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2015/05/31 17:00

 

「俺たちeastern youth、旅はまだまだ続くんだ」ーー二宮友和、東京ラスト・ライヴをレポート

 

※注意 : 6月6日(土)@札幌cube gardenにご参加の方は、セットリストが同じ可能性もございますので、以下のライヴ・レポートは見ないようにしてください。

結成27年目を迎えたeastern youth(以下、イースタンユース)が、16枚目のアルバム『ボトムオブザワールド』をリリースし、2015年5月30日(土)、渋谷 TSUTAYA O-EASTでレコ発ライヴを行った。タイトルは、〈極東最前線 / 巡業2015 ~ボトムオブザワールド人間達~〉。この日は、23年に渡りベースを務めた二宮友和の東京でのラスト・ライヴということもあり、チケットはソールドアウト、多くのイースタンユース・ファンがチケットを探し求める書き込みがネット上で多く見られた。

この『ボトムオブザワールド』と言う作品は、吉野寿が丁寧に語った彼の肉片であり、吉野のソロの名曲「ナニクソ節」や、吉村秀樹に捧げたかのような「テレビ塔」、向井秀徳(ZAZEN BOYS)、射守矢雄(bloodthirsty butchers)、cp(group_inou)等の盟友がコーラスをする「直に掴み取れ」等、多くの名曲が記録され、評価は非常に高く、OTOTOYでもびっくりする程のセールスを記録した作品。今回はそのレコ発と言うこともあり、その名曲たちがどのように披露されるかが、見所の一つでもあった。

10分押しではじまった1曲目は、ニュー・アルバム『ボトムオブザワールド』の1曲目「街の底」。インタヴューで何度も連呼した「俺たちは街の底で生きているんだ!」。その言葉をメロディーに乗せて、何度も何度も叫ぶ。そのままニュー・アルバムの2曲でもある「鳴らせよ 鳴らせ」に。3曲目は、2007年発売12th『地球の裏から風が吹く』から「沸点36℃」。とは言え、バンドもオーディエンスも、既に沸点は最高潮で拳を掲げている。誰もダイブなんかしないし、モッシュの渦を作ろうともしない。みんなただ拳を突き上げるだけ。

4曲目は、ニュー・アルバムから「イッテコイ カエッテコイ」。ギターのフレーズをループさせながら、リフが進んでいく。イヤモニもせずにループステーションに合わせ、全くずれることなく同じBPMをキープ。バンドが堅い強度を持っているからこそなせるわざである。そのまま「茫洋」、そしてゆっくりとビートを刻みながら、吉野寿のソロの超名曲「ナニクソ節」がはじまる。会場の温度は更にヒートアップ、オーディエンスは、大声でシンガロングする。

そのままスローダウンすることなく、1997年発売4th『口笛、夜更けに響く』から「月影」、1998年発売6th『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』から「男子畢生危機一髪」、「青すぎる空」、1999年発売7th『雲射抜ケ声』から「雨曝しなら濡れるがいいさ」と名曲群の連打。MCも無く突き進み、会場からは、「やめんなよ!」「しゃべれー」等の野次が飛ぶのもかまわずに突き進む。そういえばイースタンユースは、誰に何を言われても変わることなく、いつも中指を立てて、3人で突き進んでいた。もはや誰もこの進軍を止めることはできない。

おもむろにギターを持ち変えて、彼らのスタート地点であり、二宮のイースタンユースでのラスト・ライヴの場所、札幌のことを歌った「テレビ塔」がはじまる。吉村秀樹に教わったと言うギターのならし方でハウリングする。丁寧に、吉村に宛てたであろう歌詞を紡いでいく。そして、2001年発売8th『感受性応答セヨ』から「踵鳴る」へ繋いだ。

曲間、二宮がやっと喋りだしたと思ったら、冗談なのか本気かわからないようなMCからニュー・アルバムの「直に掴み取れ」に。向井秀徳 (ZAZEN BOYS)のRAP部分は吉野が、コーラスは二宮とオーディエンスが行った。終盤2012年発売15th『叙景ゼロ番地』から「グッドバイ」、そしてニュー・アルバムのラスト・ソング「万雷の拍手」へ。吉野が「俺たちイースタンユース、旅はまだまだ続くんだ」と言い放ち、2006年11th『365歩のブルース』より「荒野に針路を取れ」で本編は幕を閉じる。万雷の拍手は鳴り止むことなく、アンコールで再登場。

二宮が、決して感傷的になることなくいつも通りのテンションで、自分の小さな息子の野次を制しながら、「進む道は違うし、肥だめに「ポトッ」って落ちるかもしれないけど、それも運命ってことで、それぞれの顛末をみてやってください」と挨拶をする。そして『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』から「夏の日の午後」、『雲射抜ケ声』から「砂塵の彼方へ」でアンコールは終了。それでも拍手は止まず、ダブル・アンコールは『感受性応答セヨ』から「夜明けの歌」。去り際に、吉野が二宮と握手を交わし、田森と吉野は先に去り、最後に二宮が「ありがとうございました」と言って、〈極東最前線 / 巡業2015 ~ボトムオブザワールド人間達~〉東京編は終了する。客だしSEでは、植木等が「銭のない奴は、俺んトコへ来い〜」と唄う。

アルバム『ボトムオブザワールド』の曲順の中に、イースタンユースの歴史を振り返るような名曲群が散りばめられた今回のセットリスト。その名曲群にまったく劣ることのない『ボトムオブザワールド』の楽曲群の強さを改めて感じることとなった。23年間活動を共にし、ベーシストとしてだけでなく、バンドの経営的な部分も引き受けていた二宮の離脱は、バンドにとって、大きな大きな変革だろう。けれど本公演、吉野はMCを二宮に託し、発した言葉は、「俺たちイースタンユース、旅はまだまだ続くんだ」のみ。それは彼が、『ボトムオブザワールド』を創っている時から思い続けていたこと、いや、イースタンユースをやり始めてからずっと思い続けていること。メンバーが離脱しても、入院しても、経済状況が困窮しても、それでも生きる旅は続くし、イースタンユースの旅はまだまだ続く。イースタンユースは、街の底で生きてるし、我々は、その事実を確認し、救われるのだ。(飯田仁一郎)

写真 : 平川啓子

〈極東最前線 / 巡業2015 ~ボトムオブザワールド人間達~〉
2015年5月30日(土)渋谷 TSUTAYA O-EAST
出演 : イースタンユース

・eastern youth『ボトムオブザワールド』はOTOTOYにてハイレゾ配信中
http://ototoy.jp/_/default/p/49075

・eastern youth インタヴュー記事(OTOTOY)
http://ototoy.jp/feature/2015021700


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