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2019/01/17 20:30

 

嘘偽りのない歌を紡ぎ続けるThe Cheserasera、「冬の煌星」ツアーファイナル―OTOTOYミニ・レポート

 

ソリッドで硬派なロックサウンドに哀愁を帯びた宍戸翼(Vo/Gt)の歌声が暗闇のなかにある仄かな光を探すような抒情的な言葉を紡ぐThe Cheserasera

彼らが初めてファンのリクエストをもとにセットリストを構成したツアー〈The Cheserasera 2018冬の煌星 ワンマンツアー〉のファイナルとなった新代田FEVERを見てきた。

ライヴは「good morning」から始まった。そのタイトルどおり、ゆっくりと東の空が白む夜明けの空が目に浮かぶようなバンドサウンド。ボーカル兼リードギターの宍戸をはじめ、美代一貴(Dr)と西田裕作(Ba)の3人が歌詞の世界を大切にしながら織りなす緻密な演奏が一瞬にしてフロアを「The Cheserasera」という唯一無二の空間へと変えていく。《「愛なんてどこにもないわ」》と捨て台詞を残した女性との別れを歌った「LOVERS」から、孤独な夜を抱きしめる「LOVELESS」へ。まったく違う時期に制作された2曲をつなぐことで、ひとつの物語を描くようなセットリストの流れも秀逸だ。

東京に初雪が観測された日だからこそ選んだのだろうか、中盤には、ハラハラと舞う雪と儚い恋を重ねた「白雪」が披露された。星空の下のセンチメンタルな恋を描いた「You Say No」、ハイウェイの遥か向こうにあるはずの未来へと想いを馳せる「涙溢れてた」。The Cheseraseraが音楽で紡ぐ感情には、必ず「景色」が切り離されずに描かれている。

MCでは宍戸が「嘘偽りない、本当のことだけを大切に紡ぎ出して曲を作ってきて、それを一度辞めようと思ったことはないけど……どうすれば売れるんだろう?とか迷うこともあった。でも、それを続けてきた結果、本当に俺の気持ちに共感してくれるお客さんばっかり集まってくれるようになって。こんなに嬉しいことはないなって思います」と伝えた。2009年の結成から一度はメジャーデビューを果たしたが、いまは再びインディーズとして地道に活動を続けているThe Cheseraseraは、決して器用なバンドではない。だが彼らは、音楽が、ロックが、バンドという集合体が持つ大きな可能性を信じて、ずっとずっと変わらずに情熱を燃やし続けている。

「また似たようなことに悩んで、似たようなことを越えて歩いていこうと思います」と伝えて、最後に「Drape」「愛しておくれ」「月と太陽の日々」などのアンセムで本編を終えたあと、新曲を含むダブルアンコールまで全22曲でライヴを締めくくったThe Cheserasera。5月にニューアルバムを控えた彼らは、7月13日に渋谷WWWに立つ。その場所で「本当の歌」を紡ぎ続ける愚直なバンドの生き様が肯定される瞬間を目撃したい。(秦理絵)

The Cheserasera 2018 冬の煌星 ワンマンツアー
2019年1月12日(土)東京・新代田FEVER

[ニュース] The Cheserasera

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