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2019/08/02 18:00

 

白波多カミンの『引き出しからこんにちは』第5回

 

第5回「夢っぽい」

夏が突然やってきた。今年はそんな感じがする。

夏の空はギラギラだ。雲が銀色に見える。

このあいだ空を見ていたら、雲の色のコントラストが強すぎて、絵みたいになっていて、世界に現実味がなかった。現実味がない感覚は好きだ。不安に思う感覚と紙一重だと思うが、好きだなーと思うことが多い。

どうやら、私は光の具合で現実味のなさを感じるらしい。夢の中にいるような感覚を目が覚めているときに味わってるって感じ。私はその状態を「夢っぽい」と呼んでいる。

夏はすぐに夢っぽくなれる。かんかん照りの道路を歩いてるだけで、なんかヘンだ。光が強すぎて現実味がない。身体がここにあるのにその実感がない感じ。

季節を問わずで言うと、絶対に夢っぽくなれて大好きなのは、夕暮れ時にドンキホーテの看板を見たとき。これは間違いなく夢っぽくなれる。ドンキホーテ自体に思い入れは全くないが、このときだけはドンキホーテが大好きになる。たぶんあの大きすぎるペンギンや文字とあいまって、現実味がなく見えると思われる。(自分でもなぜその感覚に陥るのかよく分からない。)

あと、日が暮れて間もない時間のファミリーレストランの看板や窓の明かり。これもかなりグッとくる。
嘘っぽいような、感じ。
「この世界は全部、演劇のセットでした!」と言われそうな感じ。それが大好きだ。

ラスボスは、メリーゴーランド。
メリーゴーランドに匹敵する夢っぽさレベルのものはないといっても良い。
メリーゴーランドがあれば必ず乗るようにしている。その中でも花やしきのメリーゴーランドが一番夢っぽくて好きだ。何回も何回も乗った。夕暮れ時が良い。光るメリーゴーランド。乗ったら明るい、周りの外は少しだけ暗いという時間帯がベスト。中と外の間に視点を置き、上下に動く馬に乗り、くるくる回る。あれはすごい。どうにかなってしまいそうなほどに夢っぽい。

その中でも特に好きな瞬間は、メリーゴーランドが停止する時だ。動きがゆっくりになり、音楽が止む時。この時、私は最高の気分になる。

「全部、夢でした。はい、終わりです。」という感じがたまらない。
メリーゴーランドから降りても不思議な気持ちのまま歩く。地に足がつかない感じ。

あぁ、乗りたくなってきた。

乗りたい。

文:白波多カミン

※次回掲載は8月16日(金)

ライヴ情報
2019年8月12日(月•祝)下北沢風知空知
「basic needs vol. 1」
出演:白波多カミン / ダニエル・クオン
開場 18時30分/開演19時00分
前売/¥2,500 当日/¥3,000 (共に別途ドリンク代600円)
【予約方法】
●風知空知メール予約のみ(先着受信順/整理番号付き)
予約受付開始:6月18日(火)18時00分~
風知空知 yoyaku@fu-chi-ku-chi.jp
(ご希望公演名、日時、お名前、枚数、電話番号以上の5点を明記の上、お申し込みください)
*受付開始時間前に受信したメールは、申し込み無効となりますので、メールをお送りの際にはご確認をお願い致します。

オフィシャル・ウェブサイト
http://shirahatakamin.com/


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