2021/01/14 18:00

ゆくえしれずつれづれ、旅の終わりを告げる最期の咆哮──〈 LAST ONE MAN LIVE〜The Scream〉ライヴレポート

「だつりょく系げきじょう系」をコンセプトに活動を続けてきたアイドル・グループ、ゆくえしれずつれづれの解散ライヴ〈 LAST ONE MAN LIVE〜The Scream〜〉。5年の活動に終止符が打たれた今回のライヴは、感情が剥き出しになったパフォーマンスに、ステージも観客席も大熱狂の渦が起きていた。今回OTOTOYでは、Shibuya CLUB QUATTROで行われた彼女たちの最期の公演の模様を、渾身のレポートでお届けします。

ゆくえしれずつれづれ最期のアルバム

LIVE REPORT : ゆくえしれずつれづれ〈 LAST ONE MAN LIVE〜The Scream〜〉

年も明けて間もない2021年1月2日。ゆくえしれずつれづれが解散を迎えた。ぜんぶ君のせいだ。を筆頭に、様々な音楽性を持つグループを擁する個性派レーベル、コドモメンタルINC.から“だつりょく系げきじょう系”のユニットとして産まれた彼女たち。2015年の結成から数々のメンバーチェンジを繰り返しながら、それでも歩みを止めることなく活動を続けてきたグループだ。その歴史のなかでは、「Not Secured, Loose Ends」という名義で海外でも活動を行い、国内以外にも数多くのファンの心を掴んでいる。そんなゆくえしれずつれづれが、最期のワンマン・ライヴ〈 LAST ONE MAN LIVE〜The Scream〜at Shibuya CLUB QUATTRO〉で長きにわたる5年の活動に終止符を打つ。様々な想いを抱えながら会場へと向かった。

今回のライヴはコロナ禍のまっただなかに行われる公演だ。モッシュやダイヴはもちろん、声出しもできないというレギュレーションのなか、どのようなライヴになるのだろうと期待と不安が入り混じる。定刻をすぎて、SEが流れ出した。メンバー4人が現れる。そして、「逝ってきます」の合図と、掲げた遺書をステージの最前に置き、ゆくえしれずつれづれ最期の旅がはじまった。

ライヴは、1曲目「九落叫」からエモーショナルかつラウドなサウンドで独自の世界観を展開していく。「MISS SINS」「白と黒と嘘」「Ideology」という、ゆくえしれずつれづれの得意技とも言うべき4曲を立て続けに披露し、会場全体の空気を自分たちの色に染め上げた。メイユイメイのロックスター然としたヴォーカル・スタイルや、まれ・A・小町の眼と身体全体で感情を表現するような鋭い眼差しに目が釘付けになる。さらに、个喆によるキュートな煽りや、たかりたからの表情豊かなパフォーマンスも加わり、ライヴは序盤から最高潮へ。

途中、「紳士淑女の皆様 ご機嫌麗しゅう ゆくえしれずつれづれです。」というシンプルかつタイトな挨拶を挟み、怒涛のライヴは続く。「行方不知ズ徒然」では、「渋谷ー!」というシャウトでフロアを沸かす。ゆくえしれずつれづれというグループの武器のひとつは、4人全員でのスクリームによる掛け合いだ。今回のライヴにおいても声質や音域の違う4つの叫びが絡み合い、彼女たちにしか描けない世界を表現している。

ゆくえしれずつれづれのスクリームやシャウトを織り交ぜ、さらに激しいダンスも加えたパフォーマンスには常に気迫がこもっている。どれだけ稽古をして、どれだけの経験を積めば、このような熱量の高いライヴを行うことができるのだろうか。ロックなサウンドをメインに活動するグループは数多くいるが、彼女たちのパフォーマンスは、今後アイドル史においても稀有な存在として語り続けられていくに違いない。このライヴでの鬼気迫る様子は、ゆくえしれずつれづれが、ただのアイドル・ユニットではないことを証明していた。

今回驚かされたのは渋谷CLUB QUATRRO全体に響き渡る轟音だ。巨大な心臓の鼓動のようなバスドラムに呼応するように、ベースが唸りを上げ、歪んだギターが重なっていく。バンドセットによる生演奏で行われた今回の公演。ステージの上ではバンドメンバーも含め、感情剥き出しのパフォーマンスが繰り広げられていた。

中盤に披露された「Wish/」「howling hollow」「Grotesque promise and I really hate me 」では、ストレートかつメロウに「歌」そのもののパワーを前面に打ち出していく。メロディアスにそれぞれの歌声でエモーショナルな世界を描き出していくのも、彼女たちの持ち味のひとつだ。コロナ禍で行われたライヴということで、声出しはNGだったのだが、メンバーそれぞれが客席にマイクを向けていたのが印象的だった。その姿は群青(ゆくえしれずつれづれのファンの総称)たちの心の叫びを聴いているかのようで、僕も大きく声を上げたい気持ちを抑えながら、気づけば拳を上げていた。客席の誰もが力強く拳を掲げ、メンバーの叫びにヘドバンで応える。メンバー4人と群青たちとの想いが通じ合っていたことの現れだったのだろう。ステージと客席の間で魂と魂がぶつかり合う。

終盤「ポストカタストロフ」では「みんな大好きだー!」とたかりたからが叫び、本編ラストナンバー「Doppelgänger」ではメンバー全員が肩を組んでお互いを称え合っていた。「楽しい」という感情を剥き出しにする姿も、彼女たちらしい。ノンストップで20曲駆け抜け、本編は終了。アンコールを求めて会場に響き渡る拍手は、まるでこの夜を終わらせたくないという群青たちの魂の叫びのようだった。

アンコールでは Tシャツ姿に着替えたメンバーが現れる。ゆくえしれずつれづれ最期の新楽曲「Requiem」が披露された。雷鳴のような本能の咆哮が鳴り響くこの楽曲は、彼女たちがゆくえしれずつれづれで生きてきたものすべてを詰め込んだ曲だ。そのまま「群青」「逝キ死二概論」「春夏秋闘」「鏡想唱弐鳴り」と初期から愛されてきた4曲を、時折タオルを振り回しながら畳みかけた。

ダブル・アンコールで披露されたのはデビュー・シングル「凶葬詩壱鳴り」。ゆくえしれずつれづれのはじまりの曲だ。残された力を全て振り絞って叫び続けた4人。無論ここまで全身全霊で想いを伝えていたが、本当に最後の最後まで死力を尽くしたパフォーマンスだった。最後に一言「ありがとうございました!」とだけ告げてステージを去っていった彼女たち。これ以上ない素直な言葉に会場が万雷の拍手に包まれ、ゆくえしれずつれづれの旅は終わりを迎えた。

激動の5年間を駆け抜けたゆくえしれずつれづれ。世界中多くの人々に愛された彼女たちが、この先どのような道を進んだとしても、その旅の行方が輝かしいものであることを祈っている。

■セットリスト
『ゆくえしれずつれづれワンマンLIVE~The Scream~』
2021年1月2日(土)渋谷CLUB QUATTRO
01. 九落叫
02. MISS SINS
03. 白と黒と嘘
04. Ideology
05. 行方不知ズ徒然
06. ニーチェとの戯曲
07. 我我
08. 新宿シネマコネクション
09. REDERA
10. the End of…
11. Ways to Die
12. つれづれ賛歌
13. Phantom Kiss
14. Paradise Lost
15. Wish/
16. howling hollow
17. Grotesque promise and I really hate me
18. Loud Asymmrtry
19. ポストカタストロフ
20. Doppelgänger
<アンコール>
21. Requiem
22. 群青
23. 逝キ死ニ概論
24. 春夏秋闘
25. 鏡想唱弍鳴り
<アンコール2>
26. 凶葬詩壱鳴り

文 :西田 健
撮影:Takaya Sekigami(コドモメンタルINC.)

この記事の筆者
西田 健

1990年生まれ。熊本出身の九州男児。2019年までイベント業界で働きながら、福岡親不孝通りにてJ-POP、アニソンのDJ活動を行う。その後上京し、OTOTOY編集部にてアイドル、アニメ関連を中心に担当。映画、深夜ラジオが好き。

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