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2014/01/16 19:36

 

ドラムマシンの名機、TR-808がまさかの復活?

 

ネットに出回っている新型808と言われている機材

日本の楽器メーカー、ローランドの電子楽器。そのラインナップのなかには、発売から30年以上経った現在でも、シーンで重用される、さまざまな名機があり、それらはヴィンテージとして高値で売買されている。TR-808というドラムマシンは、まさにそうした機材のひとつだ。この名機が新たに生まれ変わり、ローランドからリリースされるという噂が立ち上がっている。

これは海外の音楽メディア、英FACT MagzineやAttack Magazineなどによって報じられたものだ。特にAttack Magazineでは、上記の新型808と言われるリーク画像まで出回っている。

TR-808とはローランドが1980年に発売したリズムマシンで、YMOをはじめ、さまざまなエレクトロニック・ミュージックに重用された機材だ。1980年台に生まれたさまざまなダンス・ミュージックも、この機材のドラムの音色によって生まれたと言っても過言ではない。具体的に言えばエレクトロ〜ヒップホップ(サンプリング以前)、シカゴ・ハウスにデトロイト・テクノなどがそうだが、その黎明期にはこの808が、そして後継期機種としてリリースされたTR-909がそのリズムの大部分を形作ったと言えるだろう。またマイアミ・ベースと呼ばれるエレクトロ・ヒップホップが808の、その特異なバスドラの音をベースとして使い、そのビートの様式がアメリカ各地に伝わり、ゲットー・ベースへと進化したことを考えると、ある意味で現在のジュークなどのゲットー・ベース・ミュージックもこの機材無しでは生まれなかったと言える。

現在でも多くのクローン・ガジェットや音色集、ソフトウェア・シンセにおいてTR-808はひとつの人気商品であるということを考えても、その重要度がわかるだろう。

ちなみに今回の騒ぎのことの発端は、アメリカのローランド社のホームページにて立ち上がったAIRAと呼ばれる謎のニュー・ブランドと思しきページだ。ここでは1つ動画が貼られているのみ。その動画とは、808のサウンド、構造を徹底的に調査するエンジニアと、そして後半には上記のリーク画像に似た、緑色のLEDが点灯する機材が映り込んでいる(この動画を見る限り、808に関連する機材がリリースされることはほぼ間違いないような気がする)。アシッド・ハウスでおなじみのベース・シンセ、TB-303も同様に新型が……という噂もある。

最近ではコルグ社がアナログ・シンセのMS-20をダウンサイズしたクローンとして、MS-20 miniをリリースし話題となったばかりだ。こうしたリヴァイヴァル機材は、よくある話だが精密なクローンを要求するユーザーと、クラシカルな機能をふまえた上で最新鋭の技術を加えるメーカーの意向が乖離する場合があるが……さて、このダンス・ミュージックを支えた名機は、21世紀に本当に甦るのか? それはどんなものになるのだろうか?
(河)

■ローランド社のサイト、AIRA
http://www.rolandus.com/go/aira/



こちらはAIRAに掲載されている問題の動画


808クラシック、Afrika Bambaataa & Soul Sonic Force「Planet Rock」(1982)

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