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期間 : 4/26〜5/2

熊本県出身埼玉県在住、水本夏絵によるソロ・プロジェクト、転校生。沈殿した澱をすくいとったような歌詞と、その上に流れる澄んだ水のようなメロディの大元にあるのは、実は怒りの感情だという。その矛盾するような要素が同居した転校生のデビュー・アルバムを、24bit/48kHzの高音質で配信いたします。

転校生 / 転校生
かなしみもさみしさも怒りも、そしてほんのちょっとだけある希望も。全部そのままにつめこんだ透明で嘘がない彼女の歌は、きっと他の誰かにとっても自分の歌になるだろう。転校生のファースト・アルバム。

【販売形式】
HQD(24bit/48kHzのWAV)

【価格】
単曲 : 200円 / まとめ購入 : 1800円


1.空中のダンス / 2.人間関係地獄絵図 / 3.東京シティ / 4.エンド・ロール / 5.ほうかご / 6.家賃を払って / 7.ドコカラカ / 8.傘 / 9.パラレルワールド / 10.きみにまほうをかけました

アルバム購入者には、ボーナストラック「東京シティ (Yoshino Yoshikawa "Pollarstars" remix)」をプレゼント!
remix : 芳川よしの (Pollarstars)

転校生 INTERVIEW

「明るく絶望しきっている」! 作家・女優であった鈴木いづみの言葉を引用したくなるくらい、水本夏絵によるソロ・プロジェクト「転校生」のファースト・アルバムは、危ういバランスで成り立っている。「転校生」は熊本出身、埼玉在住のシンガー・ソング・ライター。インディーズ・レーベル「EASEL」からのデビューになる。アルバムはエレクトロ・ポップと鍵盤を軸にした全10曲で、キラキラでポップな曲調とシビアでダークな歌詞とのコントラストが印象的だ。OTOTOY初登場ということで、音楽活動のいきさつや自身の性分を紐解いていくことに。すると、音楽に対するモチベーションや一番好きなアーティストのところで意外な一面が見えてきた。

インタビュー&文 : 福アニー

疎外感や孤独感のような思いがこの三文字に詰め込まれているように感じた

――アルバム『転校生』、ポップでキラキラした曲と声の一方、虚無と諦念を感じる歌詞ですね。

転校生 : 私は基本的に思っていることがネガティブで。ただそればっかりを外に出していくと、ものすごくつまらないし、悲劇のヒロインっていうふうにしたいわけでもない。だから、なるべく明るくいたい、こうなったらいいなって感じで音楽を作るのを心がけています。自分自身ひねくれた部分があるので、曲は暗い歌詞に沿った感じにはしたくない、素直にいきたくないなって気持ちもあります。

――一筋縄ではいかないぞ、と。

転校生 : 人が私のことをよく言ったり褒めたりしても、絶対心から思ってないだろう、嘘を言っているんだろうって思っちゃうんですよね。信じられなくて裏をかいちゃう。心の中ではそうではない、本当のことを言っているってわかるんだけど、そういうふうに捉えてしまって。

――穿ってしまうんですね。私も本名が変な名前なのでよく食いつかれるんですけど、「そこまで興味ないだろー」って(笑)。これまでの生い立ちが影響してるのかなあ…。

転校生 : すぐネガティブに考えてしまう性格は、家庭環境があんまりよくなかったからかもしれませんね。出身は熊本なんですけど、お父さんが典型的な九州男児で、虐待とまではいかなくとも罵声を浴びせられたり理不尽に怒られたり、虐げられていて。なので小さい頃から異常に人の顔色うかがいながら、それがだんだん深くなって…。お母さんは逆に過保護だったけど、それは彼女がそうしたいからしてるんであって、私を思ってのことじゃないだろうって、あんまり信頼してませんでした。

――「普通の未来はあきらめていた」ってバイオグラフィーも印象的で。そんななかで、音楽をやり始めたきっかけというのは?

転校生 : 本格的にバンドをやり始めたのは高校を中退してからですね。小中高と友達にうまくなじめなくて、なじもうなじもうとがんばってたんですけど、だんだん疲れてきて、もうこの場所にいても意味ないなと思ってやめて。それから地元で同い年くらいの人たちと、メンバー募集の掲示板とかで知り合ってバンドを始めました。

――そのときはどんな音楽をやっていたんですか?

転校生 : オリジナルじゃなくて、椎名林檎とかGO!GO!7188とかのコピーをしていました。私はボーカル・ギターで。

――「転校生」というアーティスト名もはっとしますね。

転校生 : ある時、人から「転校生っぽい」と言われたことがあって。実際転校したことはなかったんですが、そう言われたときに、私もはっとしました。私が幼いころから感じていた疎外感や孤独感のような思いがこの三文字に詰め込まれているように感じて、すごくしっくりきたんです。それで「転校生」として音楽活動をやっていこうと思いました。

――ひとりでやり始めたのはバンドでは満足できなかったから?

転校生 : いや、バンドも人間関係がうまくいかなくて、組んじゃ解散し組んじゃ解散しを短期間に繰り返してしまって…。バンドって難しいな、でも楽しいから組みたい、でもうまくいかない、でも音楽は続けたい、とりあえずバンド・メンバーが見つかるまでひとりでやってみようって。それで初めて曲を作ってライヴをやって、そのライヴ音源をMyspaceにあげていたら、レーベルの方に声をかけられたんです。

一回崖から落ちてそこから登ることはできないけど、空を見上げるような音楽

――たくさんの「でも」を経てのソロ活動だったんですね。「わたしの音楽がひつじなら、わたし自身はオオカミだ」というキャッチ・コピーの真意は?

転校生 : 自分の音楽は自分で生み出したものなんですけど、結局それを支配する神様みたいなものは自分というか…。音楽にそっと隠した、絶対みんなが聞いてもわからないような思いを私だけが知っていて、それをみんなは知らずに聞いてるから、みんなも含めて私が食べてるというか。

――音楽もリスナーもかわいい羊ちゃんで、転校生がオオカミだと。もはや赤ずきんの世界。

転校生 : そうですね(笑)。「どうぞ私の音楽を食べてください」って食べさせておいて、それを私が食べるみたいな。

――そして音楽にそっと隠した思いってなんなんですか。

転校生 : 曲を作るとき、歌詞を書いてるとき、ライヴしてるとき、いつも怒りの感情が湧きあがってくるんです。曲を聞いているだけでは絶対に感じ取れないものなんじゃないかな。感じ取ってくれる人もいるかもしれないけど、それを隠して、ひそかに燃やしていますね。

――怒りの感情とは意外! なにに対しての?

転校生 : 具体的な対象はないんですけど、怒りの感情だけがずっと蓄積されていくんですよ。なぜかそれだけはたまって消化されないまま残っているので、それをぶつけている感じです。

――それにしても最初の「空中のダンス」から最後の「きみにまほうをかけました」まで、そんな感情は微塵も感じさせないエレクトロ・ポップと弾き語りを軸とした、キラキラなアルバムですよね。

転校生 : 私、一番好きなアーティストがaikoさんなんですね。中学生からずっと聞き続けてて、音源も全部好きだしライヴも何回も行ってる。自分のやってる音楽とはつながらないような気がするかもしれませんけど、歌手としては影響を受けてて。音楽的にはリリイ・シュシュ、スーパーカー、シガー・ロスに影響を受けています。

――えーaikoさんとはそれも意外! どんなところに影響を受けたんですか?

転校生 : aikoさんは歌詞、声、曲調すべて自分のなかでぐっとくるものがあって。明るい曲を歌うってイメージがあるけど、歌詞は切ないんですよ。自分もそういう風にしている部分はあるかなって思います。

――とにかく陽の曲調と陰な歌詞っていう危ういコントラストがうまくはまってて。

転校生 : 一番古いのが「パラレルワールド」で、「空中のダンス」と「ドコカラカ」も熊本時代の曲。それ以外はこっちにきてから形にしました。曲を作るときは精神的に追い込まれてるとき、そのことしか思ってないって心情のときに自然と出てきますね。まず最初に歌詞を書いて、キーボードで雰囲気を作り上げていくんですけど。

私はこのまま気づかれないで終わっていくのかなって…

――<合法トリップは夢見心地/血塗れたはさみの絵空事>(「パラレルワールド」)、<しねしねしねしね/しねばいいと/ひとりごとみたいにつぶやく>(「人間関係地獄絵図」)など、随所にドキッとする歌詞が散りばめられていますね。

転校生 : このアルバムのなかで一番思い入れのある曲が、一番切羽詰まったときに書いた「空中のダンス」。言ってしまえば、屋上から飛び降りたいって思ったときに作った曲ですね。。

――<屋上から空中/空中から花壇/花壇から空中/空中から宇宙>って、曲調に騙されてファンタジーな歌詞だと思っていたら、かなりダークな心象だったんですね…。なんでそこまで追い詰められちゃったんですか?

転校生 : そのとき組んでたバンドが結構いい感じに続けられてたんですけど、また喧嘩して解散ってなってしまって、そこで一回心が折れて。バイトも入っちゃやめ入っちゃやめを繰り返してて、眠れなくて精神的にものすごくつらくて、絶望してた時期ですね…。音楽を続けたとしても熊本にいるし、どうやって自分が作った曲を聞いてもらえばいいかわからないし、私はこのまま気づかれないで終わっていくのかなって…。歌詞にもあるんですけど、「きっとだれも見てないさ」という状態でした。

――でもそれをどこかで見て聞いていた人がいたわけで(笑)。とにかく歌うのをやめなかったのは、なにがそうさせたんでしょう?

転校生 : それが「すがりつくもの」だったからだと思います。好きなのか嫌いなのかもわかんないけど、これしかできないからこれをするしかないっていう使命感。あと誰にも伝えられない、知ってほしかったけど知られることのなかった感情を形にしたい気持ちで続けてます。

――なるほど。いまたくさんの女性アーティストがいてそれぞれに活躍していますが、自分ではどういう立ち位置で音楽をやっていけたらと思いますか?

転校生 : あまりそういうの意識してなかったんですけど…、ポップでありたい。せっかく聞いてくれる人がいるわけだから、誰にもわからないようなものは作りたくなくて。「一回崖から落ちてそこから登ることはできないけど、空を見上げるような音楽」ができたら。

――それはきれいですね。音源とライヴはまた雰囲気も違いそうですね。

転校生 : 以前のライヴはお客さんを目で威圧する感じでした。ものすごい目を見開いて、凝視してしまうんですよね。でもレーベルの人に怖いよって言われて。

レーベルA&R : 「見られるのが悔しくて腹立つから見てるんです」って言ってたよね?

――そこでも怒りが!? お客さんが目をそらしたら勝った、みたいな?

転校生 : そらすまでやめませんね。あと初めてレーベルのライヴに出させてもらったときに、これで熊本から東京に来てくださいって飛行機のチケットをいただいたんですけど、私飛行機が嫌いで。熊本からすると東京って人が多くて怖いイメージがあったので、絶対に行きたくなかったんです。でも渋谷でライヴがあって。そのMCで「こんなところ来たくなかった。飛行機なんて乗りたくなかった」って言ってしまって。スタッフは後ろでものすごい爆笑してたみたいなんですけど。帰りの飛行機もいやいやしてたら乗り遅れそうになって、出発3分前に搭乗しました…。帰れないところでした…。鍵盤をもってくれた空港のお姉さんもめっちゃ走らせて、ほんとにいま思えばごめんなさいって。

――(笑)。やっぱり音楽やるうえでもなにするでも、モチベーションは怒り?

転校生 : 今はそれだけしかないですね。

――それでは最後に、転校生にとって「歌」ってどういうものですか?

転校生 : 曲や歌詞が自分の感情だとしたら、それを伝える手段でしょうか。私のなかでは楽器と一緒だったり、そこに雰囲気を一本通す仕上げだったりするような。曲の一部でもあり主役なので、それを私自身がやるって感じです。

――「オオカミ」としてね。

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PROFILE

転校生

熊本県出身埼玉県在住、水本夏絵によるソロ・プロジェクト。「わたしの音楽がひつじなら、わたし自身はオオカミだ」。

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