2020/09/25 08:30

PEDRO、〈LIFE IS HARD TOUR〉最終公演──生きててよかったと思わせてくれて本当にありがとうございます

PEDRO

アユニ・D(BiSH)によるソロ・バンド・プロジェクト、PEDROが全国9都市で開催したツアー〈LIFE IS HARD TOUR〉。セカンド・フル・アルバム『浪漫』をひっさげて行われたこのツアーを通して、PEDROの奏でる音楽はさらに強靭なバンドサウンドへと進化を遂げていた。今回OTOTOYでは、LINE CUBE SHIBUYAで行われた大熱狂の最終公演の模様を、渾身のレポートでお届けします。

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LIVE REPORT : PEDRO@LINE CUBE SHIBUYA

大型のワンマンライヴは、個人的には半年ぶりだった。新型コロナの影響により、PEDROやWACKのアーティストのツアーもどんどんキャンセルや延期が続くなかで、どんなライヴになるのだろうと期待だけでなく不安があったのも事実だ。しかし、まずは徹底した感染対策に驚いた。入り口での検温、アルコール消毒はもちろん、座席は一つ飛ばしで間隔があけられ、マスク着用、大声禁止などが徹底されていた。もちろんその対応に嬉しくもあるが、またあの客席と一体になりどんどんグルーヴが上がっていくようなPEDROらしいライヴが観れるのだろうかと不安にもなった。

定刻、PEDROの〈LIFE IS HARD TOUR〉のファイナル、9.24@LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)が幕を開けた。

立ち位置は、上手にドラムの毛利匠太。下手には、マーシャルのヘッドにオレンジのキャビネットを携えたギターの田渕ひさ子。そして真ん中に、オレンジのベースアンプの前でアユニ・Dが立つ。

一曲目は“WORLD IS PAIN”。二曲目は“猫背矯正中”と続くのだが、まずは渋谷公会堂に響き渡る大音量に歓喜した。毛利のバスドラに呼応するように図太いアユニのベースが唸る。そして田渕のジャキジャキのギターが覆いかぶさる。明らかに音がでかいし、そして出音が更新されている。こんな音、どこかで聴いたことがあるなと思ったら、フジロックで見た伝説的ニュー・ウェイヴ・バンドGang Of Fourだ。PEDROは、彼らに負けず劣らず、図太く、ジャキジャキで独創的な音を出していた。また今回はセットもド派手だ。ステージ上には、浪漫を表現をしたという大きなキューブが多くそびえ立ち、バックにはテレビ画面のようなものがいくつも配置されている。その画面からは、山田健人のVJが、ステージにさらなる輝きと刺激を与え続ける。

前半戦は、11曲目の“感傷謳歌”までMCなしで突っ走った。明らかに以前のPEDROではなく、全員のビートが揃っていて、1曲1曲に緩急があり、バンドとしての強度が上がりまくっている。特に、3曲目の“愛してるベイベー”から5曲目の“後ろ指さす奴に中指立てる”の新曲群の流れは、全く勢いが止まらないし、PEDROが出音だけじゃなく、バンドとして更新していることをまず証明してみせた。

そしてこのライヴを通してもっとも驚かされた曲は、7曲目の“pistol in my hand”。ベースの図太い音もギターのジャキジャキな感じも、全てこの曲を表現するためにセッティングされたんじゃないのかと思うくらいにはまっており、刺激をダイレクトに伝えるような音の洪水は、PEDROがただのロックバンドではない、オルタナティヴ・ロックやグランジの魂を引き継いだバンドであることを体現していた。

「目の前に人間がいて、信じられないけど、現実でした、ありがとう」とアユニらしい感謝の言葉と、ツアーが終わることへの寂しさ、そしていかに今のメンバーが仲が良いかをアピールするMCをはさみ、後半戦は、自作曲の“へなちょこ”からスタート。最新アルバム『浪漫』で描かれるようになった「泣きたい夜に泣けばいいよ 叫びたい夜に叫べばいいよ」という自身を肯定する言葉が、この大きな会場に響くと、あまりにも説得力が強く、気づけば大きく拳をあげていた。

またPEDROでは珍しいスロー・バラードの“生活革命”も、はち切れるように歌うアユニの言葉がしっかり伝わってくる。終盤の最も激しい曲の一つ“自律神経出張中”もボーカルが埋もれてしまうことはないし、ラストの“空っぽ人間”は、もう会場中が彼女の歌声に包まれてしまった。いつの間にアユニの言葉は、これほど我々に伝わるようになったのだろうか!? バンド・サウンドの向上はもちろんだが、PEDROを大きく更新させたのは、間違いなくアユニのボーカルの表現力が上がったからだ。インタヴューでも言っていたが、愛や感謝を知り、そして自分を肯定することを知り、伝えたいことができて、だからこそより伝わる歌詞をストレートに書く。その変化が起こるたびに、彼女のボーカリストとしての表現力は更新されていったのだろう。

アンコールで出てきた彼女は、MCでもやはり我々に感謝を伝えてくれた。
「三年前は1人の人の前でも話せなかったけど、いろんな経験をさせてもらって、あなた方とも音楽を通して出会うことができて、支えられて助けられて、ようやく人間に近づけたなと。生きててよかったと思わせてくれて本当にありがとうございます。」

そんな彼女の素直な言葉に、会場は万雷の拍手に包まれた。

「このツアーができてよかった。こういう世界の状況なんで、みんなも悩んだと思うけど、今は今しかないから本当にありがとう。またいつライブができるかわからないけど、元気で健やかに生きて行こうと思います。あなたも元気で、ライブで、ライブハウスで会いましょう!」

そんな言葉を残しアンコールの曲へ。お客さんは、今日ここでPEDROがライヴをしてくれたことと、素晴らしいライヴを観せてくれたことへの感謝を込めて、決して大声は出せないけれど、目一杯の笑顔と、力強く拳を上げて、彼女の気持ちに応えた。そしてPEDROとお客さんは一体となり、どんどんグルーヴが加速していった。僕はまたこんな光景が観れたことが嬉しくて、同じく力強く拳を上げた。

バンドとして大きく更新したPEDRO。2021年は大きな年になるようだ。このままアユニがやりたいことを貫いて、どんどん更新していき、天下を取って欲しいと願う!

PEDRO / LIFE IS HARD TOUR FINAL@2020.09.24 LINE CUBE SHIBUYA

01.WORLD IS PAIN
02.猫背矯正中
03.愛してるベイベー
04.来ないでワールドエンド
05.後ろ指さす奴に中指立てる
06.GALILEO
07.pistol in my hand
08.ボケナス青春
09.さよならだけが人生だ
10.無問題
11.感傷謳歌
12.へなちょこ
13.ironic baby
14.Dickins
15.おちこぼれブルース
16.生活革命
17.SKYFISH GIRL
18.乾杯
19.自律神経出張中
20.空っぽ人間
ーENCOREー
01.浪漫
02.NIGHT NIGHT

文/編集 : 西田健

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PROFILE

“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバーであるアユニ・Dによるソロバンド・プロジェクト。
ベース・ボーカルに加え、全楽曲の作詞から一部作曲までを行う。
セルフ・プロデュースで放たれる彼女の持つ独特の世界観や感性が大きな支持を集める。

【INFO】
■PEDROオフィシャルHP:
https://www.pedro.tokyo/
■PEDROオフィシャルファンクラブ:
https://sp.pedro.tokyo/ (スマートフォンのみ)
■PEDROオフィシャルTwitter:
https://twitter.com/pedro_ayunid
■アユニ・D Twitter:
https://twitter.com/ayunid_bish

この記事の筆者
西田 健

1990年生まれ。熊本出身の九州男児。2019年までイベント業界で働きながら、福岡親不孝通りにてJ-POP、アニソンのDJ活動を行う。その後上京し、OTOTOY編集部にてアイドル、アニメ関連を中心に担当。映画、深夜ラジオが好き。

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