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2020/12/25 09:00

 

【オフィシャルライヴレポート】生きていてくれてありがとう。──BiSHワンマン・ライヴ〈REBOOT BiSH〉at 国立代々木競技場 第一体育館

 

再起動と銘打たれた〈REBOOT BiSH〉at 国立代々木競技場 第一体育館。
スタッフさんに「始まるまで絶対に見ないでください」と手渡されたセットリスト。感染対策が行われ、間隔を一席ずつ開けても二階席の上まで埋まっている代々木体育館はとにかく大きい。さあ、クリスマスイブの1曲目は何から始まるのか?

28,684,800 seconds
478,080 minutes
7,968 hour
332 days
2020.12.24

モニターにはBiSHと清掃員が会えなかった時間が刻まれる。メンバーが映し出され、それぞれが「ただいま」と言い、最後に清掃員にむけて「おかえり」と伝えた。すでに拍手が鳴り止まない。そして舞台にメンバーのシルエットが浮かび上がり、清掃員のための歌“LETTERS”が始まった。この最初の一曲にBiSHの全ての思いが詰め込まれていた。BiSHは『LETTERS』で「必ずまた会えるから生きてほしい」と伝えた。自分たちがいちばん頑張りたかったときに活動が止まるのは悔しかっただろうけど、そんなことはそっちのけで、清掃員へ生きてほしいと伝え続けた。その気持ちがこの曲で爆発していて、さっそく涙腺が崩壊してしまった。

この日はバンマスの西村奈央率いるバンド編成。映像は、今やBiSHのライヴに欠かすことのできない山田健人。
2曲目に“SHARR”が演奏されたことによりボルテージは最高潮に。そこからは“MONSTERS”、“GiANT KiLLERS”、“TOMORROW”、“DEADMAN”と一度たりともボルテージを下げさせない怒涛のセットリストだ。山田健人のサイケデリックな映像がヘヴィーでパンクなノリをより強固にする。モモコ、ハシヤスメ、リンリンの歌はとても安定しているし、チッチとアイナは、エモーショナルな感情の揺れが激しく伝わってくる。そして、並行してPEDROの活動をしているアユニ・Dの成長が素晴らしかった。彼女は、ロックスターになって帰ってきた!

久しぶりなこともあり、照れ隠しをしながらのメンバー紹介を挟み、“DiSTANCE”、“BUDOKANかもしくはTAMANEGI”と続いていく。まだかなわない武道館への夢が続いていることを示し、“SMACK baby SMACK”ではアイナが舌をまきながら清掃員を煽り、最新曲“STORY OF DUTY”では、デジタルでマシンガンのようなミクスチャー楽曲を見事に歌い上げた。この曲はBiSHの新境地と言っても過言ではないだろう。“DA DANCE!!”では声が出せない分これでもかと会場を踊らせ、作曲アイナ・作詞モモコの“リズム”をとても丁寧に歌い上げ、山田健人は都会に花の焔を咲かせていた。

ハシヤスメのしっかり空回ったMCを挟んで後半戦に突入し、“stereo future”、“Nothing.”と続いていく。この頃には歌にもアドリブが入り、山田健人もやりたい放題で、メンバーもバンドもどんどん乗ってきている。圧巻だったのは“My landscape”。歌とシンセサイザーだけで突き進み、ラスサビで一気にバンドになる聴いたことのないアレンジは会場が息をのんで見守った。その後、暴力的で刹那的な“FREEZE DRY THE PAST”、そして“プロミスザスター”、“スパーク”と大名曲が演奏された。

そして今回のいちばんのハイライトは“オーケストラ”だった。終盤のアイナのソロパートで、会場にいる何千人もの清掃員が一斉に赤いペンライトをつけたのだ。もちろん知らなかったアイナは感激して涙した。続けて歌うチッチも泣いている。みんなの感情が一気に爆発した瞬間だった。

BiSHは『LETTERS』を通して清掃員に「生きて欲しい」と手紙を書き、清掃員もBiSHに返事を送ってきた。このコロナ禍という厳しいときに、会えないけれど常にコミュニケーションを取り続けようとし、関係を絶やさないでいたBiSHと清掃員。「今日はBiSHに与えられるだけではなく、感謝の気持ちをプレゼントするんだ」という清掃員の強い気持ちが、会場を真っ赤に染め上げたのだ。さまざまな断絶がニュースから流れ続ける今、相手を思いやり、その結びつきによって起こる奇跡の瞬間を目撃することができ、涙が止まることはなかった。

会場中が感極まったまま“ALL YOU NEED IS LOVE”、“サラバかな”、“beautifulさ”で本編は終了する。万雷の拍手の中、メンバー一人ひとりが清掃員への感謝の言葉とともに生きていきましょうというメッセージを伝えた。アンコールでは『LETTERS』のラストに収録された“I’m waiting for my dawn”と、“BiSH-星が瞬く夜に-”が披露された。そしてエンドロールでは、「また必ず行きます」というメッセージとともにベストアルバム『FOR LiVE -BiSH BEST-』を販売することで支援した全国のライブハウスの名前を流し、〈REBOOT BiSH〉は終了した。

332日ぶりの有観客ライヴ。どんな成長を見せてくれるのかと期待していたが、そんな期待は今日のライヴには必要なかった。BiSHは、『LETTERS』で生きてほしいと伝えた清掃員たちに、「生きていてくれてありがとう。そしてこれからも一緒に生きていきましょう」という気持ちをただ伝えたかったのだ。2020年のクリスマスイヴは、BiSHを信じ続けた清掃員にとってその気持ちが一番のクリスマスプレゼントになったと思う。

文・構成 : 飯田仁一郎
photo by sotobayashi kenta

2020.12.24 REBOOT BiSH at 国立代々木競技場 第一体育館
<SET LIST>
1. LETTERS
2. SHARR
3. MONSTERS
4. GiANT KiLLERS
5. TOMORROW
6. DEADMAN
6. DiSTANCE
7. BUDOKANかもしくはTAMANEGI
8.My distinction
9. PAiNT it BLACK
10. SMACK baby SMACK
11. STORY OF DUTY
12. DA DANCE!!
13. リズム
14. stereo future
15. Nothing.
16. FOR HiM
17. OTNK
18. My landscape
19. FREEZE DRY THE PAST
20. プロミスザスター
22. スパーク
23. オーケストラ
24. ALL YOU NEED IS LOVE
25. サラバかな
26. beautifulさ
ENCORE
27.I'm waiting for my dawn
28.BiSH-星が瞬く夜に-

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【配信概要】
・タイトル
今までの楽曲全部踊りました丸ごと見せます!!!
「BiSH presents FROM DUSK TiLL DAWN」

・配信日時 
2021年1月1日(金) Open11:00/Start12:00

・アーカイブ配信
2021年1月2日(土) 0:00〜1月17日(日)23:59

・チケット料金
視聴チケット ¥10,000(税込)

・チケット販売URL
http://w.pia.jp/t/bish

・販売期間
2020年12月25日(金)10:00〜2021年1月17日(日)12:00
※チケットぴあ「PIA LIVE STREAM」にて販売となります。

・配信に関する注意事項
ご購入前に必ずチケットぴあ「PIA LIVE STREAM」オフィシャルサイトをご確認ください。
https://t.pia.jp/pia/events/pialivestream/

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【BiSH More Info】
Official YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCkb6emsbTQEv8ve2dfnuVIA
Official HP : http://www.bish.tokyo
Official Twitter : https://twitter.com/bishidol

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