LIVE REPORT : 衛星とカラテア ワンマンライブ「小さな幸せの密造」
インタビュー&文 : 西田健
撮影 : 真島洸
2025年11月18日。衛星とカラテアが、夢のステージ・Zepp DiverCity(TOKYO)に立った。公演タイトルは『小さな幸せの密造』。正直なところ、この日を迎えるまでの心境は、決して晴れやかなものだけではなかった。ライブの1週間前に告げられた「久木田菜々夏 卒業」の知らせ。グループの初期から支え続けてきたメンバーの門出を前に、この日のライブはどんな景色になるのだろうかと、不安を抱えていたのは事実だ。
しかし、その不安は開演と同時に霧のように消えていった。ステージに立つ5人の目には、迷いのない“覚悟”が宿っていたからだ。今日という時間を、そしてファンとの“日常の小さな幸せの積み重ね”を、全身で噛みしめようとしている。そんな気迫が、会場を包み込んでいた。


開演時刻。疾走感のあるピアノのSEが鳴り響き、客席のペンライトが一斉に光を放つ。スクリーンに映し出される映像にメンバーのナレーションが重なる。静かに、しかし着実にテンションが高まっていく。
セットリストの1曲目は“image”。紗幕に映し出されるリリックが、まるでメンバーの心の声のように胸へと刺さる。言葉と歌、そして視覚がひとつになり、冒頭から世界観へと深く引き込まれた。続く“Daydream”では、光の粒子が舞い散り、白昼夢の中に迷い込んだような幻想的なステージに。そして序盤のハイライトは“ツヨク”。イントロが鳴り始めた瞬間、フロアが爆発的に沸き立ち、サビで紗幕が降りメンバーが姿を現した瞬間、Zeppは熱気の渦に包まれた。5人はさらに“ベストアンサー”、“明日、告白されそうです”とキュートな2曲が続け、彼女たちの多彩な表情を序盤から堪能できる構成となっていた。


挨拶を挟み、次のブロックは“蒼いヒマワリ”でスタート。「全員でジャンプ行くよー!」の声とともに会場が一体となり、Zeppの床が震えるほどの盛り上がりに。指先まで想いを込めて踊り切る姿に、目を離せなかった。このブロックのラストは“スタートライン”。清涼感に満ちた5人の歌声が会場を包み込み、未来へ向かう光を描くようなパフォーマンスが心を打った。
中盤ブロックが終わると、スクリーンにメンバーそれぞれがZeppへの想いを語る映像が映し出される。この場所に立つためにどれほど努力を積み重ねてきたのか——その気持ちがひしひしと伝ってくるようだった。映像がおわると、新たに赤をあしらった基調とした衣装に着替えたメンバーが登場。“僕らは彩に溢れている”では、その名の通り5人の歌声が会場を鮮やかに染め上げ、“Thousands moment”では真っ直ぐな歌声が心に響く。




続く、キラーチューン“Hello World”で会場の熱を再び、一気に引き上げると、その後は、白咲くるみ、日南ことりによるクールなユニット曲“Tokyo Midnight Rendezvous”。重心の低いビートが鳴り響き、ステージは一気に大人の色気を帯びた空間へと変わる。ふたたび5人がステージに集合し、“パレード REMIX ver.”へ。会場全体のクラップにエレクトロなサウンドが重なり、ファンタジックな異世界へ迷い込んだような高揚感に包まれた。
続いての“青空スローモーション”は、久木田菜々夏・春瀬もも・波澄しずくのユニット曲。「君が好きだ」とまっすぐに想いを歌う、まさに“ザ・恋愛ソング”だ。波澄の「忘れられない時間にしたい」という願いがそのまま歌になったようで、会場には柔らかな幸福感が満ちていた。






ライブはここから後半戦へ突入。久木田は「大事なタイミングで必ず雨が降る」というグループの“らしさ”を象徴する出来事に触れながら(ちなみにこの日も少し雨が降っていた)、「ここまで来るのに、それぞれが多くの涙を流してきた」と語る。しかし、その時間があったからこそ「強く前に進むことができた」とし、今この場所に胸を張って立てていると感謝を述べた。
そして、披露されたのは新曲“Rain”。「様々な涙を乗り越えて強く生きる」というテーマを抱いたリリックは、まさに今のカラテアの姿をそのまま映すような力強さと儚さを併せ持つ。主旋律とコーラスが絡み合い、波のようにうねる歌声。それは、メンバーがこれまでの経験を胸に、新たな物語へ踏み出していく決意の表れだった。
続く“居場所”では、肩を組み、声を重ね、会場全体に響き渡るシンガロングが、彼女たち自身の“居場所”を確かに感じさせてくれた。そこから“Starry Journey”へと流れ込むように突入。いつまでも色褪せないその輝きは、この日を迎えた彼女たちの自信と喜びを象徴していた。軽やかにステップを踏む5人の姿からは、未来への希望が溢れていた。ラストスパートでは“ヒーロー”、“Stardust story”、“シナリオ”を一気に駆け抜ける。メンバーの笑顔は弾けるように明るく、観客の心を何度も揺さぶった。



本編終盤、披露されたのは“想い月”。儚い時間の尊さを歌うメロディーが、会場に優しい光を落とすように広がる。ここまで走り続けてきた5人の想いが、一つひとつの音に宿り、静かな感動を呼び起こした。続く“twilight sky”では、どんなときも輝きを失わない世界を描き出すように、ステージが淡い光に包まれる。この夜のステージは、まさにトワイライトの空のように美しく、温かかった。
終盤のMCでは、久木田菜々夏は「今日が一番幸せな日になりましたか? 私もとても幸せでした」と感謝を述べ、「決して当たり前ではない毎日の中で、こうして皆さんと夢を叶えられたことが本当に幸せ」と語り、ファンと積み重ねてきた時間の尊さを強調した。


さらに卒業を控えている久木田は、「私が衛星とカラテアとして大きな歴史を刻むのはきっとこれが最後」と言及。立ち上げからグループを支えてきた立場から、これからの未来を現メンバー4人に託す想いを明かした。「ステージに立つ形は変わるかもしれないけど、グループが夢を叶えていくことは私にとっての幸せ」と語り、観客に向けて「まだまだ素敵な思い出を作っていきましょう」と呼びかけた。
続く春瀬ももは、これまでの4年間を「たくさんのことを乗り越え、挑戦してきた時間だった」と振り返りつつ、「旧TDCホール(現、Kanadevia Hall)に自分たちの力で立ちたい。TIFのメインステージにも挑戦したい」と力強く宣言。「託してもらった未来を明るいものにできるよう、変化を恐れず進んでいく」と語りかけた。
本編ラストでは、未来へ向かう決意を込めて“夢中飛行論”を披露。春瀬は「今日ここに5人で立てたこと、みんなと過ごした時間を胸に、まだ見ぬ景色を見に行きます」と締めくくり、会場は一体となって公演のクライマックスを迎えた。


しかし、そのまま終わりにはならない。客席からの巨大なアンコールの声に応えるように、5人が登場。そして届けられたのは再び“ツヨク”。「踊れー!!」という一声でフロアは再び爆発的な熱気に包まれた。最後の瞬間まで全身全霊で挑み続けたパフォーマンスは、メンバーの感謝そのものだった。
すべてを出し切った5人を代表し、春瀬が最後にこう締めくくった。「今日は私たちの夢を一緒に叶えてくれて、ありがとうございました!」。その言葉は、覚悟と決意に満ちていた。この日、Zepp DiverCity (TOKYO) は、幸せと感動の光で満ちていた。彼女たちがつくってきた、“小さな幸せ”は大きな夢へとつながっている。衛星とカラテアにとって、この日は間違いなく“新しい始まり”となる夜だった。



編集 : 西田健
衛星とカラテア ワンマンライブ「小さな幸せの密造」セットリスト
2025年11月18日@Zepp DiverCity(TOKYO)
1. image
2. Daydream
3. ツヨク
4. ベストアンサー
5. 明日、告白されそうです
6. 蒼いヒマワリ
7. Orion
8. 背伸び
9. スタートライン
10. 僕らは彩に溢れている
11. Thousands moment
12. Hello World
13. Tokyo Midnight Rendezvous
14. パレード
15. 青空スローモーション
16. Rain(新曲)
17. 居場所
18. Starry Journey
19. ヒーロー
20. Stardust story
21. シナリオ
22. 想い月
23. twilight sky
24. 夢中飛行論
EN1. ツヨク
衛星とカラテア ディスコグラフィー
PROFILE:衛星とカラテア

「何気ない日常の、小さな幸せを大切に。そしたらきっとーー」を掲げ、結成当初から “聴き手の日常に寄り添う ” 世界観を独自性としている。TikTok・YouTubeなどSNSコンテンツにも力を入れており、総フォロワー数は109万人越え。アイドルファンのみならず、幅広い層の“日常”に浸透中。
X:https://x.com/EiseiTo_Karatea
Instagram:https://www.instagram.com/eiseito_karatea/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCTS8nzhuwj93xbk5XMTzcjg
note:https://note.com/eiseito_karatea



































































































































































































































































































































