2011/05/27 00:00

the milky tangerine1stフル・アルバム完成! フリー・ダウンロード開始!!

柳田久美子といえば、高校在学中に曽我部恵一プロデュースのもと、『8月の虹』でインディーズ・デビューしたいわゆる早咲きのシンガー・ソングライターである。彼女が高校二年生の時に送ったカセット・テープが曽我部恵一の耳に留まり、10代とは思えない高い音楽性が話題になった。地元盛岡でインディーズの活動を経て上京し、彼女はメジャー・デビューを飾る。

そんな彼女がメジャーを離れて結成したニュー・バンドthe milky tangerineの1st フル・アルバム『tuninglife』が届いた。なんと彼女が組んでいた高校時代のバンドが母体となっており、高校時代の多感な時期にメンバー同士が共有した時間が、特有のオリジナリティとして描かれている。2009年に結成されたバンドだが、サウンドの特性は、最近はやりのバンド・サウンドとはどこか異なっている。透き通るような柳田と危なく浮遊する木枝達哉の男女ツイン・ボーカルは、歪みながらも怪しく織を成し、曖昧な色合いを保っている。バンドの演奏は、かなり荒削り。その代わりに、非常にネイキッドでソリッドで、声と演奏の間には、不思議な距離感がある。スーパーカーの1st album『スリーアウトチェンジ』なんかを沸騰させる。

彼女達は今作『tuninglife』でデビューを飾る訳だが、ミュージシャンとしてのそれぞれのキャリアは長いはずなのに、フレッシュで荒削りな部分を残したバンド・サウンドにこだわっている。それはキャリアを十分に詰んだ柳田の挨拶替わりのユーモアとして意識的になされたものではないかと憶測してしまう。

the milky tangerineは、高校時代から大切にしてきた種を、1stアルバムで広大な土地に蒔き始めた。その種は地面に強く食らいつく根となり、屈強な幹を高く伸ばす事ができる伸びしろを持ったバンドであると、本作を聞いて感じずにはいられない。これからが楽しみなバンドである。

(text by 内田武瑠)

「シャルロット」のフリーダウンロードはこちらから(期間 : 05/27〜6/10)

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PROFILE

the milky tangerine
柳田久美子(Vo&G)
木枝達哉 (Vo&G)
真田巧 (B)
渡邉和義(Dr)

2009年1月結成。東京を拠点に活動中。 ボーカル&ギター2名、ベース1名、ドラム1名の4人編成。高校時代に 組んでいたバンド『peace』が前身。2000年、『peace』名義にて、YAMAHA TEEN’S MUSIC FESTIVAL全国大会出場。peaceメンバーであった、柳田久美子、木枝達哉、真田巧が2009年 再会し、いしがき ミュージック・フェスティバル2010などに出場。のちにドラムの渡邉和義が加入し、現在の編成となる。やるせない思いをつづった歌詞、ねじれた楽曲の中にみせるポップさが魅力のバンド。業界内でも評価が高い。

the milky tangerine web

この記事の筆者

[レヴュー] the milky tangerine

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