2017/05/01 19:36

USツアーを経てパワーアップしたCHAI、最強の2nd EP『ほめごろシリーズ』をリリース!

今年3月に米国で開催された世界最大級フェスティバル〈2017 SXSW Music Festival〉内で開催されるJapan Niteに出演し、その後7都市に渡る全米ツアーを敢行したCHAI。USツアーから帰ってきて、さらにたくましさを増した彼女たちの2nd EP『ほめごろシリーズ』がリリース。本作にはCHAI初のアナログ・リリースとなった「Sound & Stomach」「ボーイズ・セコ・メン」をはじめとした5曲を収録。オトトイではこちらをハイレゾ配信中です! さらに今回はOTOTOYインターン5人によるクロス・レヴューを掲載。CHAIメンバーとほぼ同世代の彼らにとって、CHAIの音楽はどんな風に聞こえているのか、その音楽からはどのようなものを感じ取っているのか、語ってもらいました。ぜひ音源と共にお楽しみください。

パワー・アップしたCHAIの2nd EP!!!


【REVIEW】CHAI『ほめごろシリーズ』

「Sound & Stomach」Text by 千田祥子(20歳)

ライヴハウスでCHAIをはじめて聴いたとき、演奏のかっこよさに加えおもちゃ箱をひっくり返したような音楽がとっても楽しく、一気に魅了されたのを覚えている。

マナ・カナの飛び跳ねるような歌声、ユウキ・ユナの重厚なリズム隊。それらはすーっと体に入るわけではなくどこかいっこおもしろくてひっかかる、でも頭から離れない。そのクセのある感じが好きだと思った。

今作『ほめごろシリーズ』のM1「Sound & Stomach」はOTOTOYに向けて書き下ろされた。”音”と”胃”で“オトトイ”。なんともCHAIらしいユーモアがある。〈聴いても聴いてもまだ足りない、もっとちょうだい!〉と歌ってくれて嬉しい限り。ハイレゾレボリューションなんてお見事な表現。ユーモアたっぷりな歌詞とは裏腹に演奏はバッチシ。終盤前ベースラインの盛り上がりからのサビのゾクゾク感がたまらない。これを聴くとCHAIがもっともっと欲しくなる! まだまだ足りない。気付いたらあなたもCHAIのトリコになってるはず! (Text by 千田祥子)

CHAI/Sound & Stomach
CHAI/Sound & Stomach

「クールクールビジョン」Text by 那須凪瑳(21歳)

印象的なサイレンの音から勢いそのままに攻撃的なギターのリフへと繋がり始まる「クールクールビジョン」。

タイトルだけ見ると、CHAIの思い描くクールで華やかな将来像の曲かと思う。しかし、歌われているのは思い通りにいかない現代社会への「怒り」や、誰もが持っているであろう将来への「不安」や「葛藤」である。そんな「負」の感情を〈I love フェイスもいいけど I side me も見てよ〉というように、明るくポップに歌い上げてしまう。おもしろおかしい歌詞で現代社会へ毒を吐き、ポップなサウンドで気分を上げてくる。

真っ向から「頑張れ!」といってくれる曲がいくら存在しても良い。ただCHAIの曲は私たちの代弁者となってくれて、聴き終わると「まあいっか!」と自然と前を向かせてくれるのだ。ポップで可愛くて、でも毒を持ち合わせた彼女たちの魅力がぎゅっと詰まった1曲となっている。何かに疲れ果ててしまった人、動き出さなければいけないのになかなか行動に移せない人に、ぜひ聴いてほしい。

「ボーイズ・セコ・メン」Text by 宮尾茉実(21歳)

「ペトロールズの廃番になったCD、うちにあるからくる? 」って誘われるのが夢だった(夢に終わった)。そういう真正面から始める恋愛よりも、探り探りな恋愛の方がドキドキするのは“女の子のあるある”ではないだろうか。しかしそういった恋愛には、セコくてズルくてヤスい男が付き物だったりする。そんなもんやりした恋愛渦中に身を投じている女性をサポートする曲「ボーイズ・セコ・メン」を歌ったのが、“NEOカワイイ”を提唱する女バンドCHAIだ。

Tom Tom Clubの「Genius of Love」を彷彿させるようなポップでキュートな部分をダンサンブル、且つロックに歌い上げ、小さくなった彼女達が耳元でセコい男には気をつけろと危険信号を発信する。恋愛にもコンプレックスは付き物であり、男が35億いようがいまいが関係ない。そのコンプレックスという厄介物を煎じ詰めて詰めきってCHAIのエッジの効いたオルタナ・スパイスを加えれば、こんなにもほめごろしたくなる中毒性溢れる作品が出来上がってしまうのだ。彼女達も相当罪深い。

CHAI/ボーイズ・セコ・メン
CHAI/ボーイズ・セコ・メン

「ヴィレヴァンの」Text by 高橋秀実(22歳)

『ヴィレヴァンの』。このタイトルを見て、まず何を思うだろうか。「あ、よくあるヴィレヴァン好きな人あるあるでも歌ってるんだろうな」是非そう思った人にこそこの曲を聴いてもらいたい。

ドラムとベースが織りなす味わい深いグルーヴから始まるこの楽曲。本人たちが思うヴィレッジヴァンガードを、ユニークな歌詞で歌って(紹介して)いる。あくまでも歌っているのは「ヴィレヴァン」であり、「ヴィレヴァンが好きな人」ではない。この僅かな差が、オリジナリティを生み出す決定的な差であり、ここまで“ヴィレッジヴァンガード”そのものについて歌う楽曲は今までなかっただろう。

ドラムとベースの唸るようなリズム隊を中心に、ローファイなギター。まるで地下にあるヴィレヴァンの店内を探り探りで歩いているような不穏さと静かな興奮を表したようなサウンド。勝手にヴィレッジヴァンガードとコラボするほどヴィレヴァンのファンであるCHAIなりの、100%のヴィレヴァンへの愛が感じられる。

CHAI/ヴィレヴァンの
CHAI/ヴィレヴァンの

「sayonara complex」Text by 阿部文香(20歳)

「sayonara complex」は普段のエキセントリックな作風とは打って変わって、聴きながらそのまま眠りたくなるような、スロー・テンポで穏やかな楽曲となっている。

とはいえ言葉選びはさすがCHAI。美しいコーラスに乗せて、女の子誰もが抱えるコンプレックスを肯定する歌詞となっているのだ。特に〈飾らない素顔の そういう私を認めてよ〉という歌詞は、“女の子だから”と「かわいさ」を求められる世間へのストレートな批判にすら受け取れる。恋愛の場で「かわいさ」を求められ、社会に出ても“就活メイク”に代表されるように、「かわいくあること」を求められる。それでいて近年のすっぴんブームのように、化粧で作り込むことには否定的な意見が多い。コンプレックスが多ければ多いほど、生きづらくなることだろう。

しかし、この曲はそんなコンプレックスさえ肯定してくれる。〈Thank you my complex〉コンプレックスも個性に変えられるんだよ、と。これは多くの女の子にとって救いとなるのではないだろうか。〈“かわいい”はモチベーション〉だけど、〈かわいいだけのわたしじゃつまらない〉。カワイイを掲げながらも我が道を突き進むCHAIだからこそ、説得力を持つ歌詞だと感じた。

CHAI/sayonara complex
CHAI/sayonara complex

過去作もチェック!

CHAI / Sound & Stomach / ボーイズ・セコ・メン

配信サイトOTOTOY×日本で唯一のレコードプレスメーカー東洋化成のコラボレーベル“TOYOTOY”の第一弾流通作品としてリリース! CHAI初のアナログ・リリースとなった作品をハイレゾにてご用意! 今作にも収録されている「Sound & Stomach」「ボーイズ・セコ・メン」の2曲を収録。

この作品に関する特集ページは以下から
CHAIのレコード工場見学記@東洋化成
“NEOかわいい”最強オンナバンドの結成話やルーツを深く掘り下げる!

CHAI / ほったらかシリーズ

CHAIの1st EP『ほったらかシリーズ』はパンチ力抜群! バイアグラのことも歌にしてしまう、そのユーモアのセンスはさすがといったところ!

LIVE SCHEDULE

〈絶景クジラ presents 鯨戦(ゲーセン)〉
2017年4月28日(金)@心斎橋LIVE HOUSE Pangea
出演 : CHAI / 絶景クジラ

〈CANAL FRINGE FES. ~驚きと笑いのパフォーマンス芸術祭~〉
2017年5月7日(日)@キャナルシティ博多
出演 : CHAI / 他多数

〈西風vol.33〉
2017年5月7日(日)@PEACE
出演 : CHAI / NYAI / folk enough / ALTER EAGO

〈ヤングライオン祭’17〉
2017年5月14日(日)@大阪城音楽堂 (晴れ)
出演 : CHAI / 他多数

〈森、道、市場2017〉
2017年5月14日(日)@大塚海浜緑地(ラグーナビーチ)&遊園地ラグナシア(愛知県)
出演 : CHAI / 他多数

〈Tequeolo Caliqueolo presents キョロキョロキョート2017〉
2017年5月20日(土)@京都FANJ
出演 : CHAI / Tequeolo Caliqueolo / 加速するラブズ / asayake no ato / 神頼みレコード / Ring Ring Lonely Rollss / 愛はズボーン / about a ROOM / リコチェットマイガール

〈”ロード・ツー・ダ・GRAMMYs” season3〉
2017年5月24日(水)@TSUTAYA O-NEST(東京)
出演 : CHAI / Helsinki Lambda Club

〈Shimokitazawa SOUND CRUISING 2017〉
2017年5月27日(土)下北沢サーキットイベント
出演 : CHAI / 他多数

〈第一回研究発表会〉
2017年6月14日(水)@新宿LOFT
出演 : CHAI / Creepy Nuts(R-指定&DJ松永) / SURVIVE SAID THE PROPHET / w.o.d. / The Songbards / ムノーノ=モーゼス / ムツムロアキラ(ハンブレッダーズ)

〈YATSUI FESTIVAL!2017〉
2017年6月17日(土)@渋谷サーキットイベント
出演 : CHAI / 他多数

詳しいライヴ情報はこちら

PROFILE

CHAI

ミラクル双子のマナ・カナに、ユウキとユナの男前な最強のリズム隊で編成された4人組、『NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド』、それがCHAI。
誰もがやりたかった音楽を全く無自覚にやってしまった感満載という非常にタチの悪いバンドで、2016年の春以降、突然いろんな人が「CHAIヤバい」と韻を踏みながら口にし始め、ある日突然ノンプロモーションなのにSpotify UKチャートTOP50に代表曲『ぎゃらんぶー』が突如ランクイン! (※最高位36位)。2017年SXSW出演と初の全米8都市ツアーも決定し、4月26日に今現在のCHAIのヤバさがすべて詰め込まれた2nd EP『ほめごろシリーズ』をリリース。
その常軌を逸したライヴ・パフォーマンスを観てしまった全バンドマンがアホらしくなってバンド解散ブームすら起こりかねないほど、彼女たちに触れた君の2017年度衝撃値ナンバーワンは間違いなく『NEOかわいいバンド』、CHAIだよ!

アーティスト公式HPはこちら

[レヴュー] CHAI

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