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2013/04/10 01:00

 

〈HOBO CONNECTION 2013〉リクオ×CHABO×梅津の「胸が痛いよ」にファン感涙――たまらん最速レポ

 

〈胸が痛いよ / 君のことを想ってるから / 胸が痛いよ / 君はすぐに居なくなるから〉

アンコール『胸が痛いよ』のシンプルな歌詞が歌われた瞬間、ステージ上のリクオ、仲井戸“CHABO”麗市、梅津和時、そして会場にいた全員の心には、忌野清志郎が居たはずだ。“23年振りの共演”となったリクオとチャボ、そして梅津和時の3人で演奏されたこの曲は、間違いなくこの日のハイライトだった。しかし、決して感傷的なだけで終わらない、音楽を愛する者たちのエネルギーに満ち溢れた、心ある素晴らしいイベントだった。

4月9日(火)、〈HOBO CONNECTION 2013 ~HOBO SPECIAL~〉と題してイベントがおこなわれた。〈HOBO CONNECTION〉は元々、キーボーディスト・ボーカリストのリクオがホストを務め、全国各地で様々なミュージシャン仲間を招き、続けられてきた音楽イベント。今回はスペシャルと題し、渋谷クラブクアトロを舞台にリクオ、バンバンバザール、仲井戸"CHABO"麗市、梅津和時(SAX)、山口洋(HEATWAVE)、七尾旅人、坂田学(DRUMS)、寺岡信芳(BASS)という豪華メンバーが出演。

イスが並べられた今夜のクアトロ。ボブ•ディラン、ジャクソン5らの曲が流れる場内はオトナなムードが漂っている。定刻を少し過ぎた頃、ホストのリクオが登場。暖かい拍手が起こる。見渡すと、立ち見のお客さんも増えてきた。「ホーボーコネクション・スペシャルへようこそ! 今日はスペシャルな夜になるよ〜!」とリクオのMCでスタート。

オープニング曲は「君を連れてゆく」ヒートウェイヴ山口洋がいきなりアコギで幻想的なソロを聴かせ、歌い出す。〈金を無くしてしまった / 家を無くしてしまった〉このライヴのオープニングらしい放浪の歌。途中、〈ピックを無くしてしまった〜〉と歌い笑わせる山口。間奏のスライドソロが渋い。リラックスしたリクオのピアノもとても良い。次に梅津和時が登場してサックスを吹き出すとバンドが疾走しだした。「トウキョー・シティー・ヒエラルキー」。都会的なムードに包まれるが、山口の歌は男らしく、無骨だ。「3•11以降、初めて出来た曲です」とリクオがMC。リクオのボーカルで 「夜明け前」淡々と言葉を置いて行くかのようなリクオの歌と、梅津のサックス、山口のギターが絡み合う素晴らしい演奏だった。続いて梅津のサックス独奏で、「東北」。演奏を終え、客席に頭を下げる梅津に大きな拍手が起こり、なかなか鳴り止まない名演であった。再びバンドの演奏に戻り、リクオがボーカルを取る「ソウル」。

山口が下がると、リクオが初対面という七尾旅人を、「出不精の旅人、七尾旅人!」と紹介。旅支度のような荷物とギターを抱えて登場した旅人に場内から笑いが漏れる(笑)。「出てきただけで失笑されてる(笑)。まだ何も面白いこと言ってないんですけど(笑)」と言いながらセッティングする旅人。梅津和時と2人で、「星に願いを」。旅人の歌とギター、ときおり使うカオスパッド、エフェクトに梅津のサックスも呼応して徐々にレールを外れて行く様が面白い。旅人・梅津セッション・コーナーに関しては曲が決まっておらず、ステージ上のインプロビゼーションでおこなわれているようだ。

ステージが紅く染まり、旅人のギターと言葉、梅津のサックスが緊張感を増した絡みをどんどん高みを目指して行く。「若い頃3枚組を作ったんですけど、そのアルバムから戦闘機に乗って戦地に向かう歌を聴いて下さい」と曲は「airplane」へ。激しくガットギターをかき鳴らすように弾きながら歌う旅人の迫力に場内は鎮まりかえる。旅人と梅津にリクオ、山口らが加わり、「同じ月を見ている」。リクオの朗読に、旅人のソフトなコーラスが続く美しい曲。リクオとがっちり握手をしてステージを後にする旅人。このイベントをグッと引き締めるスパイス的な役割を果たしていた。

「ストリートからの叩き上げ、最高のライヴバンド、バンバンバザール!」と紹介され登場した2人はいきなり演奏開始。福島がアコーディオンを抱えたリクオと共に歌いながら場内を練り歩きながらの「陽よ昇れ」。このイベントの主催側でもある彼ら。観客の楽しませ方を心得ている感じだ。カントリー調の「アーリーバード」、リクオのアコーディオンと黒川のウッドベースが良い雰囲気だ。「今日は楽屋に居ても緊張しちゃうんですけど…いや嘘なんですけど(笑)」リラックスムードで「家庭教師2003」、和やかな曲調にリクオのホンキー・トンク・ピアノが心地よく響く。福島の軽妙なMCに、「今日は熱いね!」と声をかけるリクオ。「さっきの旅人君より面白いこと言わなくちゃいけないと思って!」に観客爆笑。続いて「情熱のありか」を歌ってステージを降りた。

そして、リクオとはなんと23年ぶりの共演、というチャボを紹介すると、登場したチャボに大歓声と拍手が起きる。「今日は楽しみにしてました! 最後まで楽しんでいってくれ!」とこのイベントに相応しい曲、「ホーボーへ」からスタート。セカンド・ソロ・アルバム『絵』収録曲だ。間奏のリクオのピアノ・ソロに続き、チャボもアコギでソロを弾く。「今日は若い人達と演奏できて嬉しい…」と喋りながら、ステージに登場してきた梅津を見ないようにするチャボ(笑)。「 若い人じゃないけど…マイ・オールド・フレンド梅津和時!」と改めて紹介。曲は「ブルームーン」。これが凄かった! チャボ、梅津、リクオ、黒川の4 人で間奏のユニゾンをキメる。そしてガット・ギターによるチャボのソロ。これが超絶品であった。普段のチャボのライヴでも頻繁に聴くことができる曲だが、この日のチャボのテンションは本当に凄かった。続いてリクオ、梅津とソロを回して行く。今日のイベントの出演者たちの演奏技術の高さを改めて認識。黒川がハミングしながらのベース・ソロを取り、最後はバッチリユニゾンを決めた。

「楽しいね!リクオ、来週もやろう(笑)」チャボも嬉しそうだ。呼び込むMCの順番を間違えて「お前らツイッターでチャボさん間違えたとか呟くなよ!」と笑わせる(すいません書いちゃいました)。バンバンバザール福島を改めて呼びこみ、「新宿出身の福島を新宿ブラザーズです!」と紹介。オリジナルに近いレゲエアレンジの「ティーンエージャー」。この演奏も素晴らしかった。チャボファンにも1、2を争う人気曲だけに観客も聴き入り、コーラスする。続いて山口洋を呼びこみ、「山口と俺の共通の友人が相馬で震災にあって、山口は何度も歌いに行っていて、俺に声をかけてくれたんだ」と紹介。山口ボーカルで「満月の夕」を演奏。阪神大震災の際、書かれたこの名曲を今も歌い続けている山口。チャボ、福島のサビのコーラスが加わり、静かな序盤から徐々に熱を帯びてくる。この日結成されたバンドとは思えない程、一つになって曲を盛り上げる。涙を流す観客もいた。続いてチャボがテレキャスに持ち替え、チャボボーカルで「しり切れトンボのBLUES」。のっけからチャボのスライドが渋い。ブルース進行に合わせて全員がソロを回し、最後はチャボがワウギターソロ。チャボ、梅津、山口が中央に集まると大歓声! 「楽しいー!」と山口が叫ぶ程盛り上がった。

「もう1曲だけ、リクオと2人でやらせてくれ!」と「ガルシアの風」。2人が肩を寄せてアコーディオンとギターでフレーズを弾き合う。チャボの歌に寄り添うように奏でられるリクオのアコーディオンが優しく、絶品の音色だ。チャボがステージを後にすると、リクオバンドとバンバンバザールがステージへ。「アイノウタ」では、ピアノを離れステージ中央に立ち、オフ・マイクで熱唱するリクオ。「明るい表通りで」で本編は終了。

アンコールの声にすぐにステージに戻ったリクオ。梅津とチャボを呼びこみ、忌野清志郎とリクオの共作、「胸が痛いよ」。この曲をチャボと梅津の演奏で聴ける日が来るとは…上を見上げて演奏する3人。シンプルなこの曲が、胸に深く深く届き、ジーンと熱くなった。アンコールでもう1曲、RCサクセションの「いいことばかりはありゃしない」。七尾旅人がチャボのギターの隣でボーカルを務める! なんというツーショットだろう。歌い出しはチャボ、そしてチャボの「旅人〜!」の声にハンドマイクの旅人が続く。そして梅津もボーカルを担当。観客も大合唱でこの素晴らしいイベントは終了した。

出演者の技量が高く、演奏が良かったことはもちろんだが、それ以上に全員が音楽を愛し、楽しんでいる姿が観ているこちらとしても心地よく、リラックスして楽しむことができるイベントだった。オープニングで「スペシャルな夜になるよ! 」と言ったリクオの言葉に嘘は無かった。〈HOBO CONNECTION 2013〉成功の大きな要因の1つはリクオのミュージシャン・シップと人を惹きつける人間性にあることが良くわかるイベントであった。
(岡本貴之)

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~終演後、リクオにミニ・インタビュー~

――お疲れ様でした。本当に素晴らしいライヴで感激しました。

リクオ:もう、どんどん広めて下さい(笑)。

――今日はみんな良い演奏だったんですけど、やはり「胸が痛いよ」をチャボさん、梅津さんと演奏されたのがファンとしても嬉しかったんですが。

リクオ:いや~グッときちゃいましたね(笑)。

――そうですよね。それにチャボさんとは23年振りの共演ということで、気持ちが入りましたか?

リクオ:もう、もちろんそうだし、色んな縁が、僕だけじゃなくてみんなの縁があって、今日のこの場所があるんで、色んな人の思い入れが凝縮されてますよね。それは演奏者だけじゃなくてお客さんもそうだと思うんで、本当にそういう想いが凝縮された夜になったと思います。

――「胸が痛いよ」の演奏中は清志郎さんのことを考えましたか?

リクオ:演奏中はあんまり考えてないんだけど、演奏前とか終わってからはね。チャボさんも梅津さんも俺もみんな、こうして(顔を上げて)上を見てたからね(笑)。何も申し合わせてないのにね(笑)。

※ 後日、他共演者のインタビューも追加掲載予定
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〈HOBO CONNECTION 2013 ~HOBO SPECIAL~〉
2013年4月9日(火)open 18:00 /start 19:00
東京・渋谷 CLUB QUATTRO
出演:リクオ、バンバンバザール、仲井戸"CHABO"麗市、梅津和時(SAX)、山口洋(HEATWAVE)、七尾旅人、坂田学(DRUMS)、寺岡信芳(BASS)

〈セットリスト〉
1. 君を連れてゆく
2. トウキョー•シティー•ヒエラルキー
3. 夜明け前
4. 東北
5. ソウル
6. 星に願いを
7. インプロビゼーション
8. airplane
9. 同じ月を見ている
10. 陽よ昇れ
11. アーリーバード
12. 家庭教師 2003
13. 情熱のありか
14. ホーボーへ
15. ブルームーン
16. ティーンエージャー
17. 満月の夕
18. しり切れトンボのBLUES
19. ガルシアの風
20. アイノウタ
21. 明るい表通りで
アンコール
22. 胸が痛いよ
23. いいことばかりはありゃしない(全員)

〈HOBO CONNECTION 今後の日程〉
4月11日(木)~シェキナ・コネクション ~
開場18:00 開演19:00心斎橋 JANUS
出演:高木まひことシェキナベイべーズ、リクオ、ウルフルケイスケ、ギターパンダ、花盛歩&川崎貴広(アシガルユース)
前売り¥3500 当日¥4000 (いずれも+1Drink)
ジャニス電話予約(13:00~) TEL.06-6214-7255
チケットぴあ:0570-02-9999 Pコード:(Pコード:191-782)
ローソンチケット:0570-084-004 Lコード:(Pコード:54695)
e+(イープラス)
問)ジャニス TEL.06-6214-7255
http://www.arm-live.com/janus/

4月13日(土)~浪花モノノケ歌謡ショー~
開場18:00 開演19:00心斎橋 Bar Musze
出演:リクオ、バンバンバザール、大西ユカリ、中川敬(SOUL FLOWER UNION)
前売り¥4000 当日¥4500(いずれも飲食チケット1000円別)
Bar Musze店頭メール予約 ticket@barmusze.com
HOBOメール予約:hobo@rikuo.net
☆件名は「4/13心斎橋」とし、ご予約氏名、枚数、ご連絡先を明記の上送信して下さい。
携帯よりメール予約の方へ:ご予約受付メールを受信できるよう設定のご確認をお願いいたします。
問)バーミューズ TEL.06-6282-0396
http://barmusze.com/

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