結成から15年。今宵も行進を続ける、ハードコア・ヂンタの列。世界中どこにも鳴っていない、日本だけでしか生まれ得なかった未来のジャパニーズ・トラッド!?

大熊ワタルという人物をご存じだろうか?
1999年に涙が出るほどの名インスト揃いのサウンド・トラック『豚の報い』をソロ名義でリリースする傍ら、自身のユニットを「シカラムータ」と名付け活動しているアーティスト。日本が誇るクラリネット奏者である。大熊ワタル個人としてはソウルフラワー・モノノケ・サミットに参加していることでも有名であるが、火花を散らして観客を圧倒した2003年のフジ・ロックでのステージ、または2000年ブラーの前座を皮切りにしたヨーロッパ・ツアーは語り草となっている。そのシカラムータが3年半ぶりの音源『裸の星』を携えてまた音楽的大移動を始める。満を持して1月にリリースされるアルバムからの先行配信が、今回の音源だ。
内容の全貌はまだ明らかではないが、15分近くの壮大な楽曲をはじめ、残りの3曲もそれに負けない大作。少なくともこの4曲については、デビュー作『シカラムータ』や『凸凹』、『ゴーストサーカス』から不変のアイデンティティを保ちながら、ハードコア・ヂンタ期を経て美しくも愉快な楽曲を追求したプログレッシブ・ヂンタな内容となっている。

photo by kohide

もともと大熊ワタルはチンドン出身のクラリネット奏者である。出前チンドンというと、「賑やかし」によって雰囲気を明るくし、広告塔を兼ねながらも民衆に一時の笑いと平穏を与える役割を担ってきた。その筋では全国的に有名な富山県のチンドン・コンクール(毎年8万人を動員、大熊ワタルもほぼレギュラーで出場)も、50年前の設立当初は戦後の復興への願いを込め、民衆に平和と明るさを取り戻すための方法としてチンドンが誘致されたのがはじまりである。OZOMATLI、渋さ知らズ、ソウル・フラワー・ユニオン、Fermin Muguruza、ヒプノティック・ブラス・アンサンブル、マヌー・チャオやタラフ・ドゥ・ハイドゥークスなど、音楽性は直結しないものの、彼らの全身から発せられる生命力、音楽に触れる際の祝福と言ってもいいだろうか、客席を必ず笑顔にしてしまうある種の願いが込められているという意味ではどれもシカラムータとの共通点を感じてしまうミュージシャンばかりである。
都会の喧騒の中、ロンドンやニューヨークの地下鉄に必ずといっていいほど出現する街頭JAZZミュージシャンの僅かな演奏が日常に花を添えてくれるように、ニューオーリンズ・ジャズ、ネパール民謡、トルコ・トラッド、チンドンのお囃子・・・ 全く異なるようでいて、本質的なところでは全く同じ、とさえ思ってしまうのである。
楽団の行列から流れ出すメロディ、その周りにある笑い声。そう、人生は喜劇だ。ヂンタの行進の列に並んで少しの間、楽しもうじゃないか。(text by 南日久志)


高音質HQDファイルで、ニュー・アルバム『裸の星』から独占先行配信開始!



結成15周年を迎えて、ますます充実、異次元へと弾けまくるシカラムータ。国内外から高い評価を得てきた彼らの、3年半ぶりとなる新作は、近年大好評のツイン・テューバ態勢では初となるライブ録音で音像化。シカラムータを素材とした太宰治賞受賞の小説『テューバはうたう』に出てくる架空の曲名に由来する「火の中の火」、怒涛の大曲「ちぎれ雲のバラード」、「迷Q都市」や「ヤマナミ」の圧倒的なサウンドを、高音質HQDでどうぞ。

PROFILE

シカラムータ
アバンギャルドとチンドンのストリート魂が絶妙にシェイクされた大熊ワタルのクラリネットに、サックス、ヴァイオリン、ギター、トロンボーン、テューバやドラムが刺激的かつ絶妙に絡む。ロック、ジャズやトラッドと、あらゆるジャンルの垣根は完璧に踏みにじられ、シカラムータの破壊/再生のメリー・ゴーラウンドに乗って、すべては爆笑と号泣の渦に巻き込まれていく。 「東京アンダーグラウンドの底力」と言われた曲者揃いの超異才集団による脳天直撃サウンドは、国内外で常に反響を呼び続けている。 1994年頃より、クラリネット奏者大熊ワタルがリーダーとなり活動を始めた「大熊亘ユニット」を、97年あらたに「CICALA-MVTA(シカラムータ)」と命名、戦前の大道演歌師・添田唖蝉坊の墓碑銘にちなんでいる。

LIVE SCHEDULE

  • 11/6(金)@沖縄那覇・桜坂セントラル
  • 11/7(土)@宜野湾CAFE UNIZON
  • 11/17(火)【シカラムータ超大祭<祝>結成15周年記念】 @渋谷O-WEST
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レヴュー

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