2012年5月にYouTubeで公開されたPVが、幅広いリスナー層から支持されるTHE OTOGIBANASHI'Sのデビュー・アルバムがついに完成。それはまるで、ロマンチックな曲や不気味な曲、いろいろ詰まったオモチャ箱。doooo(Creative Drug Store）によるプロデュース楽曲を中心に、Poolを手掛けるあらべぇ、VaVa（Creative Drug Store）やRiki Hidaka、そしてSIMI LABのOMSBが参加。その例えようのない世界観は「OTG'Sらしさ」でしかない。フレッシュな音楽は、いつも人々の理解を越えたところから現れる。
THE OTOGIBANASHI'S / “TOY BOX”
【価格】
mp3 : 単曲 150円 / アルバム 1,500円
【TRACK LIST】
01. "OPENING" / 02. K.E.M.U.R.I. / 03. Froth On Beer / 04. "LUNCHTIME" / 05. Pool / 06. Gana Gana Ganda / 07. Humlet / 08. Fountain Mountain / 09. "DINNERTIME" / 10. Closet / 11. Dawn / 12. "ENDING" / 13. Under The Bed
THE OTOGIBANASHI'Sがくれた、新しい音楽に触れるチャンス
<あっちで言えばビースティ・ボーイズ / こっちで言えばオトギバナシ>
なんて大胆なラップをかましてくれたのは、まだ全員10代という、噂のラップ・グループ、THE OTOGIBANASHI'Sだ。2012年、突如YouTubeに公開された「Pool」、「Closet」がPUNPEE、SEX山口や坂口恭平など、幅広いリスナーのあいだで話題となり、期待が高まっていたが、ついに待望の1stアルバムがリリースされた。『“TOY BOX”』と名付けられたこのデビュー作は、名前の通り、おもちゃ箱をひっくり返したような、多彩な音と、ユーモアに溢れた、エンタテインメントな作品にしあがっている。
実は筆者は普段あまりラップという音楽を聴かないが、彼らのユニークでカラフルな音楽は、どこか引き込まれるものがある。チルウェイヴ風で、フィッシュマンズのような浮遊感が心地よい「Froth On Beer」、まるで水中にいるかのような幻想的な「Pool」や某遊園地のホラー・アトラクションで流れているような、不気味でファンタジックなトラックが印象的な「Closet」など、どの曲も個性的で、聴いていて飽きがこない。子供の頃に連れて行ってもらった遊園地のようなカラフルでファンタジックな世界観、そして10代の頃誰もが持っていた、無邪気さや遊び心に溢れている。
新鮮でありながら、懐かしさを感じさせる彼らの音楽は、ジャンルを問わず、どんな人でも楽しめるだろう。非日常的なトラックとは正反対に、彼らのラップは自分たちの日常を歌っているところもおもしろい。服の話や、映画の話など、身の回りのできごとを、淡々とゆるいラップで歌い上げる。自然と耳に入ってくる、棘のないラップも、聴きやすさのひとつだ。噂で名前だけ知っているという人や、普段からラップという音楽をあまり聴かない人でも、この機会にぜひ聴いてみてほしい。これはTHE OTOGIBANASHI'Sがくれた、新しい音楽に触れるチャンスなのだから。(text by 吉野敬一郎）
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PROFILE
THE OTOGIBANASHI'S
bim、in-d、PalBedStockの3MC'sから成る日本のRAPグループ。bimの呼びかけでin-d、PalBedStockは嫌々ながら2012年に結成。グループのコンセプトは「Dis○ey & Rap」という自由でアホらしいものである。愉快犯のようにバラエティに富んだトラックや3人独自のフロウから、まるでオモチャ箱から飛び出してきたかのような曲を生み出す"THE OTOGIBANASHI'S"の物語はまだ始まったばかりのようだ。
