SHINGO★西成
まるでタイムスリップしたかのように“昭和の香り”が色濃い、おっちゃんのキャップ(着用)率西日本最高の大阪のイルなゲットー=ドヤ街「西成」、釜ヶ崎は三角公園近くの長屋で生まれ育つ。10代前半でヒップホップと出会い、ラッパーとしての活動はちょうど『さんピンCAMP』で日本語ラップの新たな夜明けが見えた96年から。臭い物にはすぐにフタをする現代社会のしわ寄せが痛々しく残るその町“西成を通じた現実”を、「今に見とけよ!」精神と冷静な視点、自らの体験を元に「間」を活かした独自のソウルフルな「べしゃり芸」で表現する超オリジナルな世界観は、層が厚く、キャラの濃い関西シーンの中でも突出していた(’00年代前半からは420FAMILYのメンバーとしても活躍)。彼が語るストリートとは、若者しかいない場所のことではなく、生きるか死ぬかの瀬戸際さえも見える“社会の縮図”としての現実であり、「人生は苦しいのが9で楽しいのが1」という持論を展開しながらネガをポジに転写する、そして、時にはお上に“MCらしく捻りを効かせて”物申す姿は、いわゆるヒップホップ・ヘッズ以外からも支持を集めている。
06年3月には自己名義では初のミニ・アルバム『Welcome To Ghetto』をLibra Recordからリリースし、同年末にはYOSHI(餓鬼レンジャー)、MISTA O.K.I、DJ FUKU、446と結成した「大阪咲かそう」さながらの“いてまえ打線”的スーパー・ユニット=ULTRA NANIWATIC MC'Sでもアルバム『THE FIRST』を発表。そして07年4月、自身初となる名刺代わりのフル・アルバム『Sprout』で、そのキャリア上での“発芽”を全国に知らしめることに。同作収録の「ILL西成 BLUES」のPVが話題を呼び、TVニュース等ではモザイクや規制が入り写されなかった「生の西成」を写した完成度の高い作品として認知されるきっかけとなる。また彼の生き様に興味を抱いた朝日新聞や産経新聞に掲載され、大阪毎日放送の夕方のニュースでは特番が組まれた(YouTubeでも確認できるように、彼は地元での社会活動でも知られる“ほんまもんのフッドスター”である)。同年は、サイプレス上野&ロベルト吉野から、Romancrew、CHIEF ROKKA、DOSMOCCOS、NG HEAD、LARGE PROFITS、ARIA、INFINITY16、SHING02、大西ユカリらとのコラボ仕事も連発。中でも武道館公演でも完全ロックしたKREVA 「アグレッシ部(Remix) feat. KOHEI JAPAN & SHINGO★西成」は語り草に。MSCのPRIMALとの東西ユニット=鉄板BOYZでのEP「鉄板BOYZ」のリリースもあった08年以降もその勢いは留まる事を知らず、14年ぶりに復活したMICROPHONE PAGERや、日本レゲエ界のハーデストワーキン・バンド=Home Grown、さらには“西成繋がり”の赤井英和とのユニットに、ナニワエキスプレスの清水興が指揮を執ったbjリーグ大阪エヴェッサの公式応援ソング「Go Evessa!」を香西かおり、大西ユカリと唄ったり、日本最高峰のレゲエ野外イヴェント『Highest Mountain 2010』(2度目の客演参加)では2万5000人の大観衆を沸かせたり・・・と、軸のブレないスタイルながらも常にニュー・スラングやニュー・フロウを発信し続ける真の「こてこてライマー/ しゃべくりメッセンジャー」である彼は、そのクロスオーバーな資質、ユニークであったかい人間性ゆえに“ジャンルを超えた存在”(にしてRep西成、HipHop)として注目され続けている。そんな今や完全なる“大阪名物”のSHINGO★西成が、前々からシンパシーを感じていたというラッパー=般若が立ち上げた“昭和レコード”に移籍し、満を持して放つ次なる一手は?「油断すな!!」
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