スタジオジブリ最新作「かぐや姫の物語」の主題歌を二階堂和美が歌った歌集アルバムがリリース。ジブリ映画の魅力のひとつでもある「歌」の世界と、その主題歌を歌うアーティストの世界観を同時に楽しむことができる作品となっている。シンガーと僧侶の二つの顔を持つ二階堂和美が、高畑勲監督との交流を通して制作した楽曲や、高畑監督作品にまつわるカバー曲が収録され、ジブリと二階堂和美、そして「かぐや姫の物語」の世界を堪能できるあまりに贅沢な作品。じっくりと味わっていただきたい。
二階堂和美 / ジブリと私とかぐや姫
【配信価格】
wav : 単曲 250円 / アルバム 2,000円
mp3 : 単曲 200円 / アルバム 2,000円
【Track List】
1. あの山のむこう / 2. 私の宝 / 3. わらべ唄 / 4. 歩き回って 走り回って / 5. 月の使い / 6. 歓喜 / 7. めざめの歌(オーケストラ・バージョン) / 8. いのちの記憶 / 9. 君をのせて / 10. あしたはどんな日 / 11. 愛は花、君はその種子 / 12. バケツのおひさんつかまえた / 13. ケ・セラ・セラ / 14. いのちの記憶(オーケストラ・バージョン) / 15. はにゅうの宿
別れてもなお、たくましく生き続けることができる
二階堂和美のニュー・アルバム『ジブリと私とかぐや姫』がリリースされた。勘違いのないよう初めに言っておくと、今作は映画のサウンド・トラックではない。ジブリ映画は全作品、サウンド・トラックのほかに、その作品の世界観を表したイメージ・アルバムが作られており、同アルバムも映画「かぐや姫の物語」のテーマに沿った歌曲集だ。
アルバムは、映画主題歌「いのちの記憶」をはじめ、二階堂和美が映画を想像して書き下ろした楽曲群と、高畑監督がこれまで関わってきた映画の主題歌のカヴァー、そして前作『にじみ』収録「めざめの歌」のオーケストラ・ヴァージョンで構成されている。それを聞くと、「イメージ・アルバムと言っておきながら、映画を想定して作られていない過去楽曲を収録しているなんて」と思う人もいるかもしれない。しかし、「めざめの歌」の歌詞に着目してみれば、その疑念は解け、今作がまぎれもなく統一感を持った作品であるということがわかるだろう。
〈この世のすべてはどうにもならない それでも生きる 私は生きる〉(「めざめの歌」)
二階堂は、人生における死や別れといった出来事に逆らおうとせず、受け入れ、認める。だからこそ日々を一生懸命に生きるんだ、という力強さがこの曲にはある。「いのちの記憶」は、たとえ別れるときがきたとしても、大事な人と過ごした喜びは記憶に刻み込まれているということをうたった歌だ。この2曲は、扱われているテーマに共通点がある。さらに「いのちの記憶」では、「めざめの歌」で見せた、人生における別れへの思いはそのままに、別れてもなお、たくましく生き続けることができる理由が新たに示されている。
ここまでくれば、「めざめの歌」が、月へと旅立ってしまうかぐや姫を描いた映画のテーマと重なりがあり、今作がまぎれもなく統一感を持った作品であるということがわかるだろう。そして映画のためにつくられた楽曲ではあるものの「いのちの記憶」は、二階堂和美がいままで歩み続けてきた道の地続きにある作品であるということも。映画からこのアルバムを手にとった人も、二階堂和美ファンも、互いに違和感なく今作をきくことができるはずだ。そう思うと、「かぐや姫の物語」の主題歌に彼女が抜擢されたことがいかに必然であったか、驚かざるをえない。(text by 鶯巣大介)
11月23日(祝)より全国ロードショー『かぐや姫の物語』
『かぐや姫の物語』
朝倉あき 高良健吾 地井武男 宮本信子
高畑淳子 田畑智子 立川志の輔 上川隆也 伊集院光 宇崎竜童 中村七之助 橋爪功 朝丘雪路(友情出演) 仲代達矢
●製作 / 氏家齊一郎
●原作 / 「竹取物語」
●原案・脚本・監督 / 高畑 勲
●脚本 / 坂口理子
●音楽 / 久石 譲(サントラ / 徳間ジャパンコミュニケーションズ)
●主題歌 / 「いのちの記憶」二階堂和美(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
スタジオジブリ・日本テレビ・電通・博報堂DYMP・ディズニー・三菱商事・東宝・KDDI
提携作品特別協賛 / KDDI・アイフルホーム
特別協力 / ローソン・読売新聞
配給 / 東宝
kaguyahime-monogatari.jp
© 2013 畑事務所・GNDHDDTK
二階堂和美の過去作品もチェック
二階堂和美 / にじみ
大名盤『二階堂和美のアルバム』より5年。いま待ち望まれているのは、まさに二階堂和美の歌である! 多幸感に溢れ、時に優しく、時に鋭く、共に歩み出すアルバムである。二階堂和美の歌には希望が、明日へのめざめが歌われている。ジャパニーズ・ニュースタンダード・ナンバーが満載!
タラ・ジェイン・オニールと二階堂和美 / タラとニカ
2人のシンガー・ソングライターの奇跡の共演作品が完成。 「ニカと一緒にレコードがつくりたい」。2008年、4度目の来日を果たしたタラ・ジェイン・オニールの一言から端を発した本作の制作。共作の相手は、彼女の来日公演でも多くのステージを共にしてきた二階堂和美。タラの来日時に、ツアーの合間を縫って、京都、琵琶湖畔、神戸の旧グッゲンハイム邸で録音されていきました。彼女たちの呼吸ぴったりのセッションは愛おしく、穏やかに心に染み渡ります。どこまでも自由な音楽。
二階堂和美 / ニカセトラ
洋邦問わず幅広く支持を得ている歌い手、二階堂和美。彼女の新作は全曲カヴァーでありながら、しっかりと”二階堂和美色”に染められている。小さい頃に合唱で歌った、TVやラジオで流れていた、そんな馴染み深い選曲と、優しく伸びやかで時にアグレッシヴなヴォーカルは、日本の季節や情景、また個人の記憶を連想させる。涙腺を刺激する温かいうたは、聴く人を選ばないだろう。力みや計算とは縁のない、自然体で輝きのある音楽。
LIVE INFORMATION
第11回 わんすてっぷコンサート
2013年11月30日(土)@広島アステールプラザ多目的スタジオ
瀬戸内みらいコンサート
2013年12月3日(木)@広島アステールプラザ大ホール
PROFILE
二階堂和美
天真爛漫~自由奔放というイメージから神秘的、叙情的、そして狂気! な雰囲気までも併せ持つシンガー。広島県在住。これまでに単独作として9作品をリリース。客演も多数。 優しくも力強い歌声と幅広い音楽性、絶妙なセンスと筋のある音楽スタンス、そして、明るく人懐っこい性格が世界各国、日本全国から愛されている。 聴けばわかるし、見れば伝わる。命が燃えているというか、音楽はこうやって人に伝わって行くんだなと心と体が認識するライヴは必見。
2011年7月にリリースした5年ぶりとなるフル・アルバム『にじみ』は全曲を作詞作曲し、二階堂和美のこれまでの人生を凝縮したひとつの集大成といえる大作となり、全国各地で高い評価を得ている。
また近年では、NHK「おかあさんといっしょ」や、小泉今日子さんのアルバムへの楽曲提供、地元の学園歌を手がける等、活動の幅を更に広げている。