2014/10/29 20:51

カイモクジショウ”は世界を震撼させるのか?ーー自身のレーベルより1stアルバムを先行ハイレゾ配信&1ヶ月密着記事を掲載

なんて世界観なんだ!! 鬼束ちひろ+TOOL、Cocco+Deftonesと形容されるラウドで混沌としたサウンド。彼らは11月5日(水)に待望の1stアルバム『JIDOU』のリリースを控えるバンド、カイモクジショウ。西田夏海(Vo.)、高橋裕樹(Gt.)、上田哲也(Dr.)からなる3人組の彼らは、ベースレスを感じさせない厚みのある轟音サウンド、ときに凶暴さを見せる圧倒的歌唱力を持つヴォーカルを武器に、日夜ライヴハウスで観た者の目を丸くするようなパフォーマンスを繰り広げている。その評判を聞きつけたプロモーターから直々に声がかかりオーストラリア・ツアーを行うなど、その実力は折り紙つきだ。そんなライヴ・バンドである彼らの魅力に最大限迫るため、現在OTOTOYではリリースまでの約1ヶ月間、バンドに密着した取材を決行!! 第1回目となった前回のレポートでは、強さも弱さもさらけ出したバンドのリアルな姿をお届けした。第2回目となる今回は、10月上旬に行われた2本のライヴに足を運び、大学生ライターの鶯巣大介が、彼らの新作について、音楽について質問をぶつけた。またリリースに先駆け、OTOTOYでは本日10月29日より、カイモクジショウの1stアルバムの1週間先行リリースがスタート。この記事とあわせてぜひ彼らの音楽を体感してみてほしい。そして、11月14日(金)は、四谷Outbreak! のレコ発ワンマンで彼らを体験してほしい。

自分たちのレーベルから、自分たちの力で完成させた待望の1stアルバム

カイモクジショウ / JIDOU
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV、mp3

【価格】
単曲 200円(税込) / まとめ購入 1,500円(税込)

【Track List】
1. oleil(inst) / 2. BALANCE / 3. BUSKET
4. hourglass / 5. overcast(inst) / 6. OPAL
7. DRAPE / 8. 封 / 9. molt(inst) / 10. シルバー
カイモクジショウ 1stAlbum「Jidou」 Trailer BUSKET ver.
カイモクジショウ 1stAlbum「Jidou」 Trailer BUSKET ver.

カイモクジショウ”は世界を震撼させるのか?ーーOTOTOY密着レポート第2回

10月3日、カイモクジショウのライヴを観に三軒茶屋HEAVEN'S DOORへ。西田がステージに腰をかけ、祈りのようなロング・トーンを響き渡らせる穏やかな曲からライヴは幕を開ける。バンドのサウンドが絡みあい、徐々に高まっていくさまがとにかく美しく、聴き惚れてしまった。しかし、カイモクジショウの曲展開は実に多様だ。ありきたりな表現になってしまうけれど予想がつかない。しっとりとした場面に見とれていると、急にガッと距離を詰められ、鋭利な刃物で胸元をえぐられるような性急さがある。気が付くと、ついさっきまで美しい女性的な歌声を聞かせていた西田が、今度はダミ声で叫び散らしていた。

また彼らのライヴはヴォーカルだけに留まらず、楽器陣においてもふんだんにアドリブの要素を取り入れている。この日の演奏の最中にもぱたっと演奏が止まり、西田が「金曜日の夜、そして土曜日の夜、サザエさん症候群、探したくない」と意味があるのかないのか分からないセリフを呟く。ギターの高橋、ドラムの上田がともに集中して顔を見合わせる。上田がタイミングを見計らってドラムを叩き始め、再び轟音の塊をフロアに投げつけた。

翌10月4日もカイモクジショウはライヴを予定しており、再びメンバーが待つ会場へと向かう。この日は演奏前に、フランクな形ながらも、メンバーとの会談の時間を設けてもらった。まず僕が聞きたかったのは、アドリブありきでのライヴ演奏について。話を伺うと返ってきたのは「ライヴで育つんですよ、曲が」という上田からの興味深い答えだった。詳しく聞けば、100%完成させてから楽曲をライヴで披露するというよりも、ライヴを通して作り上げていくという、ある種彼らにとってライヴとは制作の場と同じ意味を持つようだ。そういった過程を経るうちに、だんだんとニュアンスが変化していき、当初の形とはまるで雰囲気が変わった曲や、ボツになった曲がいくつかあるという。

2年ぶりにリリースされるニュー・アルバム『JIDOU』には、約600日におよぶ彼らの活発なライヴ活動のなかで、曲を作っては演奏し、気に入らなければ消してといった循環を繰り返し、そこから生き残り、さらに研磨された楽曲たちが収録されている。じゃあその今作の楽曲たちはどういった音楽を目指し、どういう意図のもと生み出されたのか。その点について聞いてみるも、上田から「アルバムに対する明確な目標とか、芸術的な目標を聞き出そうとしても無理です(笑)。こうしよう、ああしようって言って作ってるものでもないし」と言われ、意気込んで質問した僕は少々面食らってしまった。

カイモクジショウは特定のジャンルにこだわって音楽を作っているわけではない。サウンド面からラウド・ロックと形容されることが多い彼らだが、意外なことにメンバー全員そのつもりは一切ないという。そもそもメンバーが好んで聴く音楽を挙げるとするなら、西田はカントリー、昭和歌謡からビョークやCoccoなど、高橋に至ってはエイフェックス・ツインなどのエレクトロ・ミュージック。3人の趣向は全く異なっていると言っていい。メンバーそれぞれから、好きな音楽を聞き終わると「わかったけど、どうしてそれがカイモクジショウのあの音楽になるの?」と少し笑ってしまった。

しかし、そういった3人が演奏のなかでのアドリブ、即興という形式で曲作りをすることで、バラバラな音楽的趣向が混ざり合い、特異で唯一無二なサウンドに結びついている。西田が自分たちの音楽について表す言葉を探しながら、「なにかを目指してこだわるんじゃなく、こだわってなくてやった結果、こんなテイストが生まれました」と語っていたのが印象的だった。目的地も持たず、考えも違う3人が思い思いにそれぞれのオールを全力で漕いでいるのがカイモクジショウだ。明確なゴールを決めていないからこそ、到達点は予測不可能であって、だからこそおもしろい。

小1時間程度の話も終わり、カイモクジショウはステージへと向かう。この日はライヴハウスのスタッフの誕生日企画ということで、全体的にピースフルな雰囲気が流れるなか、カイモクジショウは圧巻のパフォーマンスを披露。終演直後に、会場の誰かが呟いた「すげぇ」という言葉がすべてを表しているような演奏だった。

ニュー・アルバム『JIDOU』は、ライヴを軸としたカイモクジショウの活動から生み出された産物だ。今作を聞けば、彼らがどういったバンドなのか理解してもらえると思う。けれどもそれは、カイモクジショウの一端にすぎない。彼らの最新の姿は常にライヴのなかにあるのだから。ぜひとも『JIDOU』をきっかけに彼らが演奏するライヴハウスへと足を運んでみてほしい。

取材&文 : 鶯巣大介

カイモクジショウ / BUSKET(MV)
カイモクジショウ / BUSKET(MV)

to be continued… 11月14日(金)四谷Outbreak! のレコ発ワンマンへ

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LIVE SCHEDULE

2014年10月29日(水)@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
2014年11月14日(金)@四谷Outbreak!(レコ発ワンマン)
2014年11月19日(水)@新潟GOLDENPIGS BLACK STAGE
2014年11月23日(日)@十三FANDANGO
2014年11月28日(金)@立川BABEL
2014年11月29日(土)@桐生VAROCK
2014年12月3日(水)@四谷Outbreak!
2014年12月5日(金)@新松戸FIREBIRD
2014年12月10日(水)@下北沢club251
2014年12月12日(金)@大宮hisomine
2014年12月13日(土)@甲府KAZOO HALL
2014年12月20日(金)@両国SUNRIZE
2014年12月21日(日)@越谷EASYGOINGS
2014年12月23日(火祝)@新宿ANTIKNOCK
2014年12月26日(金)@新宿ANTIKNOCK(Tour Final)
2014年12月31日(水)@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

2015年1月8日(木)@四谷Outbreak!
2015年1月11日(日)@両国SUNRIZE
2015年1月24日(土)@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
2015年1月25日(日)@越谷EASYGOINGS
2015年1月30日(金)@新宿Wild Side Tokyo
2015年1月31日(土)@新松戸FIREBIRD
2015年2月14日(土)@両国SUNRIZE

PROFILE

カイモクジショウ

o.西田夏海 1988年横浜出身
Gt.高橋裕樹 1985年千葉出身
Dr.上田哲也 1985年東京出身

の3人からなるベースレストリオ。2009年結成以来 ライヴハウスで圧倒的な演奏力と表現力で注目を得る。 評判を聞きつけたプロモーターのオファーで2014年に オーストラリアツアーへ。クラウドファンディングサイト CAMPFIREで渡航費15万円を募集したところわずか 24時間で集まり、注目度の高さを証明した。

カイモクジショウ 公式HP

[レヴュー] カイモクジショウ

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