2022/02/18 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.156

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


言葉

言葉にすることは非常に難しい。感情表現の最も有力な手段は、言葉で伝えることだと思う。その手段は直接会って会話をするでもよし、手紙でも、電話でも、筆談でも、言葉が伝わればなんでもいい。ミュージシャンは、その手段に「音楽」を使った。家族に、友人に、恋人に、社会に、言葉を歌詞にして想いを伝えた。「ありがとう」とか「愛してる」とか、顔を見ながらだと恥ずかしくて言えないことも、歌詞にすれば遠慮なく伝えられたのだろう。もしもあなたに、言葉に出来無い「何か」があるのなら、この10曲をぜひ聴いていただきたい。心が浄化され、ミュージシャンによって選ばれた「音楽」という手段に救われることは間違いない。愛や憎しみに対するストレートな歌詞や、言葉の大切さを感じることが出来る。

とにかく言葉は大切だ。感謝を伝えなければやがてそれは不信感に変わってしまうし、争いも話しあわなければ解決しない。暴力や戦争では、表面上でしか解決しない。積み重なる憎悪も、文字に起こしてみれば意外と小さなことだったと感じることもしばしば。もしも言葉がなかったら、どのようにして感謝や愛を伝えていたのだろうか。どのようにして怒りや憎しみを抑え込んでいたのだろうか。考えるだけでも恐ろしい。言葉があって本当に良かったと思う。

この数年間で、「言葉」の重要さ、美しさ、汚さを存分に思い知った。言葉にして伝えることで、心を毛布のように暖かく包み込み、時には先の尖った刃物のように簡単に傷つける。力が大きいが故に、取り扱いが非常に難しく困ってしまう。これも言葉が生んだものだが、「嘘」の使用用途には気をつけなければ刃物となる。しかし、時には嘘で真実を隠すことも必要だ。嘘で守れるものもあると思っている。いつもは照れ臭くて言えない「ありがとう」も、たまには口にしてみると気持ちが良いものだ。早く起きた朝には「おはよう」を言うだけで、その日はいい一日になる。たった一言だけでこんなに世界が変わるのかと驚いたことが何度もある。

ミュージシャンは歌詞で伝えた。私は文章で伝える。これを読んでくださっている方も、自分がどんな手段で伝えるのが正解か、一番伝わるのか、一度考えてみてほしい。言葉の大切も改めて感じていただきたい。

この記事の筆者
里見晃太郎

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.156 言葉

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