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2025/04/20 12:00

 

【ライヴレポ】これは、二ノ宮ゆいの歴史の新たな始まり──ワンマン・ライブ〈未明〉

 

これは、二ノ宮ゆいの歴史の新たな始まりである。

2025年3月28日。渋谷チェルシーホテルにて、声優・アーティストとして活躍する、二ノ宮ゆいのワンマン・ライブ〈未明〉が開催された。さまざまなアニメやゲームなどの作品に出演し、「ニノミヤユイ」名義で歌手活動も行ってきた彼女。この日のライヴは、久しぶりのワンマンということで期待も高まっており、チケットはソールド・アウト。会場である渋谷チェルシーホテルの後方の入り口付近まで人が結集していて、これからはじまるステージに多くのファンが胸を高鳴らせていた。

ピアノの旋律が印象的なSEが響き、二ノ宮がステージへ現れると、万雷の拍手で迎えられる。ライヴの幕開けを告げたのは、ポエトリーリーディングのようなセリフが印象的な“ヒロイン”。1曲目からハードなロックサウンドを届けると、オーディエンスを巻き込んで掛け声が飛び交っていく。ライブはスタイリッシュなサウンドが魅力的な“Fixer”、“主役のあの娘は友達”へと続き、力強くもキュートなヴォーカルを響かせた。

続いてのブロックは、二ノ宮の楽曲のなかでも、ダークな雰囲気を放つゾーンへ。ジャジーな“メロディー”、トリッキーな展開が印象的な“picture frame”、そして“呪いを背負って生きたいよ。”の3曲を立て続けに。こちらはチェルシーホテルという独特の雰囲気の会場に合わせた選曲とのこと。まるで楽曲を「演じる」かのように、さまざまな歌声を使い分け、オーディエンスを魅了していた。ライヴはそこから「音を楽しんでいく」ブロックへと突入する。「ジャンプしますよ!」と煽ってはじまった“No attention”で、フロアを飛び跳ねさせると、会場のヴォルテージは最高潮に達していく。続く“サイセンタン・コンフュージョン”では、大きなスタジアムの応援席のような声が客席から響いた。二ノ宮はさらに、BPMの速い“みっともない私なんて”を披露。ステージとフロアで生み出す熱い熱い空気が、渋谷チェルシーホテルに充満していた。

ライヴのヴォルテージをMAXまで引き上げたところで、二ノ宮は「大好きなアーティストさんの曲です」と、さユりの“花の塔”をカバー。リスペクトを込めた真摯なヴォーカルにオーディエンスたちも一気に惹き込まれていく。二ノ宮は、以前、イベント出演をかけた予選でさユりの“航海の唄”を歌ったことがあり、自分にとっても大切なアーティストであるとのこと。歌というものは、こうやって歌い継ぐことで、縁が紡がれていくのだと思った。

ここでステージに置かれたピアノに注目が集まるなか、スペシャルゲストとしてfhánaのメンバーである佐藤純一がステージへ。会場が、大きなざわつきと歓迎ムードに包まれていた。ちなみに佐藤は今回のライヴにおいて、サウンドの調整とマニピュレーターなども担当していたとのこと。そんな裏話も披露しつつ、ここから二ノ宮ゆいfeat.佐藤純一で、RADWIMPSの“愛にできることはまだあるかい?”を熱唱。音数が少ないからこそ、二ノ宮の歌唱力の高さが際立つパフォーマンスだった。

二ノ宮と佐藤は、二ノ宮のアーティストデビューのことからの知り合い。佐藤は、二ノ宮の資料に「闇系」や「陰キャ」といったイメージのことが書かれていて、会う前から「どんな人なんだろう?」と思っていたとのこと。しかし実際に会ってみると、「すごく良い歌声だった」と当時のことを回想した。ふたりは続いて、デビュー・アルバム『愛とか感情』に収録されている、佐藤提供の楽曲“光なくても”を披露。佐藤が奏でる美しいピアノの旋律に、二ノ宮の温かい歌声が重なり合い、極上の時間が流れていた。

佐藤がここでステージを後にすると、ライヴは一気にクライマックスへと向かう。「渋谷といえば?」という煽りから“わたしを離さないで”を力強く歌うと、バッキバキのベースのスラップが光る“運命論”へと展開。さらにキュートさと力強いヴォーカルが耳を支配する、テレビアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season』エンディングテーマ“今世大革命”、そして、ディストーションの効いたギターとタイトな譜割りが特徴的な“Dark seeks light”(テレビアニメ『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』主題歌)へと繋ぎ、再びオーディエンスを熱狂の渦に巻き込んだ。

終盤のMCでは、「なんだかんだで時間があっという間に過ぎて、気づけばもう3月末。この前まで『1月が終わらない!』って思ってたのに、もう4月目前ですね」と、時間の流れの早さを実感しながらも、年度末の忙しさに触れた二ノ宮。ちなみに確定申告が終わったことを告げると、客席からは謎の大歓声が上がっていた。

二ノ宮はここでYouTubeチャンネルを開設することを発表。そんな中での大きな発表に、ファンからは驚きと喜びの声が上がった。さらに、第一弾の投稿として「歌ってみた」動画を公開することも明かし、その第一弾の楽曲がこのライヴで披露したさユりの“花の塔”であることを発表。「チャンネル登録、高評価、コメントがとても大切らしいので、ぜひみんなよろしくお願いします!」と、ファンに向けて積極的な応援を呼びかけた。

二ノ宮は最後に“愛とか感情”を熱唱。「本当に今日は来てくれてありがとうございました! みんなのおかげで楽しい時間を過ごせました」と感謝を述べ、ライヴは大盛況のうちに幕を閉じた。二ノ宮ゆいの新たな挑戦が、これからどのように広がっていくのか。その夜明けの瞬間を、じっくりと見届けたいと思った

取材&文:ニシダケン
撮影 : “SUGI” Yuya Sugiura

Photo Gallery
ライヴ情報

ワンマン・ライブ〈未明〉
2025年3月28日 渋谷チェルシーホテル

セットリスト
1 ヒロイン
2 Fixer
3 主役のあの娘は友達
4 メロディー
5 picture frame
6 呪いを背負って生きたいよ。
7 No attention
8 サイセンタン・コンフュージョン
9 みっともない私なんて
10 花の塔(さユり カバー)
11 愛にできることはまだあるかい(RADWIPS カバー) ※佐藤純一ゲスト参加
12 光なくても ※佐藤純一ゲスト参加
13 わたしを離さないで
14 運命論
15 今世大革命
16 Dark seeks light
17 愛とか感情

[ニュース] ニノミヤユイ

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