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2019年05月30日13時30分

 
明日5月31日(金)公開映画「イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語」試写会レポート
 

たった5年という活動期間でイギリスのミュージックシーンを席巻し、今日では1980年代最も重要なバンドとして知られるザ・スミス。社会に不信感を持ち、鬱屈した若者たちを虜にした痛烈な歌詞はそのボーカリスト、スティーヴン・モリッシーによって作詞された。

この映画は、そんなスティーヴン・モリッシーが何者でもない、ただの若者だった時代を描く、青春音楽映画だ。

モリッシー青年にとっての青春とは。
原始的(とモリッシーは表現している)な音楽が巷に溢れる地元ミュージックシーンへの不満。皮肉たっぷりに見下す反面、現実にはどこへも踏み出すことのできない自分自身の、解離していく理想と現実。モリッシーの内面で淀み、やがて暴れるような葛藤こそが、彼の苦い青春だった。

物語冒頭、ライヴに通っては地元の音楽シーンへの辛辣な悪態めいた批評をタブロイド紙に投稿する日々を送るモリッシーは、両親の離婚により残された母と家計を助けるために仕事を始める。しかし勤務態度は真面目とは言えず、すぐにサボっては詩をノートに書き連ねるばかり。
一緒にライヴに通う友人は、現状の音楽シーンを見下しきっているモリッシーに、バンドを組んで歌うよう薦めてくれるが、彼はなかなかバンドに入ろうとしない。
誰にでも少しは心当たりがあることだ。彼には勇気がなかった。失敗するのが怖かった。誰にも見向きもされないのが耐えられなかった。自分は天才だと思い上がっていたことに、現実を突きつけられ、自分の底が知れてしまうのは恐ろしかった。
友人のくれる助言は至極当然、正論でしかないのだが、その正論すら、たったの一歩も踏み出すことのできない彼を苛む。
常に曇っているマンチェスターの空は、彼の行き場のない閉塞感と劣等感を表すかのようだ。

映画は常にモリッシーの一人称視点である。彼の目を通して見える心象風景的な作品だと私は思った。
この映画で描かれるモリッシーはスターなどではなく、どうしようもない自意識過剰なヘタレミュージシャン未満の青二才だが、音楽への強い思いを抱きながら苦しみもがいて自らの道を探し求める求道者だ。
悩み、苦しみながら答えを探す、どこにでもいる若者へ、「イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語」が届くことを願っている。 (内)

【映画情報】
5月 31 日(金)、シネクイント ほか全国ロードショー
『イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語』
公式 WEB : eim-movie.jp

<ストーリー>
1976 年マンチェスター。学校をドロップアウトしたスティーブン・モリッシーは、ライブに通っては批評を音楽紙に投稿するだけの毎日。家計を助けようと就職しても職場に馴染めず、仕事をサボって詩を書くことが唯一の慰めだった。そんな時、美大生のリンダーと出会い、彼女の後押しもあってバンドを組むことになる。初ライブは成功、スティーブンはミュージシャンになろうと仕事を辞める。しかし順調に思えた彼を待ち受けたのは、別れや挫折だった。1982 年、それでもあきらめずに音楽を続けるスティー ブンの元に1人のギタリストが訪ねてくる。それは、のちに彼と「ザ・スミス」を結成するジョニー・マーだった。

2017年/イギリス/94分/カラー/シネスコ/PG-12

監督・脚本 : マーク・ギル
プロデューサー : オライアン・ウィリアムズ(『コントロール』)
出演 : ジャック・ロウデン、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、ジョディ・カマー

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