PROGRESSIVE FOrMよりセカンド・アルバム『Prays』をリリースするFugenn & The White Elephants。前作『an4rm』でのデビューからのこの1年で、数多くのライヴの他、坂本龍一やアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュート・アルバムへの参加などを経て制作された今作は、今までとは違うドラマティックな表題曲「Prays」で始まる劇的に進化したアルバムに仕上がっている。

そもそも名門・PROGRESSIVE FOrMからのセカンドのリリースとなると、Ametsub、AOKI takamasaなど錚々たるアーティスト以来となり、期待の程が伺える。今作『Prays』での進化、そしてそのタイトルに込めた思いについて、SonarSound Tokyoでのライヴを終えたばかりのShuji SaitoことFugenn & The White Elephantsに聞いた。

インタビュー&文 : 小野寺 徹(CMFLG)

超大型ビート・メイカーの2ndアルバムを、24bit/48kHzの高音質で

Fugenn & The White Elephants / Prays

AmetsubやBoards of Canadaといった叙情的なエレクトロニカから、Aphex TwinやAutechreを彷彿とさせる鋭利かつ最先端のビート・ミュージックまで、変幻自在にエレクトロニック・ミュージックを操るFugenn & The White Elephants。美しいメロディーと卓越したビートが織りなすメランコリック・ビーツとでも称すべきオリジナリティーに更なるソリッドな磨きがかかり、2011年の1stアルバム『an4rm』に続く、待望の傑作2ndアルバムが完成。

【価格】
MP3 : 単曲150円 / アルバム1500円
HQD : 単曲200円 / アルバム2000円


デビュー・アルバムでもある1stアルバムも配信中

Fugenn & The White Elephants / an4rm

永く語り継がれるであろう屈指の名トラック「Phonex」、「moon」、「Narcissus」を含む、超期待のビート・メイカー待望の傑作1stフル・アルバム。

【Track List】
01. Stillnes / 02. S_K / 03. Phonex / 04. Karman / 05. Narcissus / 06. Moon / 07. Prophet / 08. Atavisme du Crepule / 09. Time feat. fraqsea / 10. By Stander / 11. Sun Set / 12. Sky feat. Shintaro Aoki / 13. Enigme Sans Fin

音源を作る時にはライヴでやるという事を全く想定していない

——SonarSound Tokyoへのご出演、お疲れ様でした。ライヴの感想としてはいかがでしたでしょうか。

Fugenn & The White Elephants(以下、Fugenn) : まあ反省点もありながらも盛り上がってくれたお客さんもいたので、非常に楽しかったです。

——ライヴでは遠慮する事なくやっている、というかライヴならではのスタイルがあるという印象を受けるのですが、やはり音源とライヴは違うものという意識はありますか?

Fugenn : 意識はしてますね。ライヴはどうしてもハードにしたくなっちゃうというのがありまして。逆に音源を作る時にはライヴでやるという事を全く想定していないですね。作りたいものを作るという形で分けて考えています。だからライヴ・セットを一から作り直すことが多いですね。

——今回もライヴの際のVJはYousuke Fuyamaさんと一緒でしたが、やはり自分の音とマッチしているというのがありますか?

Fugenn : そうですね。単純にFuyamaさんの映像がかっこいいというのもありますし、ビートとすごく合っているという声もよく聞きますね。一緒にやれて良かったです。

——SonarSound Tokyoについて、他のアーティストの方も含めての感想はいかがでしたでしょうか。

Fugenn : 色んなアーティストがいるんだなあというのを改めて実感しました。特にヴィンセント・ギャロが印象的でしたね。

——この一年の間に、坂本龍一さんやアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュートアルバムなど、自身以外の作品に参加されてみていかがでしたか。

Fugenn : ビートものじゃない、楽曲として成立しているものをリメイクすることによって、自分には無いメロディの創り方や構成を学びましたね。その中で如何に自分が持っている引き出しを使えるかという所は意識しました。

実は色々なジャンルの曲を作るのが好きなんですよね

——新作『Prays』は1曲目から最後までとてもドラマティックに展開される素晴らしい作品だと思うのですが、この辺は意識されましたか?

Fugenn : 意識はしてないですね。今回のアルバム・タイトルでもある「Prays」というコンセプトがあるので、自然とそうなったという感じですね。ですから繋がりはあると思っています。

——特に今回のアルバムにおいて、ストリングスの導入やエレクトロニックなビートの構成など、新しい面がある中で、アルバム全体の流れが一番集約されているのが1曲目「Prays」だと思うのですが。

Fugenn : そうですね。まさにそのコンセプトと、アルバムとして音のバランス、その全てが詰まっているのが「Prays」と言っても過言ではないですね。だからこそ表題曲にしたというのはあります。

——この曲でも印象的なストリングスを担当しているRaphael Evangelistaという方について教えていただきたいのですが。

Fugenn : 彼はブラジルでFinlandiaというバンドをやっている方なのですが、前作『an4rm』をすごく気に入ってくれていたらしく、「Remixをしてくれないか? 」というオファーがありまして。実際にRemixをしてみたら本格的なチェロを弾く方だったので、そこから「僕のアルバムでもチェロを弾いてくれないか? 」という流れで参加してもらいました。彼の弾いたチェロの音源を貰ってそれを自分の楽曲にミックスしたという感じですね。

——3曲目「Snowstorm」ではさらにクラシカルバンド・yuanyuanが参加している美しいナンバーな訳ですが。

Fugenn : これは最初はロービートな、ビートが揺れているものを作っていたのですが、そこに後からストリングスを加えてみようという話になりまして、yuanyuanのストリングスを加えてみたら、結果として良いものが出来上がりましたね。

——この曲を含めアルバムの前半はわりとファンタジックな雰囲気も感じられるのですが、6曲目「Water Castle」を境にして強いビートが前面に出てくる構成に思えたのですが、この辺は「前半」と「後半」というような意図がありましたか?

Fugenn : 曲順を考える際には分けました。自分としても「Water Castle」の所がポイントになっていると思っていて。前半に新しい音に挑戦した部分があるとしたら、後半は前作の名残と言いますか、もし今までの「Fugennらしさ」というものがあるのならば、その辺は後半に出ているのではないでしょうか。

——ラストはハードなナンバー「Greek」で終わりますが。

Fugenn : この曲はちょっとわがままを言って収録した感じで。ライブではいつもやっている昔からあった曲なので、形として残しておきたかったというのがありました。作品として11曲目「Mercy Flight」で終わるのが本来の形なのですが、そういった点でこの曲はボーナストラック的な意味合いもありますね。

——今回の作品は全曲通して聞きたい作品というか、とても色々な曲が詰まっているアルバムだという印象を受けました。

Fugenn : 実は色々なジャンルの曲を作るのが好きなんですよね。例えばドリルン(ベース)な曲を作ったりするのも、情緒的な曲を作ったりするのも、BPMが速い曲を作ったりするのも、そういうのを自分の中では全く意識しないでその場で好きなものを作ってしまうので。その中でも今回作品を通しての統一感があるのは、コンセプトがあるからだと思います。あと以前からメロディに対する「憧れ」じゃないですけど、メロディの強い曲を作りたいというのはあって、それを実現出来たのが今回のアルバムだと思っています。

——またジャケットも今作の世界に合った素敵なアートワークだと思うのですが、デザインを依頼するに当たってイメージを伝えたりはされましたか?

Fugenn : ジャケットは1stに続いてbunaさんにお願いしたいのですが、まずは音源を送って聴いてもらう所から始めました。そこからまずは作品のタイトルを決めようという話になりまして、そこで『Prays』というタイトルに決まりました。それをコンセプトに決めて、今回のジャケットをデザインしていただいたという感じですね。結果として希望を感じさせるジャケットに仕上がって満足しています。前作にしてもそうなのですが、まさにピッタリなものが返って来ましたね。

今作で多少「Fugenn」という名前に近づけたかな、と

——そもそも改めて、「Fugenn & The White Elephants」というアーティスト名について、由来を教えていただきたいのですが。

Fugenn : これは普賢菩薩から来ているもので、ジャケを担当していただいているbunaさんと考えた名前でもあるのですが、音で「希望」じゃないですけど、「慈悲的なもの」を与えられたらな、というのがあります。名前負けしてしまっているかもしれないですけど(笑)。そういう理想は持っていますね。

——それは今作の「Prays(祈り)」という言葉も含めて一貫したものがありますね。

Fugenn : それはありますね、特に今回は。今作で多少「Fugenn」という名前に近づけたかな、と。

——前作『an4rm』には「The White Elephants are」として関係者の名前がクレジットされていますが、これは周りの方々を意味しているものと思っていいのでしょうか。

Fugenn : そうですね。それに限らず、人間とか森羅万象、ありとあらゆるものとも言えますね。自分(Fugenn)とそれを取り囲む全てのもの(The White Elephants)のがあって、「生」が成り立っているというか。って、そこまで宗教的な話しでは無いんですが(笑)。よく家の近くの川沿いを散歩するんですけど、その時に見た景色が音に表れるという事もあったり、そういった日常的な面も含めて、という事ですね。

——それこそ今作のコンセプトは「Prays(祈り)」ということですが、Fugennとしては何を祈っていますか?

Fugenn : 人それぞれだと思うんですけど、僕は曲を作る時はどの曲にしても「祈り」みたいなものを感じるんですね。何に祈っているというより、自然と感じている事、考えている事に対して音楽が生まれてくる事が「祈り」みたいなものなんです。勿論、今世間がこんな状態で、今作を聞いた人が少しでも「希望」を持ってくれたらな、という意味での「祈り」は個人的にはありますね。それは自分に対しても祈っている部分があって、自身を奮い立たせる意味での「祈り」でもあります。

——やはりそれは先ほどにしても「内なるものがあって、外の世界がある」という共通した世界観がありますね。

Fugenn : そうですね、それは以前からあって。曲にしても作るというよりは結果なんですよね。自身が作り出したものと外の関係性も含め。経験と技術の集大成がそのまま音に出ているのだと思っています。

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PROFILE

Fugenn & The White Elephants

Shuji Saitoによるソロ・プロジェクト。疾走感溢れるビートを得意とする次世代ビート・メイカー。2004年よりトラック・メイカー兼DJとして活動を開始。2008年よりFugenn & The White Elephants名義でSymbolic interactionやKoenParkのリミックス他国内外の多くのプロジェクトに参加。2011年2月10日発売となるPleq「Good Night Two」に参加する。そして同4月15日にPROGRESSIVE FOrMより待望の1stフル・アルバム『an4rm』をリリース。「Narcissus」「Phonex」という2楽曲のPVと共に大きな好評と非常に高い評価を得ている。また8月にはYMOのカバー・アルバム『YMO REWAKE』、2012年1月発売の『坂本龍一トリビュート』、また4月発売の『ジョビン・トリビュート』に楽曲を提供するなど、活動を幅を着実に広げ、更なる注目を集めている逸材である。4月22日にはSonarSound Tokyo 2012に出演。そして2012年5月5日、待望の2ndフルアルバム『Prays』をリリースする。

Fugenn & The White Elephants official HP

 
 

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