2012/06/10 00:00

Czecho No Republicの2作目はきらりと輝く傑作ポップ・ソング集!

武井優心(Vo,B)、山崎正太郎(Dr)を中心に、2010年結成された4ピース・バンドCzecho No Republic(チェコ・ノー・リパブリック)。結成半年でThe Mirrazのツアーのオープニング・アクトに抜擢されて全国を回るなど注目を集めてきた彼らが、2011年10月にリリースされた『Maminka』に続き、2作目となる『DINOSAUR』を完成させました! 突き抜けたポップさが輝きを放つ珠玉の1枚。「岡村詩野音楽ライター講座」受講生の佐藤学、小林翔の2名によるスペシャル・ディスク・レビューとともにお楽しみください。

Czecho No Republic / DINOSAUR

Czecho No Republicの2枚目となるミニ・アルバム『DINOSAUR』が完成! 2011年10月にリリースされた『Maminka』に続く本作は、ロック、ガレージやエレクトロニカなど様々な要素を落とし込んだ新世代シンセ・ポップが弾ける、キラキラと輝きを放った傑作ポップ・ソング集です。

1. ダイナソー / 2. Sunshine / 3. 魔法 / 4. ABCD Song / 5. Indie Pop / 6. ウッドストック / 7. 幽霊船 / 8. ダイナソー-footsteps-

Czecho No Republic『DINOSAUR』Cross Review

本頁では、「岡村詩野音楽ライター講座」受講生のお二人に寄稿頂きました。

煌めきの陰に潜む、残り香のような寂しさ

まず最初に一通り聴いた後の感想が「単なるバラエティ豊かなキラキラ☆ギターポップ!」だったことを、チェコ・ノー・リパブリックの皆さんにはお詫びしたい。いや、確かに音色が輝いている楽しいアルバムなんだけれど聴き終わって少し時間が経ってから、楽しさだけではない感情を感じたからだ。単に1曲目の「ダイナソー」のメロディが切ないからだけではない。その後は波状攻撃のように楽しいメロディが押し寄せてくる。1曲1曲が色彩豊かだ。楽しさ以外の感情を探すため、もう一度聴くと宵闇から徹夜明けの青空までを30分で一気に見たような爽快感と、どこからか湧いてくる寂しさが残った。爽快感の源はその軽やかなメロディだとして、この寂しさの元は一体なんだ。歌詞に目をやると、2曲目「Sunshine」から6曲目「ウッドストック」まで「君」と「僕」の「2人のストーリー」が徐々にスピードを速めて駆け回る。曲が進むたびに二人の距離はかなり近くなっていく。急激に加熱した恋がどうなったか気になっていると、その次の「幽霊船」では突如として「君」も「僕」も現れない。「巡る想い抱え 幽霊船に乗り込んでいこう 回る思考は捨てて」と、絡み付く思いを断ち切って前に挑もうと宣言して終わってしまう。物語が続かず呆気にとられていると「ダイナソー」がアレンジを変えてリプライズしてくる。

ここでやっと僕は気づいた。このアルバムの物語の核心は冒頭の「ダイナソー」が全てを伝えている。というか、他の曲がそれぞれ「ダイナソー」の中のワンシーンであり、「ダイナソー」の世界を肉付けする関係にあるのだ。最初に切ないメロディが放たれた後、ポップな曲が立て続けに耳を鼓舞しても切なさがキッチリ残るのは、実はその明るい曲はアルバム全体の切なさを補完し増幅する為の曲だから。明るさで切なさがかき消されるどころかじわじわと大きくなり、アルバムが終わっても残り香のように長く漂う。

アルバムをひとつの作品として通して聴く事で、曲単体の持つイメージだけではないものが浮き彫りになってくる。1曲1曲の完成度は非常に高く、明るい曲の部分だけを聴くと確かにキラキラしていてまるでヴァンパイア・ウィークエンドを聴いているようだが、その収録曲のムラのない綺麗な粒の揃え方がアルバム全体のイメージを上手に隠し、印象の二重構造になっている。一見楽しいけれども、その根底には寂しさ、悲しさがある。このアルバムは新しいブルースの表現方法だ。(text by 佐藤学)

ポップさがバンドの武器である

チェコ・ノー・リパブリックの2ndミニアルバム『DINOSAUR』は開放的なポップ・ロックアルバムであり、彼らのポップスとの格闘の成長記録である。収録曲では、ピロウズがシンセサイザーまで引っ張り出して演奏しているかのようなストレートで生き生きとしたオルタナティブ・ロックのM1「ダイナソー」、各パートの掛け合いがスリリングで、曲の展開が目まぐるしく変わっていくM2「Sunshine」、「1、2、1、2、レディゴー」「ダンダダディデダンダダディデドゥ」とリズミカルに歌う武井優心のボーカルにバンドメンバーが呼吸を合わせてロールするM4「ABCD Song」が出色。自分たちの好きな音をルーツも含めて正直に鳴らしている印象で、バラエティ豊かな楽曲が並ぶ。一方で、そうした個性的な楽曲がみな共通して、カラフルな音色、キャッチーなメロディを備えていることにより、ストレートで開放的なポップ・アルバムとなっており、どちらかといえばアルバム全体としては違いよりも統一感が色濃く出ている。

チェコ・ノー・リパブリックが興味深いのは、彼らの個性的な楽曲を半ば強引なまでに束ねてしまうような、ポップスへの執念のようなものを感じる瞬間があるからだ。もともと武井と山崎正太郎の所属していた前バンドの活動休止に伴って、出演が予定されていたライブへの代理参加のために結成されたバンドがチェコ・ノー・リパブリックの原型となっており、当初のその「穴埋め感」が、彼らの持ち味であるリラックスしたポップさの背景となっているように思う。1stアルバム製作時、武井自身は、新バンドの製作過程で楽曲が想像以上にポップになってしまったという趣旨の発言をしているが、実際には『DINOSAUR』では1stアルバムで中心となっていたセンチメンタルなメロディも薄れ、開放的なポップさはより強調されている。これはバンドとしての完成度が高まる中で、彼らが自身のポップさがバンドの武器であるとはっきり認識するようになったということなのだと思う。そして、彼らの様々な楽曲をポップスとして鳴らそうとする執念は、ひょんなことから結成された自身のバンドが持っていた可能性を追求して、血肉化しようと試みる姿が楽曲から垣間見えることによるものではないだろうか。

ポップさはそれだけで突き詰められていく単独の要素のようなものではなく、様々な要素の丁度いいバランスのところに存在しているように思う。その掴みきることが困難なポップさをチェコ・ノー・リパブリックはバンドの化学反応によって獲得しようと格闘し、挑戦している最中である。(text by 小林翔)

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PROFILE

Czecho No Republic(チェコ・ノー・リパブリック)

八木類(Gt/Syn/Cho)、武井優心(Vo/Ba)、吉田アディム(Gt/Syn/Cho)、山崎正太郎(Dr/Cho)

2010年
3月 Vo/Bの武井優心、Drの山崎正太郎が中心となり結成。同月31日下北沢にて初ライブ。
4月 サポート・ギターで吉田アディムが参加し、その後正式加入。
5月 武井(B)とアディム(G)がThe Mirrazのサポート・メンバーとしてツアーに参加。
11月 結成半年にして、初音源”erectionary”(エレクショナリー)をタワーレコード限定発売。The MirrazのツアーのOAとして全国を回る。

2011年
2月 サポート・ギターだった八木が正式加入し新作の制作に着手。
6月 初の全国流通となる4曲入りシングル「Casually(カジュアリー)」をリリース。
10月 待望の1stアルバム『Maminka』をリリース。「母なる大地ツアー」と題したリリース・ツアーを全国7箇所で行い、大盛況に終わる。

2012年
6月 2枚目となるミニ・アルバム『DINOSAUR』リリース決定。

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