2022/01/14 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.151

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


冬に溶け出す歌

冬の寒さは慢性的な体調不良とともに、生ぬるい暖房の中で考えても仕方のないことに思考を向けさせる。特に年末年始のぼやけた雰囲気は、脳の左半分を壊死させながらにして昔のことを思い出すような、何にもならない時間を過ごすのにあまりに適していると思う。それでも外に出れば、寒さに頭が一瞬冴え渡るような気がするのだけど、そんな勘違いを打ち消すには美しくヨレたインディ・ポップやアシッド・フォークを聴くのがいい。

意外にも雪が積もった先週の木曜の夜、静まり返った団地の公園で工藤礼子の『夜の稲』をスピーカーから流せば消え入るような声が放つ散文詩が雪に染み込み、対照的なチューニングの外れたようなバイオリンや不穏なドローンはむしろ歌とピアノの美しさを強調させるように機能する。その感じが都心で一瞬にして白さを失う雪とかぶるところがあって大変よかった。

・・・

『夜の稲』はOTOTOYにはないんですが、この作品に参加しているテニスコーツや、工藤礼子も所属するマヘル・シャラル・ハッシュ・バズ。そのマヘル・シャラル・ハッシュ・バズの作品を多くリリースする〈ジオグラフィック〉(ザ・パステルズのスティーヴン・パステルが主催)からはテニスコーツとの共作や渚にて、グラスゴーのインディ・ポップ・アーティストなんかがリリースされており、これは冬に聴くのにいいなということで、その辺りをプレイリストにまとめました。青葉市子は全然関係ないですが。冴えた頭で春に会えるよう、ゆるりとフラフラと冬を越しましょう。

この記事の筆者
TUDA

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