2021/04/28 18:00

the McFaddin×HOLIDAY! RECORDS×FRIENDSHIP.の座談インタヴュー──関係者が語るバンドのエモーショナルな魅力と4曲の新作について

the McFaddin

関西で今最もかっこいいバンドの一つが、the McFaddin !!! そのかっこよさの秘密を探るべく、the McFaddin×HOLIDAY! RECORDS×FRIENDSHIP.による座談が実現。次世代インディーズバンドのCDを通販している「HOLIDAY! RECORDS」を運営する植野秀章と、デジタル配信とアーティスト活動をサポートするサービスFRIENDSHIP.でキュレーターを務め、FREE THROWのDJのタイラダイスケを招き、the McFaddinの人情溢れるエモーショナルな魅力や京都に根付いた活動スタイル、4枚の新作シングルについて、バンド・メンバーと共に語ってもらった。これを読むと、the McFaddinを今注目しないのは間違いなことに気づく。

インタヴュー:飯田仁一郎
文:梶野有希
写真:大地 / a.k.a Wildpit¢h /replaica

the McFaddin - SOUTH
the McFaddin - SOUTH

INTERVIEW :the McFaddin ×植野秀章(HOLIDAY! RECORDS)×タイラダイスケ(FRIENDSHIP.)

ーHOLIDAY! RECORDSの植野秀章さんやFRIENDSHIP.のタイラダイスケさんを座談に招いた経緯を教えてください。

Ryosei:なにかを動かしたいという気持ちはずっとありつつ、僕らの力だけではまだ非力なので、植野さんやタイラさんに「僕らは本気で曲作ってライヴするので、手伝ってください」ってわがままを言わせてもらいました。あと今までは「僕ら面白いから見てよ! 」ってあんまり言えなかったんですけど、そういう話を植野さんに相談していたら、「インタヴュー形式で伝えてみても面白いんじゃない」って提案してもらったんですよね。

ータイラさんとの出会いを教えてください。

Keisho:出会ったのは、昨年2月くらいだからちょうど1年ちょっと前くらいかな?

Ryosei:元からお世話になっているFRIENDSHIP.キュレーターの片山翔太さんのイベントでタイラさんが僕らのことを気にかけてくださったんですよね。そこからFRIENDSHIP.に僕らから応募して、タイラさんにShibuya Milkyway LIVE&BARの楽屋で色々な知識を叩き込んでいただきました。

タイラ:the McFaddinのことはみんな知ってるし、一般公募でどうにかするような実力のバンドじゃなかったから当然FRIENDSHIP.でやろうってなりました。

ータイラさんからみたthe McFaddinの第一印象はどんな感じでした?

タイラ:実際にその片山翔太主催のイベントでライヴを見てthe McFaddinはステージの完成度がめっちゃ高いなって思いました。いいロック・バンドの条件の1つに「ステージに立ってかっこいいかどうか」があると思うんですけど、the McFaddinはまず音を出す前にOKって感じだった。これ絶対いいじゃんって予感がしました。

ーでは、植野さんとの出会いは?

Ryosei:植野さんと出会ったのは、かなり昔ですね。僕らがまだ大学生の時でメンバーもまだ4人しかいなかった2015年にリリースしたEP『I'm In Bloom』を植野さんが見つけてくれたんです。CDもクソ売れへん、ライヴもノルマを払ってやっていた時代から見つけてくれて、その頃からすごいプッシュしてくれてて。

ー植野さんはthe McFaddinのどんなところにビビッときたのでしょう。

植野:シンプルにかっこいいなって思いました。出会った頃はいちオルタナティブロックバンドって感じで、いまの印象とはだいぶ違いますけど、当時から楽曲がいいバンドっていうイメージはありましたね。その頃から歌声もよかったですし。

Photo by 大地

ーご自身ではどのように音楽性が変わってきていると思いますか?1月から4ヶ月連続でシングルを配信リリースされましたよね。

Ryosei:大きく変わったのは機材ですね。昔はスタジオ・セッションをして曲を作っていたけど、2019年に出したファースト・アルバム『Rosy』からDAWを取り入れたので、PCでデモを作ってそれをバンド・サウンドに起こすって形に進化しました。コロナ禍で思い通りに動けなくなってから、速攻でパソコンを買って、マイクやオーディオインターフェイスを買ったり、とりあえず機材を調達したんです。ほとんど家から出ず、新しい機材で今回の4曲を作りました。初めてTaitoがミックスからマスタリングまでを担当して、完全に自分たちプロデュースの楽曲なんですよ。

ー植野さんから見てthe McFaddinのサウンドの魅力はどんなところだと思いますか?

植野:面白いですよね。Mura Masaの「No Hope Generation」のカバー、すごいよかった! 「Mura Masaを面白いと思ってるんだよ」ってことを表明するためのカバーだったんだなって思いました。ただカバーしたってよりもグランジっていうルーツがあるバントとしてのアンサーに近いのかな。

Ryoma:あれは僕も好きですね。最高傑作と言ってもいいんじゃないかな。

the McFaddin cover - Mura Masa「No Hope Generation」
the McFaddin cover - Mura Masa「No Hope Generation」

ーHOLIDAY! RECORDSとthe McFaddinで3ヶ月連続ツーマンイベントを始めるという話を聞いたのですが。

Taito:僕らがいちばんお世話になっている京都GROWLYでやります。この状況下でバンドを通して箱のためになりたいっていう気持ちもあるし、今後も一緒にやっていきたいって思っています。ツーマンを自分ら主催でやったことなかったんですけど、「油断できひんツーマンをやりたいです! 」って植野さんに相談しました。できるだけ多くの人に知ってほしいし、俺らとはまた違う音楽をやっている人たちを巻き込みたいです。

Ryoma:HOLIDAY! RECORDSがハブになってくれているよね。

Taito:俺らがいつもやらせてもらっている京都GROWLYの周年のファイナルが5月5日なんですけど、その日にツーマンの1発目をやる予定でした。昔から一緒にやってきた感覚があったバンドを呼んでいたので、めちゃくちゃ対バンしたかったんですけど、緊急事態宣言が発令されたので延期になっちゃいました。

Ryoma:ライヴハウスにお客さんがすごい入るとか後世にも語り継がれるようなライヴを何回もやるっていうことがシンプルにライヴハウスのためにもなるんじゃないかって思ったんですよね。

植野:ハブになっているっていうのは僕としても光栄ですし、the McFaddinのそういうエモーションがこのイベントを通して伝わってほしいです。

ー他にも開催予定だったイベントはございますか?

Ryosei:僕たち主催のオールナイトイベント〈dip.〉を京都メトロっていうめちゃくちゃ最高な箱でやる予定だったんですけど、それもコロナで延期になってしまって。

タイラ:延期にはなってしまっているけど、the McFaddinがパーティを開いてくれるのは、彼ら自身の経験にもなりつつ、カルチャー全体に還元していることだったりもするよね。東京のバンドにとってもエッジがあるし。

ー京都メトロの印象は?

Taito:俺らがみている方向をすぐに理解してくれる箱です。

タイラ:僕も京都メトロは日本でも有数にいいクラブだと思っていて。ちゃんと音楽を愛しているであろう箱でパーティができるって絶対的に素晴らしいことだと思う。

Photo by 大地

この記事の筆者
梶野 有希

1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。

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