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2017年10月31日22時00分

 
「本当は超つらかった」里咲りさ、"たったひとりで"たどり着いたZepp公演 一週間後には40人を前に凱旋ワンマンも――ライヴ・レポート
 

里咲りさが9月22日、東京・Zepp DiverCityで自身最大規模のワンマン・ライヴ〈里咲りさ 全国ツアー2017 TOUR FINAL supported by 3D LIVE Revolution〉を開催した。開催発表時、おそらく多くの人が無謀だと思っていた公演は、驚きの結末を迎えた。

開演直後は空席も目立っていた客席は、ライヴが進行するにつれてどんどん埋まっていった。開演から約1時間半、本編終了を迎える頃には、誰が見ても満席といっていいほどの大入りに。結果的に当日券も完売し、後ろの方には立ち見客まで出るなど、まさかの大盛況となった。里咲本人も「こんなことになると思ってなかった」と声をつまらせ、「音楽をやっていてよかった」「奇跡ってちゃんと起こるんだな」と涙をぬぐった。

大きな横断幕が飾られている以外、特別な演出や舞台セットはなかった。普段と変わらないラフな衣装で、これまで作り上げてきた楽曲たちをバンドで演奏するシンプルなライヴだった。しかしその演奏と歌は、この規模の会場でいつも以上の輝きを放っており、彼女が作る楽曲の素晴らしさを改めて感じさせてくれた。会場に集った1000人近い観客を前に、約2時間、全16曲の堂々たるパフォーマンス。たったひとりの自主運営で活動するアイドルの大きな挑戦は、大成功で幕を閉じた。

さらにこの公演から1週間後、Zeppでのライヴ中にもたびたび口にしていた彼女の原点とも言える神楽坂TRASH UP!!で凱旋ワンマンを行った。こちらには40人ほどの観客が集い、あの大舞台の直後とは思えないほど、彼女らしいアットホームなライヴとなった。

■チケットの売れ行きは難航、極度のプレッシャーも

Zepp公演の開催が発表されたのは2016年11月18日。それまで里咲のワンマンで最大キャパだったのは、同年9月25日に渋谷Milkywayで行ったものだった。このときの動員数は約120人。Zepp DiverCityは座席を配置してもその約10倍のキャパだ。実際、身の丈に合っていない会場であることは本人もわかっていたことだろう。しかし、だからこそ選んだ会場でもあった。

里咲は発表時に「小さいライブをコツコツやり続ける生き残り方と、博打みたいな生き方して燃えちゃうなら、博打打って生きたい」「私なりのエンターテイメントを、全力で、全財産と時間と人生かけて、覚悟決めてみんなに届けたいと思います」と語っていた。

チケットの売れ行きは難航していた。里咲は「損益分岐点」(チケットの売上だけで黒字になる枚数=888枚)を公表し、販売枚数を随時ツイッターなどで報告していた。しかし発表直後に16枚売れて以降、なかなか売上は伸びなかったという。公演を1カ月前に控えた8月の段階でも、売れていたのはたった200枚ほど。しかし栄養ドリンク「ネオカイザー」での予期せぬバズりもあったおかげか、ここから怒涛の追い上げを見せ、最終的には前売だけで500枚近くを販売した。

里咲自身、公演が近づくにつれて、これまで感じたことのないプレッシャーに襲われたそうだ。約1週間ほど前から発熱が続き、体重もピーク時から7キロも痩せた。彼女のチャームポイントだった、ふっくらしたほっぺは、当日を迎える頃にはすっきりしてしまっていた。

そして迎えた9月22日。会場のロビーにはファンが組み立てた”ガンダム”が置かれ、大森靖子や、最新アルバム『サイン』に編曲で参加した鈴木Daichi秀行のほか、親交の深いぱいぱいでか美、絵恋ちゃん、姫乃たま、水野しずが連名で贈った花なども飾られていた。

フロアに入ると、ステージの中央部にはミニ・ギターが置かれていた。2年前の生誕でファンからプレゼントされ、彼女が長らく大切に弾き続けている寄せ書き入りのものだ。そして客席中央には、柵に囲われた謎のエリアが。これが直前のインタビューで語っていた「いまの里咲りさにしかできない」センター・ステージなのだろうか。

■当日は”いつもと変わらない姿”で登場

「フローエンタテイメント事務員・田中」に扮した里咲の前説を経て、ほぼ定刻で場内が暗転。長嶋貴人(Dr)、友重悠(Ba)、香取真人(Gt)、灘藍-NadaAi-(Mnp/Ag)というこれまでも彼女のライヴを支えてきたメンバーにくわえ、この日は元ハイスイノナサの鎌野愛がキーボードで参加。この強力布陣のバンドが定位置について、「サイン」の軽快なイントロが流れると、ハンド・マイクを持った里咲がステージに駆け込んだ。

「みなさん、こんばんはー!里咲りさです!Zepp DiverCity東京、楽しんでいってくださーい!!」と元気いっぱいにあいさつ。いつもと変わらない水色のTシャツにゆるめのパンツ・スタイルで、うれしそうにぴょんぴょんと体全体でリズムをとりながら歌った。

ポップ・チューン「Hot!夏!さま~」を歌い終えると、「改めまして、みなさんこんばんは!里咲りさでーーーーす!!!」と全身全霊を込めるように絶叫。客席を見渡しながら「わたしが思ってたZeppと違う!もっとガラガラで、みんなでドッチボールしたり、わたしの親友たちが後ろで焼肉してたり、そういうZeppになってしまうんじゃないかと思ってたんですけど、無事に今日を迎えられて本当に良かったです!」と感無量の様子だった。「わたしはみなさんに素敵な音楽と時間を届けたくて活動してるのに、おもしろい人だと思われちゃってるけど、きょうは目一杯、素敵な音楽を届けたいと思います。しかと受け止めてくださいね!」と呼びかけた。

陽気な楽曲が続いた冒頭から一転、「オリーブ」「ディアティア」といったじっくりと聴かせる曲を披露。17歳のときに書いたという「つみき」では、鎌野のノスタルジックなピアノに乗せて、マイクを両手で握りながら心を込めて歌った。

ここで突然、「今夜もはじまりました。里咲ラジオ」とラジオ風のトーク・コーナーに突入。Zeppまでの苦労などを語ったあと、里咲の初期のアイドル曲「だってね。」が聴きたいというリクエストを読み上げる。ライヴでは1年間封印していた(?)ことを明かしつつ、「もしかしたら、もう2度と歌わないかもしれない。このZeppに埋めて帰るかもしれない」と紹介すると、軽やかなオケが流れて同曲がスタートした。里咲が広いステージを駆け回ると、観客も一斉に立ち上がって大盛り上がり。センター・スペースに降りて客の手をタッチしつつ、里咲が「もう2度とやりたくない!」と叫ぶ場面も。曲の終盤には多くの人が感極まって前方にダッシュするなど、熱狂のなかで歌唱を終えた。

■"客席と同じ目線"で弾き語り演奏

「作ったときはZeppで歌うとは思わなかったなー」としみじみしつつ、再びラジオへ。話題の「うんこ漢字ドリル」をステージ上で読み上げる奇行を挟み、「最後にリクエストいただきました。『かわいた空気の夜に』を流してお別れしたいと思います。おやすみなさい」と告げた。

里咲は自らを見守るようにステージの傍らに置いてあったギターを持ち、ゆっくりと階段を降りる。ギブソンのアコースティック・ギターを購入したあとも、彼女はことあるごとにこのミニ・ギターで演奏していた。そんな宝物を手に、スポット・ライトに照らされながら広いZeppの中央、客席の柵で囲まれたスペースへと移動した。

「わたしが最初の頃に出させていただいた神楽坂TRASH-UP!!は、100人も入れば窒息するようなところなの。でも、毎回余裕があったので(フロアの)真ん中に座って弾き語りをしていました」とソロ活動初期を回顧。「神楽坂TRASH-UP!! Zepp DiverCity東京支店にお越しのみなさま、里咲りさです。その頃を思い出して、フロアでみなさんと同じ目線で歌いたいと思います」と話し、その場に腰を下ろしたままゆっくりと「かわいた空気の夜に」を歌いはじめた。

客席と同じ高さのため、正直、座席の場所によっては姿は見づらかったと思う。それでも彼女にとってはきっと、Zeppでこうして歌うことは大きな意味があったのだろう。じっと静かに聴き入っていた観客は、曲が終わると暖かい拍手を贈った。そして里咲はその場にミニ・ギターを置いて、ひとりステージへと戻っていった。

ステージに戻り、今度はギブソンのアコースティック・ギターで「TOKYO TELECA」を弾き語ると、再びバンドが合流。これまでライヴではあまり演奏されなかった「TURE」も飛び出し、ライヴは終盤へ。客席を見渡しながら「今日は私が人生で一度に見た人数で一番多くて…。用意してた席が全然足りなくて、後ろの方とかには立ち見の人もいて。こんなことになると思ってなかったから…本当に、ありがとうございます」と言葉を詰まらせると、歓声と拍手が響いた。本編最後に演奏されたのは「エンドロール」。里咲は真っ赤な照明を浴びながら、重厚なバンド・サウンドに乗せて力強く歌いきった。

■「もうダメだと思ってた」

アンコールに応え、この日売られていた黒いTシャツに着替えた里咲が登場。Zeppを借りた去年のことや、この日までの苦しかった道のり、胸に秘めていた思いを語った。

「去年、(Zeppを)借りるぞと思って電話して、貸せませんて言われて。タワーレコードは住民票とか保険証とかを見せたら流通させてくれたんですよって言ったら、それを持って説明しにきてくださいって言われて。去年の11月に。それで半金入れるんでって言ったら、『うちも若いアーティストを応援したいから特別に貸します。でもちゃんと埋めてくださいね』って言われて」

「できると思ってたから、できますって言って、すぐにチケットを売りはじめたけど、16枚から全然売れなくて…。チケットを売るためにいろんなことを経験して、そのおかげでテレビのレギュラーも決まったし、ライブや曲の内容もZeppアーティストにふさわしい人にならなければと思ってここまで来たのね。伝わってるかわからないけど。ちょっと前までチケットが(キャパの)半分も売れてなくて、もうダメだと思ってたけど、きょうはこんなに、たくさんの人が来てくれて、お花もこんなに届けてくれて」

続けて、ここまで3年間「ひとりでやりたい」という思いで活動してきたが、この日は多くの人に支えられて成り立っていることなどを話し、「ここに今日立てていることを、すべての人に感謝します。本当にありがとうございます」と感謝。「インディーズの奇跡にするとか、伝説にするとか言ったけど、本当になったかはわからないけど、音楽をやっていて良かったなという気持ちです」と伝えると、「ダイエットしたい人はZeppを借りればいいと思う。去年までパンパンだったのに7キロくらい痩せた(笑)。おすすめします」と笑った。このときの笑顔は、どこかほっとしているようだった。

ここでバンドのメンバーを紹介すると、「里咲りさがはじまったと思っている曲」という「カタルカストロ」をバンドで演奏。曲の終わりには「120人しか埋めたことのないわたしを、Zeppアーティストにしてくれて本当にありがとうございました!」と叫んだ。

■「メジャー・デビューします!」

ダブル・アンコールでは「メイクを入れたり、衣装を選んだり、マネキュアを塗ろうかなとかしたけど、わたしはいつも通りのわたしでここに立ちたかったので、あえてやらなかったんです」と説明。客席と同じ高さのセンター・ステージについては「神楽坂のをやりたいと思って、法律を守ったらこうなりました」と明かし、「わたしは本当に120人しか集めたことないのに、奇跡ってちゃんと起こるんだなって思いました」と改めて心境を語った。

そして「3年経ったので曲も溜まってきました。里咲りさ、ベスト・アルバムを発売します!やったー!みんながいいなと思ってくれる曲を選ぶから、楽しみにしていてください!」と発表。さらに「誤解のないように言うけど、みなさん冷静に保ってください」と前置きしてから、「里咲りさ、メジャー・デビューします!!」と高らかに宣言。ざわめく客席を横目に「カタルカストロを発表した頃からたまに(メジャーから)話が来て、今日までに決まらないとここがピークになると思っていたんだけど。いろんなところとお話をしたの。でも、まだどこも確定していません」と説明した。

続けて「インディーズでずっとやっていくと言っていましたが、メジャーリーグに行く野球選手みたいにFA宣言します!」と発表。「今日来ているメジャー・レーベルの方、うっかり来なかった新人開発の方、里咲はフリー・エージェントになったので、10月25日までにGmailに連絡をください!まだ叶えたい夢がいっぱいあるのに、このままだとやれることもやれないから、お願いします助けてください!モノを売るのは得意なので、音楽を続けるために助けてください。もうひとりでは里咲りさを運営しきれません。お願いします!」と懇願した。

一瞬、事態を把握できていない客席に微妙な空気が流れかけるも、改めて「なにか届けられましたかね?」と問いかけると、客席は拍手で応える。「きょうは本当にありがとうございました!本当は超つらかった…。ひとりでZeppなんか借りちゃダメだよ!」と思わず本音も飛び出したところで、この日ラストの曲へ。「これからも里咲りさを、よろしくお願いします!」と呼びかけ、最初に歌った「サイン」を再び演奏。この頃には客席もリラックスして、最初から全力で手拍子、里咲も改めてこの会場を堪能するようにステージを右へ左へ、そしてセンター・ステージへと駆け回った。最後は客電がつくなかで演奏を終えると、「終わったー!!」と安堵の叫び声をあげた。

「本当に来てくれてありがとうー!」と告げて、再び言葉をつまらせる。それを振り切るように、「またね!さよなら!」と手を振ると、「しゃちょーがいちばんかわいいよー!」という聴き慣れたコールに見送られながら、約2時間に及んだZepp公演は終幕した。

■Zeppの一週間後には40人の前で”凱旋ワンマン”

Zepp公演から1週間後の9月29日には、神楽坂TRASH UP!!でワンマン・ライヴ〈里咲りさ 25歳になりました。神楽坂凱旋ワンマンライブ〉を開催した。こちらでは初期の名作「2センチの恋」や人気曲「シャイガール戦争」など、Zeppで歌わなかった曲も多く披露した。

「Zeppが成功したから、うまくいったよって神楽坂に報告しにきました」という里咲は、ここでもZeppと同じように、活動初期にこの場所に出演していたときと同じように、客席の中央に座りながらミニ・ギターによる弾き語りで「かわいた空気の夜に」を演奏した。

場内は終始”Zepp以前”と変わらぬアットホームな雰囲気となり、言葉少なに暖かい視線でステージをじっと見守る客席に、里咲が「みんなの扱いがZeppのときと全然違う!(Zeppでは)一挙一動に感動してくれたのに、きょうは通常営業ですね(笑)」と笑う場面も。そして「もう2度と神楽坂には戻ってきません!ありがとう神楽坂!」と宣言して、ライヴを終えた。

演奏のあとには、ファンからケーキや花束、プレゼントが贈られた。公演のタイトルにもあるとおり、9月25日に里咲は25歳の誕生日を迎えたばかりだった。思わぬサプライズに歓喜した里咲は、手で顔を覆った。物販を終えてお客さんを見送り、誰もいなくなったホール。里咲は帰り際、ライヴハウスの店員に「お世話になりました」と礼を述べると、「もう帰ってこないでくださいね」と笑顔の返事がきた。原点ともいうべき場所に背を向け、彼女はまたいつものようにミニ・ギターを背負い、両手いっぱいの物販を持ったまま、次の一歩を踏み出していった。

■"FA宣言"後に多数の問い合わせ

Zepp公演は無事に損益分岐点を越え、物販の売上も好調、利益も出たそうだ。また、FA宣言の期限とした10月25日までに、”本物の”メジャー・レーベルふくめ10件を超える問い合わせがあったという。そのなかに契約に至る会社があるのかはわからないが、もしメジャーに行っても、行かなかったとしても、この日の成功を大きな糧として、これまで以上に我々ファンがわくわくするような姿を見せてくれることだろう。彼女が生み出すエンタテインメントがここからどのように広がっていくのか、今後も楽しみに追い続けたい。

取材・文・写真 : 前田将博
写真提供 : IDOL NEWSING、寮母、二宮ユーキ

〈里咲りさ 全国ツアー2017 TOUR FINAL supported by 3D LIVE Revolution〉
2017年9月22日(金)Zepp DiverCity

セットリスト
1. サイン
2. Hot!夏!さま~
3. オリーブ
4. ディアティア
5. 信号
6. 410
7. つみき
〜ラジオ〜
8. だってね。 (オケ)
9. かわいた空気の夜に (弾き語り)
10. TOKYO TELECA (弾き語り)
11. TURE
12. ボーンブレークガール
13. Little Bee
14. エンドロール

アンコール
15. カタルカストロ
ダブルアンコール
16. サイン

〈里咲りさ 25歳になりました。神楽坂凱旋ワンマンライブ〉
2017年9月29日(金)神楽坂TRASH UP!!

セットリスト
1. 2センチの恋
2. カタルカストロ
3. ボーンブレイクガール
4. ちゅちゅリズム!!
5. かわいた空気の夜に (弾き語り)
6. メイビーネイビーベイビー (弾き語り)
7. The day before sixteen(仮) ~2008年夏 2センチの恋原曲~ (弾き語り)
8. Little Bee (弾き語り)
9. シャイガール戦争
10. さよならキャンディ
11. ディアティア
12. ファストガール
〜ラジオ〜
13. フローエンタテイメント社歌
14. いけないチャップリン (ワンコーラス)
15. S!NG
16. 410
17. オリーブ
18. 信号
19. Hot!夏!さま~

アンコール
20. サイン

・里咲りさ オフィシャルサイト
http://risamusic925.wixsite.com/risa
・アイドルとしての最終目標は? 「コインロッカーになりたい」──ぱいぱいでか美 × 里咲りさ × 絵恋ちゃん鼎談!
http://ototoy.jp/feature/20170502002
・アイドル兼社長として一躍注目を集めた里咲りさ、ソロ・アーティストとして共鳴する大森靖子との相思相愛対談!!
http://ototoy.jp/feature/20161203


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