Perfume Genius 『Ugly Season』
パフューム・ジーニアスことマイク・ハドレアスが、2019年に上演されたダンス作品のために書き下ろした楽曲を集結。LAの敏腕プロデューサー、ブレイク・ミルズや参加メンバーとの化学反応から形成されていった各曲は、これまで以上に拡張されたスケール感で、クラシカル音楽の要素からインダストリアル、チェンバー・ポップまで内包し、多彩な楽器の音色を大胆かつ刺激的に重ねていく。中でも、衝動と変化に身を委ねて制作されたという「Hellbent」は、不穏に響く長尺のノイズに始まり、艶やかに鳴くブレイクのギターに、セクシーで過激なマイクのヴォーカル、感情の昂ぶりのままに叩き込まれる強烈なドラミングが、胸の内をえぐるように豪快に押し寄せる、凶暴性とセンシュアルさを兼ね備えた圧巻の一曲だ。
Horsegirl 『Versions of Modern Performance』
アメリカの名門、Matador Recordsから輩出された、シカゴ発3人組バンドによるデビュー・アルバム。ソニック・ユース(『Rather Ripped』と『The Eternal』)、ダイナソーJr.などを手掛けたジョン・アグネロと共同制作し、スティーヴ・アルビニが所有するシカゴの〈エレクトリカル・オーディオ〉でレコーディングされたという本作には、乾いたサウンドと波打つギターノイズ、歌とリンクするアルペジオ、絶妙なコード感と、古き良きなガレージ・ロック感や、90年代オルタナ/グランジへの憧憬を閉じ込めた“まさしく”な音が鳴る。今後どのように自身のスタイルを確立し、独自のメロディセンスを発揮していくのか見守りたい。
Momma 『Household Name』
今年はWet LegやSnail Mailのオープニング・アクトを務めるなど、快進撃を続けるLAの新進気鋭の女性デュオのサード・アルバム。これまでのDIYな制作スタイルからスタジオ制作に切り替えたという本作は、90年代ロックからの影響を最大限に投影すると共に、鮮明なサウンドメイクとストーリーテリングに合わせた巧みなアレンジ力で、色褪せない魅力を現代的にアップデートしてみせた。より味わい深いものとなったヘヴィーなサウンドや、高いソングライティング力には、ニルヴァーナやガービッジ、スマッシング・パンプキンズを思わせるものがある。彼女たちが未来のオルタナ・シーンを牽引するかけがえない存在になると確信する1枚。
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