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2013/12/10 22:00

 

大森靖子と来来来チーム、ハロプロ愛に満ちた渾身のレコ発&解散ライヴーーOTOTOYライヴ・レポート

 

いまから約1ヶ月前、大森靖子と来来来チームによるコラボレーション・アルバム『ポイドル』が発売された。まだあれから1ヶ月しか経っていないのかと思ってしまうくらい、大森靖子は日々活発に活動している。明日12月11日には、大森の2ndアルバム『絶対少女』が発売される。その前にもう一度、大森靖子と来来来チームの軌跡を振り返っておきたい。『ポイドル』のレコ発であると同時に、大森靖子と来来来チームの解散ライヴでもあった、12月2日のTSUTAYA O-nest(旧渋谷O-nest)公演のレポートをお届けする。この日は、大森靖子と来来来チームによるライヴのほか、それぞれ単独でのライヴがあった。そしてオープニング・アクトとして、いやいやえんが出演した。

開演予定時刻から少し遅れて会場に到着すると、バー・フロアで行われていた、いやいやえんのライヴはすでに終了。メイン・フロアで来来来チームのライヴがはじまっていた。客席はすでにかなりの大入り。「天国」「東洋一」など、柴田裕史(Ba)と張江浩司(Dr)によるタイトなリズムや、肩の力が抜けた荒本祥典(Gt)のギターと山下泰平(Vo, Gt)のヴォーカルが作りだす来来来チーム流のポップスが、心地良く鳴り響いている。「よかトピア」の演奏が終わり、張江がMCをする。

「今日は来ていただいてありがとうございます。『ポイドル』というアルバムのレコ発、かつ、大森靖子と来来来チームの解散ライヴです」と挨拶。また、大森靖子と来来来チームとしては、これが3度目のライヴであることを話す。1度目はタワーレコード新宿店でのインストア・ライヴで、2度目の新宿LOFTのライヴでは、直前まで大森がBerryz工房の日本武道館でのライヴに参加していたためリハーサルなしでやったとのこと。(ちなみに大森はそのライヴで、その日仕入れたばかりのBerryz工房Tシャツを着て演奏。ライヴ観覧直後という状況も相まってか、非常にテンションの高いパフォーマンスを魅せた)。そのため張江曰く、この日が初ライヴのような心境であるとのこと。

「今日でただの来来来チームに戻ります」と宣言し、再び演奏に戻る。「ゴールデンタイム」では、アルバム『天国』よりもひときわロックなサウンドを響かせた。最後に、コーラス・ワークが心地良い「ハートの南京錠」を聴かせると、来来来チームの演奏は終了した。

まだ客席が雑談し、客電もついているなか、大森靖子がステージに登場。ギターを軽く鳴らし、セッティングするのかと思いきや、そのまま「Over The Party」の演奏がはじまった。慌てて、フロアの外に出ていた観客が場内に入ってくる。「エンドレスダンス」を歌ったあと、ギターを搔き鳴らしながら「こんばんは、大森靖子です」と挨拶。もしかしたら、大森にとってここまでの2曲はリハーサルのようなものだったのかもしれない。そのまま、ギターを高々と掲げながら「新宿」を演奏。「夏果て」「サマーフェア」では、過ぎ去った季節に思いを馳せるように時折、天を仰ぐ仕草を見せた。

途中でフロアから出ていくものを挑発するかのように、緩急を巧みに使いわけながら「魔法が使えないなら」を演奏。「KITTY'S BLUES」では、観ているものに有無を言わせない渾身の歌を聴かせる。「あたし天使の堪忍袋」でのお馴染みの合唱を経て、ここまでノン・ストップで演奏し続けてきた大森がやっと笑顔を見せた。それに同調するかのように、客席からは歓声があがった。

後半もほとんどMCはなく立て続けに曲を演奏。「絶対彼女」「お茶碗」と、曲が進むたびに徐々に観ているものの心を浸食し抉っていく。「ハンドメイドホーム」のアウトロで絶叫し、そのまま「あまい」。この緊張感が極限までどんどん高まっていく感じ。もう誰もこの空間に集中を乱すものはいない。ギターを置いて照明がふいに暗くなると、最後にアカペラで「さようなら」を歌った。思わず息をしていることも忘れてしまうほどに圧巻のステージ。一瞬の間を置いて沸き起こった大きな拍手に包まれながら、「次は大森靖子と来来来チームです」という言葉を残し、大森は笑顔でステージを去った。

大森靖子と来来来チームがステージに登場。いよいよ、この日の主役のライヴがはじまる。張江は前日に購入したばかりという℃-uteのTシャツを着用。大森は先ほど着ていたワンピースの上にJuice=Juiceのパーカーを羽織り、気合いは充分。山下のギターがイントロを奏でると、『ポイドル』ではラストを飾っていた「ボーイゾーン」を1曲目に演奏。この曲はアルバムのなかで唯一、山下がメイン・ヴォーカルを務める曲でもある。山下が気持ち良さそうに歌っていると、大森が「行くよ! 」と勢いよく合図し、彼女のパートであるサビへ突入。<しっかりしてよボーイ>と力強くシャウトを織り交ぜながら歌う。ギターから解放されマイクのみを掴んで歌う大森は、客席を指差しながら、まるでロック・スターのようにのびのびと歌っている。そんな大森とは対照的な、来来来チームのメンバーによる<くすぐったい くすぐったい>というゆるいコーラスが絶妙な味を醸し出していた。

メイン・ヴォーカルを大森に移して「さよなら、また今度ね(笑)」を演奏。この曲では、大森が山下と顔を見合わせながら歌う場面も見られた。このコラボの話が来る前から大森のファンであった( http://ototoy.jp/feature/20131102 )という山下は、うれしそうな表情を見せる。続く「君と映画」でも、大森のヴォーカルに合わせて口パクで歌う山下の姿があった。

ここでMCコーナー。先ほどの大森のライヴとは一転した和やかな空気が流れる。オープニング・アクトのいやいやえんのメンバーがBerryz工房の熊井友理奈と同い年だという張江の話から、ハロプロの話題に。その流れで、大森が℃-uteの「Kiss me 愛してる」を演奏しようと提案するも、来来来チームの準備ができていないということで敢えなく断念。『ポイドル』に収録されている℃-uteのカヴァー「大きな愛でもてなして」を演奏した。続いて、来来来チームの曲「桃色化粧惑星」を山下と大森のデュエットで披露。曲の後半、間奏の手前で強烈なシャウトを聴かせたあと楽しそうに踊る大森を見て、山下はたまらないとばかりに満面の笑顔を見せる。

「ラスト3曲やって帰ります。みなさん、もう会うことはないでしょうけど」という張江の言葉に、すかさず「来来来チームも解散するの? 」と大森がツッコミを入れる。大森の「卒コンやろうよ! 」という提案から、再びハロプロ談義に。ここでは、大森がモーニング娘。の「好きな先輩」を1フレーズ歌うという貴重な瞬間もあった。

「コーヒータイム」を演奏し、ライヴは終盤へ。「音楽を捨てよ、そして音楽へ」では大森が客席にマイクを向けて、サビの<音楽は魔法ではない>という歌詞を会場一体となって叫ぶ。その瞬間、フロアではミラー・ボールが煌びやかにまわっていた。会場はどんどん多幸感に満ちていく。張江が「どうもありがとうございました。またどこかで」と話すと、いつの間にかステージから捌けていた大森がパーカーを脱ぎ捨てて叫びながら再登場。「ワン、ツー、スリー、フォー!!! 」という張江の渾身のカウントから、いよいよ最後の曲「ミッドナイト清純異性交遊」が放たれる。テンションはすぐさま全開となり、客席も一斉に手をあげて応える。大森は精一杯の愛情を込めて叫ぶ。曲のラストでは荒本がギターを掻き乱して大きく掲げると、そのまま力尽きて床に落とした。張江も立ち上がり激しくドラムを連打。ギターの残響音が場内を包むなか絶頂を迎え、演奏は終了。客席からは、歓喜の声と溢れんばかりの拍手が鳴り響いた。

鳴り止まない歓声に応えて、再び大森靖子と来来来チームがステージに登場。枕営業や柴田の童貞疑惑の話題を挟みつつ、大森と張江が改めて「ありがとうございました」と挨拶。最後にもう一度、「ミッドナイト清純異性交遊」が演奏される。こちらは、先ほどはなかったイントロの<やっぴー!!! >を大森がシャウトし、<私の部屋に会いにきて 今夜もうさちゃんピース>と絶叫。この瞬間、大森はうれしそうに小さくうさちゃんピース(道重さゆみのトレード・マークとなっている、頭の上に両手でピース・サインを作りうさぎの耳のように見せるポーズ)をしてみせた。演奏は、先ほどよりも数段エモーショナルさが増している。大森が客席を煽ると、「オイ! オイ! 」というコールが巻き起こる。山下と柴田は激しく頭を振り乱し、ステージ前方に乗り出して演奏していた荒本はそのままギターを客席に放り投げた。演奏が終わると、大森は満足そうにもう一度「ありがとうございました! 」と叫び、来来来チームのメンバーも大きく手をあげて歓声に応える。ライヴは終了。大森靖子と来来来チームは、これにて解散した。

3度目のステージとは思えないほど、すさまじい盛り上がりと一体感を見せたライヴだった。大森のソロやピンクトカレフのライヴとも、来来来チームのライヴとも違う空気。短期間にして、「大森靖子と来来来チーム」というひとつのバンドが完成していた。それはやはり双方のポテンシャルの高さによるものだろう。また、この日は転換中のBGMもすべてハロプロの楽曲に統一され、Berryz工房はもちろん、モベキマスやWなど新旧問わずさまざまユニットの曲が流れていた。MCや衣装でもわかるとおり、彼らのハロプロに対する愛情の深さがうかがえる。その愛情を双方が根底で共有しているが故の、この一体感だったのかもしれない。今後ふた組は別々の道を歩むことになるが、また数年後にぜひともこの組み合わせで、『ポイドル』に収録されている曲を演奏してほしい。これで終わるのはもったいない。心からそう思わせてくれるライヴだった。(前田将博)

〈「ポイドル」発売記念 ファーストかつラストレコ発〉
2013年12月2日(月)TSUTAYA O-nest

<セットリスト>

来来来チーム
1. ミラクル
2. 天国
3. 東洋一
4. よかトピア
5. ニーハイ
6. ゴールデンタイム
7. ハートの南京錠

大森靖子
1. Over The Party
2. エンドレスダンス
3. 新宿
4. 夏果て
5. サマーフェア
6. 魔法が使えないなら
7. KITTY'S BLUES
8. あたし天使の堪忍袋
9. 展覧会の絵
10. 絶対彼女
11. お茶碗
12. ハンドメイドホーム
13. あまい
14. さようなら

大森靖子と来来来チーム
1. ボーイゾーン
2. さよなら、また今度ね(笑)
3. 君と映画
4. 大きな愛でもてなして
5. 桃色化粧惑星
6. コーヒータイム
7. 音楽を捨てよ、そして音楽へ
8. ミッドナイト清純異性交遊
アンコール
9. ミッドナイト清純異性交遊

・大森靖子と来来来チーム OTOTOY特集ページ
http://ototoy.jp/feature/20131102

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