2020/07/24 19:00

ラップの魅力を伝えたい! ──「京まちなか映画祭」で開催されるラップ教室とは?

京都で毎年開催されている映画祭「京まちなか映画祭」。この映画祭は、「京まちなかを歩いて映画を観よう! 」をテーマに上映会場を従来の映画館だけに限定せず、カフェやバー、ライブハウスにお寺など様々な場所を会場とし、音楽に関する映画など多くの作品を上映してきた。

今年は11月27日(金)~29日(日)での開催が決定。映画祭本祭では、山口淳太監督が人気劇団ヨーロッパ企画とともにつくりあげ、現在各所で話題を呼んでいるSF映画『ドロステのはてで僕ら』(映画祭では初上映! )や、松本大樹監督による完全リモートで制作された短編映画『はるかのとびら』などを公開予定だ。

また、今年は新たな取り組みとして「映画教室」と「ラップ教室」を行うことが発表された。「映画教室」では、昨年好評を博した映像ワークショップを進化させ、お客さんと1本の映画作品を完成させることを目指す。そして、「ラップ教室」では映画教室で制作される短編に主題歌をつけることを目標に、ラップの指導を行う。

OTOTOYでは、今回「ラップ教室」の取り組みについて、講師を担当する3人のラッパーに、関西で活動するライター石塚就一 a.k.a ヤンヤンがインタヴューを実施。ラップをする楽しさを伺いました。また、京まちなか映画祭「ラップ教室」は、この記事を読んでいただいた方限定「5名」までのみ、先行受付を行っています。ご興味があれば、ぜひ京都のまちへ足を運んでラップの魅力を感じてみてください。(編)

京まちなか映画祭2020

2020年11月27日(金)~29日(日)

映画上映や楽しいイベント、続々企画中!

松本大樹監督『はるかのとびら』
松本大樹監督『はるかのとびら』

山口淳太監督『ドロステのはてで僕ら』(映画祭では初上映!)
山口淳太監督『ドロステのはてで僕ら』(映画祭では初上映!)

京まちなか映画祭2019 映像ワークショップ作品『爆裂!カタストロフ京都旅情~地蔵馬鹿にするべからず~』
京まちなか映画祭2019 映像ワークショップ作品『爆裂!カタストロフ京都旅情~地蔵馬鹿にするべからず~』

INTERVIEW :「京まちなか映画祭」ラップ講師陣(ゴンザレス下野、歩歩、公家バイブス)

「京まちなかを歩いて映画を観よう!」
そんなコンセプトのもと、京都市内で毎年秋に開催されてきたイベントが「京まちなか映画祭」だ。これまで、年度ごとにテーマや会場を変えて映画のさまざまな楽しみ方を追求してきた。2019年からは関西の若手インディペンデント作品と、京都で撮影された名作をバランスよく並べながら、新旧の映画ファンを集めている。

そして2020年。京まちなか映画祭は新しいチャレンジを行う。昨年、好評を博した宇治茶さん(『バイオレンス・ボイジャー』監督など)、飯塚貴士さん(テレビ東京『フォーカード』監督など)による映像ワークショップを進化させ、お客さんと1本の映画作品を完成させることを目的に、「映画教室」を実施しようとしているのだ。総監督は引き続き、宇治茶さんと飯塚さん。撮影監督は山口淳太さん(ヨーロッパ企画所属・『ドロステのはてで僕ら』監督)、脚本監修は松本大樹さん(『みぽりん』監督)。アフレコ演技指導として、関西演劇界のホープ、鶴山聖さん(猟奇的ピンク)、佐倉眞さんが参加する。

宇治茶さんは、アニメーションと劇画を融合させた「ゲキメーション」作家として世界的評価を集めてきた。また、飯塚さんはクオリティの高い人形劇で映画やドラマに引っ張りだこだ。2つの才能が、関西を代表するクリエイターたちとどのような化学反応を起こすのか。何より、お客さんをどのような体験に誘ってくれるのか。興味は尽きない。

そして、かなり実験的ともいえるのが「ラップ教室」の開催である。映画教室で制作される短編に主題歌をつけるべく、3人のラッパーが一般から募集する生徒さんを指導して楽曲をレコーディングするというのだ。講師陣はいずれも関西で活躍中のユニークな顔ぶれ。しかし、性格もスタイルも三者三様。だからこそ、どのような生徒さんがやってきても受け止めてくれるに違いない。そこで、今回は映画祭で「ラップ教室」担当のラッパー3名に、創作活動と関わる魅力を語ってもらった。

取材・構成 : 石塚就一 a.k.a ヤンヤン
取材場所:居酒屋ロッジ

ちょっとでもラップに興味があるなら一緒に

左からゴンザレス下野、歩歩、公家バイブス

歩歩さんはザストロングパンタロンXのフロントマンであり、MCバトルの世界でも知られているラッパーだ。2013年にはMCバトルの全国大会でもあるULTIMATE MC BATTLEに京都代表として出場、テレビ朝日系『フリースタイルダンジョン』での大暴れも記憶に新しい。歩歩さんは映画祭で制作される作品で「主題歌プロデュース」を担当する。

歩歩「映画と関われるのはテンション上がりますよね。いま作っているアルバムのアート・ワークに宇治茶さんが関わってくれたりもして。つながりができて嬉しいです」

歩歩

世界初!! 京都発進コミックHIPHOP BAND“ザストロングパンタロンX”のMC。
第65代北斗神拳伝承者候補。
現在22曲入りの爆発的Albumを制作中。
NEST KYOTOでRAP科の講師として活動中。
路上、クラブ、ライブハウス、フェス、TV、家 所構わず出演中!
のラップ三昧のラップバカから目を逸らすな!!
逸らした瞬間
アタタタターーッ!! アタッ!!
おまえらはもう楽しんでいる
好きな映画は『フォレスト・ガンプ/一期一会』。

歩歩さんと一緒に主題歌づくりを担うのは、これからラップ教室に応募してもらう一般人の方々である。応募資格は「小学生以上」というだけ。経験も関係ない。講師を務めるのは、大阪市の日本橋で関西最大級のサイファー(複数人が輪になってラップをする集まり)を主催するゴンザレス下野さん。そして、ライブやバトル、イベントの司会など精力的な活動を関西で行っている公家バイブスさんだ。

ゴンザレス下野「自分がやっている日本橋サイファーでもけっこう初心者の方々がいて。『今日から始めました』みたいな人も来るので、一緒に輪を囲んでちょっとずつ心を開かせて楽しんでもらって、っていつもやってることなんです。だから、今回の映画祭でやろうとしている試みは自分とすごくマッチすると思いましたね。」

公家バイブス(以下、公家)「話を聞いて、最初は正直、『教えられるほど自分は実力がない』と思ってしまったんです。教えること自体は好きだったんですけど、ラップにおいては自分も学んでいる最中だったので。でも、自分がラップをやっていて『楽しい』と思えることなら教えられるかもしれない。『みんなでラップを好きになる方法』なら伝えられる。ちょっとでもラップに興味があるなら、『一緒にハマっていこう』という感じのことをやっていきたいですね。」

1万人に自分の思いを伝えられなくても大切な人になら

公家バイブス

公家バイブス

大阪より各地各所、バラバラな場から成り和上がるために結卓した不揃い音楽集団『十三不塔』所属のラッパー。『熱』を伝えることを信条にしており、いつしかバイブスの名がついた。ラップのみならず司会・チラシ作成・動画作成・イベント運営・ウェブ作成等マルチにこなす。好きな映画は『エクス・マキナ』。理由は「人の心」について考えさせられるため。あと嫁がいる。

しかし、そもそも経験がなく、音楽としても聴いてこなかった人がいきなりラップをできるようになるものなのだろうか?ラップには細かく韻を踏んだり、ビートに合わせてフロウ(歌い回し)したりといったテクニックがいくつもある。素人がラップをするにあたり、二の足を踏んでしまう所以だ。ただ、公家さんはそれよりも「何を伝えたいか」を意識することがラップには大切だと話してくれた。そして、なぜか料理の例えが―

公家「僕からすれば、歩歩さんはムチャクチャ料理の上手いシェフなんです。それこそ周富徳みたいな」

歩歩「周富徳でどう韻を踏むのかっていうと、『ゴールキーパーとしてシュート見とく? 』」

一同「アーイ! 」

公家「ね(笑)。こんなに早く周富徳で韻なんて踏めます? 僕なんて家庭料理です。チャーハンですよ。でも、『カニチャーハンって美味いやん』ってのは誰もが持ってる初期衝動だと思うんです。韻を踏むとか音にちゃんと乗るっていうのは、ご飯に塩をかけるみたいな、一番の基本。もちろんやらないとまずくなるし。でも、そこにいろいろな具材を混ぜてオリジナリティを出していく。そういう具材は、自分の気の持ちようなので。確かに北京ダックも美味いですよ。でも、家のチャーハンだって美味いじゃないですか。自分が何も持っていなかったとしても、塩を振るくらいは誰でもできる。1万人に自分の思いを伝えられるのは選ばれた人間だけしか無理やけど、大切な人に伝えるなら誰でもできること」

ラップを深く知るうえで、韻やフロウといったスキル面に楽しさを見出すことはもちろんあるだろう。しかし、少しでも伝えたいこと、表現したいことがあるのなら、難しいスキルはさておき、とりあえずラップを始めてみてもいいのかもしれない。

みなさんがそれぞれのストーリーを作ってください

ゴンザレス下野

ゴンザレス下野

大阪日本橋を拠点に二次元カルチャーとラップカルチャーの融合を目指すラッパー&アニメオタク。日本橋サイファー、十三不塔に所属。主催イベント「日本橋ウォーズ」はオタクMCバトルとして日本最大級の規模を誇る。韻にこだわり。好きな映画は『バタフライ・エフェクト』。

講師の3人に映画祭でどのような楽曲を作りたいか、どのような教室にしたいか語ってもらった。

歩歩「映画とマッチした曲にしたいですね。映画館でエンドロールを見てるとき、内容とマッチした曲が流れていると最後まで余韻に浸りたくなるじゃないですか。」

公家「僕のなかのゴールとしては、『ラップって面白そうだな』って思ってもらえたらそれでいいなって。本当の学校に例えると、尊敬できない先生でも『あの人の授業を聞いて絵を描こうと思った』とかありますよね。そういう感じになればいいと思う。」

下野「楽しいのはもちろんですけど、続けてほしいですね。今後サイファーやイベントに行くようになるとか、ラップの良さを知ってほしい。我々はあらすじを書くくらいのことをしたいだけで、後はもうみなさん、それぞれのストーリーを作ってください、と」

公家「下野くんが理論的な部分は全部補足してくれると思ってます。俺1人がやると、金八先生みたいに『人という字は~』的な、熱いことしか言わなくなっちゃう(笑)。」

素の自分を出せている姿を見るとそれだけでかっこいい

歩歩

3人に「ラップを始めた頃」の話を振ってみると、それぞれ、なかなかハードなエピソードを披露してくれた。ピリついていたクラブ、周囲の冷たい視線、孤独…。彼らがラップを始めた時期に比べると、間違いなく現在は新たに挑戦してみるハードルが下がっているといえるだろう。3人とも、逆風を乗り込えてきた人間特有の寛容さで、来るべき初心者ラッパーにも優しい眼差しを向けている。

なにかを始めるのに資格なんていらない。やりたいと思ったらやってみればいい。軽い気持ちで始めたことが、大切な一生の宝物になることだってある。スキルや経験に関係なく、まずはチャレンジしてみてほしい。それは、京まちなか映画祭全体が掲げるコンセプトでもあるのだ。

公家「『自分でもやれるんじゃないか? 』と少しでも思っているなら応募してほしいですね。そういう人には「間違いなくやれる! 」って返します。『自分はラッパーだ』って言えた、その時点でラッパーだと思うので。」

下野「それでいうと、よくTwitterのDMで『サイファー行ってもいいですか? 』って質問が来るんです。でも、ちょっと話をしたら『やっぱり上手くなってから行きます』ってなっちゃうことが多い。下手だって自分で思ってても、まずはラップしに来てほしい。」

歩歩「そこがいちばん大事やな。経験の浅い人でも何かになぞらえず、素の自分を出せている姿を見ると、それだけで『かっこええ』ってなる。自分も初心に帰りますしね」

今後、10月に入ってから3回のラップ教室が開催される。そして、11月には歩歩さんプロデュースのもと、宇治茶&飯塚監督によって制作される映画作品の主題歌がレコーディングされる予定だ。一般からの応募者は「生徒」として、下野さんと公家さんにラップのスキルを教わり、レコーディングに挑む。どのような楽曲ができるのか、どのような教室になるのかは集まった人の顔ぶれ次第。ひとつだけ確実なのは、「誰にでも扉が開かれている場所」ということだ。記事を読んで少しでも興味を持ってくれたなら、この秋、京都で新しい一歩を踏み出してみよう。

編集 : 西田 健

京まちなか映画祭「ラップ教室」先行受付!

この記事を読んでいただいた方限定「5名」までのみ、先行受付を行います。

【日程】
〈ラップ教室〉
2020年10月10日(土)・24日(土)、11月7日(土)
〈レコーディング〉
2020年11月14日(土)or 15日(日)のいずれか

【先行受付の料金】※授業3回分とレコーディング ※すべて税込
一般:6000円(通常料金7000円)
高校生・大学生:4000円(通常料金5000円)
小・中学生:3000円(通常料金4000円)

【会場】
総本山誓願寺
京都府京都市中京区桜之町453

※会場では新型コロナウイルス感染症の対策を徹底したうえで、生徒の皆様にもご協力をお願いする予定です。

【年齢制限】
小学生以上(小学4年生までは保護者同伴必須。同伴のみの保護者の料金はかかりません)

【申し込み方法】
kyomachinaka@gmail.com
もしくは
Twitterアカウント「@kyomachinaka」DMまで以下の項目に回答したうえで、お申し込みください。ご質問も同メールアドレス、アカウントにて受け付けています。

① 氏名
② 住所
③ 電話番号とメールアドレス
④ 年齢(学生の方は学年もお願いいたします)
⑤ 好きなラップ・ミュージシャン(いなければ他のジャンルでも可)
⑥ どの程度ラップに詳しいですか?

以下のA~Fでお答えください。
Aまったく詳しくない
Bたまに動画で見る程度
C「フリースタイルダンジョン」やバトルが好き
D音楽として好き
Eライブやイベントに足を運んでいる
Fすでにラップの経験がある
⑦ 応募した理由(「面白そうだったから」「講師のファンだから」など)

【先行受付期限】
 8月21日(金)まで

※新型コロナウイルスの感染状況を見て、会場や日程を変更したりオフライン授業に切り替えたりする可能性がございます。

【支払方法】
お申し込みいただいた方に個別でご案内いたします。

京まちなか映画祭プレイベント「シークレット・オブ・モンスターズ」開催決定!

8月22日(土)18:30~
飯塚貴士監督、宇治茶監督、松本大樹監督、山口淳太監督のレア作品を上映!何がかかるかは当日のお楽しみ。上映後は監督たちのトークもあり!

【会場】
総本山誓願寺
京都府京都市中京区桜之町453

※会場では新型コロナウイルス感染症の対策を徹底したうえで、観客の皆様にもご協力をお願いする予定です。

【料金】
2000円

予約受付は
kyomachinaka@gmail.com
もしくは
Twitterアカウント「@kyomachinaka」DMまで
※当日券もございます

【定員】
40名

この記事の編集者
西田 健

1990年生まれ。熊本出身の九州男児。2019年までイベント業界で働きながら、福岡親不孝通りにてJ-POP、アニソンのDJ活動を行う。その後上京し、OTOTOY編集部にてアイドル、アニメ関連を中心に担当。映画、深夜ラジオが好き。

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