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2022/06/25 15:30

 

DURAN、“何かが始まる予感しかしない” ツアー・ファイナルで放った波動-OTOTOYライヴレポ

 

ギタリスト/シンガーソングライターのDURANが2022年6月23日 (木) 渋谷 Spotify O-EASTにてワンマンライヴ〈KALEIDO GARDEN TOUR FINAL〉を行い、ロングツアーで培ったバンドの一体感で観客を熱狂させた。

2ndアルバム『KALEIDO GARDEN』をリリース後、2021年11月21日千葉LOOKからスタートして7か月に渡って全国を回ってきたツアーは、ファイナルを迎えるこの日が38本目となる。会場にはバンドマンらしき人々の姿もあり、DURAN が“ミュージシャンズ・ミュージシャン”として支持されていることも伺えた。

バンドは、DURAN (Vo.Gt)、Shiho(Dr) 、MASAE(Ba)、鬼塚康輔(Sax)、松下ぱなお(Perc)の5人編成。ステージに姿を現したメンバーたちはいきなり一斉にものすごい爆音を鳴らす。DURANがShihoと向かい合ったのを合図に、ストラトで『KALEIDO GARDEN』収録曲“Revive”のイントロを弾き始めてライヴがスタートした。間奏で身をよじらせてソロを炸裂させ雄叫びを上げると、鬼塚のサックスがそれに共鳴して咆哮する。ドラムセットの上に立ち上がってギターを弾くDURANのリフはいつのまにか“Digital Detox”へと変わっていた。ベースだけでなくシンセも操るMASAE、松下のパーカッションで混然となったサウンドはまるでジャングルの中に放り込まれたかのようだ。

ヘヴィなリズムをバックに凄まじくエモーショナルなチョーキングを聴かせると、ギターをチェンジして始まったパンキッシュな曲はストゥージズのカバー“Loose”。MASAEがヴォーカルを取る場面もあり、前半からバンド全員のパッションが大爆発していて興奮が止まらない。DURANはフロアを見渡すと、

「渋谷!ツアーファイナルが来たぜ。今日で終わりなんだけど、何かが始まる予感しかしないよ、俺は」

と呟いた。1stアルバム『FACE』からは“ASIANLOVER”(アルバムではスガシカオをボーカルにフィーチャー)を披露。エコーが深くかかったハイトーンなヴォーカルがソウルフルに広がっていく。ドラム、ベース、パーカッションがミディアムテンポの気持ち良いグルーヴを生み出しながら徐々にアップテンポになり、DURANの叩きつけるような弾丸リフへとリレーして “Voodoo In Me”へ。歪んだギター、ベースの音がビリビリとフロアに響く。

残響音がフェイドアウトしていくと、静まり返ったステージは幻想的な照明に包まれて、『KALEIDO GARDEN』でも印象的なバラード“Love Affair”が歌われて空気が一変した。続いてディレイがかかったリフにMASAEがベースで呼応しながら、センターマイクを挟んで“Good Rider”をDURANと共に歌うと、フロアからは思わず歓声が上がった。「Shiho!MASAE!」と紹介されたリズム隊の2人は、向かい合って2人だけのセッションを繰り広げた。

「ブルースやろうか!?」

と、始まったのは、ジミ・ヘンドリックスの演奏で知られるブルースナンバー“Red House”。これがすごかった。喋っているようなチョーキングが感情を揺さぶる。それまでの曲よりも生々しさがむき出しになったギターの音と情念のこもったヴォーカルが目の前に迫ってくる様は、たまらなくエキサイティングで、真っ赤に照らされた照明も相まってどっぷりとブルース沼に浸かった。

アルバムを象徴する曲の一つで、Black Lives Matterをテーマに書かれた“No In Between (It's Time to Do or Die)”で混沌としたサウンドを聴かせると、スローなリズムの中で祈るようなギターを弾くDURAN。時折、自らの歌声をユニゾンさせて、より感情を乗せていく。天を翔るようなサウンドスケープが広がって行った。

「やっぱり俺、ブルース好きなんだよね(笑)。どうしてもブルースに行っちゃう」

とブルージーなフレーズを弾きながら、“My Missing Piece”へ。スポットライトを浴びながら途中までギター1本で歌い上げ、後半でバンドが加わるドラマティックな展開を聴かせた。コンガのソロに合わせて“Sampaguita”のリズミカルなフレーズが始まり、長いサックスソロがバンドを牽引する。そのまま、サックスソロ曲“Hazy Waves”でアンビエントなムードたっぷりな演奏を聴かせて、観客から大きな拍手が沸き起こった。

ステージには906、Westieが登場して、7月12日にリリースされる未発表の新曲 “Zankon (Devil Talkin' Blues) ”が初披露された。続いて906とのコラボシングル“Don’t Go Waste (feat.DURAN)”もプレイ。曲中でDURANがギターを渡すなど鋭さの中にもリラックスしたムードも。DURANもジミヘンの“Voodoo Chile”を弾いてみたりと最高に楽しそうだ。『KALEIDO GARDEN』で共演した“Leavin’ It All Behind feat. 906 / Nine-O-Six” での906のラップにフロアから右手が上がり大いに盛り上げた。

DURANとShihoによるド迫力のセッションでは、ブラック・サバス「Iron Man」まで飛び出した。さらに2人がパートをチェンジしてギターを持ったShihoがセンターへ。DURAN がドラムを叩きながら観客を煽る。Shihoがギターを弾きながらメインボーカルを取り、パンク・チューン“愛の為に死ぬのが性”(Made in Asiaのオリジナル曲)を歌い大喝采を浴びた。

クエンティン・タランティーノ監督の映画『パルプ・フィクション』でおなじみ、ディック・デイルによるサーフロック・インストの名曲“Misirlou”で盛り上がると、6月15日にリリースされた新曲“Shades Of Night”へと突入した。嵐のような轟音が最高に痺れる。カオティックなムードの余韻が漂う中、インスト曲“Karma” へと続き、叫び声を思わせるチョーキングから、アルバムでも終盤に収録されているファンクチューン“Put The Gun Down”へとなだれ込んだ。延々と続く横ノリのビートが心地良い。後半、“All Is Beautiful And Fair”へと移行してアップテンポになると、会場が手拍子でバンドを逆に煽る。サックス、パーカッションの掛け合いとなり、森秀輝、福岡たかし、906も交代でパーカッションに加わる等、遊び心全開なパフォーマンスを見せて、バンドはステージを降りた。

アンコール、 “Love The Way You Move”では松下によるパーカッションソロ、MASAEはステージ左右に移動してベースソロを見せ、鬼塚がサックスソロでDURANと向かい合い、両者しゃがみ込んで対峙する。フロアの観客にギターを手渡して演奏させるシーンもあり(しかもめちゃくちゃ上手かった)自由極まりないステージングでライヴは終了。と思いきや、いったん下がってすぐにステージに戻るDURANにメンバーも慌ててステージへ、を2回繰り返して本当にライブは終了。エンディングでは、メンバー、ゲストがステージ前に勢ぞろいした。

「最高!本当にありがとうございました。最近、ロック・ミュージシャンは肩身が狭いですけど。特に僕みたいなギタリストは絶滅危惧種なんで(笑)」と自虐的に話すDURANに、音楽的にマイノリティであることこそ本物のロック好き、とばかりに大きな拍手が送られる。

「去年の11月からツアーが始まって38本!最高でした!ありがとうございました。ツアーは終わりますけど、何かが始まる予感でもあります。これはバンドなんで」と、改めてメンバー、ゲストを紹介。最後は、「みんなまたおいで。ホンモノを見たかったら俺のライヴに来い!」と力強く、思いっきり説得力のあるひと言でツアーファイナルを締め括った。長いツアーで培ったバンドの一体感が放つ波動が身体中に残る、最高のライヴだった。DURANの「何かが始まる予感」に、これから大いに期待したいと思う。尚、7月12日にはこの日披露された新曲「Zankon (Devil Talkin' Blues)」が配信リリースされる。

取材・文:岡本貴之
写真:Toshinari tani

リリース情報
DURAN ニューシングル
「Zankon (Devil Talkin' Blues)」
2022年7月12日(火)配信リリース

ライヴ情報
DURAN〈KALEIDO GARDEN TOUR FINAL〉
2022年6月23日 (木) 渋谷 Spotify O-EAST
〈セットリスト〉
1.Revive
2.Digital Detox
3.Cannon
4.Loose
5.Asian Lover
6.Voodoo In Me
7.Love Affair
8.Good Rider
9.Red House
10.No In Between
11.My Missing Piece
12.Answers 2
13.Sampaguita
14.Hazy Waves
15.Zankon (Devil Talkin' Blues) w/ 906, Westie 
16.Don't Go Waste w/ 906
17.Leavin' It All Behind w/906
18.Shiho & DURAN(セッション)
19.愛の為に死ぬのが性
20.Misirlou
21.Shades Of Night
22.Karma
23.Put The Gun Down~All Is Beautiful And Fair
アンコール
24.Only Love
25.Love The Way You Move
26.Phantasmagoria

アーティスト情報
・DURANオフィシャル・ウェブサイト
https://duranguitar.com

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