News

2015/07/12 12:00

 

大森靖子「これは私と二宮ユーキの集大成」 バンド編成でのライヴ映像公開

 

大森靖子が、7月10日に「大森靖子 @TOKYO DOME CITY HALL 2015年6月7日」と題したライヴ映像をYouTubeに公開した。映像はタイトルどおり、約1ヶ月前の6月7日に開催された〈ピエールフェス〉でのライヴを収録したもの。イベントでトリ出演した大森は、メジャー初のツアーの一部に同行し、各地で強烈なグルーブを観せつけてきたバンドとともに演奏。インディーズ時代より彼女のスタッフとしても活躍するカメラマンの二宮ユーキが、映像の撮影・編集を担当した。

6月22日に新宿LOFTプラスワンで開催された月例企画〈大森靖子の続・実験室〉で大森は、この映像について「私のライヴが良くて二宮のライヴ映像が良くて、これは私と二宮の集大成だと思った」「『できた』って思ったんだよね」と話していた。また、動画公開後にはツイッターでも「これが大森靖子のライブで、これが数年に渡り多いときは月30本あった私のライブをほぼ全て撮影している二宮ユーキのライブ映像です。私もこれだけの人数と一対一で向き合うライブができたし、二宮もこの広さの会場を手持ち一台でこれだけ撮影できた」「2人の今の全力が出せた感ありました」と手応えを語った。

映像は、大森がアコースティック・ギターを激しくストロークするところからはじまる。ボブの赤髪で白いドレスに身を包んだ、なんともかわいらしい姿が印象的だ。最初に演奏されたのは新曲「マジックミラー」。アコギと歌に、奥野真哉のキーボード、そしてtatsu(Ba)とピエール中野(Dr)によるリズム隊、直枝政広と畠山健嗣のギターの音がくわわり、急速に感情がたかぶっていく。そんな膨れあがった思いを一気に解放してくれるかのように、サビでは大森の声が心地良く伸びる。振り付けを交えながら手を前へと伸ばす姿には、ぐっと引きつけられた。続いて大森の曲紹介から「イミテーションガール」へ。キーボードが刻む音色が浮遊感と疾走感を生みだし、一気に駆け抜けていく。大森は「ぼくが抱きしめられなかった あの子の声」と歌うと、すかさずステージ前方へ駆け寄る。カメラに映し出された客席は、うれしそうに「おかえり」と返した。

「ミッドナイト清純異性交遊」に画面が切り替わると、ギターを置いてマイク・スタンドを握る大森の姿が見える。客席は一斉に「ナナちゃんステッキ」を光らせ必死にステージへと手を伸ばす。この日は出演者が複数いるイベントで、ましてや自主企画でもなかった。しかしこの瞬間ばかりは、この場にいる全員が彼女のファンなのではないかという錯覚すら覚えた。途中、一瞬だけカメラがナナちゃん(大森愛用のクマのぬいぐるみ)をロック・オンした瞬間があった。間奏では、エモーショナルな演奏をみせる畠山、tatsu、奥野、中野、そして直枝が次々と映し出された。

ギターを肩にかけた大森がマイクを握っている。字幕が告げた次なる曲は「春の公園」。スポット・ライトに照らされながら、独白するように言葉をつむいでいく。先ほどまでとは一転して、まるでこの会場には彼女ひとりしかいないのではないかと思ってしまうような静寂が、場内を支配している。その静寂に逆らうように、大森は声を絞り出す。かすかに奏でられるキーボードの音に導かれるかのように、マイクを握って、一歩、また一歩と歩き出し、ステージ・セットの切り株の上に腰掛けた。

続いて演奏されたのは「焼肉デート」。アルバム『洗脳』のツアーでもたびたびバンド編成で「春の公園」と「焼肉デート」を続けて演奏することがあったが、何度聴いてもこの流れの美しさには感動させられる。めまぐるしく表情を変える曲。途中、まばゆい光に手を伸ばしながら「運命をあしたから変えたいなら 今日よりすこしだけ ハイもダウンもどでかくよろしく」と歌う大森は、どこか神々しくみえた。

再び静寂へ。大森がステージ上に突っ伏して、声を震わせながら「音楽は魔法ではない」と繰り返す。体を起こし、意を決したかかのように真っすぐ前を向いて歌いはじめる。ステージを右へ左へと移動して、「ねえ、なかったことにされちゃうよ?」と叫ぶ。再び「音楽は魔法ではない」と繰り返す。繰り返す言葉ひとつひとつに、諦めや悟り、開き直り、希望、絶望、違った感情が込められているように聴こえてくる。大森は歌いながら宙に手を伸ばす。すがりつくように、必死に訴えてるかのように、問いかけているかのように。ふいに大森の横顔がアップになると、「でも、音楽は」と続く。胸の奥の方にある感情を強く揺さぶられるような感覚。演奏はクライマックスへと向かうなか、大森は直枝の肩に手をかけながら「ギター、直枝政広」と紹介。さらに畠山の髪をくしゃくしゃにしながら「ギター、畠山健嗣」、そして奥野、tatsu、中野を順に紹介すると、最後に「ヴォーカル、大森靖子でした!」と言い放った。アウトロを演奏するバンドを背に、大森はマイク・スタンドを客席に向けながらゆっくりと、さまざまな方向へと動かす。そして、マイクを外したスタンドを客席へと手渡し、カメラはスタンドを追う。立ち見席の後ろには2階席、そして3階席までみえる。そうか、この会場はこんなに広かったのかと、改めて気づかされた。

場面はアンコールへ。大森は軽く礼をすると客席に笑顔をみせ、ギターを肩にかける。そしてこの映像で唯一のMC。「最近びっくりしたことは…」と切り出すと、妊娠中なのに性欲が止まらないという妊婦によるヤフー知恵袋の投稿についてユーモアを交えながら話した。思い出したかのように「あ、アンコールありがとうございます」と客席に感謝すると、アコギを鳴らして弾き語りで「君と映画」を披露。彼女はライヴでいろんな表情をみせてくれるが、この曲を歌っているときは特に笑顔が多い気がする。この日は「君と漫画」と歌うときに目をキュッとつぶり、最後のフレーズ「君とテレビ」は無邪気な笑顔でうなずいてみせた。約30分におよぶ映像は、この曲で幕を閉じた。

映像はあくまでライヴとは別の作品であって、生の空気を味わえるものではないと個人的には思っている。でも、当日このライヴを観ることができなかった自分にとって、追体験できることはとてもありがたいし、こんな素敵な表情をしている彼女の顔をアップで観ることができるのは映像ならではの素晴らしさだ。この日のライヴをほぼフルで収録した、大森靖子と二宮ユーキの「集大成」。こんな文章を読むよりも、とりあえず観てもらった方がいい。

なお、本日12日には同じTOKYO DOME CITY HALLにて、現時点で大森が出産前最後となるバンド形態でのライヴを行う。さらに15日には2ndシングル『マジックミラー / さっちゃんのセクシーカレー』を発売。こちらの2曲のMVもYouTubeに公開されている。シングル発売前日の14日は新宿LOFT、発売当日にはタワーレコード新宿店でリリース記念イベントも開催される。これ以降、出産を控えた大森と生で触れ合える機会は少なくなる可能性が高いので、彼女のファンはなんとしてでも足を運ぶことをおすすめする。(前田将博)

写真提供 : 二宮ユーキ

大森靖子 @TOKYO DOME CITY HALL 2015年6月7日

https://youtu.be/lUxYrusLfpg

■2nd 両A面シングル『マジックミラー / さっちゃんのセクシーカレー』
2015年7月15日(水)発売
収録曲
・マジックミラー
・さっちゃんのセクシーカレー
・私は悪くない

〈『マジックミラー / さっちゃんのセクシーカレー』リリースイベント〉
2015年7月14日(火) 17:00~23:00 新宿ロフト
スペシャルミニライブ6部制開催!!
2015年7月15日(水) 20:30~ タワーレコード新宿 7Fイベントスペース
ミニライブ&握手会

〈大森靖子の続・実験室 〜vol.13〜 1周年記念感謝祭〉
2015年7月30(木)新宿ロフトプラスワン
19:00open / 20:00start
チケット \2,000(税込/要1オーダー500円以上)
出演:大森靖子 他!

・大森靖子、メジャー・ファースト・アルバム『洗脳』をハイレゾ配信&インタヴュー掲載!!!
http://ototoy.jp/feature/2015020702

・大森靖子 オフィシャルサイト
http://oomoriseiko.info


[ニュース] 大森靖子

あわせて読みたい


TOP