2009年、デビュー・アルバム『Real Estate』がUSインディー・ロック・ファンから絶大な信頼を得ている音楽配信サイト「ピッチフォーク」でベスト・ニュー・ミュージックに選出され、2010年秋、盟友Woodsと共に行った来日公演をソールド・アウトさせたローファイ・ポップ/フォーク・バンドReal Estateが、この度、Animal Collective、Dirty Projectorsを擁する英人気レーベルDomino移籍後初となる作品をリリースする。彼ら独特の「永遠の夏」感は前作からそのままに、更に青く甘く切ない、秋の郷愁をも感じさせる感傷的なメロディを、秋本番を迎えたこの季節に是非ご堪能ください。

Real Estate / Days
【トラック・リスト】
01. Easy / 02. Green Aisles / 03. It's Real / 04. Kinder Blumen / 05. Out Of Tune / 06. Municipality / 07. Wonder Years / 08. Three Blocks / 09. Younger Than Yesterday / 10. All The Same / 11. Blue Lebarron / 12. Reservoir (M-11,12はボーナストラック)

【配信形態/価格】
MP3、WAV共に単曲150円。アルバム購入1500円。

水辺から離れ、一体彼らはどこへ行くのか

2009年セルフ・タイトル『Real Estate』でデビューを果たし、上質なローファイ・サウンドがピッチフォークで高い評価を受けUSインディー・シーンを牽引する存在として脚光を浴びたReal Estate。彼らの新作『Days』がイギリスの名門レーベル、Dominoから届けられた。Real Estateはマーティン・コートニー(Vo,G)、マット・モンデナイル(G)、アレックス・ブリーカー(B)の3人組だ。リアル・エステイト、訳すと「不動産」。「なぜこんなバンド名? 」という疑問が浮かぶが、これはマーティンの両親が不動産業を営んでおり、マーティン自身もかつてそれに関する資格を取るための勉強をしていたことに由来しているそうだ。

メンバーの出身地であるニュージャージー州は、アメリカ東部の大西洋沿岸に位置する森や湖など自然がとても豊かな地域だ。彼らの音楽に耳を澄ませると、海岸の風景がよく頭に浮かぶ。前作は「Beach Comber」や「Pool Swimmers」など水に関連する単語のタイトルが多かったが、今作では「貯水池」という意味の「Reservoir」だけ。水辺から離れたReal Estate。一体彼らはどこに行ってしまったのか? タイトルからも新しい局面を感じとることができ、ワクワクしながら聴いてみた。

1曲目「Easy」や7曲目「Wonder Years」は、Teenage FanclubやThe Pastelsを想起させる爽快なギター・ポップ。明るい曲調にセンチメンタルなメロディー・ラインが配置され、胸がキュンとなる甘酸っぱいナンバーに仕上がっている。3曲目「It’s Real」は、テンテンテンテテン♪と小気味よく鳴らされるエレキ・ギターの音がクセになる曲だ。間奏に入るフランジャーがかかった音がサイケデリックなループを奏で、目を閉じれば宇宙の中に身を置いているかのような気持ちになる。4曲目「Kinder Blumen」は、「これぞReal Estate!」と思わせる、緩やかなビートにローファイ・サウンドが乗っかった曲。その気怠さが不思議と心地よいのである。鈴やギロといった打楽器の音が節々で聴こえ、夕暮れ時に浜辺に座りながらぼんやりしている… そんな幸せな情景が頭に浮かぶ曲だ。全編を通してのんびりとした雰囲気が漂っており、無意識に音の中へ身も心も入り込んでいく。滑らかな楽器の響きと木々の囁きのようなマーティンの声が、現実世界から青々と豊かに生い茂る自然の中へと私たちを連れて行ってくれるのだ。

ビーチで聴くのにぴったりなサウンドを奏でる彼らだったが、今作はそれ以外の場所、例えば家で寝転がりながら、またはゆっくりと街を散歩しながら聴くのにも合う作品だ。Real Estateのサウンドに閉じ込められた爽やかな音は、何も海だけとは限らない。前作と比較し、音の幅はぐっと広がっている。自然の魅力を存分に奏でるReal Estate。次の作品ではどのような景色を私たちに見せてくれるのだろうか。

(text by 碇 真李江)


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Real Estate Official Website

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