ここ数年、日本のとりわけロック界隈でのダンス・ミュージックが盛り上がりを見せている。そんな中で、80'sダンス・ミュージックやニュー・ウェイヴ、ガレージ・ロックなどの要素を取り入れ、「ロック+トランス=ロッカトランス」という新たなジャンルを提示したのがMONICA URANGLASSだ。デビュー・アルバム『The Temptation X』は、ダンス・ミュージックのキャッチーな楽しさと、ロックの力強さを全面に押し出した作品。ユーモアをたっぷり含んだアレンジで賛否両論を巻き起こしながらも、聴いた者に確実にインパクトを残していく。しかも彼らは、賛否両論と言われることに抵抗がないようでもあるのだ。現在のダンス・ミュージック・シーンをどのように捉えているのだろうか。話を伺った。
インタビュー&文 : 井上沙織
そもそも、ダンス・ミュージックとは何なのか
—結成のいきさつを教えてください。
KAZ-TICKS(guitar/以下K):小学校からの幼馴染です。68がDJを、僕はギターをやっていたんですよね。そこでバンドを組んで今に至ります。
—当初はガレージ・ロック・サウンドだったと伺いました。いつ頃から今のようなロッカトランス・サウンドを鳴らすようになったのでしょうか?
68(vo , syn , pro/以下68):「ガレージ」というとちょっと格好良すぎるかも。もともとダンス・ミュージックが好きだったんですけど、当時はうまくできなくて。今のメンバー編成になってから、こんなのをやりたいってコンセプトを立てて新しく始めました。音を出していく中で、ロッカトランスという言葉が生まれたんです。
—MONICA URANGLASSの音楽は賛否両論だと言われることに抵抗はないのでしょうか?
68:賛否両論って言葉は、聴き手の自由をより強調していると思っていて、気にいっているんですよね。曲に対してフラットになれる。好きじゃないって言うことも、自由だと思うんです。
—影響を受けたアーティストはいますか?
68:The Prodigy、RADIO 4。日本だとPLASTICSかな。テクノ・ポップとか80年代の音楽も好きですね。
K:僕は80年代のバンド・ブームに影響されましたね。
—ここ数年、日本のロック畑でのダンス・ミュージック・シーンが盛り上がっていますが、活動していく上で意識されていますか?
68: たしかに、唄ものギター・ロック+ダンス・ミュージックみたいなバンドが凄く目立ってきてますね。影響を受けているアーティストは彼らと一緒かもしれないけれど、僕らの音はもうちょっとごちゃごちゃっとしている。同じ方向を向いてはいないと思っています。
そもそもダンス・ミュージックって何ですかね? テクノとかデジタル寄りの音楽はもちろんそうだと思うんだけど、例えばもっと生っぽい、オーガニックなレゲエとかダブとかも僕の中ではダンス・ミュージックなんですよね。ヒップホップだって好きだし。要はダンスする音楽ってことでしょ?
—ダンス・ミュージックというのはもっと幅広いものだと。
68:今の日本って、4つ打ち=ダンス・ミュージックみたいなところがありますよね。僕らからしてみたら変な感じ。「ああ、そう言われればそれもダンスだね」ってくらいにしか思っていません。
—現在のダンス・ミュージック・シーンを覆したいと思いますか?
68:あんまり思わないですね。ただ、今ダンス・ロックと一括りにされている音楽には、色んな要素が混ざっているっていうことを、もう少し聴き手にわかってもらえればいいのにって思います。最近インタビューを受けてきた中で、自分達がいわゆるダンス・ロックっていうカテゴリーに分けられてるっていうことに気付いた。その言葉を最初に聞いたとき、ダンスのロッキンを考えた位馴染みのない言葉だったのに。
—そう言われることについては、どう思っていますか?
68:ダンス・ロックって演奏する側が作った言葉ではないですよね。そこに括られる人達は、そう思っていないし、言っていないはず。だから僕らが言っているロッカトランスっていう言葉にもそんなに意味はなくて、ロックとトランスが好きだし、響きや印象で捉えてもらえたらいいかな。
型にはまらないものを残していきたい
—ライブは、オールナイトのクラブではなく、ライブ・ハウスでやることが多いのでしょうか?
68:半々ですかね。ライブ・ハウスとクラブ。もともとはライブ・ハウスに出ていたんですけど、今の音になってからはクラブでもやるようになりました。
—場所によって心境の違いはありますか?
68:ライブ・ハウスは人対人。つまりセッティング、幕間、ライブっていう、一回一回の仕切り直しみたいな空気があってピリッとしている。クラブだともう少し自由で流動的。終わったら自分もお客さんになってアジテートしていく感じも好きです。そこにいる皆が断片的な一辺の一片なんです。
—今後の展望は?
GEORGE(bass):僕らはマネージャーの吉田さん達と一緒に「MONICA URANGLASS WORKS」っていうチームで活動をしています。その活動の幅を広げていきたいですね。
68:音源はもちろんそうなんですが、このチームから生まれるものが、デザイン、洋服だとしても「MONICA URANGLASS WORKS」っていう印がつくことをやりたい。出てくるものすべてが作品、そういうチームとしての発展も楽しみです。アルバムを作ったり、アイデアを出しているときってものすごくテンションが上がっているので、模範解答ではなく、型にはまらないものを残していきたいです。
LIVE SCHEDULE
PROJEKT "The Termination X" TOUR 2009
- 4月4日(土)@大阪 梅田 Shangri-La
- 4月12日(日)@静岡 磐田FMステージ
- 4月13日(月)@名古屋 APPOLO THEATER
- 4月18日(土)@渋谷QUATTRO
w / The Cigavettes / a flood of circle / PILLS EMPIRE / QUATTRO / Veni Vidi Vicious / 6EYES
- 4月26日(日)@宇都宮 HEAVEN'S ROCK VJ-2
- 5月9日(土)@横浜F.A.D
- 5月14日(木)@千葉LOOK
- 6月19日(金)@稲毛K's DREAM
- 7月12日(日)@渋谷club asia
LINK
MONICA URANGLASS website http://monicauranglass.com/
『The Temptation X』SPESIAL PAGE http://monicauranglass.com/project.html
MONICA URANGLASS MySpace http://www.myspace.com/monicauranglass
MONICA URANGLASSの素敵な写真 http://monicauranglass.com/photo.html
MONICA URANGLASS
モニカ・ウラングラス。80'sダンス・ミュージックやNEW WAVEの要素を取り入れた、ロッカトランス(ロック+トランス)という音楽を奏でる3人組。ライブ・ハウスのみならず、クラブ等でもライブを行うなど、活動は多岐にわたる。強烈な魅力を放つダンサブルなロックで、着実にファンを増やしている。