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2021/05/30 23:20

 

【ライヴレポート】またWACKに一風変わったパンクなグループが現れた! ──ASPワンマン・ライヴ〈これはASPのワンマンです。〉at 中野Heavy Sick Zero

 

ASPの初ワンマンを109シネマズ川崎で見ることになった。感染対策が重視され、レポートを書くのであっても中野heavysick ZEROでは見ることはできなかったのだが、109シネマズ川崎で行うパブリックビューイングにご招待いただいた。

パブリックビューイングとはどういうことかというと、5月20日にいきなり以下のようにWACKより発表された(以下抜粋)。
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この度、ASPの1stフルアルバム「ANAL SEX PENiS」発売を記念し、5月30日(日)に1stワンマンライブの開催が決定致しました!! ワンマンライブにご参加いただくためにはワンマンライブ前日に行われます、豪華商品の当たる福引抽選会にご参加いただく必要がございます。

【公演詳細】
これはASPのワンマンです。
2021年5月30日(日) 中野Heavy Sick Zero
OPEN16:30 START17:00

【チケット入手方法】
11:00より18:30までASPのデビューアルバムをMULTiPLE MANiACSにて販売いたします。アルバム1枚ご購入につき、抽選券を1枚配布いたします。 抽選券をお持ちになり、その抽選券に記載されている時間に二葉ビル4階にお越し頂き、福引抽選会にご参加いただきます。

【景品内容】
1等 高級炊飯器
2等 松阪牛ギフト券
3等 豪華旅行カタログ
4等 ASP 『これはASPのワンマンです。』ライブ鑑賞券
5等 ASP 『これはASPのワンマンです。』ライブビューイング鑑賞券
6等 ASPオリジナルポケットティッシュ
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WACKのワンマンは、今やどんな新しいグループだろうと期待値が高く、もはやheavysick ZEROのキャパシティでは難しくなっているのが現状だ。そんな時に、第3期BiSの初ワンマン時にチケットを取れなかった研究員が行っていたという上映会にヒントを得たのが、この映画館を使ったパブリックビューイング。しかも今回はニコ生はなしで、抽選でライブビューイング鑑賞券も配られるという。一度しかない初ワンマンを映画館の大画面で生で観れるのは不思議な気持ちだ。そしてheavysick ZEROには、くじ引きでチケットを引き当てた超幸運な15人ほど。109シネマズ川崎には250人ほどが集まった(しかし高級炊飯器や松阪牛ギフト券が当たった人がどんな気持ちなのかはもはや想像することができない…)。

109シネマズ川崎では、まず渡辺(淳之介)が出てきて挨拶を行い、ASP三箇条を読み上げる。これは映画館に来たファンには嬉しいサプライズだ。

ASP三箇条!!!
1, ファンの総称は、ならずもの
2, 写真はOK(映画館でも)。動画はアウト。
3, 社会の情勢を鑑みて節度を持ってね。でもコロナ禍過ぎたらみんなで暴れようね。

そして渡辺は、映画館のど真ん中に座り、皆で観戦することとなった。デビュー・ライブでいきなり映画館を借り切ってのライブビューイングは、おそらく世界初だろう。さてさて、いったいどうなるのか?

ステージにメンバーが登場し、アルバム『ANAL SEX PENiS』より一曲目の“拝啓 ロックスター様”がスタート。そして“A Song of Punk”、“BE MY FRiEND”“被害者ぶるな”と続く。なんと、アルバムの曲順どおりだ。

曲は映画館の爆音もあり、ギターのジャキジャキの部分が強調され、松隈ケンタと渡辺がやりたいパンクサウンドが存分に発揮されている。特に、我々に最も早く公開し衝撃を与えた“拝啓 ロックスター様”のサビは、爆音で聴くとよりキャッチーだし、メンバーに最初に渡されたという“A Song of Punk”は音源で聴くよりエモーショナルで、彼女たちの「やってやる!」感がめちゃくちゃに伝わってくる。

ライブで見るとメンバーの特徴がより際立っていた。元CARRY LOOSEのユメカ・ナウカナ?は、歌のピッチ、ダンスともに抜群で、誰よりも安定していてメンバーをしっかり牽引している。最初は少し緊張気味だったモグ・ライアンは、しっかり歌を届けようという気持ちが伝わってくるし、緊張がほぐれた後半戦でぐんぐん良くなってくる姿に可能性を感じた。WAgg出身のナアユは、表現力が素晴らしく、彼女が歌っている姿を見るとどんどんひきこまれる。心配だった足も大丈夫そうだし、ASPのエモーショナルな部分を担っていた。そして、今回が全く初めてのステージだというベールに包まれていたナ前ナ以! その存在感の強さに度肝を抜かれた。無表情だと思っていると一転目を見開いて歌うし、感情の起伏や熱さはスクリーンを通しても直接伝わってくる。合宿オーディションを受けたにも関わらず、合宿はパスしてASPに加入したのも頷ける実力の持ち主だった。

4曲目“被害者ぶるな”では、キーが高いにも関わらず裏声に行かず、絞り出すように叫んでいたナアユとナ前ナ以。目を見開いて泣いているようにも見える顔で「這いつくばって生きていく」と叫ぶ“WAiT and WASTE”や、「できるはず 証明したい」と必死に歯を食いしばって踊る“NOW or NEVER”からは、メンバーの意思がダイレクトに伝わってくる。“DiVE”では拳をつきだして踊るし、“GO STRAiGHT”ではモグ・ライアンが過去の自分に伝えたいという「真っ直ぐに行け」という言葉を叫ぶ。

なんてエモーショナルなグループだろうか。そのエモーショナルな部分は、怒っているようにも感じる。ただしそれは周囲や状況ではなく、彼女たちが進みたくても進むことをしなかった過去の自分への怒りで(個別インタビュー参照https://ototoy.jp/feature/2021052801)、ここからは絶対に諦めないという過去の自分への決別の意思を感じ、こちらまで同じ気持ちになった。
前半戦が終了、メンバーはそれぞれの気持ちを伝えていく。

ユメカ・ナウカナ?
私の夢は、宇宙一のアイドルになること。でもそれがなんなのかは、具体的にわからないまま言っていたけど、宇宙一のアイドルは、いつでもわくわくする気持ちを届けてくれるものだと思っています。だからそういう気持ちを届けてくれるWACKが好きになってWACKに入りました。なので、みんなにわくわくドキドキする気持ちを全力で伝えたいし、私も全力で楽しみたいと思っています。

ナアユ
私は自分を信じれなかったし、何もかもに自信がもてなくて大っ嫌いでした。でもASPが始まる時、弱い自分を受け入れて信じて自分に嘘をつかないって決めました。今、こうやってステージにたって歌う自分とASPがより好きになりました。今度はみなさん一人一人の世界を、今よりも生きたいって思えるように私が変えます。

ナ前ナ以
私はすごく運が良くて、努力しなくても、欲しいものを手に入れてきました。けれど、ASPに加入してから、もっともっと欲しいものができて、それは努力しないと頑張らないと手に入れられないって気づきました。だからASPで新しい人生を始めます。皆さんと新しい人生を始めたいです。

モグ・ライアン
私は、檻をぶっ壊し自由を求めてやってきました。今ASPという場所と、はじめての仲間ができて、毎日感じることがたくさんあって、生きてるって実感できてて、苦しいけどすごい楽しい。過去の自分を捨て去って、どんなことがあってもこのメンバーで ASPを続けていきたいです。

そしてモグ・ライアンが、タイトルをコールし、“The Emperor’s New Clothes”で後半戦がスタート。メンバーの緊張がほぐれてきたのだろうか、楽曲の持つパンク要素も相成り、グルーブはどんどん加速していく。学校時代の後悔を歌う“WARRiES”は決して暗くなることなく前向きだし、モグ・ライアンが「僕はダメと 価値がないと なにもかも 諦めないで」と過去の自分に歌う“TRUST MYSELF”の落ちサビの部分は、彼女の強い気持ちが伝わってきて彼女の可能性を存分に感じることができた。アルバムの中でも筆者が特に好きな曲“SAKEBE”は、ASPのエモーショナルな部分を「叫べ こわせ」と目をひん剥いて表現するのが、もはや爽快だった。

最後のMCでユメカが「どんなことがあっても、なんでもできるの精神でやっていきます。どんだけ苦しくてもずっと続くことではないし、もし間違えてしまってももう一度やり直せばいいから大丈夫。いろんなことが待ち受けていると思うけど、ならずもののみんなと手を取り合っていけたらいいな。それでは最後めちゃくちゃになりましょう」と言って“レリゴ”がスタート。このMCと“レリビ”を連想させるタイトルからは、どうしても一期BiSの横浜アリーナを思い出してしまう。あの最後のライヴで、会場をかけめぐったあの祝祭感の塊のような自由なライヴをぜひASPで成し遂げて欲しい。コロナが終焉したらぜひ大暴れさせて欲しい。

そして、アンコール。ユメカが発した言葉に、会場が爆笑に。だって「アルバム全13曲やるよー」って。「ん? バカなのかな?w」。アンコールで、もう一度全曲やるって... もはやこの暴挙を許していいのか! と思っていたら、2週目は会場にいるならずものたちのフリはすでに完璧になっているし、メンバーもあからさまに楽しそうだし、変な納得感に支配されてしまいました。しかもアンコールはMCなし。前半より後半の方が、本編よりアンコールの方がよりグルーブが増しているのは、まだまだASPが発展途上であり、そして可能性の塊であることを感じることができて面白い。今日はもうお腹いっぱいですが、またすぐASP欲しくなるだろうな。

ASPはとても面白いグループだと思う。WACKの中でももっともサウンドはパンクで、他のグループに比べてオケのボリュームがとても大きくボーカルは小さめのミックスだ。また、いつもならニコ生で無料でオープンに配信していたのに、今回は限られた人のみしか見れないライヴビューイングという形をとった。アー写は顔が半分隠れているし、メンバーが持っている個性を無闇に発信していないように見える。これはパンクが持つコミニティの面白さを渡辺が意図的に狙ったものではないかと考えている。パンクの7inchなどは、決してオリコンやマスメディアではフィーチャーされないが、支持を集めているパンクバンドの7inchなどは一瞬で売り切れ、高値で取引されている。そういうシーンのコミュニティはとても強固で、マスメディアに簡単に消費されることはない。BiSHなどでマスに対して大きく成功したけれど、それでも面白く刺激的なことをやり続けたい渡辺が、新しいグループを登場させる中でマスで普段やっているやり方とはまったく別の、このようなオープンではないコミュニティーの強さに目を向けたのは必然のように感じている。もちろん彼はそういうコミニティに刺激を受け音楽に触れてきた人だし、リスペクトの気持ちを強く持っているのは周知の事実だ。ASPでは、今までのWACKのやり方ではない形でまたワクワクさせてくれそうで、期待は止まないのだ。

文 : 飯田仁一郎
構成 : 西田健
photo by YUKI Ohashi

〈これはASPのワンマンです。〉
2021年5月30日(日)東京都 中野heavy sick ZERO

セットリスト
1. 拝啓 ロックスター様
2. A Song of PunK
3. BE MY FRiEND
4. 被害者ぶるな
5. WAiT and WASTE
6. NOW or NEVER
7. DiVE
8. GO STRAiGHT
9. The Emperor’s New Clothes
10. WARRiES
11. TRUST MYSELF
12. SAKEBE
13. レリゴ
En1. 拝啓 ロックスター様
En2. A Song of PunK
En3. BE MY FRiEND
En4. 被害者ぶるな
En5. WAiT and WASTE
En6. NOW or NEVER
En7. DiVE
En8. GO STRAiGHT
En9. The Emperor’s New Clothes
En10. WARRiES
En11. TRUST MYSELF
En12. SAKEBE
En13. レリゴ

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■ASP公式アカウント
ユメカ・ナウカナ? : https://twitter.com/asp_0001
ナ前ナ以 : https://twitter.com/ASP_0002
モグ・ライアン : https://twitter.com/ASP_0003
ナアユ : https://twitter.com/ASP_0004

ASP 公式twitterアカウント : https://twitter.com/ASP_idol
ASP 公式SoundCloud : https://soundcloud.com/asp_idolude

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