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2015/04/26 12:00

 

大森靖子、ツアー大阪公演は圧巻のバンド演奏で魅了——OTOTOYライヴ・レポート

 

大森靖子が4月16日に全国ツアー〈❤爆裂!ナナちゃんとイくラブラブ洗脳ツアー❤〉のノスタルジック大阪・梅田AKASO公演を行った。約2ヶ月に及んだツアーもいよいよ終盤。名古屋に続いてバンド形態での演奏となった大阪公演は、力強さと一体感を感じるライヴとなった。

開演前にはglobeがBGMとして流れていた。梅田AKASOのキャパは600人ほどで、今ツアーではここまで小さい会場ばかり参加していた筆者にとって、とても広く感じられた。しかし、そんな会場も早くからソールド・アウトしており、満員のお客さんで埋め尽くされていた。場内が暗転すると、拍手に迎えられて直枝政広(Gt / カーネーション)、畠山健嗣(Gt / H MOUNTAINS)、tatsu(B / LÄ-PPISCH)、sugarbeans(Key)、ピエール中野(Dr / 凛として時雨)が登場。続いて、ワンピース風の衣装を着た大森がステージに現れた。大森は数回、軽く跳ねると、マイクの前に立ち「愛してるなんてラブレターまじやめてね。世界はもっとおもしろいはずでしょ」と言い放つとドラムがカウント。アルバム『洗脳』の1曲目を飾る「絶対絶望絶好調」からライヴがスタートすると、客席は拳を挙げて歓喜した。イントロの直枝のギターを合図に大森が絶叫、sugarbeansがキーボードで疾走感あふれるフレーズを奏でると「きゅるきゅる」へ。さらに「イミテーションガール」では繰り返し客席にマイクを向けてあおり、ライヴは序盤から大盛り上がりとなった。

大森がアコギを持ち弦を引っ掻くと、先ほどまでとは一転して場内は静まり返り、「あまい」がはじまる。途中からバンドがくわわると、場内に一気に音が広がっていく。「エンドレスダンス」では弾き語りのライヴのときのように、客席ひとりひとりの顔を眺めながら歌っていた。「君と映画」の間奏では大森が後ろを向き、バンドと息を合わせるように演奏するシーンも観られた。ギターふたりの掛け合いから「おまけ♡~スーパーフリーポップ~」へ。歌が終わると大森は一度捌け、残ったバンドの演奏はどんどん熱を増していく。曲が終盤に入ると黒いドレスに着替えた大森が再びステージに戻り、アコギを掲げると大きな歓声があがった。

ここでバンド・メンバーは去り、大森ひとりで弾き語り演奏をする。「PINK」を力強く歌いきると、「夏果て」では途中でマイクをはずして生歌を聴かせた。「あっつい!」というひと言からはじまった「デートはやめよう」では、曲中に「大阪は安いものの方が価値があるんですよね?」と語りかけると、「コンビニで一番安いアイスで エロいことをしよう」と歌詞を替えて歌った。

「ありがとうございます。こんばんは、大森靖子です」とあいさつすると、本編で唯一のMC。「チャリ好きでしょ? 大阪の人」と切り出すと、自転車通学だった中学・高校時代に「自転車だけが自分をかっこよくみせる道具だった」ことを明かす。さらに、新しい自転車の購入にあたり処分した古い自転車が処分場で盗難にあったらしく、巡り巡って自分の元に戻ってきた珍(?)エピソードを披露した。

和やかなムードを断ち切るようにアカペラで早口に「hayatochiri」を歌いはじめる。曲の途中からアコギを鳴らして、さらに勢いづいていく。緊張感が高まるなか、大森は唐突に自転車の話に戻り客席を笑わせた。「呪いは水色」を歌いだすと、再び客席は真剣なムードに。同曲の2コーラス目からバンドがくわわると客席は沸き上がり、「絶対彼女」では場内一体となって踊った。ゴージャスなバンド・サウンドを聴かせた「少女3号」に続き、「あたし天使の堪忍袋」の終盤で客席から大合唱が起こった。

大森はギターを置いてステージ上のイスに座り込むと、先日ブログに歌詞を発表したばかりの新曲「春の公園(調布にて)」をスポット・ライトのなかで朗読するように披露。ふいにキーボードの音が鳴り響くと、それを合図に勢いよく「焼肉デート」がはじまった。高速テンポのラップ・パートでは客席前方エリアは一斉にジャンプ。さらに新アレンジに生まれ変わった「ミッドナイト清純異性交遊」で大森がステージから手を伸ばすと、客席は一斉にグッズのナナちゃんステッキを光らせ、場内の熱気は最高潮に達した。イントロの大合唱からはじまった「新宿」で大森は何度もシャウト。照明が薄暗くなり、「音楽は魔法ではない」とかすれるような声で何度も繰り返しつぶやくと、「音楽を捨てよ、そして音楽へ」へ。大森はマイクをにぎり、徐々に語気を強めていく。アウトロでは「ギター、畠山健嗣!! ギター、直枝政広!! キーボード、sugarbeans!! ドラムス、ピエール中野!! ベース、tatsu!! そしてヴォーカル、大森靖子でした!!!」と絶叫しながら誇らしげにメンバー紹介。そのまま感情を吐き出すように「脱法ハーブ 握手会 風営法 放射能 ダサい ダンス ダウンロード って言ったら負けのマジカルミュージック!」と叫ぶと、客席にマイク・スタンドを向けて一礼。演奏の終わりを待たずにひと足先にステージを後にした。残されたバンドは、熱の帯びた演奏と強烈なグルーヴで客席を圧倒した。

アンコールを求める声が場内にこだまするなか、大森はひとりでギターを持たずにステージに戻る。「最後に1曲だけ歌わせてください」と告げると、目で合図を送るように客席をみまわし、静寂のなかアカペラで「さようなら」を披露。歌い終えると「大森靖子でした! ありがとうございました!」と元気よくあいさつ。大歓声に包まれながら、大阪公演は終了した。

そうそうたるキャリアを持ったメンバーで構成されたバンドが紡ぎだす、安定した演奏力と爆発力を兼ね備えたサウンドは、客席の一番うしろから聴いていても圧巻だった。ホール会場でこの音を聴くのが、ますます待ち遠しくなった。そんなバンド演奏の合間に配置された彼女の原点とも言える弾き語りパートも、まったく引けをとらない迫力があった。2013年5月13日、大森は梅田AKASOと同じくらいのキャパである渋谷クラブクアトロで、弾き語りでのワンマン・ライヴを行った。あれから2年、もはやこのクラスの会場で演奏することは、彼女にとって当たり前になりつつある。ツアー本公演は、残すところファイナルの東京・中野サンプラザのみとなった。初のホール単独公演で、この日の3倍以上のお客さんを相手に彼女がどんなライヴを観せてくれるのか、楽しみでならない。(前田将博)

撮影 : 金子山

大森靖子 全国ツアー〈❤爆裂!ナナちゃんとイくラブラブ洗脳ツアー❤〉
2015年4月16日(木)~ノスタルジック大阪 梅田 AKASO~
<セットリスト>

1.絶対絶望絶好調
2.きゅるきゅる
3.イミテーションガール
4.ノスタルジックJ-POP
5.あまい
6.エンドレスダンス
7.子供じゃないもん17
8.君と映画
9.おまけ♡~スーパーフリーポップ~

10.PINK
11.夏果て
12.デートはやめよう
13.hayatochiri

14.呪いは水色
15.絶対彼女
16.少女3号
17.あたし天使の堪忍袋
18.春の公園(調布にて)
19.焼肉デート
20.ミッドナイト清純異性交遊
21.新宿
22.音楽を捨てよ、そして音楽へ

アンコール
23.さようなら

・大森靖子、地元・松山での初凱旋ライヴでツアー幕開け (初日・松山公演レポート)
http://ototoy.jp/news/81260

・大森靖子、鳥取の元ストリップ小屋にて生音で圧倒的な"歌"を聴かせる (鳥取公演レポート)
http://ototoy.jp/news/81369

・大森靖子、秋田の小さな喫茶店でツアー折り返し 複雑な胸中を明かす (秋田公演レポート)
http://ototoy.jp/news/81448

・大森靖子、メジャー・ファースト・アルバム『洗脳』をハイレゾ配信&インタヴュー掲載!!!
http://ototoy.jp/feature/2015020702

・大森靖子 全国ツアー〈❤爆裂! ナナちゃんとイくラブラブ洗脳ツアー❤〉
2015年3月8日(日) ~ノスタルジック 松山 キティホール~
2015年3月14日(土) ~ノスタルジック 広島 ヲルガン座~ (2回公演)
2015年3月15日(日) ~ノスタルジック 岡山 café moyau~
2015年3月27日(金) ~ノスタルジック 名古屋 QUATTRO~ (バンド編成)
2015年3月29日(日) ~ノスタルジック 鳥取 三朝 ニューラッキー~ (2回公演)
2015年4月3日(金) ~ノスタルジック 札幌 コロニー~
2015年4月4日(土) ~ノスタルジック 仙台 enn 2nd~
2015年4月5日(日) ~ノスタルジック 秋田 ゴマシオキッチン~ (2回公演)
2015年4月10日(金) ~ノスタルジック 鹿児島 大津倉庫 プティ・パレ~
2015年4月11日(土) ~ノスタルジック 福岡 ROOMS~
2015年4月12日(日) ~ノスタルジック 大分 別府 永久劇場~
2015年4月16日(木) ~ノスタルジック 大阪 梅田 AKASO~ (バンド編成)
2015年4月17日(金) ~ノスタルジック 広島クラブクアトロ~ (バンド編成)
ツアー・ファイナル
2015年4月26日(日) ~ノスタルジック 中野サンプラザ~ (バンド編成)
追加公演〈沖縄 大森靖子全国ツアー 洗脳特別公演❤せんせい、もう子供じゃないもん〉
2015年4月29日(水) ~ノスタルジック沖縄Output~


[ニュース] 大森靖子

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