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2019年05月23日21時00分

 
〈宮川企画 マイセルフ,ユアセルフ〉PEDRO、SuiseiNoboAz、CASCADEで新宿LOFT大沸騰-OTOTOYライヴレポ
 

5月19日(日)東京・新宿LOFTにて、ライヴイベント〈SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARY 宮川企画「マイセルフ,ユアセルフ」〉が開催された。

今回、出演したのはBiSHアユニ・DのソロプロジェクトPEDROSuiseiNoboAzCASCADEの3組。会場では、パップコーン・芦沢ムネトが描くフテネコデザインのイベント限定Tシャツが販売。先行販売も行われ開場前から多くの人が会場周辺に集まっていた。

●無垢なバンドの楽しさで存在感を見せたCASCADE

開場と同時にステージ前からフロアがお客さんで埋まって行き、オープニングから立錐の余地もない超満員となる中、トップを飾ったのはCASCADE。TAMA(Vo)、MASASHI(G)、HIROSHI(Dr)、そしてサポートベースを務める人時(黒夢)がステージに上がった。エレクトロなイントロから飛び出したのは「Steve~仰ゲバ東都市~」。ストレイキャッツのTシャツを着て、猫のごとく “Yeah!!”と連呼するTAMAの甲高い声が重低音のリズム隊と対照的だ。続く「Yellow Yellow Fire」のディスコティックなリズムと、エフェクトがかかったギターリフ、キャッチーなメロディで、観客を手のひらに乗せるには時間がかからなかった。右手を左右に振りながら体を揺らす光景が瞬く間に広がっていく。

「どうも、CASCADEです! 今日は、初めての人も初めてじゃない人も、最後の最後まで楽しんでください! 飛ばしていくで~!」とTAMAの第一声から、「コングラッチェ」へ。ダンサブルなリズムと、歪ませつつも絶妙な加減で生音の感触を残すギターが耳に残る。また、軽やかで1回聴いたら覚えてしまいそうなメロディと、どことなくかわいらしくユーモアも感じさせるTAMAのヴォーカルも特徴的だ。EDMとバンドサウンドが融合した「Sexy Sexy,」やキャッチーなサビメロの「FLOWERS OF ROMANCE」等、歌謡曲的な旋律が趣向を凝らしたアレンジで構築された楽曲が次々と披露され、初見であろうお客さんも「Oi! Oi!」と声を上げるほど、惹きつけられている様子だった。

後半戦、パンキッシュに疾走する「アナログ少年」、サーフロック的なリフで歌詞もパンクな「しゃかりきマセラー」でステージ前に身を乗り出すTAMA。ラストは“暴れてくれー!!”と煽りながら「VIVA NICE TASTE」でフィニッシュ。セルフカバーベストアルバム『VIVA NICE TASTE』からの曲を中心としたベスト的なセットリストで、大いに存在感を見せつけた。ベテラン然としたところが一切なく、良い意味でアマチュアリズムのような、無垢なバンドの楽しさが感じられるライヴだった。

●ドラマティックな舞台を見ているようだったSuiseiNoboAz

幕の向こうのサウンドチェックから、Nirvana「Smells Like Teen Spirit」のイントロが聴こえてくると、会話をしていた男性客同士がおぉっ! とステージに向き直った。二番手は、SuiseiNoboAz。2017年におよそ3年9ケ月ぶりのフルアルバム『liquid rainbow』をリリース後、精力的なライヴ活動を行ってきた彼らが静かなSEと共にステージに上がった。石原正晴(Vo.Gt)による「新宿代表、SuiseiNoboAz、始めます」との言葉をきっかけに「liquid rainbow」で始まったライヴは、ヤノアリト(Dr) 河野岳人(Ba)による土着的なリズムに乗せて石原が〈もうすぐliquid rainbowがやってきて 俺たちみんなを助けてくれる〉と繰り返す。序盤を経て高野メルドー(Gt)が幻想的なサウンドスケープを描き出した間奏が明けると、石原の紹介を受けた河野がベースソロを披露。天地をひっくり返すようなアヴァンギャルドな音で場面転換。まるで舞台を観ているような1曲に、観客たちも体を揺らしているものの、ノッているというよりは圧倒されてただただ立ち尽くしているかのようだ。

メンバー紹介から、「ultra」で一気に加速する4人。高野のフライングVがソロを弾くと続いて石原がギターソロを聴かせ、さらに叫ぶように歌う。最初から振り切ったような熱量がすごい。さらなる爆音と変拍子で聴かせた「T.D.B.B. PIRATES LANGUAGE」では、プレイヤーの技巧とキレのあるブレイクを決めるバンドの一体感も発揮。〈ピザでも食ってろ、豚野郎〉強烈なフレーズも飛び出し、何か得体の知れないモノを目撃しているようなド迫力の前に総毛立った。「shoegazer」でノスタルジックな音像を聴かせると、“地獄に落ちようぜ!”とオフマイクでフロアに向けて叫ぶ。曲は「HELL」だ。熱いメッセージソングに胸が熱くなる。

“今日はありがとうございます。楽しくやらせてもらってます。MCのネタとして、「マナカナの見分け方」を覚えて来ました。不器用で引っ込み思案なのがマナで、サバサバ系がカナです。役立ててください。”と石原のとぼけたMCに和んだ後は、改めて“今日はアツくていい感じでしたね。いい一日になりました。そして、明日ももっと良い一日にしましょう。そして、”ピカピカ“になりましょう。ギター、高野メルドー!”そう叫び、歓声の中でバンドが走り出した「PIKA」。ノイズで塗り固められた壁にカラフルな絵を描いていくような、激しさと美しさが同居するメロディアスな楽曲は、バンドの絶好調ぶりが伝わってきたこの日のステージのクライマックスとなった。

●緊張をエネルギーに転化させて爆発したPEDRO

開場直後にステージ前に詰めかけた観客のほとんどがPEDROTシャツをはじめとするWACK関連アーティストのTシャツを着ていたことからもわかるように、昨年9月のデビューワンマン以来となるPEDROのライヴへの期待感が新宿LOFTに充満していた。今年になりユニバーサルミュージック内のEMI Recordsに移籍して本格的に活動をスタートすることが発表されていることもあり、なおのこと注目のライヴとなった。SEに乗ってアユニ・D(Vo&B)、田渕ひさ子(G)、毛利匠太(Dr)の3人がステージに姿を見せると、“うぉぉ~!”と大歓声と手拍子で迎えられる。「PEDROです、よろしくお願いします」。クールな挨拶からベースを弾き出したアユニに、毛利のドラム、田渕のギターが重なり、「ゴミ屑ロンリネス」でスタート。アップテンポな「甘くないトーキョー」と続く。

タイトで音も大きい毛利のドラムと、切れ味鋭い田渕のノイズ・ギターに、アユニが弾く太い音のベースと声が重なると、轟音の中で独り言を呟いているような、不思議なオリジナリティのあるオルタナティブ・バンドになっている。ネルシャツ・Tシャツ姿でベースを弾きながら歌うアユニの姿はまだまだ見慣れない分新鮮だ。ただ、途中のMCでアユニが吐露したように、久しぶりのライヴ、しかも百戦錬磨な2バンドとの対バンのトリということもあってか、かなり緊張していたようで、前半2曲はぎこちない様子も感じられたが、続く「GALILEO」ではステージ前がもみくちゃになるほどの盛り上がりとなったこともあり、徐々にそんな固さが払拭されていったのかもしれない。

「改めまして、PEDROです。PEDROとしてライヴするのが2回目なんです。今回も、前回のワンマンでギターを弾いてくださった、伝説の田渕ひさ子さんに今日も来ていただきました」と紹介すると、観客からは大歓声。「今日私は、PEDROとして初めての対バンを経験していて。それがCASCADEとSuiseiNoboAzということで、今日はずっと肩をすぼめてここまで来て(笑)。今もめちゃくちゃ緊張してるんですけど、そんな素敵な企画を組んでくださった宮川さん、本当にありがとうございます」と主催者への感謝を伝えると、お客さんからも大きな拍手が送られた。そして、夏に全国ツアーを行うことが決定し全公演で田渕ひさ子が帯同することを発表。

“みなさんの夏の醍醐味に混ざれればいいなと思って、ハッピーに生きていきたい気持ちです。ドラム、毛利匠太!”との紹介から毛利が激しくドラムを叩きだすと、「ハッピーに生きてくれ」へとつながる。この曲がすごかった。尖った演奏、ヴォーカルで、コール&レスポンスで観客を巻き込み熱狂の渦を作り上げる。続く「MAD DANCE」でも一体感のある演奏と伸びのある歌声で本領を発揮。緊張をエネルギーに転化してバンドがどんどん転がって行く。「今私、緊張でおかしくなりそうです。こんなに暑いし……自律神経がどっかに行ってしまいました」とのMCから歌い出したのは、もちろん「自律神経出張中」。ヴォーカルのスタッカート気味なフレーズに、田渕のギターがユニゾンで並走する。2ビートのサビに差し掛かると、ステージに向かって一斉に腕が伸び、この日一番の盛り上がりとなった。最後は「うた」で、自ら生み出した熱を冷ますように歌うアユニ。エンディングで繰り広げられたギターソロを中心とした演奏で、ベースプレイもよくわかるものとなっていた。「またどこかでお会いしましょう!」そう言い残すとステージを後にしたPEDRO。ツアー発表後のMCで“夏の全国ツアーまで、もっと精進していくので、みなさん夏は遊びにきてください”と言ったアユニ。この日の対バン経験を経たPEDROがツアーでどんな進化を遂げるのか注目したい。

取材・文:岡本貴之
PHOTO:Kana Tarumi

SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARY 宮川企画「マイセルフ,ユアセルフ」
2019年5月19日(日)東京都 新宿LOFT
出演:PEDRO / CASCADE / SuiseiNoboAz
〈セットリスト〉
CASCADE
1. Steve~仰ゲバ東都市~
2. Yellow Yellow Fire
3. Dance Capriccio
4. コングラッチェ
5. ナムジカ
6. Sexy Sexy,
7. FLOWERS OF ROMANCE
8. Exotic Paradise
9. HOT HEAVEN
10. アナログ少年
11. しゃかりきマセラー
12. VIVA NICE TASTE

SuiseiNoboAz
1.liquid rainbow
2.ultra
3.T.D.B.B. PIRATES LANGUAGE
4.shoegazer
5.HELL
6.SUPER BLOOM
7.PIKA
8.E.O.W.

PEDRO
1.ゴミ屑ロンリネス
2.甘くないトーキョー
3.GALILEO
4.ハッピーに生きてくれ
5.MAD DANCE
6.自律神経出張中
7.うた

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