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2015/02/10 22:00

 

闇ポップSSWしずくだうみ、レコ発&誕生日をぱいぱいでか美とファンが祝福——OTOTOYライヴ・レポート

 

闇ポップ・シンガー・ソングライターのしずくだうみが1月31日、2ndEP『泳げない街』発売記念ライヴ〈歌って泳げる闇ポップナイト〉を、ゲストにぱいぱいでか美を招いて渋谷guestで開催した。イベント当日を待たずに完売となったこの公演。観客が用意したサプライズもあり、祝福ムードに包まれたライヴとなった。

まずステージに登場したのは、ぱいぱいでか美。「んぁあー!!」と色っぽく叫ぶと、上着を脱いで胸部をハート形に切り抜いた、お馴染みの衣装があわらに。流れてきた曲は「ぼくがおっぱい大きくしてあげる」。お客さんにマイクを向けて「おっぱい大きくしてあげる」と歌わせるなど妖艶な空気が包むなか「ぱいぱいでか美です!」とあいさつした。「恋のブッキング」が披露されると、客席はコールや手拍子で大盛りあがり。でか美は曲中「あなたとあなたとあなたと、だうみの心にブッキングされますように!」と、主催のしずくだにエールを贈った。

「普段のライヴハウスと違って、陰湿な空気が漂っていていいですね(笑)」と企画タイトル〈闇ポップナイト〉を意識しながら話すと、「陰湿な人が多いので、みんなでブラジャーって叫びましょう!」とあおり「下着返せ」へ。観客は「ABCDEFブラジャー!!」という歌詞を絶叫して応じた。「実は私より踊れるんだよね?」としずくだの意外な一面を明かしつつ、「同い年だし、陰湿なところが似ているんです」と彼女への思いを語る。「黙っていたら普通に美人なのに、iPhoneという文化が彼女を変えてしまいました」と、しずくだのツイッター廃人ぶりをいじった。

「プレーリードッグ」をしっとりと聴かせたあとは、粘着質な一部ツイッター・ユーザーを一刀両断しつつ「エモ(笑)」を怒りをぶつけるように歌った。バー・カウンターのなかで闇と同化しながらライヴを観るしずくだに改めて感謝を伝えると、でか美の出番は終盤へ。「フリーで活動する私やだうみのような女の子が、いろんな悪につけこまれない世界になりますように」という祈りを込めて「PAINPU」を歌うと、ラストは最新曲「NICE MUSIC MUST PURE」を披露。「みんなの妹でか美!」「笑顔が一番でか美!」という観客の愛のコールが飛び交うと、でか美は思わず笑顔が弾けた。

転換を挟みつつ、今日の主役しずくだうみのライヴがはじまる。「でか美を観にきた人は、なんだこの暗い人って感じだと思うのですが… しずくだうみです」と遠慮がちにあいさつすると、「譜面が入ったトート・バッグをなくしました」といきなり闇エピソードを披露した(このバッグは後に見つかったそうだ)。1曲目に演奏されたのは「ゲーム」。「あなたも私も誰かの代わりでしかない」「さみしいと言ったら負けのゲーム」という印象的な歌詞が繊細なヴォーカルで歌われていくと、場内はじっと演奏に耳を傾けた。続いて「今日はレコ発なので」という前置きのあと、EPの最初を飾る「部屋」を披露した。

MCでは「でか美を絶対にこのレコ発に呼ぼうと思っていて、去年の5月くらいにメールをしたんですよ。半年くらい先の話をしても、予定なんてないじゃないですか。私のことがどんなに嫌いでも絶対に断れないようにしようと思って」と、この企画に向けての思いをユーモアを交えながら語る。そしてイラストレーターで作家の星川あさこが作った、かわいらしいMVも公開されている「あじさい」を歌った。

「普段はピアノで暗い曲ばかりやっているんですけど、今日はイケメン・ボーイズふたりを引き連れて演奏するという贅沢なことをしようと思います」と呼び込むと、ギタリストのコウノ(なの小夕子ローディー)と窪田悠(Harps)が登場。ライヴでは1回しか披露したことがないという貴重な「ぐるぐる」を、軽やかなギター演奏に乗せて歌った。続いて「しずくだうみというプロジェクトはすべてが復讐なんです。いままで私に嫌なことをした人を、なにがなんでも落としてやろうって」という恨みつらみを込めた「パラレルワールド」へ。3人編成での最後の曲は「ケチャがしたいという、ひと言でこの曲をやることにしました」という「オーカー」。「明るい曲なので、なにしてもいいですよ」という彼女の言葉どおり、イントロからさっそく手拍子が起こる。さらにPPPHやケチャなどのヲタ芸まで発生すると、しずくだは「ありがとうございます(笑)」と笑顔を見せた。

あっというまに本編最後の曲へ。しずくだが「水色」のイントロを奏でると、客席は一斉に水色のサイリウムを光らせる。思わぬサプライズに一瞬、手元を狂わされ「間違えたじゃん」とおどけつつも、しずくだはとてもうれしそう。そのまま光のなかで1曲を歌い終えた彼女は「すごく写メ撮りたいけど、携帯がない(笑)。ママに見せてあげたかった」と感激の様子。水色に染まった客席を見渡しながら、何度も感謝の言葉を口にした。

水色のサイリウムを手にしたしずくだが「やったー、水色になれたよ」とよろこびながら、アンコールに応えて再びステージへ。「ライヴに行けたら行くって言って、来ないじゃねーかよって曲です」と説明すると、この日初披露の「行けたら行く」を歌う。でか美にプレゼントするために作ったというこの曲では、打ち込みのオケに合わせてダンスも披露した。これでイベントは終了かと思いきや、でか美の合図で客席が一斉に「ハッピーバースディ」を合唱。ライヴ前日の30日が23歳の誕生日だったしずくだが、幸せいっぱいの笑顔でファンの用意したケーキの火を吹き消すと、祝福の拍手が贈られた。

『泳げない街』を携えたしずくだのレコ発は、12月にもタグチハナとやまのいゆずるを招いて行われた。しずくだ自身や今回登場したぱいぱいでか美も含めて音楽や活動スタイルはさまざまだが、各々がどこにも属することなく活動を続け、なにものにも染まらない強い個性をすでに身につけているという点は共通している。それゆえに、今回のイベントは大きな宣伝もなく早期完売となり、これだけ濃厚な内容となったのだろう。しずくだが3月28日に同所で行う自身初のワンマン・ライヴも、すでに完売間近とのこと。2015年は、しずくだうみに要注目だ。(前田将博)

写真 : 箪笥

〈歌って泳げる闇ポップナイト〉
2015年1月31日(土)渋谷guest
<セットリスト>

ぱいぱいでか美
1.ぼくがおっぱい大きくしてあげる
2.恋のブッキング
3.下着返せ
4.プレーリードッグ
5.エモ(笑)
6.PAINPU
7.NICE MUSIC MUST PURE

しずくだうみ
OP.水色のゲームボーイ
1.ゲーム
2.部屋
3.あじさい
4.ぐるぐる
5.パラレルワールド
6.オーカー
7.水色

アンコール
8.行けたら行く(新曲)
ED.ゴーストタウンのゲームボーイ

・2015年注目の女性シンガー・ソングライター2人が語る「女の子が歌う理由」――しずくだうみ×タグチハナ対談&ハイレゾ配信!!
http://ototoy.jp/feature/index56.php/2014121501/

・しずくだうみ オフィシャルサイト
http://szkduminfo.tumblr.com

〈しずくだうみ 初ワンマンライヴ「スナックだうみ 第一夜」〉
2015年3月28日(土) 渋谷guest
出演 : しずくだうみ
O.A. : ナリナリ
?? : タグチハナ
※詳細は後日発表


[ニュース] しずくだうみ, ぱいぱいでか美

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