2022/07/20 22:00

『#PIGGSメジャーへの挑戦』は、いったいPIGGSにどんな変化をもたらしたのか──最終決着を前に、プー・ルイ&ブタ山氏が語る!

今年の5月から『#PIGGSメジャーへの挑戦』と題した企画に挑戦してきたアイドルグループPIGGS。彼女たちが取り組んできた『#PIGGSメジャーへの挑戦』の企画内容とは、

・某メジャーレーベル制作陣が集ったTEAMメジャーと、プープーランド制作陣が集ったTEAMインディーが、インディーズラスト・シングルのプロデュース権をかけて、様々なクリエイティブを発表。
・どちらのクリエイティブが好きだったのかをリスナーが投票し、どちらが好きかを決める。

という前代未聞のものでした!

そして、OTOTOYでは、プー・ルイとブタ山氏(某メジャーレーベル A&R)にインタヴューを行い、この企画の意図とそのいきさつに関して語ってもらいました。

『#PIGGSメジャーへの挑戦』始動前に行った、プー・ルイ&ブタ山氏の対談記事
PIGGSがメジャーとバトル!? 第1弾シングルのプロデュース権をかけ真剣勝負!──徹底検証、『#PIGGSメジャーへの挑戦』!!!

その後は、アーティスト写真、グッズ、ジャケットデザイン、楽曲、MV、と次々にクリエイティブが発表されるたびに、多くのリスナーの話題になっていましたが、ついに、今週末22日にこの企画の最終結果が発表されます。

と、その前に、この2ヶ月に渡ってこの企画を実際にやってみてどうだったのか、結果発表の前にどうしても気になった編集部は、再びプー・ルイとブタ山氏をお呼びし、音楽ライターの南波一海氏を聞き手に迎え、取材を実施。企画が進んでいくなかでそれぞれの心に生まれた変化や発見とは、いったいなんだったのか!?

INTERVIEW : プー・ルイ(PIGGS) & ブタ山(某メジャーレーベル A&R)

インタヴュー&文 : 南波一海
撮影: 大橋祐希
編集: 西田健

アイドルってもっと広いものだったなと

──この取材はシングル発売日の当日に行なっているわけですが、今回のVS企画の所感、現在の率直な気持ちをうかがえればと思っています。

プー・ルイ : 企画の広がりに関しては正直、もっと期待していたところはあります。(メジャーvsインディーを巡って)論争を起こすのが最大の目的だったと思うんですけど、そこまではいかなかった。例えば有名なバンドマンが「なんかおもしろいことやってるね」ってツイートするくらいになったらいいな、というのがあったので。そう考えると違う方に行ったかなと。

──違う方というのは?

プー・ルイ : メンバーもスタッフもファンの人も、めちゃめちゃ考えるきっかけになったんです。外側の変化というより内側に思った以上の変化がありました。

ブタ山 : 当初の目論見として、僕が問題視していたところはデジタルの数……MVやストリーミングの再生回数で、そのためにはこれまでにない施策や企画をしていこうという意図だったので、そこはいままでより上がっているんですけど、もっともっと上げなきゃいけないなという感触ですね。

プー・ルイ : あとは、TEAM AとBで大差になるのかなと思ったら意外と拮抗して、(2チームの支持率を示す)円グラフもわりとトントンでした。ライヴしてやっと、ちょっと差が出はじめたくらいで。

──予想よりも差がつかなかったのはどうしてだと思いますか?

プー・ルイ : それについても考えたんです。10年前だったら多分、そんな新参のよくわからないものは潰してやろうぜってムーヴになりやすかったと思うんですけど、いまはもっとハッピーというのがはっきりしたのかなと。争いの時代は終わりました(笑)。

──ファンの皆さんがポジティヴに企画に乗ってくれたというのはありますよね。

プー・ルイ : それはもう、本当に。10年やってきたなかでファンの民度が上がってきました(笑)。私の場合は最低ランクから始まっているじゃないですか。

──あの、言い方に問題が。

プー・ルイ : いや、おもしろい人たちでしたけど、民度で言ったら最低だったと思うので(笑)。それを考えると優しい人が増えましたよね。

──この対決企画の第一弾として発表されたのがアーティスト写真ですよね。どっちのチームがどっちを作ったのかがわからなかったのも、ファンの皆さんをその気にさせたんだと思います。

最初に公開されたアーティスト写真

プー・ルイ : そこはおもしろかった! 「いやわかれよ、ずっと見てたんじゃねーのかよ! 」とは思いましたけど(笑)。間違ってる人もいっぱいいましたし。

ブタ山 : 違う意見も相当あがっていて。どっちかを当てることを目的としてやっていないので全然構わないんですけど、意外とそういうものなんだと思いました。

プー・ルイ : 実際は、アー写を撮る時点からかなり違いましたよね。ブタ山さんチームはメイクもカメラマンもはじめての方だったし、スタジオの大きさも全然違いました。

──滑り出しでどちらかを当てるゲームにならなかった結果、作品のよしあしではなく思い入れのあるチームを応援しよう、みたいなことにはならず。

プー・ルイ : みんな純粋でしたね。出したものを好みでちゃんと選んでくれました。

──その後、それぞれのチーム制作によるグッズやジャケット写真が公開されていき、6月12日には代官山UNITでPIGGS(A)とPIGGS(B)によるライヴ企画「BATTLE OF PIGGS」が開催されました。そこで新曲が初披露されたわけですが、まずはインディー側の新曲の感触と、その反応についてうかがいたいと思います。

代官山UNITで開催されたライヴ企画「BATTLE OF PIGGS」のレポート
新曲&衣装が明らかに! そして突きつけられた選択! ──〈BATTLE OF PIGGS〉ライヴレポート

ブタ山 : いつも通り素晴らしいなと。それまでの延長線上にある曲でしたし、歌詞もいい。僕の感覚では、特にライヴで輝く曲だなと思ってました。実際に反応も良かったですし、お客さんからも「これだよね」という空気感は感じました。だからこそ(メジャー側の新曲と比べて)ギャップはあったと思います。

プー・ルイ : やっぱり「これぞPIGGSだ」「聴きたかったのはこれこれ」という感じでしたよね。メンバーも最初はそっちの曲の方が得意で、気持ちを入れやすかったと思います。バトルするとなると、こっち側の曲は敵勢力に負けないぞという気持ちもリンクするような歌詞ですし。私、お披露目の日はラスサビでブタ山さんを睨みつけて歌うくらいでした。最初はまだそのくらい尖ってました(笑)。

──間違いないクオリティですもんね。そして、やはり気になるのはメジャー側の新曲の反応です。ブタ山さんの手応えはどうだったのでしょう。

ブタ山 : 楽しんでくれているお客さんもすごくいたんですけど、受け入れられない部分も相当大きかったのかなと。僕はお客さんと同じ目線で会場にいたので、ザワザワという感じを間近で聞けたんですね。

プー・ルイ : 特に後ろのほうにいる人はそうなのかも。

──ああ。やんや言いがちというか、フランクな会話が聞けますよね。その話し声がブタ山さんの耳にも入ってきたと。

ブタ山 : ライヴって曲だけのイメージじゃなくて、衣装も大きいと思うんです。まずは衣装が目に入ってくるわけで。曲の初披露よりも衣装に対する「ん?」っていう反応は感じました。そのあとからの新曲だから、捉われ方がいまとは違いましたよね。

──お客さんが抱いた違和感を感じ取ったわけですね。

ブタ山 : だから正直、大丈夫かなという気持ちもありましたけど、メンバーがやりきってくれていたんです。これをやり続けてくれたら変わるんじゃないかと思いました。

プー・ルイ : 私は逆で、意外と受け入れられたかなと思いました。ステージ側とブタ山さん側とでは感じ方が違うのかな。ザワザワが良いほうに聞こえましたよ。受け入れられない人はもう完全に無理って感じだったと思うんですけど、そこまで多くなかったと思います。

ブタ山 : 僕はニコ生のコメントも見ていたので、その場で色んな情報を一気に受け取っていたというのが違うところかもしれませんね。

プー・ルイ : ニコ生は会場の空気感とはまた違いますもんね。あの日、アイドルオタクが本来持つ対応力みたいなものを久しぶりに見て、ああ、こういうもんだったなと思いました。推しジャンとかが始まって(笑)。いままでのPIGGSではなかったんですよ。それがいいのか悪いのかわからないけど、楽しもうという気持ちは感じられるじゃないですか。それを見て、アイドルってもっと広いものだったなと。私が受け入れられないと思い過ぎていたのかもしれない。いまはAもBも馴染んでいますけど、当初、メンバーが戸惑っていたのもありますしね。

[インタヴュー] PIGGS

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