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2014/03/07 20:00

 

リー・バノン x ソース・ダイレクト来日——ドラムンベースは新たな波へ

 

先頃、〈NINJA TUNE〉からアルバム『Alternate/Endings』をリリースしたリー・バノンの来日が早くも決定した。共演はなんと、ドラムンベース・シーンのレジェンド、ソース・ダイレクト。公演はベテラン・ドラムンベース世代から、新たなUKダブステップ/ベース・ミュージックの波も繋ぐ老舗パーティ〈DBS〉、代官山UNITで4月19日(土)開催だ。

なんとなく、リーのアルバムは、今年後半あたりに「ああ、アレが分岐点だったか」なんてことになりそうなアルバムなんです。つまり、彼のギグはいま見るべきなんです。

昨年のコンゴ・ナッティーの新譜がここ数年でモヤモヤしていたラガ・ジャングル・リヴァイヴァルの決定打とするなら、なんとなくですが、今年あたりから、ベース・ミュージックやジュークといったビートの多様化から、ラガ感のあまりない、さらにソリッドなドラムンベースのリヴァイヴァルがきそうな予感。黒いスクエアプッシャーなどと揶揄されるリー・バノンのサウンドも、聴けばまさにそんな予感が実感になる作品。もっと言えばインダストリアルな質感も、まさにナウな音!

こちらはリーのアルバムより

リーのアルバムは、1990年代初頭のジャングル〜ドラムンベースのミッシング・リンクとも言える、通称”ダーク(コア)“と呼ばれるブレイクビーツ・ミュージックの、現代版と言いたいような音。ダークとは1992年あたりにUKのアンダーグランドでゴールディーやドック・スコットといったアーティストが作り出した、その名の通りダーク&ソリッドなジャングル。ラガ・ジャングルよりも、ドラムンベースの直接の元祖とも言えるようなスタイルだ。いわゆるドラムンベースよりも荒削りなレイヴ感、ラガ感が希薄でクールかつテッキーな音という意味では、現在のダブステップ以降のベース・ミュージックの感覚で、いま聴いても刺激的なサウンドが多い。その証拠にその手の過去の“ダーク”の楽曲が、若手アーティストを伴ってリイシューされることもちらほら(最近ではドック・スコットのナスティー・ハビット名義の1993年「Shadow Boxing」がOm Unitによってリミックス)。そんな“ダーク”の感覚は、まさにリーのサウンドを単なる“ジャングル”と言い表すよりも、適切な言葉ではないかと。

そして、ですよ、このあたりの音、ほんのり薫るレイヴ感といい、荒削りな感覚といい、BPMといい、ドラムンベース・ファンはもちろんのこと、ベース・ミュージック/ジュークなんかの耳で聴いてなかなか良い。で、刺激的でモダンなアップデートを施したのがリーの音って感じがします(彼がリヴァイヴァルを意図したかどうかはともかく、とにかく“いま”おもしろいのだ)。

こちらは蛇足ですがドック・スコットによるダークの代名詞“Here Comes The Drumz”(1992年)

そして共演するソース・ダイレクトは1990年代後半のドラムンベース・シーンにおいて、そんな“ダーク”な質感をフォーテックやゴールディーらとともに押し進めたアーティスト。リーも、思春期に多大なる影響を受けた模様。まさに、いまだからこそ見てみたい共演! 余談ですが、ソース・ダイレクトの1999年のアルバム『Exorcise The Demons』は、リーのアルバムと地続きで聴ける感覚も満載!

ソース・ダイレクト、1999年のアルバム『Exorcise The Demons』

ということで「ドラムンベース? また90年代リヴァイヴァルかよ」みたいなこと言ってたら、おいていかれちゃう感じなんで、ぜひとも現場にて体感をば。新たなドラムンベースの波きてるんですって。
(河村)

DBS: LEE BANNON x SOURCE DIRECT
2014年4月19日(土)
@代官山UNIT
feat.
LEE BANNON x SOURCE DIRECT
with.
DJ YAHMAN
TETSUJI TANAKA (90's d'n'b set)
HELKTRAM
Painting: THE SPILT INK.
SALOON:
ASA, DUBTRO, KEN, MIYU, PRETTYBWOY, STITCH

open/start: 23:30
adv.3300yen   door 3800yen
info.03.5459.8630 UNIT
http://www.unit-tokyo.com
http://www.dbs-tokyo.com

[ニュース] Congo Natty Featuring Tenor Fly, Top Cat, General Levy, Tippa Irie, Sweetie Irie and Daddy Freddy, Lee Bannon

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