テラシマユフのゆるキャラ大解剖 vol.5 (インタビュー&文 : テラシマユフ)
いしおさんプロフィール
誕生日 : 2005年1月40日
性別 : 妖精なので性別はなし
出身地 : 茨城県桜川市真壁町加波山
性格 : おおらかでのんびりや。町のみんなの笑い声を聞くのが大好き。
好きな食べ物 : いしおさんまんじゅう(いしおさんまんじゅうは年に一度、ひな祭りの時しか食べられないが妖精なので大丈夫)
今回インタビューに答えてくださったのは、真壁町の石工・相田正志さん、筑波大学芸術専門学群准教授・五十嵐浩也先生、同デザイン専攻4年・飯田亮平さんです。いしおさんは横でのほほんと見守ってくれていました(*´∇`*)
いしおさん誕生秘話
いしおさんは、筑波大学と茨城県内の石工さんたちによる「石匠の見世蔵」というプロジェクトがきっかけで生まれたキャラクターです。茨城県は御影石の日本三大産地の一つ。日本でも指折りの石加工技術を誇ります。そんな石や石加工の技術を活用して町おこしをしようと発足したのが、この「石匠の見世蔵」です。石工さんの技術をいかし、建築物や墓石のようなものだけでなく身近な生活用品やアートに石を利用していこうというプロジェクトで、学生の自由な発想を取り入れるため、筑波大学の学生さんたちと組むことになったそうです。「学生の夢を石工が形にする」という本当に素敵な企画! 2005年、このプロジェクトに参加していた野見山磨紀子さん(当時筑波大学に在学・現在は手芸作家)が、「学生のデザインをもとに石灯籠を作ろう」という企画のために考案したのが「いしおさん」。前日徹夜で別の課題を終え、頭がぼーっとしているときに描きあげたそうです…。
このデザインをもとに、真壁町の石工・相田正志さんが石灯籠を製作したところ、「かわいい」とあちこちで評判に。作品の展示は通常一年間で入れ替わるのですが、「そんなに人気なら」ということで残しておくと、クチコミでどんどんその愛らしさが広まり、いつの間にか立派な「ゆるキャラ」に成長していたとのことです。「一年間だけで消えるはずのキャラだったのに、あんまり人気なもんだから置いておいたんだよ。別に邪魔にもならないし、かわいいからいいかと思って」と相田さん。…うーん、誕生の仕方もゆるい! ちなみに、もともとは石灯籠だった、いしおさんが動けるようになった(いわゆる「着ぐるみ」化された)きっかけもまたゆるい。いしおさんの評判を聞きつけた別の団体が、「かわいいのでぜひ着ぐるみを作らせて下さい」とオファーしてきたそうです。せっかくなら自分たちで作ろうということで、当時の学生さんたちが4日間徹夜して作り上げたのが、ふかふかゆるゆるな、いしおさん着ぐるみ。「筑波大学の技術を結集して製作したきぐるみです!」と相田さん。製作費は約1万7千円、一度ボロボロになってしまい、現在使っているのは2代目ということです。ときどき学生さんが自転車の前かごに入れてコイン・ランドリーに連れて行くんだとか。
“日本一ゆる~いゆるキャラ”に
ゆるキャラサミット
そんないしおさん、ついに「ゆるキャラサミット」に招かれます。あの「ひこにゃん」も登場する、ゆるキャラの一大イベントであるこのサミット。相田さん達が「果たして買う人はいるのだろうか…」と不安に思いながら缶バッチ300個を持って参加したところ、なんと一時間で完売!!「まさか売れるとは思ってなかったですよ~」と相田さん。…取材を進めるにつれ、相田さんもとてもゆる~いお方な気がしてきました…(∧∧)
さらに、このイベントでは様々なゆるキャラ達が会場を歩きまわってグッズを販売したり、ファンとの記念撮影に応じていたそうですが、いしおさんは終始、ブースでまったりとしていたそうです。ゆ、ゆるい…。
仲良しのゆるキャラさん、ライバルのゆるキャラさんは?
さて、ここで恒例の質問。「仲良しのゆるキャラさんはいますか? また、ライバルは誰ですか?」。ゆる~い、いしおさん、お友達もやっぱりゆるいのでしょうか? どんなゆるキャラさんと仲良しですかと伺うと、相田さんから「水戸の『ハッスル黄門さま』ですかね~」とのお答えが! ゆるキャラとはいえ「ハッスル」しているパワフルな黄門さまと、どこまでもゆる~いいしおさん…。その二人が並んでいるところ、見たいです!! 他にも、宇都宮市の『ミヤリーちゃん』、潮来市の『あやめちゃん』、高萩市の『はぎまろくん』など、茨城県内のゆるキャラさんとは特に仲良しなんだそうです。ちなみに、相田さんが今とっても気になっているキャラクターは茨城県行方市の『ニコちゃんとなめぞう』。セーラー服を着たアメリカナマズのニコちゃんとそのポシェットに入っている弟なめぞうは、複雑な家庭環境のため引きこもりキャラとなってしまい、出会えるのはかなりまれなんだとか。き、気になる…。さらに相田さんは、「いしおさんにライバルはいませんよ。本人にも我々にも競争する気がありませんから」とにっこり。横ではいしおさんがのんびり片手を上げ下げしていました…。本当、ゆるすぎです(*´ω`*)
ゆるキャラ裏話~石の魅力をもっと伝えたい!~
真壁町(今は合併により桜川市)は、文化庁登録有形文化財の数も非常に多い、歴史のある町です。そんな町の魅力、それを支えて来た石の魅力を多くの方に知ってもらうことがプロジェクトに関わる方々の願いであり、いしおさんはあくまでその「きっかけ」となる存在なのですね。『石匠の見世蔵』のメンバーといしおさんは毎年、「まかべ夜祭り」や「ひな祭り」(お雛様やお内裏様に扮したいしおさんがひな壇に飾られるそうです)、「ストーンフェスティバル」など地元のお祭りに多数参加しています。こうしたお祭りに作品を出品して盛り上げたり、子どもたちに石の魅力を伝えるワークショップを開催したりと、精力的に活動されているのです。「石はかたくて重いというイメージがあると思いますが、実はある程度の薄さになると手で割れるくらいもろいなど、様々な一面があるんです。石について学ぶなかで発見したびっくりすること、面白いことをもっといろいろな人に伝えていきたい。そして石に興味を持ってもらって、作品を手に取ってもらうことで産業を活性化できたら」と飯島さん。正直なところ、私もお話を伺う前は、石が利用されているものといわれて、ぱっと思いつくのは建築物や墓石など大きなものばかりで、確かに生活の中で恩恵は受けているけれど、「身近なもの」という感覚とは少し違ったような気がします。しかし実際に『石匠の見世蔵』の皆さんの作品を拝見すると、まるみがあってかわいらしいもの、自然の模様を生かした神秘的なものなど、思わず「これお庭に飾りたい!」と感じてしまうような親しみやすいものばかりで驚きました。石って深いです!! 皆さんも、石のある生活、いかがでしょうか?
いしおさんの魅力・愛される秘訣は?
いしおさんの魅力、それはなんといっても「正真正銘のゆるさ」。五十嵐先生曰く、「誕生の仕方からして他のゆるキャラとは違う。ゆるく生まれて、ゆるく存在し続けている『究極のゆるキャラ』なんです」仰る通り、見た目はもちろん、その誕生の仕方も、いしおさんを支えるスタッフさん達も、とにかくゆるい、ゆるい!「のんびり流れに任せていたらここまできたよ」といった感じで、今までインタビューしたどのゆるキャラさんとも違う意味で「ゆる」かったように思います。これまでは、「ゆるいキャラクターが一生懸命頑張っている」というギャップに魅力を感じ、またそれを支えるスタッフさんの情熱に感動していたテラシマですが、ただひたすらにまったりとゆるいいしおさんとそのスタッフさん達に出会ったことで、ゆるキャラの新たな魅力を発見してしまいました…。もういてくれるだけでいいよ…きゅん(*´`*)。どちらのスタイルもとても好きです(∧∧)
最後に、私自身のアイドルとしての活動に活かすべく、いしおさんのように愛される秘訣を伺うと、相田さんは、「万人のためにPRしようとは思っていないんです。あんまり雲の上の存在になっちゃっても困るしね。得意ポーズは片手を上げることっていうくらいの『究極のゆるさ』が魅力なので、このままでいてくれれば」と話して下さいました。うーん、やはり「自然体」って大切なんだなぁ。もちろん向上心は大切ですが、あまり背伸びをせず、自分らしく活動していくことが1番なのかもしれません。「また、いしおさんの今後の野望は?」と伺うと、飯島さんから「細く長く愛されるキャラでいてくれれば。あまり無理はさせたくないですね」とゆるくてあたたかいコメントをいただきました。いしおさん、本当に愛されてるなぁ! キャラ本人だけでなく、スタッフの方々も含めてゆる~いという、とってもほんわかとした空間で、取材後なんだか幸せな気持ちになれました。いしおさん、スタッフのみなさん、本当にありがとうございました!
『石匠の見世蔵』 http://www.ishikunomisegura.com/info.html
『石匠の見世蔵』活動報告ブログ http://ishiosan.exblog.jp/
ゆるキャラ(R)グランプリ 「いしおさん」プロフィールhttp://www.yurugp.jp/yuruchar.php?id=174&uk=
テラシマユフのゆるキャラ大解剖 バック・ナンバーはこちら
vol.1 「ゆるキャラ」って何?
vol.2 うなりくん(成田市)
vol.3 ふっかちゃん(深谷市)
vol.4 ササダンゴン(新潟市)