アメリカを拠点に活動するシンガー・ソングライター、エミ・マイヤーがニュー・アルバムをリリース。プロデューサーに、ジョン・メイヤーのサポート・ギタリストとしても活躍するデビッド・ライアン・ハリスを迎え、どの曲もノスタルジックでソウルフルなバンド・サウンドに。聴くほどに心に迫るエモーショナルな楽曲が、シンガー・ソングライターとして新たなステージへと踏み出したことを証明する、時代を超えたポップ・アルバムの傑作です。そんな本作をOTOTOYではHQD(24bit/48kHzのwav)で配信いたします。インタビューとともにお楽しみください。

エミ・マイヤー / ギャラクシーズ・スカート

【販売価格】
mp3 200円 / 1,500円(アルバム価格)
HQD 300円 / 3,000円 (アルバム価格)

【Track List】
1. ギャラクシーズ・スカート / 2. ドゥーイン・グレイト / 3. ブラック・シープ / 4. シャイン・オン / 5. アイ・キャント・ゲット・イナフ・オブ・ユー / 6. トウキョウト / 7. ニューヨーク / 8. エナジー / 9. オン・ザ・ロード / 10. ワット・ウッジュー・セイ

INTERVIEW : エミ・マイヤー

CMなどで曲を耳にする機会も増え、着実にブレイクの兆しを見せているエミ・マイヤー。彼女の新作『ギャラクシーズ・スカート』は、そんな勢いを加速させるかのように、鮮やかな彩りが添えられたポップなアルバムとなっている。これまでも、ジャズやワールド・ミュージックを取り入れるなど、アルバムごとに様々な変化を見せてきた彼女の音楽が、デビッド・ライアン・ハリスをプロデューサーに迎えた今作で、更なる大きな進化を遂げた。そんなエミ・マイヤーに話を聞くと、表現者としてだけでなく、リスナーとしても、音楽を大きく愛していることが伝わってくる。「聴けるものがあるのは、すごく幸せ」と、キラキラした目で語る彼女が、最近日本で注目しているアーティストとして、たむらぱんや相対性理論の名前を挙げたことも興味深い。音楽の話から、エミ・マイヤーにとっての日本についてまで、たっぷりと話を聞いた。

インタビュ―&文 : 前田将博
写真 : 釘野孝宏( "SPACE SHOWER 3rd Place vol.2")

ニューヨークは好きで憧れてるけど、すごく厳しくて生きづらい部分もあるよねって

——先日フランスで行われたライヴは、いかがでしたか?

楽しかったですよ。日本ともアメリカとも全然違って、新鮮でした。言葉も分からないし、同じステージにマリ(共和国)の方とか、イギリスの歌手とかが立って、みんな違うエネルギーを持っていたので、すごく勉強になりました。

——いろんな国でライヴをやった中で、エミさんが個人的に好きな場所はありますか?

どこもそれぞれ好きな部分はありますね。アメリカはみんなすぐに反応してくれるので、分かりやすいです。ライヴ・ハウスなんかでは、日本の方がみんな丁寧に聴いてくれるし、奥でガヤガヤしたりしてないから、好きですね。

——今回のアルバムにも、「ToKyoTo」「New York」と、2つの土地が出てきますよね。

「トウキョウト」は、京都と東京のことを歌っています。京都で生まれて、東京のエネルギーに惹かれて、そっちでお仕事をするけど、どうしても京都のペースが好きだから戻ってくる、みたいな。そういうお話です。

——エミさん自身も、京都に住んでいたことがあるんですよね。

生まれてから1年くらいと、大学の時に日本に留学していた時、1年くらい住んでいました。他にもちょくちょく行ったりはしてましたけどね。

——大学時代に1年住んだだけでも、東京に対する憧れみたいなものは感じましたか?

留学してる時は憧れましたね。ライヴとかで東京に行くと楽しいし、京都に戻るとつまらないって思ったりしました(笑)。でも今になって、京都に行くと落ち着きますね。遠くを見たりすると鴨川が流れてて、広々とした感じがしますし。

——外国の方からすると、東京よりも京都の方が、昔ながらの日本というか、和のイメージが強いと思うんです。

それはあるかもしれませんね。東京って1日だけ来ても、すごく分かりづらい街だと思うんですよ。秋葉原とか、新宿の交差点とかを見ると、「あ、東京だ」って思いますけど、それ以上にすごく広いから、よく掴めないんですよね。そういう意味では京都の方が、分かりやすいですね。

——東京は、日本以外のいろんな文化も混ざっていますしね。ニューヨークに住んでいたことはあるんですか?

去年の夏に住んでいました。

——その時の気持ちが、曲に反映されているんですか?

「ニューヨーク」って曲は、初めて知らない人とセッションして共作した曲なんです。なので、どうやって作り始めたらいいのか分からなくて、相談したんですよ。その時に、お互い感じたことを話そうってなって、ニューヨークはすごく好きで憧れてるけど、どうしてもすごく厳しくて生きづらい部分もあるよねって話したんです。それが曲になりました。

——なるほど。憧れだけど生きづらい部分っていうのは、東京と共通してる部分なのかもしれないですね。

そうですね。どうしてもそこに惹かれるけど、すごく意地悪だって。

——歌詞にも、<New York I love it when you're mean>(ニューヨーク、アナタがいじめるときが好きよ)とありますよね。

それが良いところでもあるってことですね。サバサバしてて、チャレンジすることが良いみたいなところが。

——エミさんはアメリカでの生活の方が長いし、英語で歌われることの方が多いですよね。それなのに、日本人である僕が聴いても、すごく聴きやすくて親しみやすいと感じました。大橋トリオさんがアルバムに寄せたコメントにも「どこか和が漂っている」とありますよね。

日本にしばらくいて、いろいろな日本のミュージシャンと共演してるうちに、染み込んできたのかもしれないですね。

——自分自身の中に、日本的なものを感じることはありますか?

どうなんですかね… 分かりやすい部分だと室内では靴を脱ぐとか、靴を脱いだ後に揃えるとかですかね。一緒に日本で住んでる友達は、みんなそうするんですけど、アメリカの人には珍しいと思われます。母が結構厳しかったので、そういう躾のおかげかもしれません。

——エミさんはアメリカにいる時も、家では靴を脱いで生活してるんですね。

そうじゃないとおかしいと思うので。堂々とベッドの部屋を靴を履いたまま歩く友達とかを見ると、「うわー」って思います(笑)。でも、彼らにとっては自然ですからね。

今回のアルバムは、すごくストレス・フリーでした

——日本語詞のみのアルバム『パスポート』を出した時のインタビューで、メロディの譜割などにも苦労したとおっしゃっていました。そういう経験もあって、再び英語で歌った時にも、自然とメロディの中に反映されているのかなと思いました。

それもあるかもしれませんね。日本語のカバー曲を歌ったりとかしている中で、それが自分のツールの一つになっているんだと思います。

——日本の曲もカバーされてるんですか?

山口洋(HEATWAVE)さんの「満月の夕」を3.11の後に歌ったり、「蘇州夜曲」という曲もカバーしました。こちらは戦前の古い歌謡曲なんですけど、すごく美しい曲なんです。友達からもらったミックス・テープに、アン・サリーさんがカバーしていたものが入っていて、そこからYouTubeなどで昔の人が歌っているのも聴いたりして、本当にいい曲だなと思いました。

——日本の曲を歌ってみて、気づいたことはありますか?

言葉が奇麗ですよね。詞がすごく奇麗だと思います。

——それは、言葉の響きがですか? それとも言葉の意味でしょうか。

両方ですね。私はもっと日本語力を強くしたいんですけど、まだ英語に比べると、日本語で表現出来てない部分もあると思うんです。他の人の曲を歌ってみて、自分が表現出来なかった気持ちや、同じ気持ちでも深みが足りなかった部分を、他の人の言葉を通して語れるってことが、とても心に響きました。

——今まで自分が表現しきれなかった深い部分を、他の人の曲を歌うことで気づかされたと。

こういう言い方をすればいいんだって気づいたり、急に言葉と心が繋がるみたいなことが、「満月の夕」とかではありましたね。

——今回のアルバムは、以前に比べると、曲のアレンジも幅広くて、カラフルで垢抜けたイメージがあります。自分の曲がCMで使われたりする中で、より多くの人に聴かれることを意識しましたか?

プロデューサー(デビッド・ライアン・ハリス)がついたことが大きいですね。彼のいろんな引き出しだったり、ツールの中から選べたので、そういう意味では幅広くなってます。彼も多くの人に聴かれるようなアーティストのプロデュースもしてきたので、自然とそういうスタイルなのかもしれません。それと同時に、CM曲を書く上ですごく楽しいのが、CMのスケッチが来て、それのために歌とピアノだけのデモを作って送るんですが、CMのプロデューサー側でアレンジして返ってくるのが、バンド・サウンドだったり、自分が思ってなかったアレンジだったりするんです。そういうことがきっかけで、私が書いた曲でも、いろんな人に聴いてもらえるサウンドが作れるんだなって、分かったことも大きいですね。

——いろんな人と関わって曲を作って行く中で、こんな広がり方も出来るんだって気づいたんですね。逆に、今まで自分で作ってきたものを他人に委ねるにあたって、不安はありませんでしたか?

今回はなかったです。昔はあったし、そういう経験もしましたけど、それがあったからこそ、今回はどういうところが一番大事なのか、お互い分かり合えるためにはどういう風にすべきなのかが分かっていて、それを考えた上でプロデューサーを選んだので、全然心配はなかったです。

——セルフ・プロデュースの時はスケジュールの管理なども自分でやっていたと伺ったんですが、すごく大変ですよね。

大変です(笑)。

——そこまでやってたってことは、それだけのこだわりがあったと思うのですが。

欲しいプロデューサーが見つかるまでは、無理矢理つけたくはなかったですし、それまでは自分でプロデュースした方がいいと思ってましたね。それプラス、自分の好き嫌いがはっきりしていなかったんだと思います。そんな中でプロデューサーに頼んでも、いいのか悪いのかはっきり言えないじゃないですか。自分でこだわって、こういう音にしたい、満足出来なくてもベストを尽くしたいっていう動きだけでも、充分勉強になるんですよね。だから、今回のアルバムは、すごくストレス・フリーでした。スケジューリングとか、何もしなくて良かったので、スタジオに行くだけみたいな。こんなに楽にアルバムが作れるんだって。

——そういう意味では、今まで以上に音楽の制作に集中出来たんですね。

そうですね。その分ヴォーカルに集中して、ヴォーカリストとしてどう表現するか、今までよりどう表現力をアップするかを考えました。でも、今までの苦労とかセルフ・プロデュースの楽しみとかを知っていたから、スムーズに行ったんだと思います。

——自分自身のことが分かってきたからこそ、任せるところは任せられるようになったのかもしれないですね。

本当にその通りだと思います。自分のことが分かっているからこそ、自分以外のチャレンジだったり、自分にとって大事な部分を任せられるというのはありますね。

好きなアーティストを見つける時の嬉しさは、美味しい食べ物を見つける時のよう

——CMなどの影響もあると思うのですが、エミさんの曲が以前よりも多くの人に受け入れられていますよね。今後も日本で、ポピュラリティのある存在になっていきたいと思いますか?

無理矢理ポピュラリティをなくすことはしたくないですけど、そのために音楽を作っているわけではないですし、変えていくのは悪いことではないと思います。今回こういうアルバムにしたのは、尊敬するデビッドさんにプロデュースしてもらいたかったってことと、彼のプロデュース・テクニックを見て、今後またセルフ・プロデュースをした時に、それをどう私が取り入れられるかっていうのがあった。だから、今後どうなるかはまだ分からないですけど、とにかく自分がやっていて楽しいことをしたいですね。

——その結果が、たまたま今回はこのような作品になっただけで、こういう作風を突き詰めていきたいわけではないんですね。

今まで知らなかったデス・メタル・バンドを発見して、「これだ!」って思ったら、そういうアルバムになるかもしれませんしね(笑)。どんな音楽を作るかは、個人的にどう成長しているかによるんだと思いますよ。そのタイミングで、どういう人に出会って、どういうミュージシャンに会って、どういう曲が沸くか。それは自分ではコントロール出来ないものだし、その方が楽しいと思います。

——その時々好きなものを、どんどん取り入れて行きたいっていう、とてもフラットな姿勢なんですね。

私にとっての音楽って、何もかも曲に取り込めるものなので、そういう意味では本当に離せない存在ではありますよね。

——一期一会というか、出会いを尊重してやっていきたいと。

まさにそうですね。

——先ほど、日本の曲のカバーの話がありましたが、また日本語で曲を書いてみたいという気持ちはありますか?

ありますね。実際今、日本語のアルバムを作り始めているんですよ。もう半分くらい録音しています。

——それは以前のように、全編日本語詞で。

今回はもっと遊び心を入れようかなって。相対性理論ってバンドのギタリストの永井(聖一)君がプロデュースしています。日本語で歌うってことを中心にするよりかは、日本語と英語を掛けて韻を踏ませたりとかして。英語と日本語で、似ている言葉も意外とあったりするので、そういう部分を強調して作っています。

——日本語にこだわって作るというよりは、どちらの言葉も自由に使っていくと。

両方分かっている上で、どう遊べるか。そういうのは私にとっても新鮮ですね。

——それは、両方の言葉を知っているエミさんだからこそ作れる作品かもしれないですね。

そういう冒険をしたいですね。

——最後にライヴについて伺いたいんですけど、5月から始まる日本のツアーで、ミラーボーラー(舞台装飾)とのコラボレーションや、美術館でのライヴなど、いろいろな試みがあると思うんですけど、楽しみな場所はありますか?

福井のミラーボーラーはかなり楽しみですし、湯布院や長崎の美術館、山形や焼津での共演ライヴ、札幌も楽しみですね。北海道では、バンドでライヴをしたことがないので。あとは、夏フェスが楽しみです。単純に他のアーティストを見たり、屋台の食べ物を食べたり。昔ほど演奏する時に緊張しなくなったので、その分もっと表現力をアップしたいですね。

——エミさんの話を聞いていると、音楽をやるのも好きだけど、聴くのもすごく好きなんだなと伝わってきます。

好きなアーティストを見つける時の嬉しさは、美味しい食べ物を見つける時のように、すごくわくわくします。

——ちなみに、日本で今、注目しているアーティストはいますか?

しばらくは相対性理論にはまっていました。この間は、たむらぱんさんとライヴを一緒にやって、昔からの友達だったんですけど、ライヴを見るのは初めてだったんですが、こちらもすごくいいなと思いましたね。

——どちらも、日本の音楽の中でも、他とは違う色を持ってますよね。

相対性理論の永井君も言うんですけど、相対性理論は邦楽を捻くれた目線で見た音楽だって。そういうのが好きなのかもしれません。たむらぱんさんも、そういう部分があると思います。

——2人とも、日本独自の音楽をやってますよね。

2人とも、他に真似出来ないものを持ってますね。そういう意味でも、他の国では生まれないし、私から見てすごく面白いと思います。

——そういう人と出会うことによって、またエミさんの音楽も変わっていくかもしれないですね。

または、ドライブする時のプレイ・リストが増えるかもですね(笑)。それだけでも私は満足ですね。聴けるものがあるのは、すごく幸せだと思います。

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LIVE INFORMATION

Tour "Galaxy's Skirt" 2013
2013年5月19日(日)@横浜 GREENROOM FESTIVAL'13
2013年5月25日(土)@軽井沢 True Nature
2013年6月1日(金)@静岡 頂 ITADAKI 2013
ギャラクシー・ナイト ~銀河の夜~
2013年6月15日(土)@福井 ハーモニーホールふくい・大ホール
2013年6月23日(日)@名古屋クラブクアトロ
2013年6月24日(月)@梅田クラブクアトロ
2013年6月25日(火)@広島クラブクアトロ
2013年7月4日(木)@東京 Shibuya O-EAST

PROFILE

エミ・マイヤー

アメリカを拠点に活動するシンガー・ソングライター。日本人の母親とアメリカ人の父親の間に京都で生まれ、1才になる前にアメリカのシアトルに移住。07年にシアトルー神戸ジャズ・ボーカリスト・コンペティションで優勝。その後、Jazztronik、Joe Henry、Yael Naimなど国内外の著名アーティストと共演を重ね、フジロックなど各地の大型フェスにも出演。その歌声と存在感で多くの聴衆を魅了している。09年にリリースされたデビュー・アルバム『キュリアス・クリーチャー』は iTunes Storeや多くのCDショップのJAZZ チャートで首位を獲得。iTunes StoreではJAZZカテゴリーの年間ベスト・ニュー・アーティストにも選ばれた。2010年にShingo Annen(Shing02)との共作となる全曲日本語詞の 2nd Album『パスポート』をリリース。2011年はノラ・ジョーンズやシェリル・クロウ でグラミー賞に輝くエンジニア、ハスキー・ハスコルズがミックスを手がけたサード・アルバム『スーツケース・オブ・ストーンズ』をリリースし、高い評価を得た。暖かなスモーキー・ヴォイスは数々のCM(トヨタ自動車「プリウス」、NTTドコモ「キッズケータイ」、キリンビバレッジ「午後の紅茶」やキユーピーライト、アヲハタ55ジャムなど多数)でも聞くことができる。 2012年にリリースしたミニ・アルバム『LOL』は収録曲「オン・ザ・ロード」がプリウスのCMでオンエアされ、スマッシュヒットとなった。またケン・イシイや大橋トリオとの共作曲でも幅広い層に支持されている。今年(2013年)は4月3日にニュー・アルバム『ギャラクシーズ・スカート』をリリースする。

>>エミ・マイヤー Official site

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インタヴュー

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