみた気がした。例えばエルヴィス・コステロのように1940年代のカントリーやブルースを深く愛好した人が、脈絡を感じさせないニュー・ウェイヴのムーヴメントを作ってきた歴史に重なるように、ひとつのシーンが生まれるとしたら、きっかけはこうした作品によるものであろう。(text by肥後幸久)

スティーヴ・ブシェミ監督によるドキュメンタリー風コメディ動画

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PROFILE

Vampire Weekend / ヴァンパイア・ウィークエンド

NYコロンビア大学在学中に知り合ったエズラ・クーニグ(Vo/G)、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)、クリス・バイオ(B)そしてクリストファー・トムソン(Dr)によって2006年春結成。直球で、スマートで、ダンサブルでちょっとアフロっぽい実験的ポップ・サウンドが売り。楽曲のクォリティとライブの評判の良さが話題を呼び、争奪戦の末XLレコーディングスと契約。2008年ファースト・アルバム『ヴァンパイア・ウィークエンド』で一気に全世界的なブレイクを果たし、2010年1月に待望のニュー・アルバム『コントラ』をリリースすると、全米1 位全英3位を記録。UKのインディペンデント・レーベル所属のアーティストとしては初の快挙を成し遂げ、今や現在のロック・シーンを代表するバンドとして注目を浴びる。2013年5月、最新3rdアルバムとなる『モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ』のリリースが決定している。

>>Vampire Weekend HP

[レヴュー] Vampire Weekend

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