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2018/09/23 22:00

 

〈夏の魔物2018 in TOKYO〉東京、大阪、そして12月25日平成最後の夏の魔物開催へ―OTOTOYフェスレポ東京編

 

2018年9月2日(日)東京・お台場野外特設会場J地区にてロックフェス 〈UDO ARTISTS 50th Anniversary 夏の魔物2018 in TOKYO〉が開催された。

ここでは、THE 夏の魔物のライヴを中心に当日の模様を未公開写真と共にお届けする。

初の関東開催となった昨年から、今年はついに東京及び大阪開催となったロックフェス〈夏の魔物〉。あいにくの雨となったが朝から多くの観客が集まった。早朝から駆け付けた多くの人のお目当ては、メインステージとなる「STRONG STYLE」ステージに4年ぶりに出演するでんぱ組.inc。夢眠ねむが単独で登場すると「あ~あ、この雨大丈夫かなー?」と心配げに空を見上げ、メンバーも次々とステージに上がりライヴがスタート。途中、ぱふぉーマンス中に雨が上がるという神通力でトップバッターの重責を果たした。「赤コーナー」ステージではキイチビール&ザ・ ホーリーティッツが、「バーリトゥード東」 ステージではアーバンギャルドが、「道場」ステージでは、ゆくえしれずつれづれが、それぞれ朝からテンション高くライヴを敢行して、各ステージの口火を切った。

いったん雨は上がったが、「リングの魂」 ステージにクリトリック・リスが登場すると再び降ってきた。 でんぱ組.incと対極な神通力を発揮してコーナーポストに上がるスギムの姿は、新・ミスター夏の魔物と呼んでも差支えないほど神々しいものだった。メインステージでセッティング中のどついたるねんに近付き、 先輩の手を上げるシーンも。メインステージのどついたるねんのライヴの後は、初出演のSPANK HAPPYが「リングの魂」ステージにマイクスタンドを立ててクールなパフォーマンスを行った。プロレス・格闘技に造詣の深い菊地成孔がリングで歌うという貴重なライヴは魔物ならでは。残念ながら遠藤ミチロウが療養のため出演キャンセルとなったことを受けてメインステージに登場した「羊歯大明神 ミチロウ復活祈願バンド」のライヴは、ゲストボーカルである百々和宏、うつみようことのスターリン・ナンバーで観客が祭り騒ぎとなって、飛び入りのPANTAも加わり、ミチロウにエネルギーを送った。

Shiggy Jr. やthe twentiesら初出演組のフレッシュかつアグレッシブなライヴがあれば、WiennersやSCOOBIE DO、ザ50回転ズといったバンド、アップアップガールズ(仮)、せのしすたぁ、Negiccoといったアイドル常連組も存在感を見せる。「バーリトゥード東」に登場した青森以来の出演となる忘れらんねえよは、1曲目にDA PUMP「USA」を持ってきた。振りまで完コピして、らしさを全開に。 恒例のビール購入からの一気飲みから最後は新曲「 踊れヒキコモリ」で締めくくった。

一方、「STRONG STYLE」ステージ、「リングの魂」ステージでは、 開催前から噂を呼んでいた、NUMBER GIRL勢がそれぞれのバンド、 ユニット等で次々とステージに上がった。 向井秀徳アコースティック&エレクトリックはナンバガ、ZAZE N BOYSの曲をプレイ。続くサングラス姿の前野健太にリングを譲った。「道場」ステージでは格闘家・KINGレイナが今年も急遽参戦。プロボクサー・大嶋剣心と共に、高野政所のDJに合わせてミット打ちを行うという、 夏の魔物以外では絶対に見ることができないコラボが行われた。

同じころ、夕暮れのリングステージに上がったのはGANG PARADEだ。「Plastic 2 mercy」他ライヴ定番曲に加え発売前のシングル「CAN'T STOP」まで、バトルロイヤルさながらの人数である9人でリングマットやコーナーポストを縦横無尽に使いながらパフォーマンスした。そして、最後はプラニメ時代からの曲「UNIT」を歌唱。この日THE 夏の魔物としての東京最後のステージに立つ泉茉里にエールを送る、胸アツな選曲で締めくくった。筋肉少女帯は「サンフランシスコ」からライヴをスタート。「日本印度化計画」「元祖高木ブー伝説」「踊るダメ人間」と、有名曲を連発。魔物ファミリーである大槻ケンヂは、 意外にも筋肉少女帯としては初出演だっただけに、記念すべきライヴとなった。

THE 夏の魔物ライヴ
SEのイギー・ポップ「Lust For Life」が流れる中、主催者のTHE 夏の魔物が大トリのステージに立った。〈ああしろとかこうしろとか ああだったとかこう だったとか!〉と、 昨年の川崎大会を思い出さざるを得ないフレーズを成田大致が捲し立てて始まる「音楽の魔物」で一斉にステージに広がると、泉茉里がシャウト、鏡るびいがスクリーム、大内雷電がマイクスタンドを振り上げ、 アントーニオ本多がスピーカーに乗りあがってアジテーションする。いつものライヴハウスの光景が野外で弾けるカタルシスを感じさせるオープニングから続いたのは「魔物 BOM-BA-YE ~ 魂ノ覚醒編~」。「知らなくてもいいから歌ってください!」と〈魔物 BOM-BA-YE〉の合唱を促す成田。「えっボンバイエってなに?」と思った初見の人もいたかもしれない。それくらい、大勢の人がステージを見つめていた。 茉里とるびいが順番にソロで歌唱を行い、 向かい合って歌うシーンもいつも以上にエモい。その後ブレイクを受けた成田。「いやあ、HUSKING BEEの「WALK」最高だったね」と、フェスならではの一言でドッと沸かせた。曲のエンディング、メロディに合わせて下降していくバンドの演奏は息がピッタリだ。

「SUNSET HEART ATTACK」が始まると、作詞を手掛けたアントンがステージを降りて客席へと向かい挑発しながらパフォーマンス。初リリースから6年が経つ曲だが、現在のバンドアレンジは以前にもまして疾走感がありヘヴィ。ヴォーカルと楽器隊のユニゾンからヘドバン、サビへと繋がる展開はこの日も見事にキマっていた。

「いつもいつも、毎年フェスをやるたびに“もうやめたい”って思うんです。でもやっちゃうんですよね。昨日、出来上がってるステージとか、楽しみにしてくれている人、色々考えて。1人じゃ何もできないけど、来てくれるお客さん、一緒に作り上げてくれるチームのみなさん、出演者のみなさんあってこその夏の魔物です。本当に今日はありがとうございます!」(成田)

メンバー全員で深々と頭を下げる。再びMCを続ける成田。「今日、俺のボーカルの師匠であるうつみようこさんがライヴで「 満月の夕」を歌っているときに、隣のステージにいたeaster n youthの吉野さんが、ようこさんを見ていて。それを見て、俺はこういう光景を作りたくてフェスやってるんだって。2006年に青森でフェスを始めたときから、スパルタローカルズに絶対出て欲しいって言い続けて、一度解散しちゃったけど、今日こうして出てもらえて。 そういう素敵な光景が1つ1つあって。ここでサニーデイが素晴らしいライヴをして、“曽我部さん、来年は5人でヘッドライナーお願いします”って、 今日この後言おうかなとか。やっぱりずっと思いました。音楽って忘れていたことを思い出させてくれたりとかするし、俺はそういう瞬間を作りたくてロックフェスをやってます。俺たちTHE 夏の魔物も、そういう曲を届けられるように。この曲を聴いて色んな人が大切な人のことを思い出したりする曲になったらいいなと思って作った曲です。聴いてください!」

そんな言葉から始まったのは、最近ライヴには欠かせないポップチューン、「しゅきぴ(仮)」。 1番を歌い終わると、「この後VenusFort行って買い物しようぜ!」と日替わりコメントお台場verも飛び出した。歌い終わると、現在アルバムを制作中であること、また12月25日(火)にリンクモア平安閣市民ホールで〈夏の魔物2018 in AOMORI〉を開催することを発表。アルバムのために作られたという新曲「若者たち」を歌いあげた。ここで、シークレットとされていた「Very Special “G”uest」のHISASHI(G / GLAY)がサプライズ登場。成田の「グラストンベリー、レディング、フジロックみたいに“ ラララ”の合唱をしてくれ!」との呼びかけに、会場中から声が上がる。ステージ上ではアントンが大内と1マイクでコーラスしたり茉里と向かいあってダンスしたりの微笑ましい場面も見ることができた。HISASHIと越川和磨という、日本のロック界のトップギタリストの共演も魅力的だ。「 恋愛至上主義サマーエブリデイ」を終えると、メンバー全員を紹介。大声援がアンコールを求める“魔物 BOM-BA-YE!!”の声に迎えられて再びステージに上がったTHE 夏の魔物は、「ミスター夏の魔物!曽我部恵一」と紹介し、曽我部をはじめとする本日の出演者を招き入れる。豪華出演者たちがステージへ上がって来た。

「こんな光景、第1回ライジングサンのときのロッキンオンジャパンの表紙のチバユウスケさんとUAさんとベンジーさんが一緒に写ってるやつみたいだ!」と感激を伝える成田。全員で歌う曲は、曽我部が作曲した「東京妄想フォーエバーヤング」。見ると、センターで歌う茉里、隣にるびい、その隣にはみずほ(THERE THERE THERES)が立つという魔物チルドレンにはたまらない光景が。そして、みずほは大内とラップパートを共に歌った。 ステージ奥を見ると、 向井秀徳が田淵ひさ子になにやら耳打ちしている等、気になるシーンが満載のエンディング曲となった。 最後はアントンの合図で一斉にジャンプしてライヴは終了。

「スーパーJカップみたいな写真を撮りましょう!」との成田の提案で、出演者全員で写真に納まり、Oasis「Rock N' Roll Star」が爆音が流れる中、「みなさんが1人でもいる限り、 夏の魔物は永遠に不滅だ!3、2、1、魔物ファイヤー!!」 と締めくくり、フィナーレを迎えた。

取材・文:岡本貴之
写真:●STRONG STYLE / リングの魂:橋本塁  ●赤&青コーナー:タイコウクニヨシ ●バーリトゥード東西:高田 真希子/ 清水ケンシロウ ●道場ステージ:二瓶 彩

〈UDO ARTISTS 50th Anniversary 夏の魔物2018 in TOKYO〉
2018年9月2日(日)東京・お台場野外特設会場J地区
【出演アーティスト】
THE 夏の魔物 / サニーデイ・サービス / でんぱ組. inc / 筋肉少女帯 / SPANK HAPPY / ROVO / 忘れらんねえよ / ベッド・イン / どついたるねん / トリプルファイヤー / ART-SCHOOL / 向井秀徳アコースティック&エレクトリック / 田渕ひさ子 / おやすみホログラム×アヒトイナザワ / THERE THERE THERES / スパルタローカルズ / Hermann H.&The Pacemakers / RONZI(BRAHMAN)/ HUSKING BEE / eastern youth / 前野健太 / 頭脳警察 / 羊歯大明神(遠藤ミチロウ、 山本久土、石塚俊明、関根真理)/ ラフィンノーズ / SA / うつみようこ / 百々和宏withウエノコウジ / KING BROTHERS / DMBQ / MAD3 / デキシード・ザ・エモンズ / SCOOBIE DO / ザ50回転ズ / Sundayカミデ / 爆弾ジョニー / Wienners / tricot / バックドロップシンデレラ/ 魔法少女になり隊 / アーバ ンギャルド / Shiggy Jr. / the twenties / キイチビール&ザ・ホーリーティッツ / おとぼけビ~バ~ / 挫・人間 / GANG PARADE / ゆるめるモ! / 桜エビ~ず / Negicco / 夢みるアドレセンス / アップアップガールズ(仮) / せのしすたぁ / ぜんぶ君のせいだ。 / ゆくえしれずつれづ れ / フィロソフィーのダンス / RINGOMUSUME(りんご娘) / ENGAG.ING / 吉田豪 / 杉作J太郎 / バニラビーンズ / DJ 掟ポルシェ / 高野政所 / 鹿野淳(MUSICA) / DJやついいちろう / 新しい学校のリーダーズ/ クリトリッ ク・リス / 二丁目の魁カミングアウト / 椎名ぴかりん / 倉持由香 / カンパニー松尾 / 爪切男 / 伊藤賢治 / 高田馬場ゲーセンミカド / スーパー・ササダンゴ・マシン / 眉村ちあき / KINGレイナ / 大嶋剣心


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