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2016/06/13 21:00

 

菊ft.鮎川誠 シーナ&ロケッツ “ロック尽くし”のツアー初日に3時間の大熱演-OTOTOYライヴレポ

 

菊ft.鮎川誠 シーナ&ロケッツが“ロックの日”6月9日(木)に渋谷クラブクアトロで〈ROCK’N’ROLL MUSEツアー〉初日となるライヴを開催、3時間にわたり熱演した。

ツアーの初日であると共に、菊のソロ・アルバム『ROCK’N ROLL MUSE』発売日、さらに菊の69回目の誕生日という、ロック尽くしの1日となったこの日。会場にはホンモノのロックンロールを求める大勢のファンが詰めかけた。

『ROCK’N ROLL MUSE』は鮎川誠がプロデューサーを務め、シーナ&ロケッツが全面的にバックアップしていることもあり、ツアーも菊 ft.鮎川誠 シーナ&ロケッツ名義で開催。妖艶な赤い照明の中、4人がステージに上がると大歓声で迎える観客たち。菊はグリーンのパンツに、上は素肌に派手なラメ入りジャケット姿。シナロケの3人は全員サングラス姿でキメている。鮎川がリッケンバッカーを鳴らすと、菊が“ウァアオ!!”と吠えてアルバムの冒頭を飾る曲「レジェンダリー・ラヴァー」からライヴがスタートした。疾走感のあるサウンドでメロディはキャッチーだ。一緒にサビを歌うお客さんの姿も多く見られ、アルバムをフラゲして聴き込んでいるファンが多いことを伺わせた。

「緊張してます! 今日は新しい曲ばかりやるのでよろしくお願いします」とのMCから「ガール・ガール・ガール」へと続く。鮎川はアームのついた黒いレスポールにチェンジ。奈良敏博(Ba)川嶋一秀(Dr)のリズム隊はつんのめったリズムで菊のヴォーカルを前に押し出している。鮎川がトレードマークのギブソン・レス・ポール・カスタムに持ち替えた「束の間の休息」では川嶋のタムがヘヴィに曲を牽引する。アルバムタイトル曲「ロックンロール・ミューズ」の重たく、ビシッビシッとド迫力でキメるサウンドに体がしびれ、ブレイクすると菊はオーティス・レディング「Hard To Handle」ばりの強烈なボーカルを聴かせる。

メンバー紹介から「今日で69歳になりました」と告げると「菊ー!! おめでとうー!」と声援が飛んだ。ここまでアルバムの曲順通りに進んでいたライヴはここで「歓喜の海」へ。シンプルな8ビートながら不思議と海の光景が浮かんでくるような、立体的なサウンドになっていた。見ると、鮎川も菊のヴォーカルに合わせて口ずさんでいる。ラストに鳴らしたコードが不穏な余韻を残したのが印象的だった。

「魔性の剣」を始める前の「世界中に色んなギタリストがいますけど、一番好きなのは鮎川誠です」という菊のMCに、会場は大喝采。それにしてもツアー初日にして演奏の出音も良く、菊の歌もとても調子が良さそうだ。そこにはもちろんキャリアもあるだろうが、このツアーにかけるバンドマン4人の意気込みを感じることができる。「超かっこいいー!」「そうでしょ?」「ロックンロール!」「まあロックンロールかどうかはわからないけどさ(笑)」迫力の演奏と対照的に、観客との軽妙なやりとりで笑わせる。ロックンロールにはユーモアが不可欠だ。アルバムに再録されているサンハウスの「もしも」から同じくサンハウスの「キングスネークブルース」が始まると、一際大歓声が巻き起こり大盛り上がり。間奏でマイクスタンドを使った卑猥なアクションを延々と続ける菊は絶好調だ。スローブルース「ストレンジドリームブルース」ではねっとりとした歌声と鮎川のブルージーで味わい深いソロを堪能。ライヴは「ふっと一息」で『ロックンロール・ミューズ』の全曲を終えて1部が終了。この日のライヴは2部構成となっており、10分程度のインターバルを挟んでまだまだライヴは続く。

第2部はシーナ&ロケッツ単体のライヴでスタート。くわえタバコでステージに上がった鮎川は「Oh no! I'm flash(ホラ吹きイナズマ)」でルーズなタイム感のバッキングを鳴らしながら、ソロでは奈良と背中合わせのアクションでポーズをキメている。「今日は、HAKATAロック! 菊の69歳の誕生。みなさんありがとう! 今夜はBGMもシナロケがやる曲も、全部菊が詞を書いた曲を選びました」との言葉から「Virus Capsul」へ。ドラムの前に集まって演奏する3人。最少人数のバンド編成とは思えない音圧だ。『ROCK’N ROLL MUSE』は吉祥寺Gok Soundでのアナログ・レコーディング、マスタリングは中村宗一郎が担当していることを告げるとシナロケのアルバム『ROKKET RIDE』から「ROKKET RIDE」「Ride the Lightning」を演奏した。

Zi:LiE-YAでもカバーしたシーナ&ロケッツの名曲「JUNGLE JUNGLE」から再び菊が参加すると、ミラーボールが回る中トライバルなリズムに合わせてマラカスを振りながら歌う。「ここまでやれて幸せです。あと500年は生きるよ(笑)」とのMCから「スーツケース・ブルース」へ。菊と鮎川が2人で照明に照らされながら歌い、会場のムードはノスタルジックなムードに変わる。2人の絆を感じさせる名シーンだった。ライヴは後半へと向かい、マディ・ウォーターズへのオマージュ曲「やりたいだけさ」「タイガーインユアタンク」を続けてプレイ。2ビートとスライドギターで熱狂的に観客を煽る。ここまで2時間半ほど経過しているが、菊の歌声、アクションは衰えることを知らず、69歳を迎えた人間とは思えない絶倫ぶり。シナロケの3人も凄まじいバイタリティで、後半になるほどサウンドは分厚くなりテンションが高くなっている。「地獄へドライブ」から「やらないか」へと続き、3人がソロを回すと菊がブルースハープの音色をまき散らしてステージを降りた。

Tシャツに着替えた4人がすぐさまステージに戻ると、菊が「1,2,3,4!」とカウント。最後は「レモンティー」が飛び出した。菊と交互に、叫ぶように鮎川もヴォーカルをとる。サビでマイクを客席に向けるとフロア中から右手が上がり、何度もエンディングを繰り返してライヴは終了。「菊、誕生日おめでとうー!」と鮎川が叫び、観客からの祝福と共にツアー初日を終えた。

祝福の声援が多数飛んでいたとはいえ、ライヴ自体には誕生日を祝う特別な演出がなかったところに、“現役のロックンローラーが最新アルバムのツアーをスタートさせただけ”というカッコ良さがあった。ツアーは全国を周り、7月1日(金)下北沢Club251まで続く。是非その目で、耳で、体全体でホンモノのロックンロールを感じてほしい。(岡本貴之)

photo by Hiroki NISHIOKA(西岡浩記)

・菊 ft.鮎川誠 シーナ&ロケッツ『ROCK'N’ ROLL MUSE』はOTOTOYから配信中
http://ototoy.jp/_/default/p/62760

〈菊 ft.鮎川誠 シーナ&ロケッツ ROCK’N’ROLL MUSEツアー〉
2016年6月9日(木)渋谷クラブクアトロ
〈セットリスト〉
●第一部
1. レジェンダリー・ラヴァー
2. ガール・ガール・ガール
3. 束の間の休息
4. ロックンロール・ミューズ
5. 歓喜の海
6. 魔性の剣
7. 回し者
8. それでいいのさ
9. もしも
10. キングスネークブルース
11. ストレンジドリームブルース
12. 犯罪レベル
13. ふっと一息
●第二部
14. Oh no! I'm flash(ホラフキイナズマ)
15. Virus Capsule
16. Rokket Ride
17. Ride The Lightning
18. JUNGLE JUNGLE
19. 爆弾
20. 風よ吹け
21. スーツケース・ブルース
22. やりたいだけさ
23. タイガー・イン・ユア・タンク
24. カラカラ
25. 地獄へドライブ
26. やらないか
アンコール
27. レモンティー

【ツアースケジュール】
菊 / ft.鮎川誠 シーナ&ロケッツ『ROCK’N ROLL MUSE TOUR』
2016年6月9日(木) 東京・渋谷クラブクアトロ
2016年6月13日(月) 大阪 梅田クラブクアトロ
2016年6月14日(火) 名古屋 クラブクアトロ
2016年6月15日(水) 京都 磔磔
2016年6月25日(土) 福岡 ドラムロゴス
2016年6月28日(火) 広島 クラブクアトロ
2016年6月29日(水) 岡山 デスペラード
2016年7月1日(金) 東京・下北沢 club 251


[ニュース] 菊/ft.鮎川誠 シーナ&ロケッツ

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