港町に豊かな音楽が鳴り響いた2日間──福井県敦賀市で開催されたフェス〈JINDO音楽祭〉レポート 前編
福井県敦賀市にて11月3日(火・祝)から8日(日)の約1週間に渡り、市が主催となって食や音楽、シンポジウム、ワークショップなど様々なプログラムを実施するイベント〈人道の港国際文化交流ウィーク〉が開催された。主なイベントとしてはユダヤ難民が上陸した日本で唯一の港としての歴史を持つ敦賀の歴史を紹介する施設「人道の港敦賀ムゼウム」の拡大リニューアル・オープン、北陸最大級のイルミネーション「ミライエ」のライトアップなどが行われ、最後の2日間となった7日(土)、8日(日)にはフリーの音楽フェス〈JINDO音楽祭〉が開催。今回OTOTOYでは会場の様子とともに、全11組が出演した〈JINDO音楽祭〉の2日間の模様をお届け。まずは前編、1日目の模様からどうぞ。
イベントの詳細や主催に行なったインタヴューはこちらにて掲載中
LIVE REPORT : 〈JINDO音楽祭〉 1日目
フェス初日となった7日は、中東料理研究家として本も執筆し、NHK-FMのワールド・ミュージック番組「音楽遊覧飛行エキゾチッククルーズ」のナビゲーターを務めるDJ、サラーム海上。水曜日のカンパネラのコムアイとのユニット、YAKUSHIMA TREASUREをはじめ、さまざまな形態で活動する音楽家、オオルタイチ。現在の和モノ・ムーヴメントを牽引するDJの1人、吉沢dynamite.jp。新世代のミュージシャンとして多くのミュージシャンからも賛辞の声を集めるシンガー・シングライター、東郷清丸。スチャダラパーのサイドMCをはじめ、様々なアーティストとのセッションを繰り広げてきたヒップホップ吟遊詩人、ロボ宙の5組が出演。
本来ライヴは港に隣接する緑地にあるイルミネーション、ミライエの前にステージを組み、野外にて行われる予定だったものの、当日の天候不良が予想されたため、急遽緑地の近くにあるホール〈きらめきみなと館〉に場所を移しての開催となった。ギリギリで残念な知らせとなったものの、ライヴはサラーム海上によるDJからスタート。昨年は、この敦賀にて開催された〈国際文化交流フェスティバル〉にワールド音楽に関する講座の講師として登壇した彼が、今年はDJで登場。エキゾ・グルーヴな楽曲の数々で、まだスタートしたばかりの会場をほぐしながらゆっくりとしかし確実にムードを作り上げていくプレイを披露する。2番手で登場したのはオオルタイチ。さまざまな形態で活動する彼が、今回はギター1本というシンプルな弾き語りスタイルで、おそらく初見であろう地元の人たちの心をグッと引き寄せる演奏を届けた。続いて登場したDJ 吉沢dynamite.jpは、スクラッチやサンプラーを織り交ぜつつ、新旧和モノのグッド・チューンを次々に投下。外は日暮れとともに雨足が強まり冷え込んできていたが、反比例するように会場内は熱を帯びていく中で、続いて登場したのは東郷清丸。今回はドラムとの2ピースというタイトな編成ながら、その稀有なポップ・センスを詰め込んだ楽曲でフロアをさらに盛り上げた。再びDJの吉沢dynamite.jpに時間が移ると、これまでの熱をキープしながら、この日ラストに登場するロボ宙へと完璧なバトンが渡る。普段ソロでは自身がサンプラーを操作しながらライヴを行っているが、この日はバックDJを携えた編成ということで自由にステージを動き回りながら、キャリアを感じさせる流石のステージングでこの日いちばんの一体感でフロアをロックした。
雨や寒さと生憎の天候であったが、それでも初見であろうDJに体を揺らせながら、コロナ感染対策の距離を取りながらも、ステージの前に少しづつ人が集まり、ホールで鳴る音楽は、ホールを飛び出し、巨大なイルミネーションの光に溶け込み幻想的な世界を創り上げていた。
文 : 高木理太
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