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2022年10月03日00時45分

 
【ライヴレポート】1人でもかけちゃダメだったね──BiSH史上最大規模の野外ワンマンライブ〈BiSH OUT of the BLUE〉at 富士急ハイランド・コニファーフォレスト
 

富士急ハイランドの遊園地を出て、コニファーフォレストへ向かう。なんと列は、遊園地を出たところから、会場まで、1kmほど続いていた。もちろん目当ては、BiSHだ!

関東の大きな会場は、2018年12月22日に開催された〈THE NUDE〉@幕張メッセというから、およそ4年ぶり。山梨コニファーフォレストで行われる〈BiSH OUT of the BLUE〉は、もともとは2022年7月に組まれていたが、流行中の感染症の影響のため、延期。並行して行われていた全国のライブハウスを回る〈FOR LiVE TOUR〉は、もちろんチケットを手にできる人は少なく、もう本当に待ち望まれた大規模公演なのだ。しかも、動員数は過去最大規模だと言う。

会場はとにかく巨大。25mほどのメインステージ、そしてその横にサイドステージが設置され、全長100mぐらいのでかさだ。快晴なのもあって、その気持ちよさとデカさに圧倒されていると、SEからの“BiSH-星が瞬く夜に-”で、ついにスタート。いきなりステージの横幅いっぱいを使って、メンバーが登場。各メンバーが、10mは離れていて、ソーシャルディスタンス取りすぎじゃないか(笑)。

セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコが、思い思いに「祭りにしようぜ」と叫ぶ。間髪入れず2曲目は、“GiANT KiLLERS”だ。今日のバック・バンドは、演奏が上手いだけじゃなく、とてもパワフル。ハシヤスメが、「わたしからみんなに言いたいことが... ないぃ〜〜!!!」と叫んで“I have no idea.”に繋げる。分断がそこらじゅうで起こっている昨今、意見をいうのもはばかれるなか、2万人近く集めて、「言いたいことがない、逃げろ」ってみんなで大合唱するのは、もう痛快でならない。

自己紹介を挟み、“デパーチャーズ”と続く。この辺りまできて気付くのは、彼女たちは全く気負ってないってことだ。めちゃくちゃ楽しんでいるし、安定してるし、声を張りすぎていたり、スピードが走ったりもせず、とにかくみんながリラックスしている。つい先日、〈FOR LiVE TOUR〉@Spotify O-WESTで見せてもらった時と、会場がでかくなったこと、それによる照明や音響変化以外は、全く変わらない。なんかずっとツアーを回っている海外バンドを見ているようだ。大スターになって、毎日めちゃくちゃ忙しくなっても、それでもライヴを止めず、しかも大小関わらずライヴハウスを回りまくっているその自力は、もう4年前のBiSHとは全く違うと言っても過言ではない。

その自力は、5月の新曲“LiE LiE LiE”でもまったくブレることはなかった。毎月、新曲をレコーディングし、ミュージック・ビデオを撮影し、ダンス ver.も撮影する。この過酷スケジュールをこなしながらも、既存曲と遜色のないクオリティに仕上げるのは、並大抵の努力ではできないだろう。

そしてライブは、ボーカルディストーションがかかりまくった“CHOP”、会場が一体となって跳ねた“DA DANCE!!“と続く。太陽が落ち、山田健人監督のVJが入ってくる。モモコ作詞の“JAM”では、「一番なんて僕はいらないから 君にあげよう 誰かの上 立たなくてもさ輝けるはずだからがんばらなくていいよ」とBiSHが思い続けたメッセージが、オーディエンスに伝わっていく。そして大名曲“プロミスザスター”だ。山田監督の燃えるような映像の上で、アイナ・ジ・エンドが歌い上げる。ブロードウェイミュージカル『ジャニス』でも圧倒的な表現力を見せた彼女が歌うと、もう会場の空気が変わる。上手いミュージシャンはいっぱいいるが、ここまでの表現力を持ったミュージシャンはほとんどいないだろう。前半戦、見事なハイライトだった。

さて、お楽しみのコントだ。ハシヤスメが水を飲みたいのに、メンバーが水をくれないから、メンバーへ絶妙な悪口をたたく、彼女の妬み、僻みが表現されたネタだ。もうめちゃくちゃ笑わせてもらいました。ただ一つだけ残念だったのは、録画だったってことだ。もちろん時間などの理由があったのだろうけど、ハシヤスメコントオタクとしては、ウケない中でも突き進む、ある意味お客を置いていく彼女の滑り芸が最高だったわけで、今回に関しては、ちゃんと面白く編集されていて、ずっと面白かったので、オタクとしてはちょっと残念でした。

さぁ後半戦の1曲目は、寒くなってきた会場をダンスで温める“ぴらぴろ“。強大な会場のさらに端に設置されたお立ち台にリンリンやモモコが登り、アユニとアイナがスモークを放出し、山田監督のサイケ映像が炸裂し、もう会場は大騒ぎのやりたい放題だ。そして、畳みかける“ぴょ“! 30本ほどの火柱があがる。後ろの席だったのに熱い。前の席の人たちは大丈夫だったのだろうか... さらに、“MONSTERS”では、別の火柱が上がるし、メンバーはステージを駆け回り、会場を煽りまくる。さらにさらに、“NON TiE-UP”だ。2万人ほどのお客さんに、「おっぱい舐めてろ チンコシコってろ」はまずいって! でもそこは山田監督のVJが卑猥さをかき消し、アートパンクとして際立てていく。幕張から始まった山田監督とのコラボの最高傑作はまさにこの曲だと思う。圧倒的な楽曲と圧倒的なライブ力で清掃員を魅了し、大喝采に包まれた。

ラストスパートは、メンバーも清掃員も大好きな曲“サラバかな”。そして大合唱の“ALL YOU NEED IS LOVE”。本編最後は、2万人ほどのトゲトゲダンスが会場を揺らした“beautifulさ“で、一気に駆け抜けた。アンコールでは、真っ赤な衣装に着替えて作曲、Taka (ONE OK ROCK) / MEG、作詞、KENTA(WANIMA) によるキラーチューンの“サヨナラサラバ“。力強くロックで激しいサウンドが会場に響いた。

チッチが、「はじめてやった野外のワンマン・ライヴで、“オーケストラ”という曲を披露しました。そのときの“オーケストラ”がたくさんの人に出会わせてくれるきっかけになったと思います。」と伝え、“オーケストラ”が始まった。初めての野外のライヴとは、伝説となった〈帝王切開〉@日比谷野外音楽堂だろう。あの時の生のオーケストラとコラボした“オーケストラ“はすごかったし、本当にたくさんの人が、この曲からBiSHを好きになったことだろう。BiSHのとても大切な1曲が演奏された。そして、最後は“BiSH-星が瞬く夜に-”をもう一度ステージめいいっぱいを使って演奏し、メンバー紹介、さらには、何発も夜空に花火が打ち上げられ、大団円で〈BiSH OUT of the BLUE〉は終了となった。

彼女たちは、来年には解散することが決まっている。つまりメンバーは、もうそれぞれの道を考えはじめている。ずっとミュージシャンをやることを決めた人も、そうじゃない人もいる。こんな大きなステージには、解散したら、なかなか立つ機会はないことだって、メンバーはみんなわかっている。そして、このメンバーとも、別れなければいけないことをわかっている。だからこそ彼女たちは、こんなに楽しそうに、そして仲良さそうに、その一緒の時間を噛み締めながら演奏するのだ。そのことを一番わかっている精神的支柱のチッチが、最後に一言メンバーに向けて、そして清掃員に向けて「1人でもかけちゃダメだったね」って言ったことを、一生忘れることはできないだろう。7月の延期の際、少ないメンバーでやることもできたはずだし、実際にそういう話もでただろう。それでも、彼女たちはメンバー全員でコニファーフォレストに立つことを選んだのだ。残された時間を、このメンバーと清掃員で共有するために。その想いの強さを感じ、そのたった一言を聞いた時に、膝から崩れ落ちるほど感動したのだ。こんな景色を観せてくれてありがとう! そしてこんな景色が見れるなら、何度でも現場に足を運んで、彼女たちの勇姿を目に刻みつけておかなくちゃって思うのだ。

文 : 飯田仁一郎
構成: 西田健
Photo by 青木カズロー / Jon… / 夏目圭一郎

セットリスト
『BiSH OUT of the BLUE』※振替公演
2022年10月2日(日)
山梨 富士急ハイランド・コニファーフォレスト
1:BiSH-星が瞬く夜に-
2:GiANT KiLLERS
3:I have no idea.
4:デパーチャーズ
5:LiE LiE LiE
6:CHOP
7:DA DANCE!!
8:JAM
9:プロミスザスター
10:ぴらぴろ
11:ぴょ
12:MONSTERS
13:NON TiE-UP
14:サラバかな
15:ALL YOU NEED IS LOVE
16:beautifulさ
EC
17:サヨナラサラバ
18:オーケストラ
19:BiSH-星が瞬く夜に-

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