News

2013/04/30 20:58

 

ミツメ、自分たちらしさを貫いたソールド・アウトの初ワンマン——OTOTOYライヴ・レポート

 

4月28日(日)、ゴールデンウィークで賑わう渋谷にあるライヴ・ハウス渋谷o-nestにて、ミツメのワンマン・ライヴが行われた。昨年2ndアルバム『eye』をリリースし、結成から4年を迎えるミツメにとって、これが意外にも初のワンマン・ライヴ。2013年に入り、「月刊ウォンブ! 」やシャムキャッツのレコ発ツアーへの参加など、注目の高いイベントへの出演が相次いでいた。そんな中、満を持して行われた今回のワンマン・ライヴは、今の彼らの勢いを象徴するかのように、発売から早々にソールド・アウトとなった。

満員となった場内にBGMが鳴り響く中、ステージにメンバーが登場する。彼ららしくスマートでカジュアルな服装。客席の照明が落ちると拍手が起こり、ライヴが始まる。軽快なギターのイントロに歓声が上がると、1stアルバム『mitsume』の1曲目でもある「クラゲ」が始まった。自身も初のワンマン・ライヴを待ちわびていたかのように、ナカヤーン(Ba、Syn)が躍動する。彼らの特徴である心地よいギター・サウンドと、珠玉のメロディが際立っている。川辺素(Vo、Gt)の歌にコーラスが被さり、よりポップに耳に響く。序盤は1stアルバムの曲を中心としたセット・リスト。ステージ上は各々の世界に心酔するかのように、淡々と演奏している。曲間には、客席から拍手が鳴り響く。ステージと客席との間には、居心地の悪くない不思議な距離感が存在していた。

6曲演奏したところで、メンバーがチューニングに入る。川辺が渋々口を開く。「チューニング・タイムに入るので、僕のMCです」。笑みを浮かべ声を上げる客席に対して、川辺は「いつもみたいにシーンとしてなくていいですね」と笑う。MCのあとは、新曲を立て続けに演奏。1曲目は、ミツメらしい、どこか懐かしくも美しいメロディ・ラインと、その後ろで様々な音色を繰り出すギターが印象的だった。2曲目の新曲は、鉄琴にエンジニアの田中章義を迎えて演奏される。こちらの曲は、忽然と鳴り響く電子音のリズムの上で、鉄琴の美しい音色が弾んでいた。『eye』で見せたサイケデリックでSF的な世界観を、さらに深化させたようなサウンドだ。

ライヴは後半に入り、2ndアルバム『eye』の曲も多く演奏される。

「cider cider」のイントロのギターに大きな歓声が起こる。ここからは、曲の合間に大竹雅生(Gt、Syn)のシンセサイザーの音が炸裂する。照明が暗くなり、弦楽器の3人が楽器を置いて始まった「Fly me to the mars」では、妖艶な電子音が鳴り響く。須田洋次郎(Dr)が電子ドラムを叩く。ラストに向けて、場内のテンションは高まり、「ミツメのテーマ」では、心地よいバンドのアンサンブルが最高潮に達する。川辺がシャツの袖を正し、「どうもありがとうございました」とはにかみながら一礼し、本編は終了した。

アンコールに応え、再びステージにメンバーが登場する。本編が終わり、リラックスした表情を見せる。ナカヤーンが「今日は来てくれてありがとうございます」と挨拶。川辺は「もう結成して4年も経ったんだね。これからも頑張るので、みなさん応援してください」と語る。「最近やってなかった曲」という紹介で演奏されたのは「恋はかけあし」。初期のデモ音源に収録されている曲である。この曲も、本当にメロディが美しく、川辺のファルセットを聴いていると、涙が出そうなくらい心に響いてくる。ラストに演奏されたのは、こちらも初期からの代表曲の一つである「三角定規」。ミツメの曲の中でもひと際勢いのあるバンド・サウンドに、客席は大きく体を揺らして応える。曲の最後では、ナカヤーンがドラム・セットに足を掛けてジャンプし、大竹が背面奏法
を披露すると、場内が大きな歓声を上げる。ちなみに、派手なパフォーマンスは、この時のみ。曲が終わり、ギターの余韻が鳴り響く中、メンバーがそれぞれ一礼しステージを去った。1時間半に及ぶ、ミツメ初のワンマン・ライヴは終了した。

ミツメの楽曲には、決して派手ではないが繊細に作り込まれたサウンドと、普遍的で暖かいメロディが内包されている。これらは、曲作りに於いて常に自分たちと真摯に向き合うことで、アルバムごとに形を変え進化していく。EPをレコードのみでリリースするなど、自分たちの手でその楽曲を大切に広めていく中で、着実にライヴの動員を増やしてきた。その結果が、自主レーベルでの活動ながら、初のワンマン・ライヴで渋谷o-nestをソールド・アウトする形となって表れた。彼らの活動は、良い楽曲を大切に育てていけば、それが確実に受け手に響くことを証明している。今、大きく広まろうとしている彼らの楽曲は、ここからさらに世に浸透していくだろう。その歴史の第一歩とも言うべき今回のライヴを目撃出来たことを、とても幸せに思う。(前田将博)

〈ミツメ presents「one-man show」〉

2013年4月28日ミツメ@渋谷o-nest

<セットリスト>

1. クラゲ
2. タイムマシン
3. うつろ
4. 部屋
5. towers

6. 20
7. 新曲
8. 新曲
9. Disco
10. 煙突
11. hotel
12. マイガール
13. サマースノウ
14. cider cider
15. Fly me to the mars
16. 春の日
17. ミツメのテーマ

アンコール
18. 恋はかけあし
19. 三角定規

■ミツメ LIVE INFORMATION

2013年5月15日(水)@新代田FEVER
THE NOVEMBERS「“GIFT” and “Fourth wall” Release Tour “I’ll Be Your
Mirror”」

2013年5月25日(日)
SHIMOKITAZWA SOUND CRUISING Vol.2

2013年6月2日(日)@新代田FEVER
fantastic planet rock

2013年6月23日(日)
Shimokitazawa Indie Fanclub 2013

2013年6月29日(土)@O-WEST / O-nest / 7th FLOOR
DUM-DUM PARTY 2013

・ミツメ HP
http://mitsume.me/

・OTOTOY ミツメ特集
http://ototoy.jp/feature/index.php/20120922

[ニュース] ミツメ

あわせて読みたい


TOP