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2023/12/18 13:30

 

映画『シチリア・サマー』監督が語る巨匠・フランコ・バッティアートへの憧れと愛

 

現在公開中のジュゼッペ・フィオレッロ監督作品、映画『シチリア・サマー』。劇中には2021年に死去した巨匠音楽家・フランコ・バッティアートの名曲が使用されており、今回楽曲にまつわるエピソードや監督コメントが公開された。

1982年、初夏の日差しが降りそそぐイタリア・シチリア島で、16歳のニーノと17歳のジャンニは運命的な出会いを果たす。育ちも性格もまるで異なる2人は一瞬で惹かれあい、友情は瞬く間に激しい恋へと変化していく。だが、少年たちの眩しすぎる恋は、ある日突然の終わりを迎えるのだった—。イタリアを驚愕させ、やがて世界が変わる大きなきっかけとなった事件が、40年の時を経て映画化。

主人公のニーノとジャンニには、新星俳優ガブリエーレ・ピッツーロと、ダンサーとしても活躍するサムエーレ・セグレート。数百人のオーディションを勝ち抜き、彗星のごとく現れた2人が瑞々しい演技を魅せる。監督を務めるのは、イタリアで俳優として活躍するジュゼッペ・フィオレッロ。初監督ながら、イタリア最古の映画賞ナストロ・ダルジェント賞で新人監督賞を受賞した。

本作のエンディング曲を手掛けるのは、イタリア音楽界の鬼才フランコ・バッティアート。実験音楽や電子音楽からクラシック音楽の領域に渡る幅広いジャンルに作品群を残してきたことで知られ、2021年に亡くなるとイタリア中が涙したというほど多くのファンに愛されてきた。この半世紀で最も影響力のある音楽家の1人とされる彼が手がけた”Stranizza d'Amuri(意 : 愛の奇跡)”は、原題のタイトルにもなっている。

戦争中の叶わぬ恋を歌ったこの楽曲は、1979年に発売され、現在までカヴァー演奏も絶えることのない大ヒット作。ニーノとジャンニの思いを体現するかのような歌詞がラストの感動をより一層盛り立てている。さらに、主人公2人が花火の打ち上げに向かうドライブシーンで流れる。

”Cuccurucucù”も、バッティアートの代表曲の一つ。一度聴いたら耳から離れない軽快なメロディが印象的なこの楽曲は、ウォン・カーウァイ監督の『ブエノスアイレス』や、第89回アカデミー賞で作品賞を受賞した『ムーンライト』でもカヴァー作が起用されており、同性愛を描いた作品へのオマージュと捉えることができる。

バッティアートと同郷のフィオレッロ監督は、楽曲の選定理由を「映画という大きなモザイク画を創作するにあたり、フランコ・バッティアートの音楽が最初の構成要素でした。私はバッティアートの音楽とともに育ち、いつか監督として映画を作るなら、必ず彼の曲を使うと心に誓っていました」と明かし、故郷への愛とこだわりに満ちた本作の制作にバッティアートの音楽は必要不可欠だったという。

また、劇中で重要なジャンニと母親が踊るシーンでは、ウンベルト・ビンディの”Il mio mondo(意 : わたしの世界)”が使用されているが、彼もまたセクシュアリティによって長い間差別され、困難な人生を送っていたという。「彼が私たちに残してくれた美しいものと、素晴らしい音楽に敬意を表したいと思いました」と、フィオレッロ監督はコメントを寄せている。

映画情報
『シチリア・サマー』
監督 : ジュゼッペ・フィオレッロ
主演 : ガブリエーレ・ピッツーロ、サムエーレ・セグレート
2022年 / イタリア語 / 134分 / スコープ / カラー / 5.1ch /
原題 : Stranizza d'Amuri / 日本語字幕 : 高橋彩
後援 : イタリア大使館 配給 : 松竹 
© 2023 IBLAFILM srl
オフィシャル・ウェブサイト : https://movies.shochiku.co.jp/sicilysummer/


[ニュース] フランコ・バッティアート

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