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2016/01/20 10:30

 

BiSH、avexよりメジャー・デビュー!! 熱きリキッド・ワンマンのライヴ・レポート掲載

 

※ライヴ写真は後日追加掲載します。

2ndアルバム『FAKE METAL JACKET』発売日前夜、新生クソアイドルBiSHのLIQUIDROOM公演が行なわれた。

デビューしてたった8ヶ月にもかかわらず、初の全国ツアー『Eden of Sorrow TOUR』はほとんどの公演がソールドアウト。もちろん、ツアー・ファイナルの本公演もソールドアウトしていた。超満員の会場では黒いTシャツをまとった清掃員たちがサイリウムを配っていた。また、先月行なわれた“モヒカン限定ライヴ”の影響か、モヒカン率がやたら高く、コスプレしている人もちらほら。ステージ下手側に用意された女性専用エリアも満員で、とにかく客のボルテージはやたら高い。

会場のいたるところで雄叫びがあがる中、19時きっかりにマネージャー渡辺淳之介(以下、渡辺)が登場し、前説を始めた。そこで印象的だったのは「BiSHは今日のために相当努力してきたので、良いものが見せられるはず!」という言葉だ。2ヶ月ほど前に彼と話したとき、「BiSHのメンバーは凄く努力していて、俺の期待をどんどん越えてくるのに、そこがなかなかお客さんには伝わらない」と嘆いていたのだが、今日こそはそんな彼女たちの努力が伝わるだろうと確信しているようだった。

19時10分。本ツアー恒例、LUNA SEA「END OF SORROW」がかかり、幕をあける。「リキッドルーム!!!!!!」とメンバーが叫び、1曲目「BiSH-星が瞬く夜に」が始まる。アイナ・ジ・エンド(以下、アイナ)の充実した笑顔がとにかく印象的だ。あと、この曲のハグ・ミィの踊りは何度見ても最高だ(笑)。2曲目には「MONSTERS」と、1stアルバム『Brand-new idol SHiT』収録曲が続いた後、新曲「BUDOKANかもしくはTAMANEGI」が披露される。「TAMANEGI」とは、爆風スランプが日本武道館の屋根の上に乗っている擬宝珠(ぎぼし)のことを例えて創った曲「大きな玉ねぎの下で」へのオマージュ。〈そこに立つため まなざしは一点 見つめて〉と、このリキッドルームが彼女たちの目標である武道館に繋がっていることを明確に示す。

「ウォント」では、ハシヤスメ・アツコ(以下、ハシヤスメ)とアイナがサビを取り、新メンバーであるハシヤスメが、歌の軸となる存在となっていた。5曲目は「OTNK」。BPMが早いこの曲で全く乱れずに踊る様は、彼女たちの努力の結晶だ。特にモモコグミカンパニー(以下、モモコ)のダンスの上達ぶりには目を見張るものがある。6曲目は1stアルバムのメイン楽曲でもある「スパーク」が披露され、ここでは、セントチヒロ・チッチ(以下、チッチ)がセンターで観客を盛り上げる。清掃員がリキッドルームをまっぷたつに割り、向かい合って、肩を組んで蹴り合うその光景は、もはやモーゼの十戒の名シーンさながらである。

そして爆音が気持ちいい1stの「Lonely girl」、間髪いれずにシングル『OTNK』のカップリング曲「NO THANK YOU」が披露され、アイナの雄叫びでMCに突入する。成長を感じとれたのは、踊りだけではない。自分が唄ってないパートでも、メンバーが皆、唄っている。だから踊りはあってくるし、不思議と一体感は崩れないのだ。

自己紹介を兼ねたMCを挟み、最もオルタナティヴ・パンクな曲「カラダ・イデオロギー」で2部が幕を開ける。そして無口担当リンリンがまさかのダイブ! インタヴューで「BiSが好きなので、もっと変なことがしたいんです」と言っていた彼女のダイブは、多くの清掃員をびっくりさせたはずだ。そしてBiSの代表曲のひとつ「レリビ」を彷彿とさせる名曲「beautifulさ」とパンクな曲が続く。ここからは、「Is this call??」「SCHOOL GIRLS,BANG BANG」「HUG ME」「DA DANCE!!」と1stの曲が続き、「Story Brighter」でスネアのリズムに会場が揺れ、熱気は最高潮を迎えた。こうして観てみると、2ndのほうが踊りのバラエティに富み、楽曲の強度が上がっており、1stから2ndへと着実に進化しているのがわかる。

2回目のMCでは、皆で必死に考えたのであろうモモコ外しのMCやオナニーネタ等もあり、そのMCが相変わらずヘタクソで愛らしい。お客さんの熱気が少しクールダウンしたところで、モモコがアイドルなのに他のメンバーのように笑えない自分のことを歌詞にした「Dear…」で最終章がスタート。ライヴではとにかく力のある本曲で、最終章の沸点を最高潮からスタートすることに成功する。「デパーチャーズ」では、モモコが書いた〈たかが運命なんてものは 変えてゆける気がするんだ〉と、「身勝手あいにーじゅー」では、ハグ・ミィが書いた〈一人になんてしないから 明日の君も笑ってて〉という彼女たちの今の気持ちを表す印象的なフレーズを、アイナが気持ちを込めた芯のある声で唄う。

「TOUMIN SHOJO」では、清掃員をステージにあげていじめるという、いじめられっ子だったメンバーならではのパフォーマンスが行われ(「BiSH~Rock'n Roll Swindle~ 二番煎じは本物を超えられるのか?!」参照)、「ぴらぴろ」でピカチュウやジェンガが飛び交う。ライヴでの小細工をほとんどしない渡辺にしては珍しく特集効果のスモークマシンも炸裂し、またもや沸点の最高到達点を更新する。

そして本編ラストは、彼女たちの生の言葉を綴ったミュージック・ビデオで意外な一面を見せた「ALL YOU NEED IS LOVE」! 福岡出身のハシヤスメが〈東京だから 嫌いになる 綺麗すぎて困る〉と唄い、チッチやアイナが〈溢れる想いが 満たせぬようなものなら ここで一回 ぶっ壊してやる〉と思いの丈をぶちまける。会場は、彼女たちの進む未来に対しての絶対的な確信に満ち溢れ、本公演はハイライトを迎える。

鳴り止まぬアンコール。渡辺が登場し、六本木のキャバクラで撮影されたのであろう、ふざけたプロモーション・ビデオが流され、avex traxでのメジャー・デビューが発表される。そしてそれに伴い、BiSHのキーワードであった“新生クソアイドル”のキャッチを外すことが宣言された。「メジャー・デビューしたらやりたいこと」を聞かれたメンバーはそれぞれ一言。

チッチ「家まで専用車で迎えにきてほしい」
モモコ「avexのビルの上から空を眺めたい」
アイナ「TRFのメンバーになりたい」
ハシヤスメ「廊下のある家に住みたい」
リンリン「ねずみのランドでライヴがしたい」
ハグ・ミィ「パークハイアットでホテル暮らしをしたい。そして毎日違うウェルカム・フルーツを食べたい」

さらには、リーダー、チッチは、「武道館と東京ドームツアーを目指します」と言ってしまう始末(すぐに「東京ドームはひとつしかない」とつっこまれる)。結成して8ヶ月というスピード出世がそうさせるのか、それとも彼女たちの本質がそうさせるのかはわからないが、さほどメジャー・デビューに対する感慨や感動はないようだ(笑)。それでもライヴ本編で得た、彼女たちの未来に対する期待と確信は揺るがないところが、BiSHというグループのすごい所だ。

ダイエット企画「Diet or Die」を成功させ、チッチをダイエット企画に引きずり込んだハグ・ミィが、「ダイエットが成功したのも、メジャー・デビュー出来たのも清掃員さんのおかげです」とまともなことを言って、アンコールに「サラバかな」、そして持ち曲のラストでもある23曲目「Primitive」を披露する。「Primitive」は、BiSの名曲「primal.」をテーマに、ハシヤスメと渡辺がBiSHの置かれている状況や未来のことを考えて歌詞を書き、アイナがBiSに敬意を込めて「primal.」を模倣した振りを付けた曲だ。会場中の観客が両手を上げて後ろを向く。これから彼女たちは、我々にどれくらいこの光景を見せてくれるのだろうか? そのことを思うと、期待で震えが止まらなくなった。

BiSで特別だったLIQUIDROOM公演は、BiSHでもやはり最高だった。でもBiSは、蓋を開くまで動員は読めなかった。BiSHは、ソールドアウトだった。その時点でBiSHはBiSとは違うし、BiSよりでかくなることを必然的に期待されている。つまり武道館は通過点で、目指すべきは東京ドームツアーだ(笑)。ここからがBiSHのセカンド・シーズン。本当に苦しい闘いは、今から始まるだろう。それでも、最高潮を何度も越えてきた今回のライヴを持ってすれば、BiSを越えたどでかいアイドル、ももいろクローバーZやBABYMETALのような国民的なアイドルになれる可能性は多いにあると思う。渡辺は、キャバクラ映像の中で「ミスチルになりたい」と言っていた。本当にその場所に焦点を合わせているなら、“新生クソアイドル”のキャッチを外すことに何ら異論はない。メジャー・アイドルはメジャー・アイドルらしく、行けるところまでいってもらおうじゃないか! 僕たちも全力で追いかけるまでだ!(飯田仁一郎)

・BiSH『FAKE METAL JACKET』ハイレゾ版はOTOTOYにて配信中
http://ototoy.jp/_/default/p/59030

※OTOTOYで『FAKE METAL JACKET』のハイレゾ版を購入すると、飯田仁一郎によるオリジナル・ライナーノーツ(CD未収録)がついてきます。

〈Eden of Sorrow Tour BiSH TOUR FINAL〉
2016年1月19日(火)LIQUIDROOM

・セットリスト
1. BiSH-星が瞬く夜に
2. MONSTERS
3. BUDOKANかもしくはTAMANEGI
4. ウォント
5. OTNK
6. スパーク
7. Lonely girl
8. NO THANK YOU
MC
9. カラダ・イデオロギー
10.beautifulさ
11. Is this call??
12. SCHOOL GIRLS,BANG BANG
13. HUG ME
14. DA DANCE!!
15. Story Brighter
MC
16. Dear…
17. デパーチャーズ
18. 身勝手あいにーじゅー
19. TOUMIN SHOJO
20. ぴらぴろ
21. ALL YOU NEED IS LOVE
アンコール
22. サラバかな
23. Primitive

・ハシヤスメ・アツコ、インタヴュー掲載中
http://ototoy.jp/feature/2016012007

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